《とある素人の完全駄作》Extra Edition ビキニは目線が上下に分れますけどワンピースはのラインが出ますから細い方しか似合わないんですよ(前編)

これは、幻想手レベルアッパー事件が解決して間もない頃。奇能力者レベル0+の年、『絶対支配ドミネーター』前田智也まえだともやが、まだ生きていた頃の話。

ある日、佐天涙子さてんるいこと初春飾利ういはるかざり、そして、前田智也の3人は、友人の琴みさかみことと白井黒子しらいくろこに、ある所に連れてこられていた。

「ウチの學校の水泳部の子たちに、水著のモデルを頼まれたんだけど、一緒にやらない?」的なおいをけた佐天たち。連れてこられた先は、なんかやたら大きな企業ビルだった。そして、大きな建を目の當たりにした時、大抵の人は「おぉ~!」とか「わぁ~!」とかリアクションをする。それは佐天と初春も例外ではなく、

「「うわぁぁ~!」」

とリアクションした。

「なんか企業ってじ~!」

「ちょっと、ドキドキしちゃいますよね~!」

「まあ、これで企業じゃなくて個人だったら、このビルのスペース9割方ジャマだよね」

約1名冷めた事を言っている野郎がいるが、まあそれは置いておこう。

琴にモデルを依頼した、常盤臺中學水泳部の2人のの1人、黒髪ロングの、泡浮萬彬あわつきまあやは、琴に向けて言った。

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「お友達まで呼んでいただいて、ありがとうございます」

「気にしないで。どうせなら、みんなで楽しくやった方がいいしね」

泡浮に、初春が訊ねる。

「でも、いいんですか?私たちが水著のモデルなんて」

その質問に答えた(?)のは黒子だった。

「大丈夫ですの。どんな型でも科學の力でチョチョイッと修整してくれるはずですの」

「酷ひどいです、白井さん......」

泣きながら訴える初春。そこに口を挾んだのは前田だった。

「ところでさ、俺の場違いが1周どころか5~6周回って逆に面白いくらいに凄まじい件について」

前田の遠回しの講義の聲には、水泳部2人のもう1人、ウェーブのかかった栗の髪の、灣絹保わんないきぬほが対応した。

「先ほど擔當さんに連絡したら、「1人くらい男の方がいてくれた方が面白い」と仰おっしゃってましたよ」

「なんかのネタかよ......」

絶賛場違い放出中の前田がボヤいた時、

「お待たせしました」

と、聲がかかる。そちらを見ると、スーツを著たが歩み寄ってきているところだった。

「(あの人は?)」

「(メーカーの擔當さんですよ)」

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佐天と灣が小聲でやり取りする。

「今日はよろしくお願いしますね。あら? あとの2人は?」

「2人?」

擔當の言葉に疑問の聲を上げた黒子。そんな彼に、

「まあ、白井さん?」

と、聲がかかる。

「あ、この聲は......」

げんなりした顔で聲の主を見やる黒子。釣られて琴たちもそちらを向く。そこには、

「あらまあ、大勢ぞろぞろと。社會科見學か何かかしら?」

やたら上から目線で話しかけてくる黒髪ロングのお嬢様、婚后子こんごうみつこがいた。彼も常盤臺中學の生徒であり、休日も制服を著ないといけないのだが、何故なぜか真夏日なのに重そうな著を著ている。彼の隣にはセミロングの黒髪のJK、固法偉このりみいがいた。彼は黒子、初春と同じで、風紀委員ジャッジメント第177支部に所屬している。ちなみに彼はグレーのパーカーを著ている。

「婚后子......」と、うんざりしたように言う黒子。

「アナタこそ、何ですの? その格好。休みの日も制服で外出するという校則、お忘れですの?」

黒子の問いに対して、扇子せんすを広げてお上品に宣言する婚后。

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「今日のわたくしは常盤臺の生徒ではありませんの。1人のモデルとして、參上したのですわ」

