《極寒の地で拠點作り》裏ツリー
「ほいっと」
【ユズの暗転! MP17/32】
「ピィッ!」
ドサドサッ、とスピードイーグルが落ちる。
「ハープ、やってー!」
「分かったー」
「ピィィィ!」
【ハープはスピードイーグルを倒した!】
「よし!」
私達はシェーカさんに教えて貰った山に、殘りの
素材を集めに向かった。
スピードイーグルは名前通りすばしっこくて、木々の隙間をすり抜けていく。
最初は悩まされたけど、闇魔法Lv.1の暗転を使ったら木にぶつかったりして落ちてきた。
暗転は消費MP2の文字通り暗くなる技で、既に五回使った。それで、狀態異常でも何でもないから味方にも効果が及ぶ。
だからハープにはし離れてて貰った。その暗転を使った時のハープの反応は、
「うわぁ、黒いわね……」
だった。
まさに闇ってじらしくて、そこだけぽっかりと丸く、真っ暗になってるみたい。
そして、暗転で落ちてきたスピードイーグルをハープがとどめを刺す……といった様に分擔分けをしてきた。
Advertisement
この方法だとハープに多く経験値がるけど、変わりに道中、偶然エンカウントしたモグモグラの時は私が倒させてもらった。
その時はモグラ叩きの要領で【STR:328】の毆打を食らわしてやった。すると、丁度二十五回目で倒しきった……もしかしてこの戦って理攻撃した方が強いんじゃ?
まあ戦って、メイスって言う毆打用武の別名らしいからそうだとしてもおかしくない。
「やったね、ハープ!これで四十個集まったかな?」
「えっと……あ、そうだね」
と、いう訳で素材集め完了だ。
苦労したけど、対窟うさぎ戦ではハープと競爭をして、対モグモグラ戦ではモグラ叩きをして、それで最後に対スピードイーグル戦では協力プレイが出來た。
「あー、疲れたぁ」
「そうだね。でも良いレベル上げになったし、私は楽しかったよ?」
確かに、モグモグラとスピードイーグルのおで私達のレベルは8から19まで上がって、良いレベル上げになったと言える。
「ね。私も楽しかった!」
Advertisement
「それじゃ、戻ってギルドホームをLv.2にしたら一旦ログアウトしようか」
「そうだね……まあ々あったしね」
プレイ開始から二日目にも関わらず々あり過ぎた気がして、もう初めてから一週間程経った様にもじる。
「じゃ、転移の石で……」
インベントリから転移の石を取り出して空に掲げ、私達のギルドホームに跳ぶ。
久しぶりにマイギルドホームに戻ってきて、安心したのも束の間、
「さ、む、い、うあぁぁ……」
吹き荒れる風と共に隣から聞こえるハープのき。
の子がそんな聲出していいのかな、と思う程のソレだったけど、出発前と比べて布の表面積が明らかに減った。それなら仕方無い。
…………え、私?私も寒いと言えば寒いけど、初心者用の裝備のよりかは風が凌げるし、その上ローブの下にも一枚著てるからいくらかマシだ。
「ちょ、ちょっとユズぅ、そのローブ貸してぇぇぇ」
そして何故かやはり前まで締まらないコートをこれでもかと言うくらい前に引っ張って蹲っているハープが私に向かって手をばしている。殘念だけど、これも裝備のだから無理だよ、ハープ。それにこれ外したら私も更に寒くなる。
「ごめんね、これも裝備のだから貸せないよ」
「ユズのけちぃ……」
とかなんか言ってるけど、無視してギルドホームのレベルアップのウィンドウを開く。
慈悲は無い。
「えっと、チェックをれて……」
手にいれた素材を確認して選択する。
すると、『ギルドホームをLv.2にレベルアップさせますか?』と表示された。
私は迷わず、『はい』を押した。
「あ、ハープ!ギルドホームレベルアップさせるから離れててー」
