《極寒の地で拠點作り》北の荒野で素材集め その一
「ど、どれがオールドトレ……」
「キシャァァッ!」
「うわああああ!」
ハープが咄嗟に闇ノ短剣、もといダガーを突き刺すと、その場で青いエフェクトを散らして消えた。
「大丈夫?」
「まあね。あ、素材落としてないや」
「……それにしても、ねぇ?」
「そうだね……」
「大変そうだねぇ」
私達はオールドトレントの枯れ葉集めをしている。あっちのSTR値もVIT値もそんなに高い訳でも無いから一撃で倒せる……が、
「そんな他人事みたいに……まあでもこの擬態は厄介ね」
そう、擬態。オールドトレントは低木にを扮してを守る習があるらしい。
それだけなら確認して見て回るだけで済む様なじだけど、問題は私達がただの低木かオールドトレントかを見分ける為に覗きこもうとすると、突然襲いかかってくる。それが何と言っても心臓に悪い。
「でも今、五個集まった所だし、あと十五個……」
「要するに、あと十五回は驚かなきゃいけないってことでしょ?何となんないかな」
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「じゃあさ、持ち前の素早さで手當り次第にダガー突き刺していけば?」
私だと杖で毆りかかろうとしても、遅いから驚かされる。因みに魔法だと相手を指定しなきゃいけないし、対象が定まってない暗転はどうかと思ったけど何も起こらなかったので打つ手無しだ。因みにまだ明かしてないけど、闇魔法Lv.3も相手を指定しなきゃいけないから、無理そうだった。
「確かに今回の振り分けも殆どAGIに振ったけどさ、足場悪いし」
確かに石とか巖とかゴロゴロしてる、転んだら痛そうだ。
「うーん、じゃあ他には……」
「あー、もう仕方無い。ユズ、私の武固有スキルのLv.2の奴見てなかったでしょ?見せてあげるよ」
「本當に!?」
「もっと後でも良かったんだけどね。よく考えてみたらそんな凄い技じゃなかったから」
ハープは謙遜してるのかもしれないけど、私はそんなこと気にせずにわくわくしてた。
そして、ハープが右手のダガーを上げてそのダガーを、
「よっ、と」
投げた。真っ直ぐに飛んだダガーはし離れた低木に突き刺さる。
「キシャァッ!?」
「あ、オールドトレント」
見事、偶然かもしれないけど擬態するオールドトレントに當てた。
「暗殺Lv.2は『投擲』。他の種類の武スキルにもある、普通のスキルだよ。難點はし攻撃力が弱まることなんだよね」
「へぇ」
そう言って私達は背中?にダガーが刺さったままのオールドトレントを見る。っこを引き上げてこうとしてるけど、
「キシャァァァ!!」
なんか変なきしながらこちらに向かってくるんだけど……あぁ、『無作為な混沌』の効果で興を引いちゃったのか。
「下がって!」
私は更に攻撃力の上がった、的には【STR:424】の杖の一撃を食らわせる。すると、斷末魔も口にせず散っていった。そしてハープのダガーが落ちる。
「うん、まあ、ざっとこんなじ。さっきはあんなんだったけど、戻れって言えば戻ってくるから」
「いや、普通に凄いじゃん!」
ただの投擲だったらまだしも、ハープのユニークスキルがあるならこの攻撃はかなり使える。最早、狀態異常振りまき裝置と化すんじゃないかってくらい。まあ、今みたいに興とか引いちゃったらし大変かもしれないけど。
「よし、ハープ!この調子でじゃんじゃんやってよ。さっきみたいなことになったら私がカバーするから!」
「そうだね、そうすれば効率が良いかも」
あれ?意外にすんなり……まあたまには提案に乗ってくれるか。『いつもの』を言おうとしてたのはだ。
そうして私達は投げて戻して毆って投げて戻して毆ってを繰り返して二十個なんとか集めきった。
心做しか、ドロップ率が下がっている様な気がするけど、裏ツリーの素材集めだからそこの所も當たり前というべきか。
