《極寒の地で拠點作り》第二回イベント その九

「はぁぁ……ほら、挨拶だよ。あーいーさーつー」

「リンちゃん!?」

長いため息をついて苛立ちを見せる男もそうだけど、それに対して怯えるリンちゃんが気がかりで……というより、やはり何故リンちゃんがそんな所にいるのかという方が驚きで私は聲を上げた。リンちゃんはというと、怯えながら私達に挨拶してきた。

「っ……み、皆さん……お久しぶり……です」

「それだけでいいのか?」

「ひっ、あ、はい……」

「そうか。それじゃあ暫く黙ってろ。いいな?」

すると、その男は視線をリンちゃんからこちら……えっ、私? 私に向けてきた? かと思えばハープに、そしてクアイさんと無言で移らせていく。何してるんだろう、と私が思っていると、突然にやにやしだして再び私に視線が戻る。

すると、男は何故か私の方に歩いてきた。私は構えたが、もうMPもそれを回復するポーションも今回は殆どケイ君に渡しちゃってて殘っていない。それに何をしでかすかもわからないし、下手にけばブラストさんの様に破される。何よりリンちゃんが危ない。だからき一つ取らなかった。

けれど、そんな私の前にハープが飛び出してきた。

「ハープ……」

「大丈夫よ、ユズ。それでアンタ、一何の用? こんなことしてどういうつもりよ」

「…………」

ハープの制止にも無反応のままだった。一瞬、無表になりかけたが、また気持ちの悪い笑みに戻ってきた。

「何とか言いなさ……っ」

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苛立ちを越えて気味悪くも見えてきた頃、しびれを切らしてハープが男に言葉をぶつけた……が、その言葉は最後まで続かなかった。ハープは手で頬を抑えてよろめく。

「痛っ!」

「ハープさん!」

「お前は黙ってろっつったろうが!」

同じ様なことを経験したのだろうか、リンちゃんがハープを心配するような聲でぶ。それを怒聲で遮る男にもイラッと來たけどそれよりも、

「だ、大丈夫!?」

「ったぁ……」

どうしたことだろう。ハープは本當に痛がってる様に見える。痛覚は抑えられてる筈なのにどうして?

「はは! やっぱイイ反応だな! なぁ、リン?」

「ひぁ……」

謝してもしきれないな。俺から逃げたと見せかけてこんな良い代を集めてただなんてな」

「そんな、つもりじゃ……」

リンちゃんは男の言によって苛まれてる。悪いのは、私達をいつの間にか扱いしたりハープを毆ったりして苛つかせるこの人が悪いんだ。自分を責める必要は無いよ。早く安心させてあげなきゃ。

「おい……そこの屑……」

「……あ?」

すると、この者以外で唯一のメンバー外であるせいか今まで口を閉ざしていたクアイさんがその口を開いた。相変わらず開口一番に出てきた言葉は流石と言うべきか、なかなかに強気なだった。

「お前……チーターだろう……」

「えっ?」

チーター、というとチートを使う人のこと? 私には縁が無いからわからないけど、多分そういうことだろう。

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「あー、気づいちまったかぁ」

「馬鹿が……痛がり合で……すぐにわかる……」

「なっ!? そんなの、規約違反じゃない!」

毆られながらもより一層睨みを強くしてそう言うハープ。そして、クアイさんは更に続ける。

「それだけじゃない……」

「……」

「そのチート……痛覚抑制解除だろう……タチが悪い……」

痛覚抑制……無効? それってつまり、毆られても刃で切りつけられてもこのゲームのその機能が無効にされてるから、現実と同じ痛みになるってこと? それを認識した時點で、私は初めて恐怖をじた。

「あーあ、よく知ってんなぁ…………そうだよ、悪いか? そうじゃねぇと、ちゃんと痛がってくれねぇじゃんか、なぁ?」

「ひぁっ……!」

男が見遣ると怯えだしたリンちゃん。そんなことになっているのはきっとそういう行為をけたからだろう。それを思い出したに違いない。

「っ、屑が……規約違反どころか……犯罪……」

「結構結構。ソフトの方は運営仕事しない割にしっかりしててなぁ……幸いなことに、対してこのハードがそこんところ甘かったみたいでそこだけは助かったがな。まあ、手にれるのもれるのも苦労したぜ」