どうやら広さも大きくなるみたいで、注意書きでし離れて下さい、と表示された。
「えぇ……無理無理。寒い」
相変わらず蹲ってコートに包まっているハープはかない。
「いやいや、かないとレベルアップ出來ないんだって……」
「うぅ……」
そう言うと渋々いてくれた。
すると、レベルアップが始まった様でギルドホームが白いに包まれる。ああ、やっと……と思っていたその時、
「えっ?」
私のインベントリの中から、神様がくれた『混沌の鍵』が飛び出して宙に浮いた……かと思うと、今度はそのの中に飛び込んでいった。
「えっ、ちょっと」
「えっ、何?どうしたの、ユズ」
私の慌て合に、頑張って顔までコートに埋めていたハープが顔を出す。
そしてハープは顔を上げた後、正面の輝くギルドホームを見た……筈だった。
「……は?」
私もギルドホームの方を見る。
「……え?」
すると、どうだろう。白い輝きを放っていた筈のギルドホームは黒い、というより暗闇に包まれていた。
ハープから聞いた、私の暗転の様なじだけど、今見ているのはそれどころでなく、紫の禍々しいオーラを放っている。
「えっと?……ユズさん、これは?」
ハープがぎこちなく聞いてきた。
「私も分からないよ……」
なんかやばい気がするけど、あの神様が干渉して來たとすればなくとも失敗とかは無いと思う。
私達はその暗闇のドームをどうすることも出來ずにただ、寒さも忘れて呆然と見ていた。
暫くしてから、そのドームが収し始めた。
「あ、見て!ユズ!」
「うん、私ももう見てるよ……」
ソレはドームが完全に収しきってから全容を見せてきた。
「えっと……お城?」
「みたいだね……」
ソレは想像に容易いじのお城だった。
三本の搭が建っていて、城壁があって、真ん中に扉があって、全的に四角い。
異質なのは、壁全が黒っぽく紫がかっていて、且つ先程の禍々しいオーラを放っている所だった。
私達はその遊牧民のテントからコレへの変容っぷりに、更に呆然とするばかりだ。
「とりあえず、ってみようか」
そう言って扉を開けて中にると、一つの石像が中心に立っていて、それを囲む壁にはいくつかの扉が設置されていた。
「え?ハープ、Lv.2ってこんな風になるの?」
神様の干渉とはいえ、外観は特に、部もしっかりしてそうでレベル相応にじなかった。
「分からないけど、見てる限りそうなんでしょ」
ハープがそう言う。
そして、部を見回していると突然、
「うむ。久しぶり……でも無いな。まあまた會ったな、人の子よ」
「誰!?」
と、お爺さんの様な聲で話しかけられた。
驚いて何処からだろうと、私達は辺りを見回す。
「ここだ、私はここだ」
と、聲がした方向を見ると石像があった。
「えっと、こちら?」
「ああ、そうだ」
「あの、どちら様?」
ハープが問う。
私達はこんなお爺さんは知らない。
「何を言っておる……私だ。混沌と闇の神、アフィポスだ」
アフィポス……ってことは?
「え、神様?」
「そうだと言っている」
と、神様だと言った石像は口もかさずにそう答える。私達の知っている神様は確か男ともともつかない聲だった様な気がするんだけど。
「え、でも神様ってもっと中的って言うかどっちつかずというか、な聲だったと思うんですが……」
「何を言っておる。私は神、理を超越した存在だ。私には別など無い、この石像に意識を移すとこういう聲になるのだ」
なるほど、よく分からないけどそういうことにしておこう。
「あぁ、それと鍵は返しておくぞ」
と、神様が言うと私のインベントリの中に混沌の鍵が戻ってきた。
「あ、ありがとうございます」
「何を固くなっている?まあいい、何か私に聞きたいことがあるだろう?」
聞きたいこと?
