《極寒の地で拠點作り》メンバー募集

「よし、決めたっ!」

「いきなりどうしたの?」

イベントが終了して落ち著いてきた頃のある日、私達はいつもの場所でゆったりしてた。

「今後の目標!」

「目標?」

突然ハープが立ち上がったかと思えば、そんなことを言い出した。

「なんだ? まさか新しいユニークシリーズを探しに行くのか? 與えたとして悲しいな……」

「うわっ、神様いたんですか?」

「ハープ。お主、もうそれ、わざとやってるだろう……」

「まあ、それはいいとして……今の所、新しい裝備とかスキルは必要無いので、そんなことしません。そもそも、元々はまったりプレイを考えてたので……ね、ユズ?」

そうなの? 

この場所にギルドホーム建てるのを許してくれた辺りからハードモード始まってたと思うんだけど……とりあえず、頷いておく。

「そうか、なら安心した」

「それで、ハープ。目標って?」

「まあ、目標って言うより今後第一にやることなんだけどね……神様、ホワイトボード」

「そんなある訳無いだろう」

ハープは相変わらず神様に対してはこんなじだけど、私は神様がホワイトボードを知っていたのに驚いた。やっぱり考えても仕方ないので、知りなんだなぁ、程度にじておこう。

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「仕方ない。じゃあいつも通り、口頭で言っちゃうと……メンバー募集だね」

「募集? ギルドメンバーの?」

こくり、とハープは無言で頷く。

「ズレた、何処かの運営さんが考え無しにこのゲームの題名に『strategy』をれたのかもしれないけど、流石に何処かでギルドが大きく関わってくるイベントを起こすと思うのよね」

「その時に備えて、ってこと?」

「うん。単純にブラストさんの言ってたみたいにやりたい、ってのもあるんだけどね」

「私は賛だよ? んな人と仲良くなって協力しあって、わいわいやってくのもいいかな、って思ってた所だし」

「神様はどうですか?」

「む? 私は別に構わんが……」

「えっ」

「どうした、ユズ。何か失禮なこと考えてないか?」

「ああ、はい、神様なら、『駄目だ、私が認めたのはお主らのみだ……どうしてもと言うなら仕方無い。我が混沌の闇に呑まれ、數日間耐えきったなら許してやろう』とか、もしくは逆に『闇に染めてやろう!』とか言い出すんじゃないか、って思ってですね」

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「あはは、ユズ似てる!」

「おおう、隨分正直に喋るな……それにしても本當にお主らは私のことをどう思って……」

「え、混沌の神様ですよね?」

「闇の神様?」

「まあ、間違ってはいないのだが。お主らのソレからは悪意をじるんだよ……」

私は素直に言ったまでで、ちょっと先観がっちゃっただけだ。あー、でももしかしたらハープのが移っちゃってるかもしれない。

「それで話は戻すんだけど、やっぱり募集なら街の掲示板かな?」

「私はその辺りよく分からないんだけど、そうなの?」

「うん。確か、掲示板でギルドメンバーの募集も出來たと思うよ……でもやっぱり同じ様な募集に埋もれてあまり目立たないから、地道に聲かけ中心で行こうとは思うんだけど……ユズはそれでもいい?」

當然、私は楽しくギルドライフを送るためなら全くは問題無い。

「全然大丈夫だよ!」

「それなら良かった。じゃ、早速行こっか!」

「そうだね! 因みにどのくらい目標にしてるの?」

「うーん、二人……かな? まあ一人でもいいんだけどね」

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「確かにしずつの方がいいかもね」

「よし、じゃあ、神様、行ってきます」

「行ってきまーす」

「ああ、気をつけるんだぞ」

そういえばハープは、今後第一にやること、と言っていた。なら、その先も考えてるんだろう。

とりあえず今はメンバー募集のことを考えよう。その都度聞けばいいし。

街へは當然の様に商店街からる。何気に、イベント以來、街へ來てなかったんだよね。

私達は街の中心部にある掲示板に直行、書き込んだ後はその辺りの人に聲をかけていく。

無所屬の人がいるかと問われればないと思うだろうけど、実はソロプレイしてる人達は、最初の段階でギルドを建てないという選択も出來るらしい。因みに私達は、明らかに仲良しだったので説明されなかったみたい。

