《クリフエッジシリーズ第一部:「士候補生コリングウッド」》第三話
艦長室を出たところで、ようやく我に帰れたクリフォードC・コリングウッド候補生は、大急ぎで作った作戦案を艦長と航法長が真剣に議論していることに驚きを隠せないでいた。
「大尉。どういうことなのでしょうか? 私の案に何か問題でも?」
デンゼル大尉は彼に「艦長に褒められたんだ。自信を持てよ」と言って、微笑みかけている。
「もしかしたら、君の案で我々が助かるかもしれない。目の付けどころが良かったということだよ」
大尉にそう言われたものの、彼は自分の予想が當たっているなら、既に危機的な狀況になっているはずだし、外れているなら、評価されるのも変だなと思っていた。
そんな話をしながら歩いていたら、艦放送から艦長の聲が流れてきた。
「総員に告ぐ。本艦は最大加速に移行する。また、第二戦闘配備に移行するため、各員は持ち場に急行せよ。繰り返す……」
デンゼル大尉は一気に真剣な表になり、「すぐに持ち場に行け!」と怒鳴り、自らは既に走り出していた。
彼はDデッキで艦作業用の簡易宇宙服であるスペーススーツに著替え、第二戦闘配備中の自らの持ち場である急対策所ERCに向かっていった。
彼は走りながらPDAで報を確認し、何が起きているんだろうと考えていた。
PDAにはデイジー27が救難信號を信したことが表示されている。そして、救難信號の推定発信ポイントが彼の予測した敵の行範囲であることに気付く。
彼は艦長室での艦長と航法長の議論を思い出していた。
(もしかしたら、僕の予想が當っていたのかも……)
彼は胃を締め付けられるようなじを覚えながら、ERCで待機していた。
數分後、副長のグレシャム大尉と掌帆長のダットン上級兵曹長がERCにってくる。
副長は、ERCにいる自分の部下たちに狀況を説明していった。
「既にPDAで知っていると思うけど、デイジーが救難信號を拾ったようだわ。あちらが救助に向かうから、こちらはその援護を行う。不測の事態が起こる可能があるから、各員は私の指示に従うように」
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彼は副長がいつものハスキーな聲で穏やかに話しているのを聞き、特に問題があるわけではないとじ、念のため、戦闘配備につけただけと解釈した。
(訓練の一環なのかな? もしかしたら、別の商船の救難信號かも……それだと罠の可能が……)
ここまで考えてから、自分は考えすぎだなと思い、急対策班の作業手順を思い出すことにした。
四十分間の減速・再加速が終了し、ブルーベル34の速度は〇・二速に達していた。
これから約十分間の慣航行を行い、二十五分間の減速にる予定となっている。
ERCのメインスクリーンから、デイジー27から送られてくる映像と報が表示されている。彼はそれを見ながら、違和を覚えていた。
(ヤシマ船籍の神戸丸、五百m百萬トン級。メインのパワープラントシステムの故障で非常用システムのみで三日間漂流。ここまではいい。でも、観測データの質量は六十萬トンしかないし、三日間漂流していた割には船長と航法士が冷靜すぎるような気がする)
彼は自らのPDAを作しながら、神戸丸の積荷リストを眺めていた。
(ヤシマ製の通信機用部品と調味料、アルコール類か。如何にもありそうな荷だけど、単価の安いが多い。この積荷なら目一杯詰め込まないと足が出ると思うんだが……)
PDAの表示されるリストを眺めているうちに「おかしい」と聲に出していたようだ。
それを聞いたグレシャム副長が「候補生。何がおかしいのか」と彼に聲をかけてきた。
口に出している自覚の無かった彼は確証も何もないことで恥を書きたくなかったので、「何でもありません。済みませんでした」と謝罪して済まそうとした。
だが、副長は「疑問があるなら、報告するのも士の務めよ。話しなさい」と再度報告を促してくる。
彼は諦めて自分が考えていたことを副長に話していった。
副長はその話を聞き、しだけ考えた後、戦闘指揮所CICのマイヤーズ艦長への回線を開いた。
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彼は「ご報告したいことがありますが、よろしいでしょうか」と斷った後、クリフォードのじた疑問點を艦長に伝えていった。
マイヤーズ艦長は「私も何かおかしいと思っていたんだが……。コリングウッド候補生はそこにいるか」とクリフォードを呼び出した。
クリフォードは副長に替わるが、周りの目がある中で艦長と話すことにガチガチに張し、「コ、コリングウッド候補生です。艦長サー!」と大聲を出していた。