何かあるかな、と思考を張り巡らしていると、
「あの、このギルドホームって何ですか?」
と、ハープが聞いた。
それもそうだ。さっきも思ったけど、明らかに変化し過ぎだ。Lv.2相応じゃない気がする。
「よくぞ、聞いてくれた。この城は私の城……そちらからしたら、これからは『裏ツリー』となるのか?」
裏ツリー……聞き覚えが無い。
こちらもユニークシリーズと同じく、ヘルプ欄には載っていない。ハープも分からないらしく、首を傾げている。
「どうした、裏ツリーが分からないのか?まあ私が通常ツリーから強制移行させたから分からないのも當然か……」
神様は考えている。
私達には分からないので、説明を待つ。
「裏ツリーというのは、まあ簡単に言えば通常では移行どころか存在すら知られない特殊なツリーだ。お主らに與えた裝備の様なだ」
と、説明してくれた……というか、神様からの呼ばれ方がいつの間にか変わってる。
まあそんなことはどうでも良くて、要するに裏ツリーって言うのはさしずめ、『ユニークツリー』と言った所か。
「それで、この城も々な特殊な代を備えているが、なにせ久方ぶりの現化でな?力が解放しきれていないのだ……そこで、お主らに素材を集めてそれらの力を解放してしい。ツリーのシステムには則っているだろう?なら、何の問題も無かろう」
要するに、Lv.2に上げるためにやってきたこととおおまかな流れは変わらないってことだ。それなら問題無い。
「それで、裏ツリーって言うぐらいなんですから。當然、素材も特殊なに……?」
と、ハープが恐る恐る聞く。
確かに、素材集めの難易度が上がるのは正直嫌だけど、強化するためには仕方無いとも考えられる。
「そうだ。だがその分、それ相応の力が解放される。なら尚更、問題無かろう」
「どうする、ユズ?……って言ってももう元には戻せないけどね」
と、ハープは聞いてくる。
答えは勿論、
「まあ何かあっても大丈夫だし、何とかなるよ!」
と、神様の意向に乗っかることに決めた。
「よし、これで決まりだな……では改めて、これからよろしく頼む」
「こちらこそ、よろしくお願いします」
「お願いします」
と、丁寧に挨拶をする。
二日目にして々な何かが始まろうとしている。
そんな狀況に私は、これからに思いを馳せてわくわくしていた。
【書籍化】盡くしたがりなうちの嫁についてデレてもいいか?
【書籍発売中&コミカライズ決定!】 「新山湊人くん……! わ、私を……っ、あなたのお嫁さんにしてくれませんか……?」 學園一の美少女・花江りこに逆プロポーズされ、わけのわからないうちに始まった俺の新婚生活。 可愛すぎる嫁は、毎日うれしそうに俺の後をトテトテとついて回り、片時も傍を離れたがらない。 掃除洗濯料理に裁縫、家事全般プロかってぐらい完璧で、嫁スキルもカンストしている。 そのうえ極端な盡くし好き。 「湊人くんが一生遊んで暮らせるように、投資で一財産築いてみたよ。好きに使ってね……!」 こんなふうに行き過ぎたご奉仕も日常茶飯事だ。 しかも俺が一言「すごいな」と褒めるだけで、見えない尻尾をはちきれんばかりに振るのが可愛くてしょうがない。 そう、俺の前でのりこは、飼い主のことが大好きすぎる小型犬のようなのだ。 だけど、うぬぼれてはいけない。 これは契約結婚――。 りこは俺に戀しているわけじゃない。 ――そのはずなのに、「なんでそんな盡くしてくれるんだ」と尋ねたら、彼女はむうっと頬を膨らませて「湊人くん、ニブすぎだよ……」と言ってきた。 え……俺たちがしたのって契約結婚でいいんだよな……? これは交際ゼロ日婚からはじまる、ひたすら幸せなだけの両片思いラブストーリー。 ※現実世界戀愛ジャンルでの日間・週間・月間ランキング1位ありがとうございます!