それより、さっきから気になってるんだけど、

「ねぇ、ハープ」

「ん、どうしたの? ユズ」

「……なんか私達見られてない?」

周りの人がちらっちらっ、とこちらを見ている気がした。指差して何か話してる人もいるし……あっ、目を逸らされた。

「……ユズさ、イベント中何かやらかしてたりする?」

「あぁ……」

「自覚があるなら多分そういうことだよ」

ハープに言われてやっと気づいた。

イベント中の出來事。主に奇襲、ダストシュート、あと々の狀態異常の件。うん、心當たりがあり過ぎる。

「そういえばハープは……」

どんな戦い方したの? って聞こうとしたら、

「うわっ!」

「おわっ!」

男の人とぶつかってしまった。

「す、すみません!」

「ああ、こっちこ……ヒィッ! きょ、恐怖の魔……っ! あ、た」

た?

「助けてくれぇぇぇ!」

そう言って死に狂いに逃げていってしまった。

周りの人なんかより一層ヒソヒソしてるし……

「大丈夫?」

「う、うん、大丈夫」

「なんだったんだろうね? あの人、『恐怖の魔』って言ってたよね。ユズのこと?」

「知らないよ! 私そんな変なこと…………やった様な気がする」

私は改めて心當たりを確認しながら憤慨する。

恐れていたことが起きた。私にブラストさんの様に異名が付いた。字面からすれば、良いと言えるのかもしれないけど、私にとっては嫌なあだ名が付いた様なだ。『恐怖の魔』なんて、どう聞いてもマイナスイメージしか持てない。

「それでも流石に『恐怖』は無いよ!」

「あはは! その自分の子供に『悪いことしてると恐怖の魔に連れてかれるよ!』って言い始める人が出てくるかもね」

「もう、ハープまでそんなこと!」

ハープは笑ってるし、周りの人にはヒソヒソされるし……あー、もう! こんなことになるならもっと穏便な方法で……穏便? よくよく考えてみればあれで結構穏便だった気がする。他の方法を考えてみても、杖を掲げて単特攻ぐらいしか思いつかない。そんなことしたら、多分今度は、『毆打の魔』とでも付けられるだろう。

「というか、もっと他に無かったのかな? 『第七魔法の使い手』とかさ」

「あはは! 闇魔法自よりユズが怖かったってことじゃない?」

と、未だ笑い続けるハープ。呪うよ?