犯罪、というからにはよほど危険なだと窺える。確かに、痛覚がリアル並みになっちゃうとリアルのにも影響を及ぼしそうな気がする。

そして、あまり想像したくないけどリンちゃんが離れていたこの期間、その苦痛をけ続けていたという可能は様子から見るに十二分にあると言える。

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「このロリコンが……お前の苦労なんて知らない……」

「ロリコンじゃねぇよ。俺はな、が苦しんでるのを見るのが好きなだけだ。かろうが大人だろうが関係無い。公平だろ?」

「公平だと……? 自己中のド屑野郎がよく言う……」

さっきからクアイさん、相當に屑とばかり罵っているけどそれ程までに怒っているのだろうか。

私達とはここが初対面、だから私達に対するというよりはするとつまり、邪魔されたからになるのかな……何気にケイ君以上の罵り合になっていると思う。素でコレかもしれないけどね? まあ、私達と同じくこの男に対して嫌悪を抱いているのは確かだ。

とりあえず相手が脅威な分、抑えるべきかもしれないけど気持ちの方で負けてたらそれこそ終わりだから、これくらいが実際丁度いいのかもしれない。

「おうおう、さっきから屑だの何だのんなこと言ってくれるじゃないかよ。いいのか? そんなこと言っちまって」

「ふっ……今更何を言っている……毆りだろうが蹴りだろうが……當たらなければ……どうということはない……それに発だって……あの威力じゃ苦しむ以前に……消えてなくなるだろう?」

そんなことを考えた所で男は脅す様なことを言ってきたけど、そこはクアイさん。いつも通り全然怯まない。それどころか、フードの奧に見える表、これはし笑っている様にも見えた。

「あーそうかそうか…………ん、そういやお前もなかなかイイ聲してるよな」

「何をいきなり……っ! ケイ、私から離れろ!」

「え……?」

……だけど、今回はそれが悪い方向へ行った。

男が話を変えたかと思った次の瞬間、辺りにと先程よりかは小さめだが音が響いた。

「……っ!!? あああッ!!」

「クアイさん!?」

「なーんか、勘違いしてないか? この発、規模を抑えることも出來るんだぜ?」

収まったの発生源の方を見てみると、そこには倒れ込んで左足を押さえてぶクアイさんがいた。

「え……? 何が……」

ハープも固まって驚いている。だってそうだろう、會ってからまだほんのしだれども落ち著いた印象で通っていたのだ。今の豹変した様子は私達に衝撃を與える。

ただ、疑問はある。このゲームでは、勿論の事、は刃で切斷しようと思えば切れるし、かなり強いATK値で衝撃を與えれば千切れることもあった。クアイさんには悪いけど、だったら何でその左足は無傷なんだろう。その答えはすぐに男からなされた。

「な、あッ……」

「おいおいおい、さっきの威勢はどうしたよ? お? 因みにな、今更だから言っちまうがこの発技も外部から手にいれたモンなんだよ。でも、こっちはいいんだ。本題は痛覚抑制無効で、もう製作者さんは相當にイイ格してんだろうな……対象が破損するレベルの衝撃が加わっても壊れないように出來る機能が付いてるなんてな。あ、ダメージは勿論通るから防には使えないけどな? 正に痛めつける為だけにある機能って奴よ!」

「クアイさん!」

「因みに発技の方も非正規なだけあって、さっきみたいに規模も抑えるが痛みはそのままにダメージを抑えるからな。擬似発と言ったところか。それこそ神がやられるまで幾らでも楽しめるぜ!」

