宇宙歴ＳＥ四五一八年七月二十四日、標準時間〇九時一○分。

第二次ジュンツェン會戦と呼ばれる戦闘が始まってから一時間余り、キャメロット第三艦隊所屬の砲艦百隻は戦場から逃れようと通常空間用航行機関ＮＳＤをフル稼働させていた。しかし、乗組員たちの思いとは裏腹に、商船並みの加速力しか持たない砲艦は二十分間の加速を経ても〇・〇四Ｃ速と最大巡航速度の五分の一の速度にしか達していなかった。それでも砲撃を行っていた位置から二十五秒移し、敵艦隊主力から攻撃をける可能はなくなっている。

しかし、彼らの後方にはゾンファの駆逐艦三十隻が迫っていた。

ゾンファ共和國軍のヤシマ解放・・艦隊司令ホアン・ゴングゥル上將はアルビオン艦隊の主力を突破した後、殘忍な笑みを浮かべながら「逃げ遅れた敵の砲艦を殲滅せよ！　橫から撃たれては面倒だからな」と掃討を命じていた。その時の彼の視線の先にはメインスクリーンに映るキャメロット第三艦隊の砲艦戦隊の姿があった。

第三艦隊以外の砲艦はホアン艦隊が戦列を突破する直前に各艦隊司令部からの命令をけ、艦隊に合流するよう移を開始していたため、加速能の低い砲艦ですらアルビオン艦隊本隊の程まで移できており、好戦的なホアンですら無為に駆逐艦やスループ艦を失うとして攻撃を諦めていた。しかし第三艦隊の砲艦戦隊だけは別だった。第三艦隊本隊は司令リンドグレーン提督の方針に従い、敵艦隊から離れるような機を行っていたのだ。クリフォードたちはリンドグレーンに見捨てられ、アルビオン艦隊本隊だけでなく第三艦隊本隊とも離れた位置で孤立していたのだ。

ホアンが言葉にした懸念、側方からの砲撃についてだが、本來考慮する必要はない。これは言った本人も理解している。

第三艦隊の砲艦は急に発進するため主砲用集束コイルを切り離しており、予備のコイルを再裝備するまで砲撃は行えない。ホアンはそれを理解した上で、敵主力を突破した高揚と味方の士気を鼓舞するという理由から、彼らにとって無害な砲艦を祭りに上げようとしていた。

第三艦隊の砲艦は弱い魚が群れを作るように固まり、五隻の砲艦支援艦がその群れを守るように最後尾についている。

彼らを追うホアン艦隊駆逐艦戦隊司令チャン準將はその景を見て大きく笑い聲を上げた。

「敵はこちらの手間を省いてくれるようだぞ！　バラバラに逃げられたら面倒だったが、これなら一撃で終わらせられる。全くありがたいことだ！」

チャンは重巡航艦に匹敵する防力を持つ砲艦支援艦には多梃子摺ると考えていたが、砲艦自は輸送艦を沈めるより容易であると高を括っていた。事実、艦隊隨伴型輸送艦の方が防力は高い。

チャンは〇・一Ｃの速度を減速することなく接近し、通過しながら攻撃を加えるつもりでいた。更に反転した後、撃ちらした敵を殲滅しながら本隊に合流する戦闘計畫を立てていた。

「このまま一気に沈めるぞ！　三秒以にったところで砲艦支援艦に向けて幽霊ユリンミサイルを発。その後は主砲を撃ちながら敵の上面を通過する！」

彼の部下が速度を落とさないと防スクリーンの能力が落ちると指摘したが、

「なあに、敵には対宙レーザーしかないんだ。それより本隊と早く合流しないと敵との決戦に間に合わなくなる」と取り合わない。

彼以外の認識も移する砲艦は標的でしかありえず、全く警戒していなかった。

■■■

時は四十分遡る、標準時間〇八時三○分。

第三艦隊第四砲艦戦隊に屬する砲艦レディバード１２５號の戦闘指揮所ＣＩＣで、クリフォード・コリングウッド佐はメインスクリーンに映る第三艦隊の転進を見つめていた。そして、その不可解な行が信じられなかった。

