《極寒の地で拠點作り》北の荒野で素材集め その二
「これでっ、最後ぉ!」
「ブァッ!」
ハードビートルはドサッ、と腳から力が抜けて倒れた。
「ユズ、本當に一人で片付けちゃったね……」
私の周りにはハードビートルが死累々と……してる訳もなく、多地面に爭った跡があるだけで何も殘っていはいなかった。強いて言えば、素材は殘り、私はそれを集めきった。
「でも楽しかったなぁ」
あの三匹が群れて襲ってきた時、回り込もうとしても別の一匹が私に襲いかかってくるので隙がなかった。
だから私は暗転を使ってやった。するとどうだろう、使用者の私からは相手の場所は目で見えるが、ハードビートルは暗闇で視界を遮られる。
何時かのスピードイーグルとは違って木にぶつかって弱るなんてことは無かったけど、何を思ったのか突然仲間に突進し出した。
そんな狀況に、その仲間は、
「ブェッ!?」
なんて聲を出して、HPは二割程減っていた。
突然の暗闇にそのままの意味で混したか、私を仕留める気で方向を間違えて仲間を攻撃したか。
Advertisement
このまま仲間割れに流れを任せるのもいいけど、それだと私達に素材がらない。
仕方無く、私は仲間割れの隙を狙って後ろからこっそり弱った三匹とも一撃で仕留めた。
そんな調子で私はツノ三十個分の敵を倒しきった。暗黒のドームから聞こえてくる斷末魔を何も知らない人が聞いたらどんな反応をするだろうか、なくともハープは若干引いてた。
「楽しかったって……中で何やってたの?」
「え?いやぁ、それはね?ふふっ……」
「ユズ……」
そんな反応を見せると、ハープは若干どころじゃなく引いてた。でも実際、一撃毆ってHPを一気にゼロにする快は凄まじかった。
毆れば倒れ、毆れば倒れ……何より、振り下ろして當てる時の快は良いストレス発散だと思う。
多分、その時の私は毆打用としての杖の在り方にすっかり溶け込んでいて、虜になっていたのかもしれない。実際気持ちいいし。
ただこんなことを考えていると何時までもハープに引かれた狀態のままなので元の世界に戻った。
Advertisement
「いやいや、何でもないよ?」
「そう?」
「そうそう!」
「……ならいいんだけど」
ハープも納得してくれた。
ハープはダガーだから致命傷を一撃で與えるのでは無く、しずつ攻撃を加えてじわじわ倒していくスタイルだ。だからこの快はハープには理解されないかもしれない。
「そういえば、ユズも私もやっとLv.20を越したね」
「ん?あ、そういえば」
最初、レベルは19だったけど、今は23だ。
ハードビートルを単獨で倒してたら、まあ4くらい上がるだろうけど、心做しかレベルの上がり合が小さくなっている様な気がする。
「私なんかユズより低くて21だけど、やっぱりレベルが上がりにくくなったよね」
「ハープもそう思う?」
「うん。まあ多分、それも私達のレベルが上がった証拠になるんじゃない?」
ハープの言いたいことは要するにレベルを1上げるのに必要な経験値が増えたということだと思う。私はハープのより強くて數の多い敵を倒したからハープより上がったんだろう。
「これから上がりにくくなるのかなぁ?」
「まあでも裏ツリーの素材だし、それなりに強い敵に出くわすことも多くなると思うから大丈夫だと思うよ」
「でもあんまり強くなり過ぎてもなぁ……」
「ユズはそんな敵だったとしても、『まあ何とかなるよ』とか言って突っ込んでいっちゃうんでしょ?」
む、失禮な。
私だってそこら辺は考えて行する……と思う。
「そんなことないよ!私もその辺の節度は弁えるってば!……多分」
自信が無いのはまあ仕方無い。経験がそう言ってる。
「分かった分かったって……それじゃ、とりあえず次のターゲットを決めようか」
私の必死の講義に折れてくれたハープは次の相手を決めようと言ってきた。
殘るはデザートタイガーのヒゲ×5とポイズンリザードの鱗×10だ。多分、これも分擔出來ると思う。
名前からしてポイズンリザードは毒系の攻撃をしてくるだろうし、そうなれば『混沌の克服』を持つ私が対応すればいい。デザートタイガーなんかは単純に素早そうだからハープが適してるかな、と。
「殘りはポイズンリザードとデザートタイガーだけど、近いのは前者ね」
と、なると連戦だ。
ポイズンリザードはこの山から西に向かった所にある沼地近くに生息してる様だ。
毒はもとより、私の杖とSTR値は信頼できるから問題無い。VIT値が相當高いであろうハードビートルも一撃でHPの八割は削れる程のだし。 
「じゃあポイズンリザードの所に行こう」
「分かった。それじゃ、多分今回も名前からしてユズに任せちゃうかもしれないけど大丈夫?」
「大丈夫だよ」
今回の『大丈夫』は問題無い。任されるのもそのつもりだったし。
「じゃあ三つ目、行こうか」
