《極寒の地で拠點作り》防衛線作り その六
さて、作業を始めて七日目。
ギルドホームとその周辺を囲む柵は六日目の昨日、ようやく終わった。なので、今日からは新しい作業にろうと思う。
「まずはり口からですか?」
「そうだね、基準にもなるし」
ハープが來れなかった日もあって、その時に柵作った後は何をするか、とか々話し合った。
話し合いの結果、柵作りの後にまずやるのは見張り臺作りとなった。り口というのは北側にある柵の途切れ目であって、そこからってきてくれるようにしてある。
「見張り臺とは言ってもそんな大層なは作れませんけどね」
因みにケイ君は、私達を手伝ってくれる為に六日間で堀作りをして完させてくれた。知識が無くて大層なは作れないとしても構造だから人手は必要なので仕方無い。まあ、それ以外の理由でケイ君じゃないといけない理由があるんだけど。
「それで、どうやって作るんですか?」
「ああ、まずは…………あ、リンとユズさんもし下がっててください」
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「え? ああ、わかったよ」
ケイ君に言われて後ろにし退く。
「それでは、『壁』」
ケイ君が杖を前にして唱えると、り口のこちらから見て右側、要するに東側に柵よりもかなり高い壁が生えた。
「あ、ほんとに地面から生えてくるんだ」
「これをあと何回かやります」
ケイ君が今使っているのは土魔法で、確かレベルは2か3か、それくらいだった様な気がするソレはケイ君しか覚えていなかった。今回はこれを支えに使っていくため、ケイ君でなければならない。
「出來ました」
「おお、流石ケイ君」
「お見事です!」
「いやいや、そんなでもありませんよ」
ケイ君が作ったのは、全的には縦に長い直方で、土臺となる部分で部は階段とかのために空となっている。り口も作られちゃってるし、もうこれで完でいいんじゃないかな。そんなことをケイ君に言うと、當然の様にこう言われた。
「駄目ですよ。二人にはこの上に柵を作って貰わないと」
「何気にまた柵作りってるんだよね……」
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「ま、まあ、規模は小さいですし長さもそんなに無いですから」
「あ、じゃあシャード君にもっと小さく切ってくれるようにお願いしなきゃ……」
見張り臺作りはどうやら、木の使用量は比較的ないみたいだけどハープにはどんどん切ってもらう。見張り臺よりも後に、下手したら柵作り以上に木を使うかもしれない作業が待っているからね。私達の柵作りはまだまだ続く、と。
「とりあえず俺は中にって整備しとくんで、待っててください」
「うん、そうするよ。どっちみちシャード君はこのり口からって持ってきてくれるからね」
そうしてケイ君は、すっかり馴染んだスコップを出して土臺の中へっていく。
「うーん、シャード君はさっき出てくの見たからねぇ……だいたい二十分くらいしたら戻ってくるかな」
「そうですね。じゃあ、それまで見張り臺の後の話しましょうよ!」
「はは、好きだね、リンちゃん」
そうしてシャード君が來るまで二人で駄弁ってた。それにしても最近リンちゃんが積極的になってきたと思う。良いことなんだけど、何かきっかけってあったっけ。まあ気にしてるんだったら、この前の通りだけど。
「…………じゃあそうしましょう!」
「そうだね。あ、シャード君、來たよ!」
「……?」
私達の聲が聞こえたのか、し首を傾げた様な気がした。いつも通りだけど、あくまでも『気がした』だ。モヤで見えないからね。
「おーい、シャードくーん!」
シャード君に向かって手を振ると、急いでこっちに向かってくる。急かしちゃったかな。
そんなことを考えていると、いつの間にかケイ君が隣に來てた。
「整備と言っても柵のための床の増強とか階段の調節とかしてただけなので、元々そんなに時間はかからないでしたので」
「うん。々とありがとね」
「問題無いです。ユズさん達が上で作業するにしても完してからにしても土臺は大事ですからね」
ケイ君の保証の上で作業が出來るなら安心だね。
そうして、ケイ君はシャード君に切る長さの変更を伝えて、指示した長さをその場で切ってもらった。目の前でこうスパッスパッ、と行くものだからケイ君も目を見張ってる。何気にケイ君は切ってる所見るの初めてなんだよね。
「なんか、聞いていた通りというか……木とは思わせないじの勢いですね」
「でしょ? でもケイ君がそんなに驚くとはね」
「……何か勘違いされている様ですが、俺は人並みのは持ち合わせてるつもりです。決して無な人間ではありませんよ?」
「あ、いや、そんなつもりで言ったわけじゃ無いんだけど」
勘違い度で言えば、多分ケイ君の方が私のこと誤解してるよ。恐怖の魔とか絶対そんなじゃないし、他の人を喜んで絶の底に叩きつけるとか絶対無いし。うん、絶対。