ははは! と大きく笑いながら、常人には到底理解出來ない言葉を羅列する狂気的な男にいよいよ我慢出來なくなってくる。でも、下手にいたら私も同じ様に破される。そんな懸念が私を足止めする。今回ばかりは行き當たりばったりは駄目だ。私の安易な考えでリンちゃんを危険に曬す訳にはいかない。ハープもケイ君も同じ様に策が無いのか、けずにいる。

というかそもそも、仮にけたとして終著點が見えない。さっき男は、『俺から逃げた~』と言っていた。それで、何となくだけれど男とリンちゃんの間にはそれなりの因縁がある様にじられる。そうなると、仮にこの件が終わったとしても男は執念深くリンちゃんを狙ってくるかもしれない。だとすれば、男をここで完全に無力化する必要がある。

完全な無力化……々ある。ここで改心させる、チートを使えなくさせる、アカウントを停止させる等々あるけれど、どれも私達にはキツいは沢山ある。

「こんなことして、こんなに脅しておいて、私達をどうするつもりよ……?」

そしてクアイさんがあんなことになって、丁度私と同じく我慢出來なくなってきたハープは怯えている様な憤りをじている様な、泣きそうな震えた聲で問うた。

「んー、どうしてしいんだ? 毆ってしいか、暗闇に放置されたいか、はたまたリアルでされたいか? 順次レパートリーは増やしていくつもりだから期待していいぞ」

その問いにさも愉快そうに選択肢を並べてにやにやする男に、更により一層嫌悪じる。

ここでこの人の言いなりになって奴隷同然のになるつもりは無い。かと言って一応、神様のこの力も規格外なではあるけれどチート能力には到底及ばないと思う。

「……っはは! じゃあ早速、お前ら、俺の下へ來い。ほら、勧送ってやるから……當然、拒否権は無いからな?」

沈黙した私達を見て気分が高揚してしまったのか、男は吹き出す様に笑い出してから倒れ伏すクアイさんを見遣る。つまり『団しなければ、破する』、そういう脅しだろう。

どうしよう…………こう々冷靜に考えている様に見えるだろうけど、私だって怖い。痛い思いはしたくないし、逃げだしたくなる。けれど、皆を守らなきゃって思う気持ちもある。私を守ろうとして私の前に出て一番近くで男と対峙しているハープだって怖い筈だ。

私もハープを、皆を守ってあげなければ……でもどうやって?

もう選択の余地は無い。

「おいおい、どうしたよ。早くお前らのギルド抜けろ。ああはなりたくないだろう?」

「いやっ!」

「……いい加減、大人しくしろっ!」

男に迫られるハープは抵抗しようと、を押しのけようとする。しかし、それがまた男を苛立たせたらしく手を振り上げる。

「させないっ!」

私は反的にハープを庇おうと走る……が、その手がハープの頬を叩くことは無かった。

「ってぇ……」

「……その辺にしときなよ」

振り上げた男のその腕には何処かで見た様な短剣が深く突き刺さっていた。それが何処から飛んできたなのか、見回しているとまたまた何処かで聞いた様な聲が聞こえてきた。ただ、それは聞き覚えのある聲よりも若干低くなっていたけれど。

「理沙、てめぇ……!」

男が理沙、と呼んだ。確かにそれは、二本の短剣を腰に差す、あの目立つ白髪とも銀髪とも取れる髪、リザだったのだ。

「リンちゃん、大丈夫? あのギルドにいた時みたいに痛いことされてない?」

「え? あ、はい、まあ……あの、えっと? あの時って……」

「おい理沙、聞いてんのか!」

ってきた所、つまり発で空いた迷路の壁の。そこから出てきた彼はそこにいたリンちゃんを心配して聲を掛けた。その言葉の中で、こんな時ながらも私はほんの小さなことが気になったことがあった。

『あのギルドにいた時』というからには、リンちゃんと前に何かあったのかもしれないけど、谷底の窟の時も會ってるからこれが初対面でも無い。話す余裕もあった訳だけど、あの時一言二言の挨拶程度の會話しかせず、流のあるじでもなかった。

