《極寒の地で拠點作り》解作戦
なんと、ドラゴンがツチノコ……じゃなくて蛇になりました。元々、四足歩行っぽかったのが完全に地を這うようになったので劇的な変化だ。
【スカルスネークのぶん回し!】
「ユズ、ツチノコ來るよ!」
「だから、ハープ。ツチノコじゃなくて蛇だって……」
私達は被害を出來るだけ最小限に抑える為に、再びお互いの距離をとって行する。
すると、スカルスネークは頭とを中心として、長い尾を上げて振り回し始めた。
「うわっ!」
スカルスネークはハープ目掛けて骨の尾を思いっきりしならせて振り下ろす。ドーン、という音が空に響くと共に、揺れてパラパラと巖壁がし崩れたり土埃が舞う。
ハープは咄嗟にそれを左後にステップして避けた。やっぱりハープは上手いね、と思っていると視界を遮る土埃の中から尾が凄いスピードでハープに向かってくる。
「うあっ!」
突然のソレに反応が遅れたハープは、上半に尾の一撃をけて吹っ飛ばされ、そのまま巖壁に叩きつけられた。それはもう、痛そうってレベルじゃない。
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「かはっ、げほっ…………うぅ」
「ハープ!」
「ハープさん! ……っ、今行きます!」
「あ、リン!」
土埃が晴れるとケイ君の聲がした。
同時にリンちゃんが巖壁に全を強打して苦しむハープにリンちゃんが向かっている。恐らく、回復魔法を使おうとしているのだろうけど、今それを行うのはかなり危険だ。
「來ちゃ……駄目、リンちゃん……!」
【スカルスネークのぶん回し!】
ハープの聲も虛しく、無慈悲にスカルスネークは二度目のぶん回しをリンちゃんに向けて仕掛けてくる。今度はいきなり水平攻撃の様だ。
「ひッ……いやっ!」
リンちゃんは足を止め、ぎゅっと目を瞑って杖でを守る勢になった。とてもじゃないけど、あれでハープの様にならない筈が無い。
……駄目だ、間に合わない。私が向かってももう遅い。こうしてる間にも、尾はリンちゃんに襲いかかろうとしている。
「くそっ!」
すると、ケイ君が杖を掲げて何かを唱え始めた。
【ケイの間欠泉!】
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次の瞬間、リンちゃんとスカルスネークの尾との間の地面から、勢いよく水が吹き出した。すると、そこを丁度通った尾はリンちゃんの頭上を掠めて通り過ぎていった。
「はぁ……良かった。間に合った」
「え……あれ?」
いつまで経っても自らのに何も起きないリンちゃんは不思議そうにその目を開く。実際、ケイ君がどうにかしてくれなかったら、本當に危なかった。ナイス、判斷。
とりあえず、ハープには休んどいてもらおう。
うーん、でもどうしようか。あの尾攻撃を回避して且つ攻撃をするなんて、私には出來ない。
そこで私は、いつもよく見かけるやり方で倒す方法を思いつく。要するにきを止めればいいんだ。でもこの方法は、私だけじゃなく皆の力を必要とする。
まさか、休んどいてもらおうなんて言った矢先にハープの手を借りなければならなくなるとは……まあ、わかってたことだけど。
という訳で、まずハープに作戦通達する。
「ごめん、ハープ。さっきやられたばっかりでキツいだろうけど、お願い」
