《極寒の地で拠點作り》裝備確認
「えっと休憩スペースは、っと」
私達は今、神様から貰った裝備品やら武やらを確認するため、屋臺などが立ち並ぶ商店街の様な通りを抜けて休憩スペースに向かっていた。
「あ、ハープ。あれじゃない?」
そこには、休憩スペースという名前の割には開放も無くフリーなじもない、旅館の様な建が建っていた。
いざってみると、カウンターに店のご主人であろう人が立っていて、
「いらっしゃい、二名様ですか?では、40Gになります」
流石NPCと言った所か、かなりスムーズに手続きが進む。
「それでは、ごゆっくりー」
ごゆっくり、とは言うけどそんなに長くいるつもりは無い。本來の目的である、ポーションとかその辺りもあるし。
「えっと、私達の部屋は……」
鍵はハープが持つことになって、その鍵には『112』と部屋番號が刻まれている。
壁に掲げられている案板を元に進むと、私達の部屋は角部屋で、畳が敷かれた普通の旅館というじの部屋だった。
「なんか旅行に來たみたいだね。泊まる気は更々無いけど」
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休憩スペースと言うからには空間的にも金銭的にもフリーな施設なのかと思えば、この通りなんだから。休憩スペースじゃなくて宿泊施設に名前帰ればいいのに、そう思った。
もしかして、私達が文句を言おうとしている運営って覚がし外れてるのかな?
そんなことを考えていると、ハープがこっちを見て何か言おうとしている。
「ハ、ハープ?」
「……それではお待ちかね。裝備確認たーいむ!」
いえーい、とでも言う様にハープは盛り上がったじで言う。なんかよく分かんないけど、既に目がキラキラしている。
私と言えば、なんて返したらいいか分からなくて、
「い、いえーい?」
「じゃあ、ユズ。裝備セットしてみて?」
あ、同時にじゃないのね。まあ、そんなことは目が輝いているハープには屆かないだろうから言わないけど。
心、私もワクワクしてるから早く著てみたいって言うのはあった。
早速、インベントリから裝備欄を開いて、裝備一式と武をセットしてみる。
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すると、
【ユズは闇の魔道士シリーズ(ユニークシリーズ)を裝備した!】
「ん?」
「え?」
何か表示された。
いや、特定の裝備一式を〇〇シリーズと言うのは初期設定の時のヘルプ欄にちょこっと載ってたから分かるんだけど、ユニークシリーズって何だろう。ハープも分からないらしく、浮かんだ表示に首を傾げている。
そして、裝備を確認するついでに、私は一つの問題に気づいた。
裝備
【頭:闇の魔道士のローブ】
【:闇の魔道士のローブ】
【右手:闇ノ戦】
【左手:(闇ノ戦)】
【腳:(闇の魔道士のブーツ)】
【靴:闇の魔道士のブーツ】
その他裝備品
【空欄】
私は改めて思った。
「に、似合わなくない?」
その、闇の魔道士シリーズとやらは頭にはフード、全を布で覆っている。しかも真っ黒と來た。これじゃ、見た人に明らかな怪しさを與えてしまう様な、まさに不審者とでも言う様な裝備だった。
しかしそんな反応を見せる私に対して、
「わぁ……ユズ、それすっごくかっこいいよ!」
相変わらず目をキラキラさせているハープにはとてもかっこよく見えた様で好評だった。別にかっこよさは求めてないんだけど……正直、もっと可い方がよかった。
まあ、そんな所で微妙さをじていると、更なる問題を私は発見してしまった。
それは武、裝備の追加効果にあった。
闇の魔道士シリーズ《やみのまどうししりーず》
裝備者のSTR二倍、INT+10
闇ノ戦《やみのせんこん》
STR+60、INT+8、MP+15
裝備固有スキル
【混沌の克服】:狀態異常即時解除
STRの超強化、狀態異常の即時解除、そして武、裝備に付く申し訳程度のINT上昇…………
うん。
「ねぇ!この裝備っ!全っ然!私に魔道士させる気っ!無いんだけど!」
私は何処にいるでも無い、あの神様に向かって文句を言う。杖まで何故かSTR上がるし。まあ戦、即ちメイスは毆打用の杖らしいから仕方ない……仕方ないのかな?
