インカムを通して葉月が何かをんでいるが、答えている余裕はない。嘲笑する目の前の男を強烈な肘打ちを顎に見舞って黙らせた後、右手に持っていたハンドガンを小さく投げて左手へ。

後方に置いてきたライフルに向けてアンカーを放ちつつ、反を抑制するため右腕にガバメントを構えた左手を押し付けつつ、窓に向かって數発した。

４５口徑の弾丸はガラスにを開けヒビをれ、窓は格段に強度を下げていった。

そのまま、し下がり助走をつけながら……ライフルを絡め取って戻ってきたアンカーを収納。ライフルを背負い直しながら、ヒビがりもろくなった窓をためらいなく突き破って外へ。

この前も、泥棒にった本土の軍施設から飛び降りたが、高さはその比ではない。突き破って舞い散るガラス片と共に、はるか下の世界を捉えた。

「あれか……！！」

こちらへ寸分たがわず大口を開けている粒子砲。砲口には目を刺すような青い閃が渦巻いており、今にも出されそうだ。

先ほどまで盛り上がっていた観客は混し、皆バラバラに逃げてごった返している。

「屆いてくれ！！」

慣に従い空を進んでいたが、やがて重力により高度を落としていく。ジャケットの右袖をまくり、アンカー出裝置を出させてから、出の際の出力を最大まで上げていく。そして前方、セントラルストリートを挾んで向かい側のビル壁面へと放った。

アンカーガンの後方から熱を持った蒸気が吹き出したかと思うと、空中にあるがノックバックするほどの威力を持って、アンカーが飛んで行く。

直後、淡くを放つ青い空間が雛樹を飲み込んだ。粒子砲が、出直前に解放する、収束したフォトンノイド粒子の一部。それがまるで線を示すかのようにここまでびてきたのだ。

青い粒子、これを浴びるたびに気分が悪くなる。ひどいめまいと吐き気、頭痛。しかし……アンカーは壁面を捉えていた。

《クソ。粒子砲第二解放！！　二目を撃たれたぞ、早くなんとかしろ！！　破壊でもなんでもいい！！》

《被害狀況は！！》

《一目によりセントラルゲートの一部が崩壊、そしてゲートの防衛に當たっていた防衛部隊の半數が消失！！　近海に展開していたドミネーター群が侵してくる可能があります！！》

《二目はどうなった！？》

《アイゼンロック社、第二オフィスビルの４階部分から上を撃ち抜き消失させました！！　被害は不明！　被害は不明です！！》

《二目の狙いが不自然過ぎる……。コントロールがうまくいっていないのか。とにかく早く止めるんだ！》

企業連警備本部すら、混の渦へ落とし込まれていた。方舟の中央玄関であるセントラルゲート粒子砲の一撃により破壊され、方舟近くの海に潛んでいたドミネーターの意識が向いているというのだ。

その侵を阻むべく展開していた防衛部隊も、巻き込まれて大半が破壊されてしまった。

このままでは都市部にドミネーターが侵することになる。