（なぜだ……敵の左翼を突けば三十分もしないうちに殲滅できたはずだ……）

呆然とする間もなく、艦隊司令部より命令が下る。

「各砲艦戦隊は敵左翼に攻撃を続行せよ」

その命令に対し、自分たちが捨石にされたことに気づく。

（このままここに留まれば砲艦戦隊は殲滅される……我々は見捨てられたのか……）

そして、砲艦の乗組員たちも彼と同じ思いだった。ＣＩＣだけでなく、艦の至るところで艦隊司令部への呪詛にも似た不満がぶちまけられていた。

クリフォードは彼らに共するものの、指揮として「戦闘に集中しろ！」と命じるしかなかった。しかし、一時は口を噤むものの兵たちの不満は燻っている。

「今は敵を叩くことを考えるんだ！　ここで不満を言っても敵は見逃してはくれない。敵に一矢報いるんだ。砲艦乗りの意地を見せてやろう！」

クリフォードの鼓舞に、ＣＩＣ要員たちは渋々ながら頷く。

第九艦隊が敵の右翼に浸していき、第一艦隊が中央突破を図ると、“これで敵を殲滅できる”と楽観的な考えが頭を過り、安堵の息を吐き出す者すらいた。しかし、敵艦隊が本隊の戦列を突破し自分たちの方に向かって進撃してくると、「逃げ切れねぇ」と誰かの呟きに自分たちが置かれた狀況を改めて認識させられる。絶が彼らの心を侵食していく。

クリフォードも彼らと同じようにじていたが、無理やりそれを締め出し、可能な限り冷靜な聲で「まだ死ぬと決まったわけじゃない」と諭す。

しかし、ＣＩＣ要員たちの目には一萬隻近いゾンファ艦隊が加速しながら迫ってくる姿しか見えず、クリフォードの聲は彼らの心に屆いていなかった。

それでも機械的に命令に従って、主砲を撃ち続けていた。

しかし、第四戦隊以外の砲艦は次々と主砲用集束コイルを切り離し、バラバラと転進し始めた。それは秩序だった転進ではなく、恐怖に負けて我先に逃げ出す潰走にしか見えなかった。

そんな中、第四砲艦戦隊司令エルマー・マイヤーズ中佐から命令が屆く。

「転進する。各艦は集束コイルの切り離し後、旗艦に続け」

その落ち著いた聲の命令を聞き、クリフォードは「主兵裝作室の掌砲手ガナーズメイトはコイルを急切斷後、Ｄデッキに退避！」と命じた。そして、舵長コクスンであるレイ・トリンブル一等兵曹に「旗艦に続け！　回避パターンは任せる」と指示を出す。更にヒュアード中尉に旗艦グレイローバー０５に回線を開くよう命じた。

マイヤーズ中佐がスクリーンに現れると、クリフォードは「提案があります」と端的に告げた。マイヤーズは「手短に頼む」と頷く。

「このままバラバラに転進しても敵に殲滅されるだけです」と端的に現狀を言い表す。

マイヤーズは「確かにそうだな」と呟き、「続きを頼む」と先を促した。

「敵は駆逐艦か、スループ艦を派遣してくるでしょう。ですので敵に一泡吹かせるのです。他の戦隊と協力して……」と自らの考えを説明していく。

クリフォードの提案をけ、マイヤーズは數秒間沈黙する。沈黙の後、「よかろう」と言って小さく頷いた。その目には強い意志が見えたが、僅かに苦渋にも似た表が垣間見られる。そして、すぐに各戦隊司令に向けて通信を始めた。