態々掘り返すものじゃないのなら納得出來るけど、それでも前にも會っているならやっぱりあの時全然話さなかったのは不自然だ。

リンちゃん自もよくわかっていないらしく、それについて問うたけどそれは男の聲に遮られた。

「おっ、と。リアルネームをこの世界で口にするのはタブーだよ? ま、リアルでも會ってなかったからね。それだけ頭に來ちゃったってことかな?」

 

突然現れた顔見知りのは、ほぼ出會い頭に男に挑発的な態度で話し出した。

「……お前。あの時、脅してやった時から見なくなったと思ったらこんな所で出てきやがって……今まで何処に居た」

「このゲームの中? それともリアル? どっちでもいいけど。の危険をじたからね。暫く家を空けさせてもらったよ」

何されるかわかってるんだから當然だよね、と彼は続ける。

「……まあいい。それで、どうして今更ぬけぬけと戻ってきた? まさか、俺とやり合うつもりじゃないだろうな」

「そうだとしたら?」

「っはは! 冗談はよせ。お前が一番わかってる筈だろ? 俺には勝てないって」

「あはっ、ズルしてまで優越に浸りたいの? そんなこと、他所でやりなよ」

「俺をここで倒したって無駄だぞ? 死んでも何度でも來てやるからな」

「じゃあ、ここで拘束して運営に直接突き出してあげるよ。問い合わせで対応してくれなくとも街の運営直屬の施設に柄渡せば流石に対応してくれるでしょ」

さっきからの、『の危険』とか『脅してやった』とか男の怒り合、嘲笑を嘲笑で返す様な會話やらからは二人の間に因縁をじさせる。

そういえば、街にそんな所があったんだね。今度々文句言いに行こうかな。まあ、け付けの人が可哀想だからやらないと思うけど。

「……わかった。そんじゃあ、せいぜい苦しめ」

そしてそのり込む余地の無い危険な會話は、男の行で唐突に終わった。もう何度目かの発、その度に怖くなる。

「っ! 甘いよっ!」

リザを心配した所で彼はそれを何とか避けた。

「リザ!」

「大丈夫よ、ハープ。心配しないっ……で!」

ハープの心配する聲に返しながら避けるリザの技はなかなかので、何度も何度も繰り返される発を避けていく。

「クソがっ、さっさと當たれよ!」

「冗談言わないでよね。當たったら痛いことわかってるし……っ!」

互いに口撃し合いながら、リザは足下や避けた方向に來る発を何処に來るかわかっているかの様な様子で、それをアクロバティックなきで回避する。

AGI値こそハープには負けるだろうけど、リザは死線をかいくぐってきた様な舌を巻くきでどうにかやってる。だから、あの初対面の時もハープと張り合って、漫畫でも見てるみたいな短剣の捌き合いが見られたのだろう。あと、短剣だけで闘うハープに対してリザは時々蹴りとかれてたし、こっちの方が何か本っぽかった。

ハープはどっちかって言うとその速さにシンプルにを任せるだけってじ……まあ、それが出來るのもAGIお化けのせる技なんだけど。

そんな、きが武のリザはそれに、と続ける。

「単調過ぎるのよ。相手指定してから発するんじゃなくて、狙った所にっていう設定の技だったのが裏目に出たね。これじゃ、消費MP0でも意味無いね」

「うるせぇ! 死ねッ!」

「はいはい」

と、ここまで聞いて多分そうだろう、と思ってた。リザ避けちゃってるしね。さっきも思った通り、それでも避けられるのは凄いことなんだけど。

それからこの発技、MP消費しないんだね。これだけ大規模な技を連発しといて弾切れにならない時點で気づいてた。更にだけどこの技、見てる限り同時発出來ないみたい。発増やしていけば私達やリザは危なかったかもしれないけど、さっきからずっと片手の掌のみをリザに向けて多攻撃速度は上がろうとも同時までとは至らない。やはり、一発ずつしか撃てないらしい。