「あー、なんか腕が疲れたぁ」
「まあまあ、ちゃんと集めきれた訳だし。何とかなったよ?」
「ん?ユズ、今回『いつもの』は言ってなかった筈じゃ?」
「あっ」
なんか、無事完了した時の方もセットで口癖になってる気がする……気をつけなきゃ。
私はし慌てて、
「ま、まあそれはいいとして次の素材は?」
「次?次は……えっと、ハードビートルかな?」
「ビートル……蟲?」
「蟲っていうか、甲蟲?」
甲蟲って聞くとカブトムシだとかその辺りを思い浮かべる。
私の頭の中には、銀ピカでメタリックなカブトムシがブンブン言って飛び回ってる姿が想像されているけど、実際どうなんだろ。
「まあとりあえず行ってみる?」
「そうだね!」
私達はハードビートルが生息している山に向かった。
いざ向かってみるとそれは突然に、
「ブンブン!」
羽の音である筈の音を鳴き聲で出しているカブトムシが飛び出してきた。文字通りブンブン言ってる。というか、私の想像したソレと一致した。
それにしても大きい、熊くらいあるんじゃないかな。まあ、そっちの方がハープのが當たりやすくていいかもだけど。でも見た目的に考えて、
「ねぇ、ハープ。試しに投擲してみて」
「うん?まあ、いいけど……ひょいっ」
出されたダガーはハードビートル目掛けて飛ぶ。そしてに當たってめり込む……訳でも無く、カーンと良い音を出して地面に落ちる。
「あれ?」
「うーん、やっぱりハープのでも通らない程いかぁ」
こうなったら、私が接近してそのまま毆るしかないかな。ハードって言うくらいだから相當いんだろう。もしかしたら私も弾かれるかも。
「じゃあちょっと行ってくるよ」
「え、ユズ!」
どれくらいいんだろう、いくら私のSTR値が高いからといってこの辺りの敵には通用しない可能がある。
「大丈夫、大丈夫!」
「私達、VITは初期値なんだよー?」
「後ろっから回り込めば大丈夫ー!」
図が大きい上に重いのか、ドシドシと足をかして方向転換している。飛ぶにしても鈍いみたいだし、回り込む分には何の問題もない。何かあっても暗転させる。
「ブンブン!」
「いくよー!」
相変わらず、羽の音が鳴き聲なハードビートルの後ろに回り込んで杖を振り上げ、
「でも効くかなぁ、心配だ、なっ!」
背中目掛けて一気に振り下ろす。
すると、パキン、と高い音を立てながら沢のある背中が割れ、赤いエフェクトが散る。
「あっ、効いた!」
「ブンブン!?」
流石に一撃とは行かなかったけどHPは殘り僅か。
あっちも効くと思っていなかったのか、明らかに驚いているじで鳴いている。
「ブンブン!!」
「させないよっ!」
激昴してを思い切りかしながら向きを変えようとしてくるハードビートルにもう一度、杖の一撃を食らわす。
「ブッ!」
すると、ハードビートルは地面に伏し、エフェクトを散らして倒れた。
「やった!」
「凄いじゃん、ユズ!」
「あんまり無いもんね、私だけが有効打って」
何気に連攜するかハープが倒しちゃうかで私のみということがない。今回は初めて、あれだけ大型の敵を単獨で倒せた。
「じゃあ今回のはユズに任せちゃおうかな?」
「いいよ。私一人で集めきっちゃうから!」
私は意気込んでそう答えた。
初の大型敵単獨討伐をするけど、いつも先導してくれるハープに任せられるのは単純に嬉しくじる。
「ブンブン!」
「ブンブン!」
「ブンブン!」
今度は三匹の別のハードビートルが出てきたけど問題無い。自になるけど、杖のくせにSTR値がおかしなことになってる私の敵じゃないよ。
「じゃ、行ってくるね」
三匹の大型敵を前にして私はハープへそう言い、その中へ突っ込んでいった。
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