《極寒の地で拠點作り》第二回イベント その五

「はいはいっ、こんなのとかどうですかぁ?」

「おおっ! こんな素材見たことないぞ!」

「なぁ! 何処で手にれたのか教えてくれよ!」

「ふふふ……まあまあ、落ち著いて」

何をしているのか、と思うかもしれないけど、これもい込み作業のである。

今まで『迷子導』を始めとして、『幽霊ストーカー導』、『この先危険だよ導』、それからケイ君にも參加してもらって壁+暗転で、『手探りで進んだらいつの間にか迷路にいました導』等々、々やってきた。因みに、三日目の今やってるのは『謎の怪しい商人です導』だ。

北の荒野の先の敵モンスターの落とす素材は、どうやら他の場所じゃ手にりにくいばかりということがわかったので、これをやるに思い立ったのだった。

「お気に召した様で何よりです。仕れ先は教えられませんが、良かったら私共の本拠地までいらっしゃいませんか? 品揃えもばっちりですよ」

因みに今の私の姿はいつもの裝備でいつも通りフードを目深に被った上に、『変裝』で銀髪に蒼眼、そしてたまには良いかなと思って普段より短髪にしてみたけど、私の本來の髪の長さは腰よりし上くらいまであるので結構違和じる。

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「どうする?」

「イベント期間中だが……これだけ味しい話は無いしな。まだ他の奴らには話してないんだろう?」

「ええ、お客様は特別ですから…………ああ、それから新商品の紹介もさせて頂きますよ?」

私のない頭からんな言葉を引っ張り出して如何にも贔屓している様に見せる。

「うーん、それじゃあ行ってみようか」

「そうだな。行って損は無いだろうし」

まあ確かに溫泉れるけど、損は……殘念だけどありまくりかなぁ。

「ありがとうございます。ではこちらへ……」

とりあえず導は殆ど功した様なだから安心した。ってからは予想通りの反応で、PK數がまたし増える程度だった。

「お疲れー」

「お疲れ様です」

「ケイ君もお疲れ。ハープはお疲れ?」

「どうして私だけ疑問形なのよ」

「え、だって見てるだけでしょ?」

「えー? 何も起きないだけで何かあったらすぐ行くよ? というか、一応PK數稼いでるの私なんだけど」

「それは……まあ、なんか、ねえ?」

「むぅ、まあいいけど。そういえば、これで何組目だっけ」

ハープにそう聞かれて私は初めて數え始める。數えてなかったのは、次どういう演技しようかな、とか考えてたから何組目とか頭に浮かばなかったからだ。

「えーっと? 昨日……五組だったよね。だったら、合計八組になるのかな?」

「いち、に……そうですね。八です、八」

「なんかもっとやってた様な気がしたんだけどね。そんなにやってなかったんだ」

的にはもう二桁は越していた様な気がして、割と満足していた方だったからね。

「そうは言ってもユズさん。一組平均三人程度だったので、導したとはいえ普段から見れば相當な數じゃないですか?」

「そういう見方もあるかぁ……ん、そういえばハープ。また何処か行ったりしないの?」

「あれ? もういいの?」

「うん、それなりに満足出來たからね」

「そっか。でもね、なーんか意味無い様な気がしてきたんだよね」

「珍しいですね。ハープさんがそんな戦闘に対して消極的になるなんて」

「……なんでユズにせよケイにせよ、私がそんな戦闘狂みたいな言い方するのかなぁ?」

「まあまあ。それで、どうして?」

「ああ、うん、えっとね。ほら、中間発表あったじゃん?」

中間発表は三日目の朝、つまり數時間前に発表され、擬似石像破壊數、PK數、総合の三つで分けられたのだけれど、私達は二つ目のPK數で勝負したつもりだった。

割と私達よりも勢力の大きな中規模ギルドを沢山攻めた様な気がしたんだけど、やはり見張りを一人置いて実質二人の私達では大・中規模ギルドには勝てなかった様で上位十位以にはっていなかった。