周りからクスクスという笑い聲が聞こえるが、マイヤーズはその笑い聲には構わず、「ミスター・コリングウッド。君の考えをもう一度聞かせてくれ」と真剣な表で聞いてくる。
クリフォードは副長に報告した容をそのまま話し、更に「神戸丸に連絡して船のリアルタイム報を手してはどうでしょうか」と提案を付け加えた。
マイヤーズは「既にメインシステムに関する報提供はけている」と答えるが、クリフォードは首をし振り、
「いえ、船の環境をモニターしている報です。メインシステムの報の提供は想定しているでしょうから、ダミー報を送ることも可能ですが、環境モニターまでは考えていないと思います。空気の汚れなどを知りたいからと言えば提供してくるはずですから、それを機関長チーフや掌帆長ボースンに見てもらえば、あの船の狀況はある程度判るのでは無いでしょうか」と付け加えた。
マイヤーズはその提案を聞き、「候補生。任務に戻ってよし」と言って回線を切った。
エルマー・マイヤーズ艦長は、自分がじていた違和を候補生の言葉で確信に変えた。
彼はデイジー27を介さず、直接、神戸丸に回線を繋ぐよう通信員に命じた。
(どうも嫌な予が消えない。それどころかコリングウッドの話を聞くたびに強くなっていく)
神戸丸まではまだ十五秒離れており、イライラしながら神戸丸とのやりとりをしていた。
「神戸丸の船長のワタナベだ。この忙しいのに船環境データがしいだと。こっちは手一杯なんだ、勘弁してくれ」
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モンゴロイド系のワタナベ船長はヤシマ訛りの標準語(英語)で泣き言を言っている。
マイヤーズはワタナベ船長に怪しいところは見られないか、じっくりと確認した後、脅しを込めて、強い口調でデータの送信を命じた。
「直ちに環境データを送れ! 送ってこない場合は攻撃の意思があると判斷し、攻撃を加える。これは脅しではない! 反論すれば直ちに主砲による攻撃を開始する!」
三十秒後、顔を赤くしたワタナベ船長が「了解したよ。だが、艦長! この件はヤシマとアルビオンの両政府に抗議するぞ! 急時に不當な脅しを行ったとしてな」と怒鳴り返してきた。
だが、船環境データは一分経っても送られて來ず、イライラする中、二分後にようやくデータが送られてきた。
「チーフ、ボースン。マイヤーズだ。二人とも神戸丸から送られてくる船環境データと見取り図から、船の狀況を予測して見てくれ」
彼は機関長と掌帆長にそう命じた後、「時間はあまり無い。判り次第報告を頼む」と付け加えた。
彼はすぐにデイジー27の接近する姿をモニターに目を移し、本當に民間船だったら、譴責ものだなと思ったが、なぜかそうならないと確信していた。
三分後、トンプソン機関長から「艦長、神戸丸のリアクターかまは生きています。機関室の狀況から十%以下の最小出力でスタンバイ狀態です」と報告が上がってきた。
更にダットン掌帆長からも「このクラスの商船にしては大きな兵裝ブロックがあります。そのブロックの空調でかなりの熱量とオゾンが処理されていると思われます。推測ですが、粒子加速砲か大型レールキャノンのコイルに電流が流れているかもしれません」との報告が上がってきた。
マイヤーズはすぐに「デイジーに急通信! 通商破壊艦の可能が高い。直ちに離することを提案する」と通信員にんでいた。
三十秒後、デイジー27のホーカー艦長から通信がり、「エルマー、どう……」と言った瞬間、唐突に通信が切れた。
モニターにはデイジー27號の間近にあった小星が発している映像が映っていた。
CICの中は誰一人聲を上げるものはおらず、靜かな室に防スクリーンに破片が當たり真っ白に発しているデイジー27の姿を見つめていた。
彼はいち早く我に返り、「総員、第一級戦闘配置を取れ!」と命じ、デイジーと神戸丸の狀況を見つめていた。
(やられた! まさか小星に発を隠しているとは……。だが、あの程度の破片ならデイジーも対応できるはずだ。後は神戸丸のきだが……)
彼がモニターを見ていると悠然とき始めた神戸丸の姿があった。
神戸丸は小星の破片の影響が無い方向からデイジー27に接近していく。
そして、防スクリーンが過負荷狀態に陥っているデイジー27に向けて、攻撃を開始した。
その主力兵の威力は自分たちの乗るスループ艦のものとは比較にならないほど強力で、五等級艦(軽巡航艦)クラスの主砲に見えた。
低速で航行していたデイジー27は回避するすべも無く、二度の砲撃をけ、真っ白な閃と共に散した。
閃の後、デイジー27は船の痕跡すら殘さずに消え、出用ポッドは一つも出されなかった。
(ブルーベル34と神戸丸との距離は十秒程度にまったが、こちらが加速すれば攻撃をける可能はない。報分析と今後の方針を決める時間を稼ぐ必要がある)
