一度部屋に戻った僕は、布団に寢返りを打ちながら、自分のけなさをじていた。

(何で……こんなにけないリーダーなんだろ僕は)

集中するって意識し続けても、逆にそれが裏目に出てばかりだ。特に最近は、リアラさんを意識し過ぎている自分がいる。ナナミが言っていたそういうがあるからなのかは定かではない。でも僕は、今この部屋にいる事が間違っている。早く練習に參加しないといけない。

「カオル君、大丈夫ですか？」

ふと扉の向こうから聲が聞こえる。リアラさんが心配して僕の部屋に來てくれたみたいだ。

「リアラさん、すいません。心配させてしまって。すぐに行きますから」

「いえ、今日はもうお休みしてください」

「え？ でも……」

「今のあなたでは練習もできないのではないですか？」

「それは……」

分かっている。でも今の僕は休んでいる暇なんてない。もっと上達しないと、僕はまた……。

『何であんな奴がリーダーなんだよ』

『ろくな実力も持っていないくせに、生意気だよな』

『親のコネとかなんでしょ、どうせ』

「っ！」

また……。

『おーい、千由里、竜介、一緒に……』

『あっ』

『か、薫君？！ きょ、今日は生徒會の仕事なんじゃ……』

『そうか、そういう事だったんだね』

僕の居場所がなくなる。

「カオル君？ 大丈夫ですか？ とにかく今は休んで……」

「駄目なんだ……僕は何もできない人間のままじゃ……」

「カオル君？」

「しでも……しでも僕は……長しないと……」

視界が眩み始める。最近は一度も起きていなかった、僕の中のトラウマから出てくる発作。ゲームの世界だから起きないと思っていたのに、何で今僕はまた……。

「り……アラさん……」

バタン

「カオル君！ 返事をしてください、カオル君！」

■□■□■□

僕は高校を學した當初から、何故か生徒會にわれていて、時折參加していた。僕はいたって普通の生徒で、特に長けた能力も持っていない。それなのに、何故か學園で一目置かれる存在だった。

だけどそれは、僕に向けられていた目ではなく僕の両親に向けられたものだと分かった。それは何故か？ 答えはすごく単純な話。僕の両親は學校の校長と教頭という學校では一番大きな権力の持ち主だった。

だから僕にびれぱ績も良くなるとかそんな事を考えていた輩がいたから、學當初から優遇されていたのかもしれない。ましてや僕達の學校は進學校、績云々にはすごくうるさいのだ、

(だから僕は……親の七りなんて言われないためにも)

自分を見てもらうためにしずつでも、努力をしようとした。自分だけが信じる自分を、周りに見てもらうために。

だけどそれは本當の悪夢の始まりにすぎなかったんだ。

目を開くといつもの僕の部屋の天井があった。どうやらあの後、誰かが僕を強制的にログアウトさせたのかもしれない。

(まさかゲームで発作が起こるなんて……)

いくらVRMMOの世界とはいえど、ちょっとやそっとの問題ではない。紛れもなくあの場でしたのは、ずっと僕が患ってきたある種の病に違いがなかった。

(あれ、ゲームの方にメールが來てる)

ログインせずともメールは開くことができるので、僕はフラフラなでメールを開く。差出人はリアラさんだった。

『カオル君、調は大丈夫ですか？ 二日前突然倒れた時は皆驚きました。その後は安靜をとってもらうためにログアウトさせたのですが、調は回復したのでしょうか。すぐには難しいかもしれませんが、早いにまた練習に參加してくれるのを私達は待っています。

それではまた練習で リアラ』

メールの差し出し日は今日の日付。文面を見る限り、僕は二日も寢てしまっていたらしい。流石にそこまで寢ていたなんて過去に一度もなかったので、驚きを隠せない。

(とりあえずログインをして、皆に一度謝らないと)

しばらく安靜にした後、がけるようになってきたのでログインをする。二日前に僕のに起きた事が、まるで噓だったかのようにゲームの世界の僕のは何ともなかった。

「あ、カオル。目覚ましておったんか」

リアラさんの家へ向かう途中、ナナミと遭遇する。二日前に彼にも迷をかけたであろうから、僕は軽い挨拶と共にその事を謝罪した。

「何一つ気にすることないで。ただ、あまり無理しすぎるのもよくないと思うで」

「なんか考え事ばかりしてたら、頭がパニックになってて……。早く練習に戻ろうと思ったら、急に意識が遠のいちゃったんだよ」

「あまり無理しすぎるのがいけないんや。リアラの事なら今は考えるなと言わんかったか？」

「分かってたよ。でも……ずっと頭から離れなかったんだ。々な事が」

それだと駄目なんだってことも理解している。だけどそれをがけ付けてくれない。だから僕はずっと苦しんでいたんだ。挙げ句の果てには、

(閉じ込めていた記憶なのに、また思い出すなんて……)

忘れようと何度も努力してきた記憶も、また蘇ってしまった。これでまた振り出しだ。

「駄目やな、カオル」

「駄目って？」

「今のままじゃ二日前の事を繰り返すだけや。し休んだ方がええ。うちからリアラに言っておく」

「そんな。僕だって休む訳には……」

「それでリアラにまた負擔をかけるのはカオルなんやで！ しは向こうの気持ちも考えるんや」

「向こうの……気持ち？」

僕がリアラさんの負擔になっているの？