「って訳だからさ。今回のイベントは前と変えてさ、もっと楽しんで行こうと思うんだ。あ、別にユズのせいじゃないから、安心して?」

因みに『騒ノ會』は総合で一位だった。

ほんと、流石ブラストさんやシェーカさん達だ。

「俺達もこういうことになる可能を考慮して賛したんですから」

そういえば一応私も団長なんだよね。あー、いつかブラストさんみたいなしっかりとした形の団長さんになりたいなぁ。

「うーん……」

でも、『和みの館』の方針的にもメンバー的にもそんなじになれることは無いかなぁ? あぁ、別に悪い意味で言ってる訳じゃなくて。

「……ユズさん?」

「えっ? ど、どうしたの、ケイ君」

やばい、聞いてなかった。ハープだけじゃなく、珍しくケイ君もじとーって見つめてくるよ!

「これは……聞いてなかったみたいですね」

「なんかし俯き気味だったから心配したけど、無駄だったね」

「そうですね。でも落ち込んで無くて良かったです」

「ねー。ユズは落ち込むよりかはいつも通りの方が良いし」

「え? ちょっと待って、二人共! 何話してたの?」

「まあまあ。それより、この後どうしますか?」

なんか誤魔化された。それにしても何話してたんだろう? 凄く気になるけど仕方無いや。

「うーん、攻めるのはもういいって言ったし。うーん……って、あれ?」

話し合いを始めたと思ったら、ハープが突然何かに気づいてウィンドウを開き出した。

「どうしたの?」

「…………シェーカさんからメッセージ屆いた」

「それで何て書いてあるの?」

「えっと、『今から皆で行くわね』だそうよ」

「え……えっ?」

それって、つまり皆ってことは、第一位さん達が攻めてくるってこと? し驚いて二度聞きしてしまった。

「『あの人もいるわよ』……ってことは、ブラストさんもいるってことだね」

……これは々、いや、かなりキツい方だと思う。協力関係にあった、というか今でもそうだけど、面と向かって敵対したことは今まで一度たりとも無い。協力関係にあるが故に力の差はよく理解してるつもりだったから、そういうことはなるべく避ける様にしてきた。

勿論、今回迷路を作ったことは伝えていない。あの人達的に數を多數で嫐る様なことはしないだろうから、多分作ったことを知ってのことだとは思うけど…………でも何処から察知したんだろう?

「ま、まあ、今からって言うくらいだからまだ大丈夫なんじゃない?」

「っと……殘念ですが、そんなに悠長にしていられないかもしれません」

私がしでも楽観的に見ようとしていると、いつの間にか何処かへ行っていたケイ君が戻ってくると同時にそんなことを言うのだった。

「ケイ、どういうこと?」

「はい。ちょっと嫌な予がしたので見張り臺まで行ってきたんですがね?」

「ま、まさか……」

「ええ。遠い上に壁やあっちの見張り臺などで見えにくくはありましたが四人程いましたね、それもり口の方に。それで遠見のスキルでも使っているのかそのの一人がこちらに手を振ってきました」

ケイ君はブラストさんやシェーカさんと直接會ったことは無いし、私達には遠見系のスキルは持ってないため、それがシェーカさん達かはわからないけどこんな所にわざわざ自分達から來る人といえば極小數に限られる。なので、それらはもうシェーカさん達ということでいいのだろう。

「それにしても四人か……どうせそれだけでも私達を二桁くらい倒せる戦力なのよね」

「やはりハープさんやユズさんがそう言う程度にはブラストさんやシェーカさんという方は強いのですね」

「そうね。ユズを恐怖の魔と言わしめたあのイベントの時でさえ、ブラストさんは上回って一位だったんだから」

なんだろう、もう恐怖の魔って言われても何とも思わなくなってきた自分がいるんだよね。あはは……もう本當に恐怖の権化と化そうかな?

「とにかく、早く準備しなきゃ。ほら、ケイ君、ブラストさん達の場所は?」

「え、あっ、はい! たった今り始めた所らしく、最初の角を曲がった所です!」

「ありがとう。それじゃあ、二人共、わざわざ來てくれたんだからいつもよりちゃんとおもてなししてあげるよ!」

「勿論です」

「りょーかい!」

あの人達なら真っ向勝負にせよ罠にかけたにせよ、あまり効かないんじゃないかとは思うけど、まあそこは……ね? 大丈夫、何とかなるでしょ!

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