クリフォードは敬禮をもって応えると、すぐに掌砲長であるジーン・コーエン兵曹長と、先任機関士であるレスリー・クーパー一等兵曹に意見を求めた。

二人から満足いく答えを聞くと、マイクを手に取る。そしてゆっくりとした口調で艦放送を始めた。

「我々は現在敵から逃れる進路を取っているが、恐らく逃げ切れない……」

その言葉に落膽の溜息がれる。

「しかしチャンスがないわけではない。敵は我々を唯の逃げう羊だと思っている……」

そこで言葉を切り、強い口調に変えた。

「しかし我々には牙がある！　それも強力な牙だ！　敵艦隊は我々を放置しないが、掛かりきりになれるわけではない。つまり敵が派遣してくる駆逐艦もしくはスループ艦を叩きのめすことができれば生き殘ることができる！　訓練の時を思い出し、私の命令に冷靜に対処してほしい」

そして、「総員ハードシェルを著用せよ」と命じた。

ハードシェルは船外活用防護服の通稱であり、宇宙空間での活及び戦闘を目的とした宇宙服である。ハードシェルは通稱の由來である質セラミック裝甲を備え、パワーアシスト機能と移用ジェットパックを裝備している。更に空気浄化系と酸素ボンベ、摂取用の水分、食料チューブ、排泄機能などを備え、十分に訓練された兵士なら二十四時間以上、一般の兵士でも八時間程度は真空中で活できる。

通常著用している簡易宇宙服スペーススーツは數時間程度なら真空中での活が可能な能を有し、戦闘による減圧であれば充分耐えられる設計となっている。

アルビオン王國軍の艦隊運用規程では、戦闘航宙時のおける簡易宇宙服スペーススーツかハードシェルの著用が義務付けられているが、通常の戦闘では取り扱いが簡便なスペーススーツを著用することが慣習となっていた。

命令をけたレディバードの乗組員たちはハードシェルに替える理由が分からず首を傾げていた。特に砲艦の狹い艦ではき辛いハードシェルは行を阻害する可能が高く、一部から不満の聲が上がった。しかし、士や準士たちに命令を遂行するよう一喝されると、不満を押し殺しながら手早く著替えていった。

この時クリフォードはレディバードが生き殘る可能は極めて低いと考えていた。彼の提案した作戦通りに戦闘が推移したとしても、常識的に考えれば多くの砲艦は沈められ、高い防力を誇る砲艦支援艦のみが撃沈を免れるだけだろう。

このため、耐衝撃・耐放線能が高いハードシェルの著用をクリフォードは命じたのだ。スペーススーツでは艦の発による激しい衝撃や大量の放線からを守ることはできないが、ハードシェルであれば最悪そのまま宇宙空間に投げ出されても、數時間は生存できる可能がある。

（恐らくこの艦ふねは沈む。そして、部下のほとんどは生き殘れないだろう。もちろん私も……それでも生存確率を僅かでも上げることができるなら、どのようなことでもやっておくべきだ。しかし、後で問題になるだろうな。まあ、生き殘れたらの話だが……）

この措置が艦を放棄することを前提にしているとして問題となると考えたが、クリフォードは躊躇うことなく命令を発した。

標準時間〇九時一○分。

砲艦乗りたちの思いとは裏腹に、砲艦戦隊はゆっくりとした加速で退避していく。そんな中、ハードシェルを裝著したクリフォードが腕組みをしてメインスクリーンを見つめていた。

ＣＩＣでは全ての要員がハードシェルを著用しているため、いつも以上に々しい雰囲気を醸し出している。

「敵駆逐艦戦隊、距離十秒。このままの速度差でいけば八十秒で敵の程にります」

戦士であるマリカ・ヒュアード中尉の鬱な聲がＣＩＣに響く。彼は二・五テラワットの駆逐艦の主砲三十本が自分の背中に突きつけられているようにじており、処刑臺に引き摺られていく死刑囚のような諦めにも似たを抱いていたのだ。

「戦隊司令部からの連絡に注意しろ。舵長コクスン、いつでも回頭できるな」

クリフォードの問いに舵長であるレイ・トリンブル一等兵曹が「いつでもいけます、艦長サー！」と気な聲で答える。

クリフォードは「了解した。砲艦の一斉回頭など滅多にないからな。ちゃんと敵に向けてくれよ」と彼に合わせたような気な聲でいい、「掌砲長ガナーも準備はいいな」とコーエンに問い掛ける。