「そうでしたか。すみません…………あ、終わったみたいですよ」
「……!」
「ありがとう! シャード君」
そうしてシャード君は再び、ハープの所へと向かっていった。
「これで一セット分くらいにはなりますね」
「いくつ作るんだっけ?」
「えっとですね……この北ので一つ、東に一つで西にも一つ。南はギルドホームの塔から見えると思うので今の所、その三つで問題無いです」
「じゃあシャードさんにはもう二回だけこの長さに切り揃えてもらえば終わりってことですか?」
「そういうことになるね。それにしても、なんだか柵作りし過ぎたせいか凄く作業量がなそうにじるんだけど」
「まあ土臺やら階段やらはケイさんがやってくれますから。ケイさん、お願いしますね!」
「ああ。掘りばっかりしてたとしてもユズさんと同じく、なくじる様だからね。リンはユズさんと上のちょっとした部分を作ってくれればいいさ」
「はい! わかりました!」
「では、ユズさん。俺は先に東の方の土臺作ってきますので」
「うん、わかったよ。私からもよろしくね」
「こちらこそ。詳しいことはギルドの方のチャットに書き込んでおくので。それでは」
そう言ってケイ君は柵に沿って歩いていった。
「ではユズさん。早速取りかかりましょう!」
「うん!」
という訳で私とリンちゃんの見張り臺上部作りが始まる。最初に持ち込むのは、角に置いて基準とする四本の木だ。
「よいしょ、っと」
「ユズさん、階段気をつけてください」
「りょーかい」
階段は壁に沿って作られていて、幅はそれなりに取られているので持って上るにしても大分楽な方だ。
「あ、ユズさん! 落ちないように気をつけてくださいね?」
「うん、ありがとね」
私達がこれから柵を作るため、上部部分は踏み外したら真っ逆さまになる。因みにこの床となる部分は六畳程度の広さだ。どうせそれぞれに一人ずつしか就かないのでこれくらいが丁度いいと思う。
「どうする? 先に埋めちゃう?」
「あ、でも確か一本だと反応しないんじゃありませんでしたっけ」
「そうだった……」
この『柵作り』。何故か材料となる、ここで言う木一本だと発しない。多分、一本だから柵として立してないからなのかな、とは思ったけど、些か細か過ぎなんじゃないか、とも思うんだよね。
そして、とりあえずもう一本持ってきて角と角に植える。間隔はこれだけ空けることも出來るけど、これ既に柵として立してないと思うんだけど……まあ、気にしたら負けだよね。
「もう片方もワンセット、と。とりあえず柱は完したね」
「はい。では次、柵作りですね」
見張り臺なので勿論、顔の高さより低めな柵となる。そしてこれもちゃっちゃと終わらせる。
「これで……いいのかな?」
「いいんじゃないでしょうか」
「ケイ君に悪いくらいには呆気なかったね」
「まあ、柵を作るだけでしたもんね」
因みに、ケイ君に屋はどうするのか、を聞いたんだけど、流石にそこまでの知識も無ければ材料は基本、木だけなので作れないみたいだった。
そんな訳で、ちょっぴりケイ君に悪いと思いつつ、本人のいる筈の東へと向かうと同じ様な土臺が既に完されてて部も終わっていた。ケイ君自はいなかったので恐らく、もう西の方へと向かっているのだろう。
その後はもう簡単で、シャード君が持ってきて切り分けてくれた木を上部へ運んで柵作って、を二回繰り返して見張り臺作業は終了した。作業時間よりも移時間の方が長かったんじゃないかなって思う。まあ、ただ柵を作りまくった日々よりは楽だったかな。
そういう訳で私達は一旦休憩を挾みながら、次の作業の話し合いを再度行う。完形は大まかには想像しているけど、作ってる最中にどんどん変えていくかもしれない。何にせよ、私達の柵作りが役に立つ作業だ。とことんやろうと思う。
「それにしても、ほんとに好きですよね。ユズさん」
「確か……提案してきたのもユズさんでしたよね?」
「うん! だってもう字を見てるだけでわくわくしてくるんだよ!」
「というか第一、やるのは侵者、他ギルドの人達でユズさん含めて俺達は作る側ですよ?」
「それでもいいの。だって面白いじゃん! 迷路!」
そう! さっきから言ってる次の作業というのは、私が提案した『迷路作り』のことなのである。
私は小さい頃から迷路が大好きで、多分あの闇の迷宮があんな狀況で無ければ喜んでっていったと思う。それくらいには好きと言える。
因みにその後の話し合いは、私が突っ走る形で進み、提案しては卻下され提案しては卻下され時にはリンちゃんにも卻下され、そんなじだった。しょうがないよね、面白いは面白いんだもの。
やっぱり好きなについて話すのはいいね、そうしみじみと思う私であった。
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