彼はモニターに映る映像を見ながら、「進路をスパルタン行きJPジャンプポイントに向けて変更せよ。速度は〇・二速に加速。総員、第二種戦闘配置に変更の上、待機せよ。士はCICに殘るクイン中尉以外、全員艦長室に集合せよ」と全員に命令した。
彼は今回の失敗で落ち込んでいたが、艦の士気を保つため、平然とした表を崩さないように努力しながら、CICを後にした。
十分後、艦長室にはCICに殘るクイン中尉と軍醫を除く六人の士とクリフォードら二人の士候補生が集合した。
士たちは狹い艦長室の中で椅子に腰掛け、候補生二人は士たちの後ろに立っていた。
マイヤーズ艦長から、「デイジー27がやられた。これからの方針について話をしたい」と、いつもよりやや力の無い聲で話し始めた。
「まず、敵の戦力だが、判っている範囲で言えば、我が軍の五等級艦(軽巡航艦)並の攻撃力を持つ神戸丸が一隻いる。恐らく支援部隊もどこかに隠れているだろう」と、ここで一旦話を區切り、「こちらは等級外のスループ艦一隻。まともにやり合えば勝機はほとんど無い」と続けた。
全員を見回しながら、「そこで我々の方針だが、二つの道があると思う。一つはあくまで敵を撃滅すること、もう一つはこの報をキャメロットの司令部に持ち帰ることだ」と話し、再び全員を見回して、「時間はあまり無いが、みんなの意見を聞きたい」と言って、椅子に深々ともたれ掛かった。
まず、副長のグレシャム大尉が「敵を撃滅すると言ってもブルーベルでは無理でしょう。ここは早期にキャメロットに通報すべきです」と慎重論を展開する。
それに対し、戦士TACOのオルガ・ロートン大尉が「やりようによっては倒せないわけじゃないわよ。神戸丸は攻撃力と防力はあっても加速能は商船並。うまく立ち回れば勝機は見えるはずよ」と”鉄砲屋”と呼ばれる彼らしい積極論をぶち上げた。
グレシャム大尉が「うまく立ち回ると言って、何か策があるわけ? あの主砲なら一発で戦闘不能、二発でデイジーの二の舞よ」とロートン大尉に策があるのかと問い詰める。
ロートン大尉が口を開こうとした時、デンゼル大尉が「私も副長ナンバーワンの意見に賛だな。小星帯の中から出てこなければ、機力を生かすも何も無い」とグレシャム大尉の意見に賛同を示した。
その後、トンプソン機関長と最年のニコール中尉の意見が出されるが、二人の意見はどちらも艦長の命令に従うと言うものだった。
マイヤーズ艦長は、立っている士候補生に向け、「君達に何か意見はあるか?」と二人に話を振ってきた。
先任のラングフォード候補生は、「自分は艦長の命令に従います。ですが、デイジーの仇は取りたいと思っています」と答え、的な案は提示しなかった。
クリフォードは全員の視線が自分に向けられていることに張したが、直立不の姿勢で「じ、自分は闘うべきだと思います」と答えた。
マイヤーズ艦長は、「コリングウッド候補生、それは決意表明か。それとも拠があることなのか?」と先を促す。
クリフォードは張しながら「神戸丸を放置することは危険です。理由は二つあります」そこまで話すとゆっくりと拠を述べていく。
「一つは直接的な危険です。我々が撤退すれば、神戸丸に一ヶ月近くの行の自由を與えます。この間に更に商船の被害が大きくなることが第一の理由です」
ここで一度、深呼吸をするように息を吸い込み、
「二つ目の理由は、敵は既に長期間活している可能が高いと思います。これは敵に補給拠點ベースを保有している可能を示唆しています。もし、ベースが存在するなら、これを放置することで、既事実化し、このトリビューン星系の実効支配に繋がる可能があります」
マイヤーズ艦長は、「君はあの神戸丸が海賊パイレーツではなく、私掠船プラベータか通商破壊艦だと思っているわけだな」と呟いていた。
「はい、艦長イェッサー。海賊か私掠船であるなら、我々がここに來たと判った瞬間に隠れていると思います。アルビオン軍に喧嘩を売っても儲けになりませんから」
マイヤーズは「なるほどな」と呟き、クリフォードに先を言うように目で促す。
「ですから、この星系に手をばしているゾンファの可能が一番高いと思っています。スヴァローグがここで活するには理由が希薄すぎますし、第一、補給が困難です。ゾンファならジュンツェン星系からの補給路はそれほど長くはありませんから、可能としてはゾンファが一番だと思っています」
クリフォードは話し始めより、張が解れたようで口調がらかになっていった。
グレシャム副長が「言いたいことは判ったわ。でも、どうやってあのデカブツとやりあうわけ? こちらの武は多分効かないわよ」といつもより砕けた口調、士同士のような口調で話しかけてきた。