その言葉に驚く黒子。

「モデル......?、アナタも?」

「え? という事は、まさか......」

今度は初春が固法に質問する。

「固法先輩も、水著のモデルを?」

「ええ。いつも通ってるジムで、風紀委員の先輩に頼まれちゃって。アナタたちは?」

逆に問われて、今度は琴が答える。

「私たちは、水泳部の子たちに頼まれて」

固法に會釈えしゃくする、水泳部2人。

會話に一區切りついたところで、婚后が言う。

「見たところ、皆さん初めてのようですから、々と教えてさしあげますわ」

それを聞いて、「じゃあ今すぐこの場から速攻でバックレる方法を」と言って、佐天にコラッと叱られる前田。それには気付かずに、婚后はドヤ顔で続ける。

「わたくし、子供の頃からモデルをやってましたのよ」

そして、昔を懐かしむように目を閉じて、

「我が家のホールに響き渡る、オーディエンスの拍手喝采......今でもこのに響いてきますわ」

それを聞いて、微妙な表になる一同。

「オーディエンスってそれ、お家の方でしょう?」

と、黒子がツッコミをれる。そして、そんな事を気にする婚后子ではない。擔當に向かって、

「さ、早く行きましょう。試著室に案してくださる?」

「あ、はい。こちらです」

歩いていく2人を目で追いつつ、初春が黒子に訊ねる。

「お知り合いなんですか?」

「知り合いたくありませんでしたけど」

そして、大量の水著がある試著室にて。

「それじゃあ、どれでも好きな水著を選んで下さいね」

という擔當の言葉に、たちは「はーい!」と元気のいいお返事。當然だが前田は別室である。各々が自由に水著をする中、常盤臺のエース坂様は、ある水著に夢中になっていた。

白地にカラフルな水玉が描かれた、上下に分かれているタイプの水著だった。全的にフリフリで、紐のもピンクで、言ってしまえば子供っぽい水著。しかし、それが琴のストライクだった。そして、それに気付いた佐天と初春は、素直になれない電撃姫の背中を押す。

「わあ! それ可いですね~!」

「本當だ! フリフリもいいじです~」

「え?や、やだ違うよ。別にこれを著たいと思った訳じゃ......」

焦った琴の反論を遮さえぎり、佐天は続ける。

「あたし見てみたいな~! 坂さんの、その水著姿!」

初春も畳み掛ける。

「私も! ぜひ著てみて下さい!」

「いやいや、流石さすがにこれは

「そう言わずに、せめて試著だけでも!」

「絶~っ対可いですって!」

容赦なくラストスパートをかける2人。その猛烈な後押しに、琴の心が揺らぐ。

「そ、そう?そこまで言うんだったら......」

と、そこに。ここまでの流れを知らない固法の聲が降りかかる。

「あら。坂さん、けっこう子供っぽいデザインが好きなのね」

ハッとする3人。その2人がジト目で固法を見る。そして琴は、

「そ、そんな訳ないじゃないですか! これ! 私はこっちです! さーて著替えよーっと!」

そう言うと、脇腹の辺りに細くオレンジのラインがった、普通のスクール水著っぽいヤツを持って試著コーナーにっていった。

「「はあ~っ」」と、見事にシンクロしたタメ息をつく佐天と初春を見て、

「え、何? 私、何かした?」

と、疑問のを浮かべる固法。

そして、試著コーナーの中で、

「はあ~、なんで素直になれないんだろう......」

と、落ち込む乙おとめ坂さんであった。

そして、數人の子が水著を選び、著替え終えた。

は、黃緑と黃のボーダーのビキニ。

泡浮は、水と紺のワンピース。

初春は、黃い地に赤の花柄が描かれたワンピース。

佐天は、白いビキニに、腰に水のパレオを巻いている。

琴は、さっき勢いで手に取っちゃったスク水っぽいヤツ。

「なんか、ちょっと恥ずかしいですね」

と、モジモジする初春に、佐天が、

同士なんだし、照れる事ないって!」

と言う。泡浮も、「よくお似合いですよ」と褒める。

「そ、そうですか?」と喜ぶ初春に、

「ビキニは、目線が上下に分れますけど、ワンピースは、のラインが出ますから、細い方しか似合わないんですよ」

と、説明する灣

「おお、流石水泳部!」と言った琴の橫で、「他に、水著選びのポイントって、あるんですか?」と訊ねる佐天。その問いに対する回答は、佐天を軽く焦らせた。即ち、

「そうですね~。例えばパレオは、オシャレなのはもちろんですけど、下半をカバーするのにも役立ちます」

それを聞いて、琴、初春、泡浮の視線が、佐天の腰に巻かれたパレオに集まる。

「へ? あっ、あたしは別に、隠すつもりとかはないですよ!?」

と、腕をブンブン振って否定する佐天。と、そこに。

「お待たせしました」

黒子の聲がして、試著コーナーのカーテンがシャーッと開く。そちらに目を向けた琴たちは、ギョッとした。

なんで? 黒子が水著を著ていたから。

どんな? 紫のマイクロビキニ。

その布面積の狹さが凄まじかった。しかし、黒子本人にとってはまだ布が多いようで、

「ん~、大人しめのデザインしかなくて今一つなんですが。ま、既製品の水著だとせいぜいこんなでしょうか?」

と不満をたらす。だが、琴たちからすれば十分にヤバい方で、

「なんと言うか......」

「流石白井さん......」

「こっ、個は大切ですわね」

「ええ......」

と、コメントを述べるも、全員の顔が赤かった。いや、日頃から黒子に迫られている琴だけは、いつも通りだった。

「お姉たま~。この程度では足りないでしょうけど、我慢して下さいですの」

と、をクネクネさせながら言う黒子に、

「いや、全く我慢してないし」

と、真顔でツッコむ琴。その時、試著室の外から、くぐもった男の聲が聞こえた。

『では、こちらの部屋でお待ち下さい』

『へーい』

琴たちが、「え?」となる中、試著室のドアがカチャッと音を立てて開いてーーー

何故か前田がってきた。

「「「「「「なっっっ!!!???」」」」」」

驚愕するたち。しかし前田は平然と、

「あーあ、嫌な予すると思ったら、今のスタッフさん部屋間違えたのか。本來の部屋がドコにあるか分かんないし、この格好で廊下に突っ立ってるのもなー。悪いんだけど、スタッフさんが気付いてくれるまで、ココにいていい?」