そんな疑問を持っている私にすかさず、ハープが寄ってくる。
「いやいや、強いじゃん!凄いじゃん、ユズ!」
と、気が収まらない勵まし?をれてくる。まあ、ハープが良いって言うならいいか。私が見ても強い裝備だって分かるし、プレイスタイルも広がるだろうから。
「あ、ありがとう」
「へぇ……ユズの方も凄い裝備だし、私のはどんなじかな?」
確認する前の私の様にハープはワクワクしている様だった。どうかその期待が私の様に壊されないか願うばかりだ。
當の私は前線で戦う魔法使いってどうなんだろう、斬新で結構面白そうかも、とか何とか考えてた。
戦い方は実戦で覚えればいいし、まあ、そこの所は何とかなるでしょ。
それでハープはと言うと、
【ハープは闇の暗殺者シリーズ(ユニークシリーズ)を裝備した!】
「あ、これ何かきやすい!」
ハープの裝備もユニークシリーズで暗殺者?なんか騒だなぁ。
見た目としては軽裝で、私なんかよりも正反対で出がし多くて……うーん、なんて言ったらいいんだろ。とりあえず現実じゃないから普通に著れる様な裝備とでも言っておこう。
そして、ハープの裝備を見せてもらうと、
裝備
【頭:なし】
【:闇の暗殺者のコート】
【右手:闇ノ短剣(右)】
【左手:闇ノ短剣(左)】
【腳:闇の暗殺者のブーツ】
【靴:闇の暗殺者のブーツ】
その他裝備品
【空欄】
ついでに武、裝備スキルも見せてもらうと、
闇の暗殺者シリーズ《やみのあんさつしゃしりーず》
裝備者のAGI二倍、STR+10
闇ノ短剣《やみのたんけん》
右
STR+15、AGI+20
左
STR+15、AGI+20
裝備固有スキル
【無作為な混沌】:攻撃時、相手をランダムに狀態異常にさせる。
えっ?強くない?私より強くない?
武の上昇値、私より大きいし。片方使えなくても何とかなりそうだし。
「どう?似合ってる、かな?」
ハープは私と同じ様な反応をした。
し恥ずかしいのか、先程までの勢いは失速気味だ。
「うん、かっこいいよ!なんか強キャラ出てるよ」
「そ、そっか……」
未だ恥ずかしそうに前まで締まらないコートをくるまっている。
こんなハープを見るのは珍しいことかもしれない。
一通り確認も終わったから、私はハープに提案する。
「じゃあどうしよっか、ポーションとかその辺り買っておく?」
「え?ちょ、ちょっと待って?」
やっぱり恥ずかしいのかな、と思っているとどうやら違った様で、
「武スキルのポイント振り分け、やってなかったでしょ?だから、それやってからにしよ?」
そういえば私も六種類の中から選ぶとか言っておいて、結局何選ぶか決めてない。
火にしようかなー、風にしようかなー、なんて考えながら武スキルの振り分けをしようと思ってその欄を開くと、
【第七魔法が解放されました!】
「え?」
「ん?どうしたの、ユズ」
またなんか出てきた。
第七魔法?何だそれ、と思いながら、火、水、風、土、、毒、と言う様に橫に捲っていくと、さらにその先に『闇』という欄があった。
闇魔法、それが第七魔法のことか。そしてその闇魔法はどうやら他の魔法よりもスキルレベルを1上げるのに二倍のポイントが必要の様で、今の私ではLv.2にギリギリ屆くくらいで先はまだまだある。その闇魔法の欄は、
闇魔法一覧
Lv.1 【暗転】
Lv.2 【心の闇】
Lv.3 【???】
Lv.4 【???】
Lv.5 【???】
Lv.6 【???】
Lv.7 【???】
Lv.8 【???】
Lv.9 【???】
Lv.10【???】
と言う形だ。
暗転は恐らく、魔法Lv.1の逆だろうけど、心の闇はなんかやばそうな気しかしない。
Lv.2でこんななんて大丈夫なんだろうか。あ、勿論強すぎてって意味ね。
多分私が特殊な武スキル解放したから、ハープも解放してるだろうと思って聞いてみたら、
「あはは、……お楽しみだよ」
と言ってきたので、こちらもお楽しみにしておく。
「ふう……もう何も無いよね?」
武と裝備の確認良し、スキルの確認良し。
問題は無さそうだった。
「うん、私はもう無いよ」
「それじゃあ、もう出る?」
「あ、う……うん」
何故かは知らない……って言うのは噓だけど、やっぱり恥ずかしそうにしている。お腹とか出てるしね。まあそんな格好に私が思うことと言えば、ただ単純に寒そうってだけなんだけど。
「大丈夫だって!私なんか不審者だし」
真っ黒いローブでフード被る、不審者以外の何者でもない。まあでも多分慣れれば何とかなる。
「それフォローになって無いよ……」
あれ、そうかな?まあそれもそうか、私がこんな格好してたら嫌でも目立つか、何てったって不審者だもの。
「まあでも……何とかなるよ!うん」
「それ更に信用出來ない奴だよ」
そして、何だかんだあって結局そのまま外へ出ることにした。ご主人に鍵を返して、挨拶をしてそのまま出る。滯在時間は僅か三十分と言った所だった。
【書籍化】宮廷魔導師、追放される ~無能だと追い出された最巧の魔導師は、部下を引き連れて冒険者クランを始めるようです~【コミカライズ】
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