《極寒の地で拠點作り》ラアト

「何だと?」

年は、私がと答えたのに対して苛立ち、そして揺してる様だった。多分、今まであのを使って、ってきたプレイヤー達を足止めしてから拘束したりしてたんだろう。そうなれば、それを封じられたら揺しても仕方無い。

「だから、

「そんなことはどうでもいい! 早くここから出せ!」

そっちから聞いてきたのに……

まあ、明らかに揺してるよね。しかし私はその要に答えることは出來ない。

「やだ」

「くっ……『一面の』!」

白ローブの年がもう一度あの魔法を唱えた。しかしそれも虛しく、聲だけが響くのみで何か起きる気配は無かった。流石、神様の闇と言った所かな? さて、この隙に、

「ハープ、お願い!」

「りょーかい」

隣にいたハープが年に向かって走り出す。勿論、ハープには見えてないけど、そこはいつもの察知能力でどうにかなるみたい。それにしてもほんと、人外じみてる……あ、良い意味でね?

「よっ、と」

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「うぐっ……!」

「おーい、ユズ! 拘束完了したよー」

「うん、ありがとね」

ハープは見えないにも関わらず、年を組み伏せたついでに持っていた杖を取り上げる。流石ハープ、手際が良い。

そして私はすっかり余裕の消え去った年に歩み寄る。

「くそっ、放せよ!」

「……貴方は何? このギルドのリーダー?」

「おい! こんなことしてただで済むと思うなよ!?」

ハープによって地に伏せられている年はそんなことを言った。それに対してハープは、

「そんなこと言って、私達が騙されると思う?」

「ああ、いいさ! 後悔するぞ?」

「ご勝手に」

「あ、ハープ、一応聞いてみようよ!」

「もう遅い……おい、『ラアト』! 僕を助けろ!」

年は、ラアト、と石像に向かってんだ。

そしてそれに答える様に、男の聲が返ってきた。

「あーあー、二人にやられてんじゃねぇか。無様だな、タクト」

「うるさい! さっさと助けろ!」

「へいへい」

しチャラチャラしたじの若い男の聲がそう答えると、闇の奧の方にキラッとしたのが見えた。

これはやばい。

「……ッ! ハープ、逃げてっ!」

次の瞬間、バシュッ、と何かが出される様な音がした。

「……!」

「よっし! 仕留め……あ?」

一閃。

年のし上をの線が通り過ぎていった。それを間一髪で避けたハープは、年から距離を取る様にしてこちらへ戻ってきた。

「あ、危なかった……」

「大丈夫、ハープ?」

今、が私の闇の中にいた。

普通のは、神様の闇である暗転の闇には存在出來ない筈。ということは、普通のでは無いということになる。それほどのとなるとやっぱり……

「おいおい、この、避けやがったぜ! なぁ、タクト! これ、俺のにしていいか?」

「勝手にしろ」

「よっしゃあ!」

「……ねぇ、貴方は何? 神様?」

ハープを『これ』呼ばわりしたのもあって、し腹を立てていた私はし聲のトーンを落として単刀直にそう聞いた。

「あ? 確かにそうだが……何故それを知っている?」

ビンゴだった。いきなり神様かと聞いて正解だった。

それで、そのラアトという神様のそれまでのテンションは何処かへ行って、打って変わって威圧を含んだ聲になった。相手も神様なら、私達の神様のことも話していいだろう。

「知り合いに神様がいるもので……この闇とかさ、見てわからないかな?」

「……チッ、そういうことかよ」

「多分、そういうことだよ」

理解してくれた様で何よりです。

それにしても、この悔しがってる様子をじ取れる辺り、本當に神様は凄い存在なんだろう。

「おい! どういうことだよ! てか、さっさとこの暗いのどうにかしろよ!」

空気が読めずに騒ぐ年は、ラアトに向かってそうび散らす。君だけだぞ、理解してないのは。まあ、それも仕方無いか。

「タクト、悪いがこの闇は無理だ」

「はぁ!?」

「クソッ! あのクソジイイ……やってくれるじゃねぇか」

神様に毒を吐いている所で、私は気になっていたことを聞いた。

「……ところで、貴方は何の神様なの?」

「あ?……仕方ねぇ、答えてやるか。俺の名はラアト、と真理の神だ。丁度、お前らのとこの爺さんと真反対って所だな」

「あと、聞きたいんだけど、神様……いや、アフィポスさんってそんなに凄い人なの?」

「は?」

