《音楽初心者の僕がゲームの世界で歌姫とバンドを組んだら》Track.10 初ライブの報せ

突然謎のに連れられた僕は、名前も聞けぬままドラム製品のコーナーへ。

「へえ、こんなにドラム系の商品あるんだ」

「君もしかして本當に何にも分からないの?」

「だから言ったよね僕。始めて一週間だって」

どうやら僕の話を本當に聞いていなかったらしく、勝手に頼られてしまったらしい。早とちりもいいところだ。

「そういえば名前聞いていなかったんだけど、君の名前は?」

「僕? 僕はカオルって名前なんだけど、そういう君は?」

「私はハルナ。最近結したばかりのバンドでドラムやってるの」

「へえ、じゃあ僕と一緒なんだ」

「もしかしてカオル君もそうなの?」

「うん。まだ初めて一週間で、ほとんど何にも分からない駄目なドラマーだけどね」

その後適當に會話しながらハルナさんとドラム製品のコーナを見て回る。うーん、こんなにも買うものがあるとなると、ちょっと今の(ゲームの)お金じゃまともな買いができないな。リアラさんが言っていたけど、ドラムってお金がかなりかかる楽らしい。その分結構かがやけるらしいんだけど、果たして僕にそれを目指すことができるのだろうか?

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「え? もしかして今日一人で來てたんじゃないの?」

「うん。ボーカルの人と一緒に買いに來てて、時間までそれぞれ見たいものを見ている事にしていたんだけど」

「なーんだ、つまんないの。まあ、いっか。今日は楽しかったから、じゃあね」

「え、あ、ちょっと!」

三十分くらい回ったところで、僕に連れがいる事を知った彼は突然どこかへ行ってしまった。

(な、何だったんだろうあの子)

突然やってきて、突然去っていく。まるで嵐のような子だった。けど、

(同じドラム仲間に出會えただけでもいいかな)

誰か一人でも同じ楽をやっている人に出會えたなら、まあ悪くない気がする。

「すいませんお待たせしましたカオル君……って、何かニヤニヤしていますけど、どうかしましたか?」

「べ、別に何でもないよ」

「何かありましたねきっと」

「何にもないってば」

■□■□■□

そんな出會いもあり、リアラさんに々疑われながらも帰宅。夕食を済ませた後は、再び作詞の方に力をれた。

「出會いって本當偶然に起きるもんだよね……」

今日も含めてここ一週間で僕は五人も人に出會った。でもそれは全てが偶然であり、始めから決まっていたものではない。だったら出會いというより偶然の出會いをテーマにしてみてもいいのかもしれない。そうすれば季節も限られていないし、もっといい言葉が浮かんでくる。うん、これならいい歌詞ができそうな気がする。

(でもこんなのでいいのかな本當に……)

こんな才能の欠片もない僕が書いた歌を、皆が歌ってくれるなんて正直想像がつかない。しかも僕はこのバンドのリーダーだし、責任はそれなりに持たなければならない。

(それにもう一つ)

僕はこの一週間ずっとリアラさんのお世話になってしまっているけど、迷ではないのだろうか。三食を毎日作ってもらっているうえに、食住の殆どを彼に任せっきりになてしまっている。毎日ログアウトすれば問題は解決する話なんだけど、どうせ現実の世界に戻ったっていいことはありはしない。あそこに戻ったところで僕の居場所なんて見つかりはしない。今の僕にはここが居場所なんだ。だから……、

「カオル君、ちょっとりますよ」

「あ、はい。どうぞ」

々悩んでいると、口からリアラさんの聲が聞こえたので招きれる。そろそろ日付も変わる(ゲームの時間は、リアルタイムの時間間隔が一緒)のに、どうしたのだろうか?

「実はカオル君に、一つ大切な話があるんです」

「大切な話?」

■□■□■□

翌日の晝過ぎ、全員がいつものように集合。いつもならそのまま練習を始めるのだけど、その前に僕自から皆に話すことがあった。

「えー、実は皆に大切な話があるんだ」

「何やカオル。そんな改まって。何か事件でも起きたんか?」

「まさか……もう解散ですかこのバンド」

「そんなくらい話じゃないって。どちらかと言うと朗報だと思う」

「朗報?」

昨日リアラさんが大切な話があるって聞いた時は流石にビビったけど、容を聞くとかなり嬉しい話だったりした。まあその分、問題もあるんだけど。

「実は昨日、リアラさんから話があって、二週間後に行われるミニライブイベントに參加しようかって事になったんだけど、どうかな」

「ミニライブイベント?」

「カナリアの初ライブにもってこいのイベントなんだけど……」

そう言ってリアラさんに渡されたチラシを皆に見せる。場所は始まりの広場で、參加締切は今日までになっている。

「どうかな」

「どうもなにも、勿論參加に決まってるやろ」

「そうですよ。それにリーダーはが決めたことなんですから、反対するわけないじゃないですか」

「でも僕、まだまともに演奏できないけど、いいの?」

「まあ初ライブやからその辺は気にすることあらへんで。とにかく參加や參加。そしてすぐに練習や」

「行きましょうナナミさん!」

「あ、ちょっと二人共!」

僕の引き止めも無視して、チラシ片手に出て行ってしまう二人。殘された僕とリアラさんはやれやれと言いながら、二人の後を追うことにした。

「本當にこれでよかったのかな?」

「私達がきっちり支えますから、大丈夫ですよカオル君」

「でもやっぱり不安だよ」

「それは皆同じですよきっと」

リアラさんはそう言うが、やはり自分が足を引っ張ってしまいそうで怖い。でも今更撤回するわけにもいかないし、僕も努力しなければならない。

(うまくいけばいいんだけど……)

こうして僕達は二週間後に、初めてのライブイベントの參加が決まった。僕は若干不安だけど、皆がいるから大丈夫だよね。きっと……。

カナリア、初イベントまで殘り十四日。

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