クリフォードは努めて明るく振舞っているが、心は絶で押し潰されそうになっていた。

（一撃で三十隻の駆逐艦を沈めることは無理だろう……一隻でも殘ったら……いや、今はそれを考える時じゃない……）

「戦隊司令部から回頭のカウントダウンがっています。通信繋ぎます！」

「一斉回頭まで三十、二十九……」という中的な人工知能ＡＩの聲がＣＩＣに響いていく。

「十九、十八……」と続くカウントダウンの中でクリフォードは「敵に一泡拭かせる！　頼んだぞ！」とぶ。

「八、七……三、二、一、一斉回頭、攻撃開始」と攻撃開始を告げられた。

それに合わせ、クリフォードも同様に「艦首百八十度回頭！　回頭完了次第、主砲発！」とぶ。ＣＩＣに「了解しました、艦長アイアイサー！」という聲が木霊する。

メインスクリーンに映る砲艦戦隊のアイコンが一斉に向きを変えた。同じようにレディバードも艦首を敵に向けていく。

掌砲長が「主砲発！」と靜かに復唱する。

カウントダウン終了と同時に、三秒後ろにいた敵駆逐艦三十隻に向け、百隻の砲艦から計二ペタワット（＝二兆キロワット）の電子が一斉に放たれる。

眼では確認できないが、メインスクリーンに映し出された砲撃の軌跡は、戦闘艦の主砲特有の一條の強いではなく、円錐狀に広がっていた。

六秒後、レディバードのメインスクリーンに、次々と火の玉に変わる敵駆逐艦の姿が映し出される。ＣＩＣに歓聲が上がるが、クリフォードはそれを無視して命令を下していく。

「砲撃準備急げ！　運用規程は無視しても構わん！　接近する前に沈めるんだ！」

今回砲艦戦隊が採った策は集束コイルなしで主砲を放つことだった。集束コイルは加速を出た粒子の軌道を電磁力によって補正し、直進を持たせるものだ。この補正がないと出された電子は大きく広がり、戦艦並の程を得ることができない。

逆に言えば、程という因子ファクターを無視できるなら、主砲の発に集束コイルは必要ないのだ。もちろん、電子の度が下がるため威力も低下するが、最大程の十分の一程度の近距離であり、かつ防力の低い駆逐艦が相手であれば十分な破壊力を持つ。

また、この発散は高機かつ低防の駆逐艦に対しては逆に有利に働く。駆逐艦はその機力による回避機によって砲撃を回避するが、集束されていない主砲の砲撃範囲は駆逐艦の回避機範囲をカバーするほど広い。このため、駆逐艦の回避機を無効化することができたのだ。

初撃により半數以上の十六隻の駆逐艦を轟沈した。また、七隻にも深刻なダメージを與え戦列から離させている。しかし、戦闘力を完全に失っていない駆逐艦が七隻も殘ってしまった。

ゾンファの駆逐艦戦隊では想定していなかった攻撃と戦隊司令チャン準將の戦死により、一時パニックに陥ったものの、すぐに秩序を取り戻した。僚艦を失った駆逐艦乗りたちは怒りに打ち震えながらも豬突することなく、大きく散開していく。更に自慢の機力を生かし速度を上げながら懸命な回避機で翻弄し始めた。

七隻の駆逐艦は牧羊犬が羊を追うように広く散開する。

その鋭利な機は固定目標への砲撃が主である砲艦にとって相が悪すぎた。戦隊単位で砲撃エリアを定めて攻撃するものの、あっという間に駆逐艦の程に捕らえられてしまった。

クリフォードも聲を涸らして「加速の冷卻急げ！　爐の調整、まだか！」とんでいるが、レディバードは他の艦よりも激しい砲撃を続けていた。

レディバードに迫る敵はゾンファの標準的な駆逐艦、蟲インセクト級だった。インセクト級は二・五テラワット級の荷電粒子加速砲を有し、掠めるだけで砲艦の脆弱な防スクリーンを無効化する威力を持っている。また、ステルスミサイルである幽霊ユリンミサイルは、砲艦はおろか重裝甲を誇る砲艦支援艦を破壊するほどの攻撃力をめている。