8 74ニジノタビビト ―虹をつくる記憶喪失の旅人と翡翠の渦に巻き込まれた青年―
第七五六系、恒星シタールタを中心に公転している《惑星メカニカ》。 この星で生まれ育った青年キラはあるとき、《翡翠の渦》という発生原因不明の事故に巻き込まれて知らない星に飛ばされてしまう。 キラは飛ばされてしまった星で、虹をつくりながらある目的のために宇宙を巡る旅しているという記憶喪失のニジノタビビトに出會う。 ニジノタビビトは人が住む星々を巡って、えも言われぬ感情を抱える人々や、大きな思いを抱く人たちの協力のもと感情の具現化を行い、七つのカケラを生成して虹をつくっていた。 しかし、感情の具現化という技術は過去の出來事から禁術のような扱いを受けているものだった。 ニジノタビビトは自分が誰であるのかを知らない。 ニジノタビビトは自分がどうしてカケラを集めて虹をつくっているのかを知らない。 ニジノタビビトは虹をつくる方法と、虹をつくることでしか自分を知れないことだけを知っている。 記憶喪失であるニジノタビビトは名前すら思い出せずに「虹つくること」に関するだけを覚えている。ニジノタビビトはつくった虹を見るたびに何かが分かりそうで、何かの景色が見えそうで、それでも思い出せないもどかしさを抱えたままずっと旅を続けている。 これは一人ぼっちのニジノタビビトが、キラという青年と出會い、共に旅をするお話。 ※カクヨム様でも投稿しております。
8 177指風鈴連続殺人事件 ~戀するカナリアと血獄の日記帳~
青燈舎様より書籍版発売中! ある日、無名の作家が運営しているブログに1通のメールが屆いた。 19年前――、福岡県の某所で起きた未解決の連続殺人事件を、被害者が殘した日記から解明してほしいという依頼內容だ。 興味をそそられた作家は、殺人事件の被害者が殺される直前まで書いていた日記とは、いったいどういうものだろう? 見てみたい、読んでみたいと好奇心が湧き、いくたびかのメールの往復を経てメールの送信者と対面した。 2020年1月上旬、場所は福岡市営地下鉄中洲川端駅の近くにある、昭和の風情を色濃く殘す喫茶店にて……。
8 91【電子書籍化】殿下、婚約破棄は分かりましたが、それより來賓の「皇太子」の橫で地味眼鏡のふりをしている本物に気づいてくださいっ!
「アイリーン・セラーズ公爵令嬢! 私は、お前との婚約を破棄し、このエリザと婚約する!」 「はいわかりました! すみません退出してよろしいですか!?」 ある夜會で、アイリーンは突然の婚約破棄を突きつけられる。けれど彼女にとって最も重要な問題は、それではなかった。 視察に來ていた帝國の「皇太子」の後ろに控える、地味で眼鏡な下級役人。その人こそが、本物の皇太子こと、ヴィクター殿下だと気づいてしまったのだ。 更には正體を明かすことを本人から禁じられ、とはいえそのまま黙っているわけにもいかない。加えて、周囲は地味眼鏡だと侮って不敬を連発。 「私、詰んでない?」 何がなんでも不敬を回避したいアイリーンが思いついた作戦は、 「素晴らしい方でしたよ? まるで、皇太子のヴィクター様のような」 不敬を防ぎつつ、それとなく正體を伝えること。地味眼鏡を褒めたたえ、陰口を訂正してまわることに躍起になるアイリーンの姿を見た周囲は思った。 ……もしかしてこの公爵令嬢、地味眼鏡のことが好きすぎる? 一方で、その正體に気づかず不敬を繰り返した平民の令嬢は……? 笑いあり涙あり。悪戯俺様系皇太子×強気研究者令嬢による、テンション高めのラブコメディです。 ◇ 同タイトルの短編からの連載版です。 一章は短編版に5〜8話を加筆したもの、二章からは完全書き下ろしです。こちらもどうぞよろしくお願いいたします! 電子書籍化が決定しました!ありがとうございます!
8 176ただの世界最強の村人と雙子の弟子
とある村にある森に、世界最強の大英雄が村人として生活していた。 そこにある雙子の姉妹がやってきて弟子入りを志願する! 主人公は姉妹、大英雄です。 學生なので投稿ペースは一応20時を目安に毎日投稿する予定ですが確実ではありません。 本編は完結しました。 次回作は公開しているので、そちらも是非 誤字・誤用等があったらお知らせ下さい。 初心者なので訂正することが多くなります。 気軽に感想・アドバイスを頂けると有難いです。 Twitterもありますので、そちらでも感想等を受け付けてます @hi_rosyumi
8 189勇者なんて怖くない!!~暗殺者が勇者になった場合~
ラグナール帝國暗部のトップにして、國の実力者である『五本剣』の一人に數えられる主人公、ディーネ・クリストフ。 彼は隣國のフリアエ王國において勇者召喚が行われた為、その內情を探るよう王から命令される。 當然、その力と身分は隠して。 勇者達の関係に巻き込まれる事になった彼は、果たしてどのような道を歩むのか。
8 143