「……私がユズのこと、斷ると思う?」
「は、ハープ、ありがとう!」
「あはは、大袈裟だって。有効打だろうし、良いやり方だと思うよ」
「そうかな。まあ、確かにこれなら最初からわざわざ死のブレス待ってないでやってれば良かったね」
そうしてハープの下を離れる。
リンちゃんとケイ君にはチャットで伝える。距離が距離なので、向かってる最中にやられる可能が高いと判斷したからチャットにした。
すると、
『了解です。リンも了承してます』
と、返ってきたのでこれで全員の了解が得られたことになる。よって、これより作戦を開始したいと思う。
「『じゃあ、作戦開始だよ』っと」
それではまず、ハープにスカルスネークを引きつけてもらう。
「はいはい、こっちこっち!」
一旦近づいて攻撃したりして、スカルスネークが気づいたら後方に退くじで引きつける。さっきの尾攻撃で學習したのか、ハープののこなしはかなりキレが出てきている。
ハープがスカルスネークを空の半分より隅に導した頃、私とケイ君がく。場所はスカルスネークの反対側で、私達、つまり私とケイ君とリンちゃんの距離はだいたい等間隔であまり離れ過ぎないようにしてある。
そろそろ頃合だろう、そう思った時、私はケイ君とリンちゃんに合図する。
「ケイ君、リンちゃん、そろそろ行くよ!」
「了解です」
「わかりました!」
「それじゃあ、カウントダウン…………3、2、1、今ッ!」
「「「『フラッシュ』!」」」
私がカウントダウンを言った後、常夜燈ぐらいのでぼんやりとした空間が一気に明るくなる。
その部屋の隅に偏って発する三つのは空を暖かいで照らし、そのを遮るに影を作った。勿論、スカルスネークとて例外では無く、この場で最も大きな影を作った。
そして私は仕上げに、ハープに向かってんだ。
「ハープ、お願い!」
「わかったー!」
こちらからはスカルスネークに隠れて見えないハープは私の合図を確認してから、お得意のあの技の名前を口にする。
「『影い』! ……からの『投擲』!」
そうハープが言った三秒後くらいに尾を激しく振り回していたスカルスネークはピタリときを止め、完全に靜止した。
私はハープに駆け寄る。正確にはスカルスネークなんだけど。
あ、そうそう、フラッシュについてだけど、あの、杖の先じゃなくても空間に固定出來たみたいなんだよね。源が一気に移すると、影いの効果が無くなっちゃうからね。一応、に何かあった時の為に二人は移させないでおいたけど多分大丈夫だろう。
そして私は、スカルスネークの後ろ側に到著する。
「それでは、皆さん! 今からスカルスネークの解作業にりまーす!」
「いいよー!」
「いいですよー」
「頑張ってください!」
三人の反応もけ取ったので解スタートだ。
まず背骨をバラバラにします。そうすれば尾もかなくなるからね。
という訳で杖を一太刀食らわせてやる。すると、ポキッ、と簡単に折れてしまった。もうし耐えるかなぁ、なんて思ってたら意外と呆気なかった。でもこっちの方が都合が良い。その後も子気味良く骨を折りまくって、遂にを二つに分斷した。
「出來たっ!」
「大丈夫? 疲れてない?」
「大丈夫。何てったって杖振り下ろしたりスイングするだけだから」
私は疲れてないと言ったけど、強いて言えば腕が疲れて痛い。その、振り下ろしとスイングが結構ね?