それに対しクリフォードは、「我々が撤退すれば一旦ベースに戻ると思います。ベースにったところを部から破壊する方法が一番いいのではないかと……」とここまで言ったところで、ロートン大尉が、「坊やにしては大膽なことを言うわね。基地への潛作戦なんて何年もやったことが無いし、宙兵隊もいないから功率は低いわよ」と口を出してきた。
クリフォードはその問いを予想していたのか、全く慌てず、「はい、大尉イエス、マム。ですが、基地への潛作戦が失敗してもブルーベルは殘ります。それからキャメロットに向かっても祖國の安全の面では何のリスクもありません」と答え、「リスクは潛部隊の命になりますが……」と自分が大膽な発言をしていると聲が小さくなっていった。
デンゼル大尉が、「こちらが撤退したと思わせるとしても、すぐにばれるのではないか?」と、疑問點を口にする。
クリフォードは、「通商破壊艦のセンサーがどの程度かは判りませんが、幸いスパルタン星系へのジャンプポイントは第二星のにれることができたと思います。そこでステルス機能を最大限に効かせてから、小星帯にれば、早期警戒艦並のセンサー類を裝備していない限り見つけられないのではないでしょうか」と淀みなく答えていく。
マイヤーズ艦長は他に意見が無いか確認した後、全員に禮をいい、「十分後に全艦放送で決定を通知する。解散」と言って話し合いを打ち切った。
艦長室を出たクリフォードは、士連中を相手に演説をぶち上げてしまったと、耳まで真っ赤になっていた。
(ああ、調子に乗りすぎたぁ。考えが間違っているとは思わないけど、未者が言うべき容を超えていたな……)
彼はラングフォードの如才ない対応こそが、自分に必要なことだと真剣に考えていた。
(彼のようにほとんど任しているような候補生でも、ああいう態度を取るのに、どうして僕にはできないんだろう……)
艦長室から急対策所ERCのあるDデッキに向かう途中、ラングフォード候補生が聲を掛けてきた。
「よう、ミスター・コリングウッド參謀長殿。さっきのは凄い演説だったな」と言った後、慇懃無禮な口調で「さすがにお偉い貴族様で、親父殿が偉大だと何でもご存知だ。出世しても私のことは忘れないで下さいよ。上殿サー」と続け、自分の持ち場であるCICに向かうため、Bデッキに上がっていった。
クリフォードは、彼のとの関係がこのまま続くと思うと気が重くなるが、デイジー27が沈められた事実を思い出し、軍人でいる限りは死と隣り合わせ、細かいことは気にしないようにしようと、ERCに向かって走っていった。
ERCに著いて五分くらいした後、艦放送から艦長の聲が聞こえてきた。
「総員に告ぐ。艦長のマイヤーズだ。そのまま聞いてしい」
し間があってから、「我々は先ほど僚艦のデイジー27號を失った。そして、敵の正、規模は判らず、我々に手を貸してくれる僚艦味方もいない」と続ける。
「だが、我々はアルビオンの軍人だ。この星系、ひいては祖國を守るため、敵の企図するところを挫かなくてはならない!」と聲を強めて言った後、再び聲のトーンを戻す。
「私はこの星系に殘り、奴らと雌雄を決することに決めた。確かに強敵かもしれない。だが、我々にはアルビオン軍のすばらしい伝統がある。敵を挫き、祖國を、家族を守るため、力をあわせてしい。諸君らの健闘に期待する。以上!」
艦長の演説が終わると、各所で歓聲が上がっていた。
ここERCでも副長を始め、掌帆長やベテランの兵曹たちまで拳を振り上げている。
(凄い。みんな死ぬかもしれないのに、こんなに興して。艦長はやっぱり別格なんだな)
そう考えている自分も皆と混じり、同じように歓聲をあげ、拳を振り上げていたが、それがおかしいとは全く思わなかった。
そして、興が冷めてきた頃、「戦闘配備を解き、通常シフトに戻す。グレシャム大尉、デンゼル大尉、ロートン大尉は手が空き次第、艦長室に來てしい。以上」と艦長からの放送がった。
グレシャム大尉は「候補生。掌帆長と後始末を頼むよ」と言って艦長室に上がろうとしたが、突然振り返り、「作戦案を提出するよう言われるかもしれないから考えておくのよ」と言って、再び走り出した。
アナベラ・グレシャム大尉は艦長室に向かいながら、クリフォードのことを考えていた。
(しかし、ビックリだったね。あの坊やがあそこまで考えているなんて。航法計算で四苦八苦していた姿からは想像できないわ)
そして、指導のデンゼル大尉が言っていたことを思い出していた。
(そう言えば、ブランドンが「彼の察力は凄いよ。このまま行けば偉大な指揮になるんじゃないかな」って言っていたわね。さっきの彼の考察も言われてしまえば當たり前のことだと思う。そう、ヒントさえ貰えれば私でも考えられるわ……でも、そこが違う。指揮は孤獨。一人で考えて、答えを出さなければいけない。今回の突然の方針転換も、もしかしたら……考えすぎかしら?)
