《極寒の地で拠點作り》スキル習得とイベント完遂

「ごめん、遅れちゃった」

「リザ!」

ハープが、何故か謝るライバルの名前を呼ぶ。

「え? どうしてここに?」

「んー、まあ話せば長く……いや、長くないか。えっとね、ここに他のギルドのリーダーが來なかった?」

「ああ、うん。見てないけど、見張りの人がいたね」

「そいつら多分、うちのギルドの傘下の奴らだよ。で、そいつらがさっき死に戻ってきたから、どうしたのかって、うちのリーダーが聞いたのよ。そしたら、スキルショップの特殊イベントをやってたら骨のドラゴンにやられたとか何だとか言ってたし、ハープが私に『イベントの邪魔をしに來たの?』って聞いてきたのを思い出して、もしや、と思ってね」

「もしかしてケイさん、私達が襲われたのって……」

リンちゃんがリザさんのを聞いて、何か確信した様な顔をした。

「ああ、多分そういうことだろうな」

確か二人は、空ったらいきなり襲われた、と言っていた。それはつまり、先にってスカルドラゴンと戦狀態に陥ったであろう、あのギルドの団長さんのせいということだ。

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「へぇ……それにしても、ナイスタイミングだよ。ありがとう」

「私からもリザさん、ありがとうございました」

「あはは、どうってことないよ。それと……ユズ、だっけ? 『さん』は要らないよ。同い年でしょ?」

「そうなの?」

私はとりあえず、最初から呼び捨て同士だったハープに聞く。

「いや、私も知らなかったんだけど…………え、リザって一年生?」

「高校? それならそうだけど」

「おお、じゃあ、やっぱ同じだね!」

「へぇ、それならユズ。私のことはリザでいいし、敬語も要らないからね?」

「わかりま……わかったよ。よろしくね、リザ」

「うん。こちらこそ、よろしく。じゃ、フレンド登録しておこうか」

あ、そういえばしてなかったんだよね。

あの時はハープとだけ仲良くなったじだったから當たり前なんだけど。まあ、友達の友達が友達になって、なんだか嬉しい。

そう思ってる所、リンちゃんが何かを見つけたらしく聲をかけてきた。

「み、皆さん! あれ!」

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リンちゃんが指差す方向、空の中央には何やら見覚えのある三度目のソレが置いてあった。

「The 寶箱ってじの箱だね……?」

リザさんがそう呟く。

まあ、そう思うよね。あの豪華な裝飾は寶箱を増させていると思う。

私達はそれをとりあえず開けてみることにした。

その中には、

「え、巻?」

The 寶箱に続き、出てきたそのThe 巻は四つっていて手に取ってみると説明文が出てきた。

「『スキル書』……だってさ」

スキル書。どうやらこの中に一つずつスキルがっている様で、使用することで習得出來る様になるらしい。詳細を見てみると、

『水面渡り』

・水面を渡ることが出來る様になる。

『変裝』

・その場で見た目を変えることが出來る。

『跳躍』

・高く跳ぶことが出來る様になる。

『水中呼吸』

・水中でも呼吸出來る様になる。

なんだろう、こう……何か共通してるがある様な…………という様な微妙なじの任意スキルのスキル書らだった。

今回は、誰が誰とかそういうのは無さそうだからしいのどんどん持っていく方式で行くことにした。

「んー、どうしようかなぁ……」

「リンちゃんもケイ君も先選んでいいよ」

「ええっ!? 私ですか? うーん」

「俺も……特に『これ!』って奴は無いですね」

それでも中々進まない。それほどまでに微妙なんだ。でも私として興味があるのは、

「ねぇ、皆。『変裝』貰っていい?」

「いいけど……どうして?」

ハープに理由を問われる。まあ理由と言えば、

「私って足遅いじゃない? それで逃げる時にこれ使えば見境無い敵じゃない限り、一旦隠れて姿を変えるだけでどうにかなりそうだし……」

「だし?」

「なんだろう。潛捜査、とか面白そうだなぁ、って……」

詰まるところ、そういうことである。

単に潛捜査とかスパイみたいなことやったり、今回みたいなイベントで、悪いけど他の人を別の方向に導出來たりしないかな、と思ったからやってみたいってことだね。

「うーん、まあ、いいよ。皆もいいよね」

二人も賛してくれている。良かった。

その後、結局、リンちゃんが『跳躍』。理由はリンちゃんが跳んでたら可いから、という周りの考えから。

それで、ケイ君は『水面渡り』を選んだ。理由はもしかしたら自分の魔法に使えるかもしれないから。

そして最後、ハープは『水中呼吸』となる。

それぞれがスキル書を使用して、スキルを習得する中、ハープだけ別のことをしていた。

「あー、リザ?」

「ん? どうしたの、ハープ。『水中呼吸』だっけ、早く習得したら?」

「それをさっきのお禮としてね、貰ってほしいんだ」

「えっ? いやだってそれ、ボス戦報酬だからかなりレアなだよ?」

「いいの。私はリザに貰ってほしいんだから」

「……うーん、じゃあ、お言葉に甘えて貰っていこうかな?」

「うん、ありがとね」

「いやいや、こちらこそありがとうだよ」

するとハープは、インベントリにしまわずに持っていた巻を渡す。リザはそれをけ取ると、元々抜け出してきたみたいでもう戻らないといけない様なのでそのまま手を振って帰っていった。抜け出してまで來てくれたなんて、本當に謝してもしきれない。