とは言っても、【STR:602】は伊達じゃなかった。あ、うん、STR値600超えたんだよね。まだ私自のレベルは35だから、そろそろおかしいんじゃないかって思えてきた。まあでも、世の中にはAGI値1400とかいう人もいるから全然おかしくないよね、うん。
とりあえず、力を弱めても破壊できたのでこの後からは負擔を軽減する方針で行きたいと思う。
「さーて、次は、っと」
お次は尾。何かあっちゃいけないから一応ね。
そうして、尾は本から砕いていくことにして、それも難無く終わった。次で最後かな。
「それでは、最後、頭です!」
「おー!」
頭、これを破壊すれば恐らくこの骨は機能を停止するだろう。私は分斷した所から上半を登って、首の所に到達する。そして、
「一気に首を、落とすっ!」
ガゴン、という音と共に首の骨は砕け、と分斷された頭はそのまま地面に落ちる。
「ハープ、またお願い!」
頭が落ちて、影の位置が変わったのでもう一度影いしてもらう。
「おっけー、『影い』」
再固定完了。そういえば、一番最初の影いの時、ハープには頭とと尾を固定してもらう様に言ったんだよね。で、同時に刺すのは難しいから投擲を使うことにしたっぽい。多分、ケイ君のを見てコンボ技を試してみたんだろうと思う。
今回は三ヶ所固定なので、ミセリコルデも出させたけど、やっぱり暗殺って闇ノ短剣以外にも使えるんだね。まあ、當然だけど。
それで頭なんだけど、思いの外、簡単に行きました。頭蓋骨だからいのかな、と思って思いっきり行ったけど拍子抜けしてしまった。
頭蓋骨を壊すと中は空で、そのまま眼孔の炎は消えたので機能は停止したものと見ていいだろう。という訳で、
「これにて解作業は終了です。皆様ありがとうございました!」
スカルドラゴン及びスカルスネークの討伐完了となった。分斷され、上半と下半となったは……まあいいか。頭もやったからね。
「お疲れ様ー!」
「凄いです、ユズさん!」
「流石と言った所ですね。あんなこと、ユズさんにしか出來ませんから」
「はは、褒め言葉としてけ取っとくよ」
そうして私はあることに気づいた。
「あっ、スキルだ!」
「えっ、ユズ。良かったじゃん! 因みに何?」
「あー、えっとねぇ…………」
ログを見た私は固まる。
【ユズは『解作業員』を手にれた!】
【解放條件:スカル系大型モンスターを解しながら倒す】
『解作業員』……ここまで見ればDEX値でも上がるのかな、って思うじゃん? そう、
「……また、また……まただよ、STR」
「ふっ、あははは!」
ハープが思いっきり笑ってる。もう何とでも言えばいい、笑えばいい。
ああ、もうここまで來ればアレだ。うん。毆打の魔って言われても良い様な気がしてきた。恐怖の魔よりかはよっぽどいいだろう。
まあ、でも、最近はもう殆どヤケになって、開き直っちゃってるじだからあまりショックは大きくない。
因みに、常時スキル『解作業員』の効果は、STR+20、DEX+10、である。これでさっきまで600し越えだったSTR値が700近くまで上がったことになる。
そして一応、DEX値は上がった。これで素のステータスが初期値なのはVITとAGIだけだ。まあ、DEXなんて生産職にならない限り一生使う機會無いと思うけど。
「うん、まあ、ね……」
「ま、まあ、ユズさん。また強くなったじゃないですか!」
「そうだね、リンちゃんのも褒め言葉としてけ取っておくよ」
「ふふっ、ははは!」
「ハープ! いつまでも笑ってないでよ!」
「いやいや、ごめんごめん。ユズがどんどん自分のまない方向に行っちゃってるの見てたらやっぱり面白くて……あはは!」
「むぅ…………まあ、それはいいとしてこの後どうす――――」
ハープから目を外し、リンちゃんとケイ君の方を見ると何やら驚いた様な表で私を見ている。いや、私じゃない。二人が見ているのは……
「ユズさん! 危ない!」
「えっ?」
私が後を振り向くと、倒した筈のスカルスネークの上半と下半が私に迫っていて、それぞれ尖った所を向けている辺り、私を仕留める気なのだろう。あっちも解しておけば……迂闊だったなぁ、って思う。巨大が故にもう、護りも間に合わない。私はぎゅっと目を瞑る。
しかし、その目を瞑った瞬間、何か小さいが二つ程飛び込んで來た様に見えた。
その時、私達は背後のり口から聞き覚えのある聲を聞いた。
「伏せてッ!」
私達は皆、その聲に従って地にを伏せる。
すると、次の瞬間、々な音が混ざった様な発音がして、前方から微かなと熱をじた。
それらが収まった頃、前方を見ると木っ端微塵になった。骨の欠片がそこら中に飛び散っていた。
とりあえず、私は助かったのだ。その空のり口に立つ、
「ごめん、遅れちゃった」
ハープのライバル、リザによって。
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