駆逐艦の程にると、砲艦戦隊に被害が出始めた。駆逐艦の二・五テラワット級の主砲は砲艦の脆弱な防スクリーンを易々と突き破り、必死に反撃する砲艦たちを次々と火の玉に変えていった。また、各戦隊旗艦の砲艦支援艦もユリンミサイルによりダメージを蓄積していく。

インセクト級駆逐艦の一隻が艦首から死を齎す粒子線を撃ち出しながら螺旋を描くようなしい軌道を描いて接近してくる。その姿は小型の魚の群れに襲い掛かる鮫のようで、砲艦乗りたちにとっては死そのものに見えた。

クリフォードは死の恐怖と戦いながらも冷靜さを保つことに注力する。

（ここで指揮である私が冷靜さを失えば、すもなく沈められる。無敵に見えるがこちらの主砲が當たれば一撃で倒せる相手だ。敵もこちらの砲撃を恐れているはずだ……）

「舵長コクスン！　カウントダウンに合わせ、二秒間手マニュアル回避停止せよ！　掌砲長ガナー！　同じく人口知能ＡＩによる自砲撃を行え！」

舵長のトリンブルから「えっ！」という疑問の聲が上がるが、クリフォードの「復唱はどうした！」と一喝され、「了解しました、艦長アイアイサー！　カウントダウンに合わせ、二秒間手回避停止します！」と自棄やけ気味に応じる。

掌砲長のコーエンは心疑問を覚えるものの、いつも通り「了解しました、艦長アイアイサー」と答え、ＡＩによる自砲撃の設定を行っていった。

「自砲撃設定完了しました、艦長サー」というコーエンのにしてはやや低い聲がＣＩＣに響く。

クリフォードは無駄口を挾むことなく、すぐに命令を発していく。

「了解した。カウントダウン開始、五、四、三、二、一、ゼロ！」

カウントゼロのタイミングで主砲から電子の束が発された。その電子の束はすぐに拡散し始めるが、既に一秒以下にまで迫った敵駆逐艦を捉えていた。

敵駆逐艦は回避機によりその電子の塊を回避しようとしたが、投網のように大きく広がった電子の束に左舷側を大きく抉られる。そして痙攣するように揺れた後、しいを放って散した。

敵駆逐艦が散していく映像に砲艦乗りたちの歓聲が上がる。

クリフォードがＡＩによる全自砲撃を選択した理由は、敵が接近してきたためだ。ＡＩによる予測は距離が大きいほど、また速度差が大きいほど度が落ちる。逆に言えば距離が小さければＡＩの予測は正確になり、命中度は上がることになる。

通常の砲撃であればＡＩの予測が正確でも集束率の高い砲撃が外れる可能は高い。しかし、現狀では主砲の集束率は低く、拡散したビームの攻撃の範囲は広い。

また、通常の戦闘では舵手による手回避機が加わるため、自艦のＡＩですら微妙な位置調整が難しいが、自縦と自砲撃を組み合わせることで、ＡＩの予測位置に正確に砲撃を打ち込むことができる。クリフォードはＡＩにすべてを委ねるという大膽な決斷をし、敵に一矢報いたのだ。

レディバードの活躍はあったものの、アルビオンの砲艦は次々と沈められていった。

クリフォードの戦闘指揮を見た砲艦戦隊司令マイヤーズ中佐は殘りの砲艦に同様の攻撃方法を指示するが、各砲艦の艦長は染み付いた戦闘方法に固執し、手回避を放棄する策に躊躇する。その間にも次々と僚艦が沈められ、更に逃げることに意識が向いてしまった。

僅か數分で百隻の砲艦は半數にまで撃ち減らされ、五隻の砲艦支援艦は二隻が行不能に陥っていた。