そうして、途中そんなことがあったけどなんとか掲示板まで辿り著いた。書き込むのはハープに任せる。

「えーと、書き込み、っと」

「どんなじにするの?」

「『ゆったりスローペースでやってるので、同じ様なプレイスタイルの人、よろしくお願いします!』とか?」

「良いと思うよ!」

「即席で考えた奴なんだけど……ま、いいか。後は何か……あっ!」

ハープが何か思い出した様にこちらを見る。どうしたんだろ。

「今更になって気づいたんだけどさ」

「うん」

「私達のギルドの名前、付けてなかったんだよね」

「あっ!」

そうだ。そういえば、何時だったか、ハープと決めようと考えたことがあった気がする。言われるまで完全に忘れてたけど、割と重要なことだ。

「うーん、どうしよっか?」

「もう、アレでいいと思うんだよね」

「アレ?」

「『まったりゆったりするの會』とかさ」

「なんか微妙じゃない?」

「そうかなぁ、じゃあ……」

一応、ギルドリーダーは私ということになってるので名前に関する方向で行きたいと思う。

「か、『果樹園』とか?」

「…………」

卻下された、それも無言で。

「えー? じゃあ、柚でしょ? 柚……果……冬」

「別に柚に拘らくてもいいと思うよ?」

「そう? じゃあ、琴……楽……音

「あー、いや、そういうことじゃなくて! 『仲良く』とかどうかな」

「名前に拘らないで、ってこと? それにしても仲良く、かぁ……じゃあ、『和み』?」

「いいね、それ!」

「和みの……園、庭? なんか恥ずかしい気がする」

「神様の城だから、城、ってのも違うし」

「うーん、城……『館』とかどう?」

「『和みの館』ってこと? うん、結構良いと思うよ!」

「じゃあ、それで!」

と、いう訳で私達のギルドの名前は『和なごみの館やかた』に決まった。なかなか良い名前だと思う。

「よし、ギルド名は和みの館。本文は、さっき書いたから……じゃ、完了」

「これで掲示板の方は終わりだね」

「うん。じゃあ、ユズ、あとは聲かけだよ」

「そうだね。でもなんか心配だなぁ」

「まあまあ……とりあえず、初心者っぽくて一人っぽい人を探すよ?」

「りょーかい……あれ?」

そこで私は、何か見覚えのある人影を見かけた。

「ん、ユズ、どうかした?」

「……ハープ。早速、第一有力候補を発見したよ」

「え?」

「ほら來て!」

私はハープを引っ張ってその人影の所まで行く。

その人影は、大きい掲示板の端の方でおろおろしながら何か探している様に見えた。

「ねえねえ、貴方、この前の……」

「ひゃ、ひゃい! なんでしょ……あ、この前のお姉さん!」

「私もいるよ!」

「ひッ!」

ハープが私の後ろから出てくると何時かのは、怯えた様な表で後ずさりした。

「えっ、ちょっと!」

「す、すみません!」

と、言いつつも近寄るハープから逃げようとしてる。まあ、一番最初からあんな対応だったから仕方無いか。

「ほら、ハープ、その辺にしといてあげなよ」

「私、何もしてないよ!?」

「すみませんすみません!」

「ほら貴方も、いつまでもそうしてないでさ」

さっきからずっと謎謝りしてるにもこっちに來る様に言って、一旦、落ち著かせる。

そして暫く経って、ようやく話せる様になった。

「そういえば名前、聞いてなかったね? なんて名前なの?」

「あ、あの、私、『リン』って言います!」

「リンちゃんね? 私はユズ、和みの館ってギルドのリーダーだよ」

「で、私はハープ。仲良くね?」

「ひッ! は、はい……」

どうもハープにはこんな調子のままだ。やっぱり第一印象って大事だね。

「それで、リンちゃんはここで何をしてたの?」

「あ、あの、その……何処かれるギルド無いかな、と……」

私はハープと顔を見合わせる。

やっぱり思った通りだ。この子はあの時、ギルドホームを追い出されてギルド追放に遭った、と言っていた。それなら、と聲をかけて正解だった。

「じゃあさ、私達のギルドにらない?」

「えっ、ええっ!?」

「迷だった?」

「ひっ、い、いえ、そんなことは……」

「じゃあ、いいよね?」

「は、はいぃ……」

ハープがそう言うと、なんか半ば強引に聞こえるけど、何はともあれ一人目勧功だ。

「で、でも、私なんかでいいんでしょうか……私、こんなだし……」

「ん、何が? 私達は別に強さとか気にしないよ? 仲良くやれればそれでいいし、ね、ユズ?」

「うん! ハープの言う通り、心配しなくてもいいよ。大丈夫大丈夫」

「そ、そうですか……なら、よろしくお願いします」

そう言ってリンちゃんはぺこっ、とお辭儀をした。

「うん、こちらこそよろしくね?」

「よろしく!」

そんなじで、早々に勧功してしまった。

二人目は、あまり、いきなり増えてもいけないので、掲示板に任せることにして歓迎ついでに神様にも紹介するため、一旦戻ることにした。

「あっ、そうそう、リンちゃんの分の転移の石は?」

「そういえば……どうやって新しいの手にれるんだろ」

「あ、あの……お二人は先にギルドホームに戻られて……私は徒歩で……」

「いやいや、それじゃ、ギルドホームの場所教えてあげられないじゃん?」

「あっ、そ、そうでした……すみません」

ギルドの加手続きはギルドホームで行うので、リンちゃんはまだ正確には私達のギルドのメンバーではないのだ。だから、ギルドホームの場所は地図にまだ載っていないので、案する必要がある。

