《企業連正規軍のエグゾスケルトンなら……ハッチは背面上部にあるはずよ。近くに開閉するためのアクセスポイントがあるわ。探してみて》

「背面上部だな……、わかった」

今は腰あたりに位置しているため、しばかり登らなければならない。しかし頭上の巨大なブースターから絶えず超高熱、高圧の推進剤が噴き出しているため、このまま登るわけにはいかなそうだ。

「腳がいていないのは唯一の救いだな……」

この機は、腰部ブースターの浮力を利用して機をしばかり浮かせ、背面ブースターによる推進力で前進している。

走っているわけではなく、地面スレスレをるようにして進んでいるために腳部の激しいきはないのだ。

足元、下に向かってアンカーを打ち出し、固定。

「ふっ……！！」

そのまま、機の裝甲を蹴り後方へ飛び出すように落下。まるでブランコにでも乗っているかのごとく振り出され、機のの間を空し……。

機前面へ出るとそのまま遠心力を利用して上昇。上がりきる前にアンカーを外し、勢いに乗って機部まで上がり張り付いた。

そしてアンカーを頭部に打ち、機の肩まで登りきった。すぐ下には開閉できるような箇所。そのすぐ近くにアクセスポイントが確認できた。

「あった！」

《そのアクセスポイントに、外したインカムの先端をしの間でいいから向けて！　ハッチを解放させるわ！》

雛樹は言われた通りにインカムを外すと、アクセスポイントに向けた。

すると、インカムの先端から出された青いのラインが、そのアクセスポイントのクリスタル部分に向かう。接続されたあと、が消えたために再びインカムを裝著し直した。

「開きそうか！？」

向かい風にさらされているため、風切り音が凄まじい。自然に大きな聲が出てしまい……。

《聲が大きいわ！　その程度の風切り音なら自でシャットアウトしてくれるから、普段の聲量で問題ないわよ》

「あ、悪い。で、どうなの」

《大丈夫。問題なく開けられるわ。でもし待機して……》

「しってどの位だ！？」

《うるさい！！》

雛樹はそこから見える景の中に、不吉な反を見た。

《２分ほど》

「２分！？　くそ、こりゃかくれんぼだな」

背筋にぞっと悪寒が走る。その次の瞬間、自分の足元……ちょうどハッチの部分から飛び散る火花。

大口徑の弾丸が裝甲に當たった時の衝撃音。

景に見た反は狙撃銃のスコープのものだった。狙撃１目、威嚇ではない、狙いを正確に定めるための狙撃だ。

橫軸は正確。あとは高さを修正されれば……2目は當ててくるだろう。

「この距離で當ててくるのか……！？　夜刀神！　早くしてくれ！」

《まだもうしよ！　どうしたの！？》

「狙撃されてる、裝甲のへこみ方からして５０口徑以上の大だぞ。一発でも當たったら死んじゃうやつ」

《噓でしょ……！？　もう、焦ると手元が狂うのに……！》

「また使うしかないのか……。今日で何度目だ、そろそろガタがくる頃だぞ」

雛樹の瞳が赤を帯びる。最後の一本であるナイフを取り出すと、そのナイフの刃に意識を集中させた。

（変換、粒子生……収束質化……！）

鈍の刃が元から黒く変していき、グレアノイド鉱の刃へと姿を変えた。その刃を右手で摑むと、勢いよく握りつぶしたかと思うと、赤くる粒子が拳の隙間から放たれる。

圧されて質量を持ったそれは歪な壁を雛樹の前に展開させ——……。