そうして私達は山を抜けて迂回し、沼地へ向かった。
著いてからまず思ったのは、
「沼が紫?」
「まさに『毒がってますよー満たされてますよー』ってじね」
ポイズンリザードが生息しているらしい沼はあまりにも毒々しく紫がかっていて、危険なじが凄い。耐がある私でも沼に飛びこむ気にはならない、というか普通は沼に飛び込んだりしないか。
暫く見ていると、その毒沼の淵の一角から何かが這っているのを見つけた……恐らくポイズンリザードだ。
「ハープ、あれ、ポイズンリザードかな」
「……っぽいけどね。でもあれ、リザードって言うよりクロコダイルとかアリゲーターってじ?」
ハープが言いたいことはよく分かる。
だってあれ明らかにトカゲなんかじゃないもん。ワニとかその辺りの方がよっぽど合う容姿だ。何を思ってトカゲと言ったのか。
全く、こんな名前を付けた人間はどこかズレているんだろう。
「じゃ、じゃあ……ユズ、行ってらっしゃい」
「えっ、ちょっと、ハープ!」
ハープはし離れた所で私に聲をかける。
まあ、こうなってしまったからには仕方無い、どうにかして倒さなきゃ。
とは言ってもどうしようか、ワニって言葉は私に張と恐怖を與える。小さい頃からそういう生だと認識してきたからどうしても怖くなってしまう。
しずつ歩み寄って、とりあえず暗転しようとした時、
「グルァッ!」
ワニ、もといポイズンリザードがこちらを向いて毒を吐いてきた。私は見事、それを頭から被ったけど効果は無い。でもしべっとりしてて気持ち悪い。
また毒を使ってこられても的に嫌なので、私は周囲を暗転させた。
「グルァッ!?」
ポイズンリザードはハードビートルと同じ様に驚く。幸い特に何も無く、簡単に近寄ってすんなり倒せた。
この暗闇は晝行だろうが夜行だろうが関係無く闇に包む。神様の闇と同じ様ならしく、完全な闇で使用者以外は何者でも視界を遮るというから、フラッシュと対になる魔法にしてはかなりのだと思う。
ところで、これだけすんなり行けたのだから次もこの調子で行こう、なんて思ったんだけれど、
「他にいないのかなぁ……」
辺りを探しても全くいない。もしかしたら潛っているのかもしれないけどそれなら更に質が悪い。
という訳で、一旦ハープの所へ戻る。
「あれ?どうしたの、ユズ」
「それがなかなか見つからなくてさぁ……潛ってるのかな?」
「無理矢理出すこととか出來ないの?『心の闇』とかで」
「あれは確か、相手を指定しなきゃ使用出來なかった筈……」
私は一覧から心の闇を探し、説明欄を見る。
うん、やっぱりそうだ。範囲魔法じゃない。
「うーん、まあ仕方無いか……たまにはこうやってのんびりやるのもいいのかも」
「そうだね、ゆっくりやろう」
そうして、私達とポイズンリザードの戦いは長期戦?と化したのだった。だいたい二十分とか三十分おきくらいに出てくるからその隙を狙う。
この暇なに私は4レベル分の、ハープは2レベル分の振り分けを行った。普通ならこの振り分けは些細な変化なんだろうけど、私達の場合は々倍になったりするからかなり大きな変化となる。
因みに私は、STRに全部振った。INT?そんなの知らないな。
という訳で再び私のSTR値が上がってしまった。
でもまあこれくらい周りにいるよね?異常じゃないよね?
そう振り分け終わったところでまた沼から上がってきた。
「グガァッ!?」
私はそれを倒し、再びハープの所へ戻り雑談する。それの繰り返し。
次が十個目となった所で、リアルの時間がそろそろな時間になってきた。現実的な話、平日なので時間がそう無い。
「あー、もう!デザートタイガー行けない!」
「まあまあ、でもやっぱりそんな気持ちにはなるよね」
一日でも早く、ギルドホームのレベルを上げて強くしたいのに。晝間は楽しみ過ぎてうずうずしてどうしようもない。
そんなことを考えていると、またのろのろと沼からポイズンリザードが這い出てきた。私はそこへ走り込んで向かう。もう暗転無しで。
「これで、最後、だっ!」
「グガァッ!」
そのポイズンリザードも一撃で倒した。かなり不意打ちに近かったけど。
さてさて、やっとこの時間かかりすぎて忌々しい対ポイズンリザード戦が……
「あれ?」
終わらない。ドロップが無かった。
ということは、まだ戦いは続くということだ。ここからはどちらかと言えば時間との戦いだけど。
「暇だねぇ……」
「そうだね……」
私達はさっさと終わらせられる様に沼の近くで待つことにした。なんかここまで來るともう延々と待ち続けられる様な気がしてくる。
因みに十個目を手にれられたのは、この時から一時間半くらい後のことで、既に次の日の授業は居眠り確定な程の時間になっていた。
おのれ、ポイズンリザード……
【書籍化】中卒探索者ですけど今更最強になったのでダンジョンをクリアしたいと思います!