彼は艦長室の前で呼吸を整えてから、室の申請を行った。
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8 77【書籍化・コミカライズ】誰にも愛されなかった醜穢令嬢が幸せになるまで〜嫁ぎ先は暴虐公爵と聞いていたのですが、実は優しく誠実なお方で気がつくと溺愛されていました〜【二章完】
『醜穢令嬢』『傍若無人の人でなし』『ハグル家の疫病神』『骨』──それらは、伯爵家の娘であるアメリアへの蔑稱だ。 その名の通り、アメリアの容姿は目を覆うものがあった。 骨まで見えそうなほど痩せ細った體軀に、不健康な肌色、ドレスは薄汚れている。 義母と腹違いの妹に虐げられ、食事もロクに與えられず、離れに隔離され続けたためだ。 陞爵を目指すハグル家にとって、侍女との不貞によって生まれたアメリアはお荷物でしかなかった。 誰からも愛されず必要とされず、あとは朽ち果てるだけの日々。 今日も一日一回の貧相な食事の足しになればと、庭園の雑草を採取していたある日、アメリアに婚約の話が舞い込む。 お相手は、社交會で『暴虐公爵』と悪名高いローガン公爵。 「この結婚に愛はない」と、當初はドライに接してくるローガンだったが……。 「なんだそのボロボロのドレスは。この金で新しいドレスを買え」「なぜ一食しか食べようとしない。しっかりと三食摂れ」 蓋を開けてみれば、ローガンはちょっぴり口は悪いものの根は優しく誠実な貴公子だった。 幸薄くも健気で前向きなアメリアを、ローガンは無自覚に溺愛していく。 そんな中ローガンは、絶望的な人生の中で培ったアメリアの”ある能力”にも気づき……。 「ハグル家はこんな逸材を押し込めていたのか……國家レベルの損失だ……」「あの……旦那様?」 一方アメリアがいなくなった実家では、ひたひたと崩壊の足音が近づいていて──。 これは、愛されなかった令嬢がちょっぴり言葉はきついけれど優しい公爵に不器用ながらも溺愛され、無自覚に持っていた能力を認められ、幸せになっていく話。 ※書籍化・コミカライズ決定致しました。皆様本當にありがとうございます。 ※ほっこり度&糖分度高めですが、ざまぁ要素もあります。 ※カクヨム、アルファポリス、ノベルアップにも掲載中。 6/3 第一章完結しました。 6/3-6/4日間総合1位 6/3- 6/12 週間総合1位 6/20-7/8 月間総合1位
8 88【書籍化】婚約者が明日、結婚するそうです。
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8 103【書籍化】追放された公爵令嬢、ヴィルヘルミーナが幸せになるまで。
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矢代天使は物心ついたときから、姉の矢代神奈と二人で暮らしていた。そんなある日、矢代神奈の正體が実の姉ではなく、女神であることを知らされる。 そして、神奈の上司の神によって、異世界に行き、侵略者βから世界を守るように命令されてしまった。 異世界はまるでファンタジーのような世界。 神奈の弟ラブのせいで、異世界に行くための準備を念入りにしていたせいで、圧倒的な強さで異世界に降り立つことになる。 ……はずなのだけれども、過保護な姉が、大事な場面で干渉してきて、いろいろと場をかき亂してしまうことに!? 姉(神)萌え異世界転移ファンタジー、ここに開幕!
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