「仕方無い……じゃあ、レベル上げついでに徒歩で行こうか」

「そうだね。というかそれしか無いし……じゃ、リンちゃんも行こっか」

「は、はい!」

と、笑いながらリンちゃんは返事をしてくれた。

何気に笑った顔を見るのは初めてかもしれない。

そして、私達は街を出ようとする。

相変わらず一部の人は私達を見た途端、顔を強張らせるけど、よく考えてみたら私達は先のイベントの二位と四位なのだから目立っても仕方無いのかもしれない。

だから、恐怖の魔のくだりを気にしなければ、普通に名譽あることなのかも。そう思うことにしよう。

私達は道中、リンちゃんに倒させながら敵を倒し進んだ。リンちゃんのレベルはまだ聞いてないけど、それは著いてからにすることした。

私達はギルドホームの前に著いた。

しながら來たけど、この川を迂回するのはいつものことだけど面倒くさい。次の加者の人の時には迂回は案らない様にしておきたい。

それで、リンちゃんの反応は當然の如く、

「さ、寒いです……」

「だよねぇ……」

神様のお城はさて置いて、寒さが第一に來るのは仕方無いことだ。

「でも、ユズはそんな寒がら無いよね? 果の方の柚子が寒さに強いから?」

「関係無いと思うなぁ……まあ、とりあえずろうよ。それで寒さも凌げるよ?」

「そうだね、さ、リンちゃんも!」

「は、はい、わかりました!」

そうして迷路を跳ばすため、私は混沌の鍵で城の鍵を開けて長い廊下を抜ける。

「神様、ただいまー」

「ただいまです」

「うむ……見た所、果はあった様だな」

「ひゃっ! 誰ですか!?」

うん、思った通りの反応だ。

そりゃあ、驚くよね。

「私か? 私は……」

「初対面の人間の神をおかしくして楽しむ、悪い神様だよ!」

と、すかさずハープ。

ハープも悪いことするなぁ……まあ言ってることほぼ間違って無いからフォローしないけど。

それでまあ案の定、怯えて私達の後ろに隠れるリンちゃん。

「なっ!? 何を言っている! 私はそんな悪い神では無いぞ! 闇と混沌の神、アフィポスだ! 闇だからと言って悪い神という訳では無い!」

と必死に弁明する神様。

「ほら、神をおかしくする方は否定しないでしょ?」

「誤解させる様なことを言うな! 第一、私は楽しんでなんかおらん!」

「ほらね?」

「あ……あ」

必死な神様、それをからかうハープ、怯えるリンちゃん。これはなかなかにカオスだ。

「事実故に言い返せないのが悔しいが、私は決してお主に対して害を為すつもりは無い。そこだけは信用してくれ」

「どうかなー? そんなこと言って、リンちゃんを闇に包む気かも」

「ハープ、お主は黙っていろ!」

「きゃー、怖い。私もおかしくされ……あ、もうされた後だった」

「あ、あ……」

ああ、これアレだ。

ハープはリンちゃんに怖がられてるから、それ以上の恐怖を作ろうとしてるんだ。それなら、私もハープにいつもの仕返しだ。

私は中腰になってリンちゃんに話しかける。

「リンちゃん、神様はすっごく優しい方だよ?」

「え、でも……」

「本當に怖いのは、ハープなんだから」

「えっ、ユズ! 何言って……」

「怒ると、ドスの効いた聲でにっこりと話しかけてきたりダガー當ててきたりするんだよ? リンちゃんもダガー當てられてたからわかるよね」

「あ、はい、まあ……」

と言ってリンちゃんはハープの方を見る。

けど、すぐに目を逸らす。仕方無いね、怖いは怖い。あの時の記憶がフラッシュバックしたのか、ハープが恐怖の対象に戻った様だ。

「ねぇ、ユズ、ちょっといいか、な?」

「ひッ、ほ、ほらね?」

私のを張った証明に納得してくれた様で、ハープの怖さを再確認した様だ。それにしてもハープさん、怖いです。最後の『な』が特に。

「うむ、まあ、そういうことだ。私はお主に対しては何もしない……という訳で、リン、ギルドにるのだろう?」

「は、はい!」

「よし、なら、転移の石だ。使い方はわかるか?」

「あ、はい、わかります!」

「そうか、それなら、リン……これからよろしくな?」

「え? あ、はい! よろしくお願いします!」

どうやら、手続きが終わった様だ。

今のが手続きと言っていいのかはわからないけど、転移の石を渡されたということはそういうことだろう。神様って便利だ。

「よし、リンちゃんも無事私達の仲間になったことだし……一旦はめでたしめでたし、と」

「……なる訳ないでしょ」

後ろから、で表すとしたら真っ黒な聲が私にかけられた。途端、私の肩に手が乗った。

「神様、ちょっとユズ持っていきますね?」

「あ、ああ……」

「えっ、ちょっと、ハープ? 私、じゃな――「何?」あぁ、ごめん! ごめんってハープ! って、あぁぁぁぁ………………」

そうして私は抵抗虛しく、消えびを上げながら、ハープに文字通り引き摺られていく。この後、我がに降りかかる、『何か』を想像しながら…………

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