二年前、親から絶縁され一人暮らしをすることになった天原ハヤト。當時14歳。 最終學歴中卒でろくな職場にもありつけない中、空から降ってきた隕石が未知の世界”ダンジョン”を日本にもたらした!! もう食ってくためにはこれしかねえ! と速攻で探索者になった彼だが、金にものを言わせた企業戦士たちに勝てるはずもなくあえなく低階層でちびちびとモンスターを狩る毎日。 そんなある日、ついに生活することすら難しくなった彼は飛び降り自殺を試みる。しかし、そんな彼を助けたのは隕石についてきた美女(脳內限定)。どうも彼女の話によるとダンジョンは地球の寄生蟲だからさっさと攻略したほうが良いらしい。 彼女から【武器創造】と【スキルインストール】という二つのスキルを貰ったハヤトは地球を救う……ためではなく目の前の生活のためにダンジョンに潛ることにした。 そうしないと、飯が食べられないからね。仕方ないよね……。 『2019/11/16 日間ランキングで1位になりました!』 『2019/11/19 週間ランキングで1位になりました!!』 『2019/11/27 月間ランキングで1位になりました!!!』 この作品はノベルアップ+、カクヨムでも連載しています! 『2020/6/18 完結ッ!!』
8 85TSカリスマライフ! ―カリスマスキルを貰ったので、新しい私は好きに生きることにする。―
【イエス百合、ノーしりあす!】 好きな人を守って死んだ男子高校生が、前世と同じ世界でカリスマ溢れる美少女として転生! 前世の記憶と神様からの恩恵を使って、彼女は前世では出來なかったことを送っていきます。 妹や親友たちに囲まれて幸せな日々を送る、ほんわかユルユル女の子たちのハートフルコメディです。 全編、女の子たち(主人公含めて)が楽しく日々を描いております。 男はほとんど登場しません(ここ大事)。 頭を空っぽにしても読める、楽しい百合を目指しています! 前書き後書きは最新話のみ表示しています。 ※現在一話から読みやすいよう修正中、修正後の話には『第〇〇話』と付けております。 ※小説家になろう様・カクヨム様・アルファポリス様にも投稿しています。
8 158努力次第で異世界最強 ~喰えば喰うほど強くなる~
ある日突然異世界召喚されてしまった黒木レン。 そこは剣と魔法が存在するアイン・ヴァッハと呼ばれる世界だった。 クラスメイトはスキルもステータスもチートレベルなのに対して、レンのステータスは一般人よりも弱かった。 魔法が使えるわけでも剣で戦えるわけでもないただの一般人よりも弱かったのだ。 しかし、彼には謎のユニークスキルがあった。 効果も分からないしどうすれば発動するのかも分からない謎のユニークスキルを持っていたのだ。 そう【|喰種(グール)】というユニークスキルが。 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇ 星雲は大の廚二好きです! 現実で出せない分ここで好きなだけ廚二病を発揮したいと思います!! たくさんの人に見ていただけると幸いです!
8 133最強転生者は無限の魔力で世界を征服することにしました ~勘違い魔王による魔物の國再興記~
うっかりビルから落ちて死んだ男は、次に目を覚ますと、無限の魔力を持つ少年マオ・リンドブルムとして転生していた。 無限の魔力――それはどんな魔法でも詠唱せずに、頭でイメージするだけで使うことができる夢のような力。 この力さえあれば勝ち組人生は約束されたようなもの……と思いきや、マオはひょんなことから魔王と勘違いされ、人間の世界を追い出されてしまうことに。 マオは人間から逃げるうちに、かつて世界を恐怖に陥れた魔王の城へとたどり著く。 「お待ちしておりました、魔王さま」 そこで出會った魔物もまた、彼を魔王扱いしてくる。 開き直ったマオは自ら魔王となることを決め、無限の魔力を駆使して世界を支配することを決意した。 ただし、彼は戦爭もしなければ人間を滅ぼしたりもしない。 まずは汚い魔王城の掃除から、次はライフラインを復舊して、そのあとは畑を耕して―― こうして、変な魔導書や様々な魔物、可愛い女の子に囲まれながらの、新たな魔王による割と平和な世界征服は始まったのであった。
8 84異世界に転生したのでとりあえずギルドで最高ランク目指します
學校の帰り道、主人公の桐崎東がサッカーボールを追いかけて橫斷歩道に飛び出してきた子供がダンプカーに引かれそうになったところを助けたら死んでしまい神様に會って転生させてもらった。 転生した異世界でギルドがあることを知り、特にやることもなかったので神様からもらった力で最高ランクを目指す。
8 187名無しの英雄
主人公アークと幼馴染のランはある日、町が盜賊によって滅ぼされてしまう。ランは盜賊に連れ去られるが、アークは無事に王國騎士団長に保護される。しかし… この作品は筆者の処女作です。生暖かい目で見てやって下さい(✿。◡ ◡。) *誤字、脫字がありましたら教えていただけると幸いです。 毎日0時に更新しています
8 87