「うぅ……」

すると突然、空の何処からともなく、唸り聲がした。私達はさっきので學習したので、現在警戒心マックスだ。

そして、近くの巖から人らしきが出てきた。

「ああ、いや、警戒しなくてもいい。私は街のスキルショップのオーナーをしてる者でして……」

そう、その人が言うと皆ギョッとした。

「え? あの巖にずっと隠れていたんですか?」

「ああ、皆さんの戦いっぷりは圧巻のでした! そうだ、街に帰ったら皆さんにお禮がしたいので、私の店まで來てください!」

それでは、とその店主さんは去っていった。自分の足で帰れるのかな、と思ったけど、ここまで來れたんだからそりゃ帰れるか、と思って納得した。

「……絶対、あの巖に隠れてなかったですよね」

「リン、まだそんなこと言って……」

ケイ君はそう言ってるけど、多分、あの店主さんはいなかったんだと思う。イベント上、ストーリーが必要なので、あの場で現れる様に設定してあったんだろう。私達との會話でも當たり障りのない発言だったし。

「じゃあ、とりあえず片付いたし、早速行こうか」

そして私達は窟を出ると、転移の石でギルドホームに飛んで、一旦HPとMPを回復する為に中にる。

詳しいことは帰ってから話そうと思っていたんだけど、私はあることを思い出したので神様に聞こうとした。でも、なんだかその時の神様の様子がしおかしかった様にじたんだ。

「……それで神様、その骸骨のボスモンスターについて何か知ってる?」

「…………」

「神様?」

「ん? あ、ああ、すまない。それは靜かなる老木と同じだ。彼奴め、そんな所に隠れていたのか」

「どれだけ人無いんですか」

「ははは」

といったじで、初めに私が聞いた時もすぐに答えてくれなかったし、ハープがツッコミをれた時も何か誤魔化した様に笑うばかりでそれ以上何も言わなかった。神様の元眷屬っていう存在は、何か訳ありというか、そうなったのも明かせない様な何かしらの理由があるのかもしれない。

もしかしたら、靜かなる老木さんのことも噓だったり…………いや、止めよう。こんなこと疑ったって何も良いことは無い。第一、私みたいな一人間が考えたって仕方の無いことだ。

そうして、HPやMPを回復したり々報告したりした後、私達は街へ向かう。その道中、ハープが私に聲をかけてきた。

「……ねぇ、ユズ」

「どうしたの?」

「さっきの神様…………なんか変じゃなかった?」

「……ハープもそう思う?」

と、どうやらハープも私と同じ様にじていたらしい。私だけじゃなかったみたいだ。さっきは今考えても仕方無いとは言ったけど、ハープなら何か察してるんじゃないかって思って話を聞こうとしたら、

「あれ、お二人共。どうしたんですか?」

「ああ、いや、何でもないよ。ね、ユズ?」

「え、ああ、うん! 何でもないよ!」

「……?」

「ま、まあ、とりあえず行こう?」

といったじにリンちゃんに遮られてしまい、この話は飛ばされることとなった。私達が誤魔化すと、リンちゃんだけでなくケイ君も怪訝そうな表で見てきた。

…………二人は、何かおかしいと思わなかったんだろうか。いや、ケイ君ならまだ付き合いもかなり短いから気づかなくてもそれは納得出來る。でもリンちゃんは、この日常に溶け込むくらいには慣れてきている筈だ。うーん、どういうことだろう。

私はそんな違和じ取りつつ、街へと足早に進んだ。

スキルショップはイベントをける前と同じ場所にあり、変わった所と言えば店の前に店主さんが立っていることだけだろうか。

「お待ちしておりました。さっ、どうぞこちらへ」

私達を見つけた店主さんは、私達を店の中へ導する。すると中には先程見たような沢山の巻、スキル書がずらりと商品棚に並んでいた。

「はい。では、この度は助けていただき本當にありがとうございました。それで、お禮と言っては何ですが……私の店のスキル書、一人一つずつ何でも良いので選んでください。それが私からのささやかなお禮です」

と、店主さんはそう言ってそれ以上何も言わなかった。それが元々このイベントの報酬であった為、私達はそれを了承してスキル書選びにった。

「本當に今日はラッキーですね」

「うん! 本當に々ね」

私にとってもそうだ。最初、スキルがしいと言ったら結果的に二つも新しいスキルを習得することが出來て、その一つが任意スキルであり、これからあと一つ習得出來るのだから。

暫く店を見回ってんなを手に取ったけど、最終的に私は『いつもの』を習得することにした。

「皆、選び終わったー?」

「うん!」

「はーい!」

「決まりました」

「よし、皆決まったね。じゃあ、ユズから何を選んだか発表していこう!」

「えっ? あ、うん。えっとね…………STR値+100だね」

すると、皆何か呆れた様な笑った様な微妙な表になった。

「やっぱり……ユズね」

「ユズさんですね」

「ユズさんでした」

「えっ、皆してどうしたの!?」

何となく予想はしてたけど、こんな『ユズと言ったらSTR』みたいな反応をされるとね。まあ、もう開き直ったつもりだから、悪い気はしない。

そしてハープは例の如く、AGI+100。

……ハープよ。私のことを馬鹿にしておきながら、同じ『+100』シリーズを選ぶとは。だから私も同じ様に「ハープはハープだね」と返してやった。

そしてリンちゃんとケイ君は二人共、なんとINT+100を選んだ、ということは?

「皆、ステータスアップ系じゃん!」

「それも同じ『+100』シリーズって!」

「結局、俺達は俺達でしたね」

「で、でも私は攻撃に使う訳じゃないですから!」

「わかってるって!」

皆、それぞれが口々にその凄い偶然を笑う。

まさか、この広い店で、全員が同じシリーズを選ぶとは…………

「それにしても何だか、一じますね」

「そうだねぇ……」

そうして、和みの館は謎の一を全員でじ取りつつ、特殊イベントを完遂するのであった。

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