「えーと......」

前田は黒い海パンを履いて、太い茶革のベルトを腰に巻き、これまた黒い薄手のパーカーを著ていた。パーカーの前は開かれていて、肘まで腕まくりされている。海やプールでなら普通の格好だが、企業ビルの廊下にその格好で立っていろと言われたら、それはそれでどうかとは思う。かと言って、子の試著室にり浸るのもアウトな気がするが。そして、琴がもっともな質問をする。

「智也君、この狀況でよく平然としてられるね」

「ん? ああ、だって見慣れてるもん」

「「はあっ!?」」

驚きの聲を上げたのは、琴と佐天だった。対して前田は、いつもの調子で、

「小さい頃から、姉とか、母親とか、ばあばとかと一緒に風呂ったりしてたからさ。の人の水著とか下著とかとか見ても、何もじないんだよね。今さらっていうか」

「うん、そっかー。でもお姉さんやお母さんはともかく、おばーちゃんと一緒にするのは止めて! ちょっと傷付く!」

「あ、ごめん」

そんなやり取りをしていると、そこに婚后の上から目線ボイスが降りかかる。

「あ~ら皆さん、その程度ですの?」

聲のした方を見ると、そこにいたのは。

「ご覧になって。セクシー、アーンド、エキゾチーック。これぞオーディエンスが求める、究極の水著モデルですわ」

真っ赤なハイレグを著て、ペットのニシキヘビをに巻き付けた婚后子だった。

ヒィィィッ!! と、壁際まで全力で避難するたち。生き好きの初春だけは、「ほら~、怖くないですよ~」と、ヘビに手を差しべていた。

「エカテリーナちゃんです~」

と、ペットを紹介する婚后。

「すっ、素敵なニシキヘビ、ですね」

「灣さん、それ褒めるトコじゃないです!」

「は、早くどこかにしまって下さい!!」

大半のたちが騒ぐ中、前田は顔一つ変えずに、

(ワン〇ースの某帝でも意識してんのか? あのせれぶりちー)

と、ドライな事を考えていた。

「あら、こんなに可いのに、どうして?」

と、琴たちに歩み寄る婚后。それに伴い、ヘビが琴たちに接近する。

「「「「「ウワァァァァッッッッ!!!!!!」」」」」

と、たちが絶する。ただ1人、さっきからヘビに向かって、「おいで~、こっち見て~」と言っている初春だけは、羨ましそうに琴たちを見ていた。

「いかがです? 白井さん」

ドヤ顔で語りかける婚后。

「フン、センスの悪い小道ですの」

引きつった顔で吐き捨てる黒子。と、そこに。

「ん~」

固法の聲がする。そちらを見ると、

「ちょっとキツいけど、これ以上サイズないし、仕方ないか」

白地に黒の水玉が描かれたビキニを著た固法がいた。だが、出が多い。黒子の水著姿とは別の意味で出が多い。黒子の場合は、布がないマイクロビキニを著ているが故の出だが、固法の場合は、その満なプロポーションを、一番サイズの大きい水著でも包みきれていない事が原因である。

そんな固法の、俗に言うダイナマイトボディを見たたちは沈黙した。その沈黙を破ったのは灣の、

「いいな」

という、羨せんぼうの言葉だった。

ちなみに前田は、固法と黒子の間で、視線を行ったり來たりさせていた。

「......えっと?」

「前田さん。アナタ何をジロジロとレディの水著姿を見てますの?」

そして前田の答えは、

「いやー、白井さんが著てる水著を固法先輩が著たら、バラエティの罰ゲーム並に痛いゴムパッチンが出來るんじゃないかなーって」

「「いや、それパッチンした時のビジュアルがアウトだから」」

見事にシンクロしつつ冷靜にツッコむ琴と佐天であった。

(その後の、ちょっとした會話)

前田「にしても固法先輩。いつもムサシノ牛飲んでるからって、水著にまでウシ柄求めなくてもさー」

固法「えぇっ!?いや、そういう訳じゃなくて!!サイズが一番大きいのがこれってだけで!!」

琴・灣((そうか、ムサシノ牛を飲めば......!))

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