《とある素人の完全駄作》2話 絶対支配

奇能力者レベル0+

絶対支配ドミネーター

學生寮の部屋のベッドの上で、佐天は全く聞いたことのない2つの単語を思い浮かべていた。氷をれて、炎もれて、電気までれて。それでいて無能力者レベル0以上、低能力者レベル1未満とは、一どういうことなのだろうか。本人に聞きたかったが、攜帯電話の番號が分からない。ぶっちゃけ前田の部屋がある寮棟は、佐天の部屋がある寮棟と目と鼻の先、1ブロック隣にある。しかもお互いの部屋の窓からお互いの部屋の窓が真正面に見えるという、マジのお隣さんである。聲を張れば余裕で屆く距離。だが、外はもう暗く、窓から大聲を出して話す訳にもいかない。という事で、

「知ってそうな人に聞いてみよっと」

そんな訳で電話をかけた相手はーーー

PRRR  PRRR  PRRRRRRーーー

「ん?佐天さん?もしもし?どうしたの?」

常盤臺ときわだい中學子寮の一室。肩まで屆く短めの茶髪に花飾りのヘアピンを著けた、學園都市に7人しかいない超能力者レベル5の第3位の。『超電磁砲レールガン』琴みさかみことは、ゲコ太というカエルのキャラクター(佐天曰く「安いキャラ」)を模した攜帯電話を手に取った。

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『あ、坂さん?今って大丈夫ですか?』

「うん、平気。で、どうしたの?」

『実は、坂さんに聞きたい事があって......』

數分後

「ん~、奇能力者レベル0+に、絶対支配ドミネーターか~」

『何か、聞いた事とかありますか?』

「なんっか......聞いた事あるような気はするんだけど、なんだろ......いまいちハッキリとしないっていうか......」

『う~ん、坂さんでもダメか~』

「ごめんね、佐天さん」

『あ、いえ!そんな、こっちこそ、いきなりすいません』

「そうだ、ねぇ佐天さん。明日の放課後さ、その智也君って子に會えないかな?」

『え、智也にですか? どうだろ......連絡先、まだ知らないんで、明日聞いてみます』

「ありがとう。私も、ちょっと調べてみるね」

『はい、ありがとうございます。それじゃ、お休みなさい』

「うん、お休み」

プッ

「う~ん、なんだっけな~......」

佐天との電話の後、琴は自分の記憶を辿たどっていた。だが、やはりハッキリとしない。諦めて別の方法を使う。用している小さな白いデバイスで、書庫バンクのデータを閲覧えつらんする。

(前田智也まえだともや。能力は絶対支配ドミネーター。あらゆるエネルギーを自在にる(製・変換・放出・強化する)能力って、強すぎない? 確かにこれは超能力者レベル5クラスの戦闘力よね......ん? エネルギーを......自在に......)

何かを思い出しかけた琴。しかしそれが形になる事はなかった。

「おっ姉様ぁ~!!」

いつものように、ルームメイトであり後輩でもある白井黒子しらいくろこが大能力レベル4の空間移テレポートを使って飛び付いてきたのだから。

「ちょっ、黒子アンタ、人が考え事してる時に!!」

「考え事? 何を考えてたんですの?」

「アンタの襲撃のせいで忘れちゃったわよ!!」

正確には忘れたのは考えていた事ではなく、思い出しかけていた事だが、それは置いておく。今はとにかく襲撃者くろこをどうにかするのが先である。

ーーー次の日

寮の部屋を出た佐天は、幸運にもすぐに前田と出くわした。

「あ、智也。おはよ~」

「おー、おはよー。スカートじゃなくてズボンで悪いね」

「は? スカート? ズボン? え、なんで?」

「だって佐天さん、いつもお友達のスカートめくってるじゃん。ほら、あの頭の上お花畑の人の」

「あれは初春ういはるにしかしてないよ!! 男の子にまでする訳ないでしょ!!」

「へー、そーなんだー」

「當たり前でしょ!! もう......って、そうじゃなくて!!」

「?」

「智也、今日の放課後は暇?」

「暇だけど」

「ならさ、ちょっと會ってしい人がいるんだけど、ダメ?」

「んー......別にいいけど」

そんな訳で放課後。琴・黒子・初春・佐天の4人がいつもガールズトークをしているファミレスにて。

「佐天さんが言ってた會ってしい人って、常盤臺の超能力者レベル5だったの?」

ジンジャーエールを飲みながら聞いてきた、ちょっとお行儀の悪いオトコノコに、友人を紹介する佐天。

「うん、この人が、あたしと初春の友達の、琴さんと、その後輩の白井黒子さん」

「よろしくね、智也君」

そう言って、親しげに笑顔を向けてる琴とは対照的に、

「前田さん、わたくしお姉様の払いをしておりますの。もしお姉様にチョッカイなんて出したら即拘束しますわよ?」

「白井さん、それ職権用ですよ」

全然笑っていない笑顔で前田に詰め寄る黒子に、鋭くツッコミをれる初春。

ひとしきり笑ったところで、琴が切り出した。

「智也君に、ちょっと聞きたい事があるんだけど、いいかな?」

「俺の能力チカラの事?」

「うん、そう」

黒子は琴から、初春は佐天から、ある程度前田の話を聞いていた。前田以外の全員が、話を聞く勢にった。それを見た前田は話し始めた。己の能力にまつわる事を。

「俺は7歳まで、置き去りチャイルドエラーの施設にいたんだけど、ある時、科學者に拉致られて人実験のモルモットにされてた。木原幻生きはらげんせいっていう科學者に。そいつは多重能力デュアルスキルを、能力複數持ちという形ではなく、超広大な作可能領域クリアランス持ちという形で生み出そうとしたんだ。その結果生まれたのが、絶対支配ドミネーター、エネルギーをる能力って訳だ。実際、出來る事は頭おかしいんじゃないかってくらい沢山ある。ある意味では多重能力デュアルスキルだよ、本當に。だけど、この能力には3つの致命的な欠點がある。『コントロールが難しい・コントロールをミスった時の反で喰らうダメージがデカすぎる・上手くコントロール出來たとしても消耗がキツい』。この3つで、もはや使いものにならないのは明白。だから、使えたら凄いけど使えないってことで、無能力者レベル0以上、低能力者レベル1未満って訳。その事が原因で実験は凍結して、當時9歳だった俺は、その辺にポイ捨てされて、そこを警備員アンチスキルに保護されたって訳だ。因ちなみに、佐天さんらが俺の事全然知らなかったのも、俺がエネルギーと熱エネルギーをイジって、俺の存在を見えないようにしてたから。熱イジって炎かげろうつくって、イジって歪み補正ってじで。寢てる間とか、一人でいる時とかは切ってるけど」

「「「「......、」」」」

子4人は絶句していた。絶句する他なかった。あまりにも壯絶すぎる。僅か7歳で人実験のモルモットにされるなんて悲慘すぎて、なんて言っていいのか分からないのだ。

「まあ、今となってはコントロール普通に出來るし、消耗も別になんて事ないし。々制出來てるよ」

と前田は言うが、それでも地獄のような過去が消える訳ではない。

「で、坂さんだっけ?どうすんの?戦闘しバトりたいの?俺は別にいいけど」

正直、バトりたいのは本當だ。だが、あんな話を聞いた後では、なんとなく気が引ける。しかし、向こうがOK出しているのなら......と悩む琴。そしてーーー

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