「ほい、っと!」

「くっ……そがァ!」

そうこうしている間に、片方の短剣を投げて男の腕に掠るくらいの余裕が出てきた。

狀況はリザの方が明らかに有利だった。

しかし、今回は男の無力化、つまり倒すことが目的では無いのだ。ここからどうするかが問題だ。リザも何か手があるんだろうけど、それをするにも私達もかなければいけないだろう。

私がそうやって々考えながら、不意にリザの顔に注意して見ると私を見てにやっとした様な気がした。

「えっ、私?」

私は自分に人差し指を向けて確認するけど、確かにそうだとリザは目で言っている。どういうことだろう、としおろおろしていたけど、とりあえず手を貸せってことだろう。でも、方法はすぐに思いついた。いつも通りのアレで行こうと思う。

「『闇の眷屬』」

まず、いつの間にかいなくなっていたシャード君を呼ぶ。シャード君は、目的を達するかログアウトするか倒されるかするまでいてくれるから、なかなかMPに優しいと思う。さっきまでのは、ケイ君に加勢して、と頼んだだけだったのでそれが終わった今はいなくなっていた。

「……!」

そして、ハープにも手伝ってもらう。容は、なるべく男に気づかれないようにしたいのでウィンドウを最小サイズにしてメッセージで送る。

「……うん」

幸い、戦闘に集中していてヤケになり始めている男には、し下を向いて手をかしている程度の作は気にもされなかったみたいで助かった。

あとはハープの影にシャード君にってもらって……

「よろしくね」

「りょーかい」

「……!」

ハープは振り向かずに私に応え、シャード君に至っては影から手だけ出してサムズアップしてる。

よし、準備は整った。私は次に目線を寄越してきたリザに頷いて返す。するとリザは、私達の反対側に移して男の向きと発を導する。

「『地』」

その途端、ハープは技の名前を呟くとその場から姿を消した。前を見ると、男の背中に思いっきり激突してる所だった。

「なっ……!」

その速さは押し殺すことが出來ずによろけさせるどころか吹っ飛ばしてしまった。吹っ飛ばされた男がけなくなっている間にシャード君は男の影に移った。

この技を実際に見るのは初めてだけど、ケイ君やリンちゃん、痛みから何とかして立ち直ったクアイさんが驚いて見ている通り結構兇悪な技だと思う。だって離れていれば離れてる分だけ速度が上がるっぽいんだもん。

それからは早かった。うつ伏せで倒れる男が起きる前に馬乗りになって腕を後ろ手に、且つ掌を自分の方へ向けないように拘束して、足をシャード君が摑んでリザが肩を抑える。

「さて、大人しくしてよね」

「このっ、離せ!」

「やだ」

完全に抑え込まれた男は観念する様子を見せずにどうにか暴れてみせようとするけどやっぱりジタバタすら出來ないみたい。

「それで? このけない狀態でどうしようって言うの?」

「くっ……」

「ほら、さっさと運営に柄引き渡されて、リアルでもそれ相応の罰を食らってきなさいな」

さっき、クアイさんが言った通りなんだけど、やっぱり男がやった様なことは現実世界で罪になるっぽい。

後で聞いた話で、クアイさんが何歳なのかは知らないけど、私がまだVRに関心がなかったけれどしは覚えてる、こういうVRゲームが発達してきて覚もリアルになってきた頃に作られたその法律では、現実世界のに害を及ぼす様なゲームの行為はじられている。

ここで言う痛覚抑制無効は、頭の方に悪い影響を及ぼすらしい。まあ、そうだよね。破される痛みをもろに食らうんだし。そうじゃなくても単純に痛いし。

「……俺は」

「は?」

「俺は、まだ……この程度では……!」

そうして、大人しくなったかに思えた男が今度はそんなことを口走り始めて心底呆れる。なんというか、往生際が悪い。

しかし次の瞬間、事態は大きく変わることとなる。

「何を言って……ッ!?」

「えっ、この音……」

辺りに響く発音と崩れる様な音。

これは、もしや……

「皆! 逃げ――――」

そう、私がんだ瞬間…………地面が、割れた。

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