なんか……すっごい、呆れられた様な聲を出された。こんな格の相手だからか、しイラッとする。

「ははははっ! お前ら、そんなことも知らねぇでその裝備とか武とか使ってんのかよ!」

「はぁ!?」

今度はハープが笑うラアトに対して聲を荒らげる。私も今ので、しがかなりになった。

「ああ、悪い悪い……まあ、なんだ。あの爺さんは俺ら神の中でも最高位の存在だ。悔しいが俺の力じゃ到底適わねぇよ」

こんな格だから信じられないけど、悔しみながらも意外との程をちゃんと理解してるみたいだから安心した。

「だから、この暗転、神様の闇は払えないと?」

「ああ。でもあの爺さんのことだ、本場は暗さだけじゃねぇ筈だろ?」

本場……つまり、あの混付きの闇のことだ。

「まあ……」

「つーことは、あの爺さんのとこ行って迷宮で本場をけた上で抜けたってことかよ! 人間なのにすげぇな、お前ら! コイツだったら、ってすぐ頭やられてるぜ」

「うるさい! お前こそ、何時までそう喋っているんだ! さっさと倒せよ!」

さっきからこのタクトって子、うるさいしか言ってない様な気がする。

「だーかーら、無理だっつってんだろ。ついでに言っとくが、お前の夢はここで潰えた」

「はぁ!? どういうことだよ!」

ラアトはしうんざりした聲で答える。

「……アフィポスの爺さんに目ぇ付けられた以上、終わりなんだよ。俺はまだどうとでもなるが、ここで俺達の関係は終わりだ。丁度、お前に対して興味も失せてきた所だ……そもそもお前、世界征服なんて夢下らな過ぎなんだよ!」

「なっ! お前、あの時、手伝ってやるって言ったじゃないか!」

「そりゃ、お前、噓に決まってんだろ。あの時はギルドリーダーが好かねぇ奴だったから前々から興味持ってた、慘めに雑用してるお前を使って倒させたまでだ……そしたらお前が勝手にその夢とやらを語り始めたんだろうが」

「なん……だと?」

なんか話が悪い方向に行ってる。

この話から思うになんかそれなりに複雑なじっぽいけど。流れを止めるついでに、それについて聞こうかな、と思っているとそれをハープがラアトに聞いた。

「ねえ、ラアトさん、何があったの?」

「あー、まあ、話してもいいか」

ラアトが述べた詳しい話はこうだ。

最初、騒の會と同程度のギルドがここにはあって、そこのリーダーがラアトのダンジョンを攻略して裏ツリーに変えたらしい。

それで、ラアトはそのギルドリーダーに対して良いを抱いていなかった様で、その時、雑用に使われながらも野を持つタクトに興味を持ったみたいで、タクトを使ってギルドリーダーを拘束させてギルドの主をタクトに変えようとしたらしい。

それで、見事それを達した後、タクトが今後の方針として、世界征服を掲げた様で馬鹿馬鹿しいと思いつつも前よりはマシだと考えて協力する様になった。そんなじで今に至る……みたいだ。

ブラストさん達、騒ノ會といざござを起こしていたのは多分前のリーダーだろう。タクトは、し橫暴になっても怪しまれないと思ったのか、その元からのギルドの方針を利用して、ギルド占領を繰り返し行った。そういうことなんだろう。

「じゃあ、これからはどうするの?」

「どうするも何も、俺は逃げるから後のことは知らねぇ。コイツが決めることだ」

「くっ……」

「え? 神様って、石像から出られるの?」

「は?」

なんかもう、私がこんなことを聞く度に呆れた聲出すからもう聞くの止めようかな。

「何、また笑うの?」

「いや、笑わねぇよ。まあ、そうだ。つか今まで出られないと思ってたのかよ」

「うん……まあ……」

そう言われればそうだ。

神様だって元はあの迷宮にいたんだ。石像に固定なんて有り得ない。

「で、タクト。お前、どうするんだ」

「……」

「……仕方ねぇ。お前らが決めていいぞ、コイツなんも喋らねぇから」

「え、でも……」

「別にいい。さあ、早く決めろ」

「ユズ、とりあえずギルドの人達を……」

ハープもそう言うので、私はタクトを置いといて決めることにした。

「うん、わかったよ。ラアト、ギルドの人達は今何処にいるの?」

「ん、ああ。奴らならこの地下だ……ほら」

すると、壁の一部がぐにゃっと曲がり地下への扉が現れた。

「ラアト、ありがとう」

「いいってことよ。さあ、早く行け」

私が暗転を解除し、進もうとした所、

「待て」

そう、しばらく黙っていたタクトに聲をかけられた。

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