「ァァァァァッハァ！！！」

ドミネーター、その頭上に向かう殘火。大剣に蔵された推進機関が生み出す発的な加速を持って落とされたその斬撃は、グレアノイドの表をともせず切り裂いた。

その刃はその怪の頭部を割り、巨の中程まで進んだところで離れ、再び推進力を利用して間合いを取った。

噴き出たグレアノイド粒子を浴びないように、退避したのだ。

あまりの衝撃ゆえか、直立したまま割られのように赤い粒子をだくだくと洩れ出させるドミネーターは靜止していた。

「Yeahイェア！！　脳天カチ割ってやったぜ。よォCrazyクレイジー！」

「やってやったぜ、クレイジー仲間」

お互い健闘を稱えあって拳を握り、たくましい腕をぶつけ合う。まるで舊知の仲、かつて共に肩を並べて戦っていたかのようなコンビネーション。

近接戦闘でドミネーターと対するというお互いの戦闘スタイルがうまく噛み合ったのだろう。

雛樹も、RBのテンションの高さにつられてしまったのか、清々しい笑顔であった。

「しっかし、金屬をグレアノイド鉱に変換したあと、粒子生から質化までこなしちまうとは……新しい兵かよ？」

「いや、これは……あまり気にしないでくれ」

「アホか！　お前……こんなもん企業連に知れたらえらいことだぜ。グレアノイド粒子をるなんて非人道的兵……いや、テメェ自が“そう”なのか？」

「……」

大剣の刃にまとわりつく粒子を、何度か大きく振ることで払い、肩に擔いだRBは疑の視線を雛樹の赤い右目に向けた。

「まぁ、なんでもいいがその赤黒目はさっさと収めときな。見なかったことにしといてやっからよ、シドー」

「う、ああ……助かる」

赤い瞳に、黒く染まった本來白目、強の部分……。明らかに人のそれではないとわかっていたRBだが、苦笑いしつつそう言って背を向けたのだ。

空にはまだ侵してきたドミネーター群が殘っている。次々と企業部隊による攻撃が行われているが、まだ沈靜化しない。

それどころか、そこら中で赤いの矢などの攻撃が飛び、建築、店、道路などが破壊されている。ここまで負傷した、あるいは避難している住民の悲鳴が絶えず聞こえてきている狀態だ。

そんな中で、二人同時に通信がる。この偶然に互いが顔を見合わせ、RBが両肩を上げ、雛樹は頭を振った。

「あ……？」

「え……？」

その連絡は急を要する容だった。二人はセントラルストリート、その第一區畫側に目を向けながらその通信へ返答する。

「ステイシスが奪われただァ！！？」

「ステイシスが奪取された！？」

RBはオペレーターから、雛樹は葉月からそのことを聞いた。とんでもなく焦った様子で話していた葉月だったが、要約すると……。

企業連直屬の護衛二腳機甲の一機が、他の二機を攻撃、無力化した後でステイシスがった金屬球檻スフィアを奪い、セントラルストリートを突っ切り破壊されたゲートへ向かっているというのだ。

「企業連のクソ共はなにやってんだ！？　チィ……！！　この騒ぎの目的はこれかよ……真っ直ぐ來てんなら迎え撃ってやるぜ、強盜野郎が！！」

雛樹に背を向け、すぐにでもその強盜野郎を迎え撃とうと前進したが、雛樹の右手がRBのジャケットを捕え、止めた。

「あんだよ、シドー！？」

「終わってないみたいだ……！！」

背後を見るように左端へ瞳をかし、同じく後方を指す雛樹の左手親指。

トドメを刺したと思っていたドミネーター。その裂け目かられ出していた粒子が収束し、割れたを繋ぎ直していた。

すでには稼働している。収束した粒子が質化し、その矛先をこちらへ向けていた。

戦闘勢も整っているようだ……。

「ああ……最高だぜ」

「やばいぞ……グレアノイドでの攻撃が來る！！」