《極寒の地で拠點作り》ずっとクアイさんのペース
「もう、ハープのあの音消す技、パーティ全員にかかればいいのに」
「それやったら々強過ぎない?」
「そんなこと言ってたら二人共、既にチートじみてると思うんですが……」
「わっ、また靴が……た、助けてください」
愚癡を零しながら地面をズボズボ言わせて進む私達が居るのは柵の側だ。こんなでも、ギルドホームの敷地だと言うんだ。全く不便って言ってたらキリが無い。
いつか私達のギルドホームがダンジョンと化してるかも…………って思ったけど、吹雪、迷路、落としに神攻撃のもや、加えて突然現れる谷の様な大。特徴だけ並べると、既にダンジョンな気がしてならない。
そんなダンジョンスレスレのマイギルドホームの庭を抜けるのは、騒ノ會へと向かう為だ。今回の訪問はエンブレムの柄の由來を聞くことが目的だ。そんなの、メッセージ送って解決すればいいと思うかもしれないけど、やっぱり會って話したいからね。ここ最近會ってないし、良い機會だと思う。
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「あー、埋まって……いや、大丈夫か」
最短の出口となる南側の抜けはり口の所が下に深くなっていたせいで、ること自は出來た。
「気をつけてね。足掛けたりする所あるけどりやすいと思うから」
「うん、わかった」
そう言われて気をつけて降りる。所々危なかったけれど、何度も通った道だから殆ど問題無かった。
全員が降りたことを確認したら川辺の出口に向かう。さて、ギルドホームレベル上げてから南側行ってないからわからないけど、何処まで積もってるのかなぁ?
出口は絶対積もってるとして、川まで範囲だったら嬉しい。だって態々迂回する必要も橋を架ける必要も無くなるもん、って思ったのだけれど。
「しかし、危なくないですかね。川の表面だけしか凍ってなくて、表面の氷を踏み抜いたりしたら大変ですよ。ゲームの中とはいえ溺れるのは怖いでしょうし」
と、ケイ君に指摘されてしまった。こればっかりは正論だし、危険さを抜いたとしてもいちいち落ちるのは良いことじゃない。
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比較的淺い川とは言っても、こうすることでリアルでも気をつけることが出來るようになるとも思えたので、ここはケイ君に賛して大人しくいつもの場所から渡ることにする。
「あっ、やっぱり埋まっちゃってますね出口」
何処から渡るかの話をしていたけれど、実際まだ抜けを抜けてすらいない。で、その出口が雪に埋れちゃっているのでここはシャード君に頼もう。
ギルドホームの建つ地面とは高低差があるせいで結構積もってると思うから、ケイ君のスキルじゃなくてシャード君の方が良い。
「……!」
「うん、宜しくね」
とりあえず右側に向かって掘ってもらう。範囲外に出てしまえばそれでいい。
最初、トンネルみたいになるかな、って思ってたけど天井落ちてきたら大変ってことで上も掘って崩してもらった。
幅は二人る程度にはあって、高さは背丈以上ある雪の壁の間を通り、ようやく抜けることに功した。シャード君、なんかもう戦闘よりこういうことで使うことの方が多い様な気がしてきた。
シャード君を引っ込めた後は、例の如くカーブで渡り東へ向かう。その途中、南側の範囲を確認したけど川より南にしの所までで、森にギリギリ差し掛かるか否かくらいだった。
道中はいつも通り何も起きず、弱い敵モンスターが私達を見て逃げるくらいだった。疲れてる時とかにキツいの來るならこういう時に回してほしいのになぁ。
「んー、と。あ、旗見えてきたね」
飽きるくらい変わらない緑に突如として現れる赤背景のフラッグ。相変わらずわかりやすい。
「やっぱり背景にせよ、って大事ですよね。印象がそれで決まったりしますから」
「それなら、ユズのアイデアでいいんじゃない?」
「私? 暖系ってこと?」
「そうそう…………あ、見張りの人だ」
「お前ら、何処の連中だ!」
こっちが哨戒中の団員の人を視認すると同時にあっちもこちらに気づいた様で、聲を荒らげて寄ってくる。割とピリピリしてるし、また最近何かあったのかな。
「あー、ブラストさん達に用があって……」
「団長にか? お前らいったい……ちょっと待て」
私がブラストさんの名前を挙げると、より警戒を強めてきた。なんか狀況がデジャヴだし、あの時みたいに、連絡済みなのに予定は無いって言われたらどうしよう?
でもそれは要らぬ心配だったらしく、私達の前でウィンドウを開いて暫くすると確認が取れたとのことで、聲の調子も穏やかになった。
「失禮した。魔の噂は聞いていたが、こんなの子だったとは」
「ああ、いえ。大丈夫ですよ」
私達、割と騒ノ會と流があるつもりだけど、直接流があるのはブラストさん達上層部のそのまた一握り。対して所屬プレイヤーは三桁臺だ。例外はあるけど、実際會ったことの無い人は多く、私のことをちゃんと知る人はない。それに加えて変な噂がひとり歩きしてるせいで、更にイメージのかけ離れが加速する。
そうしてその見張りの人に連れられて騒ノ會ギルドホームへと向かい、門番の人に挨拶をして庭の魔法陣に乗る。ここは相変わらずだ。
「お、來たか」
眩いが完全に掻き消えた後、聞き覚えのある聲が聞こえた。その聲の主がブラストさんだとわかり、客間には他にクアイさんが既に座っていた。
「うっ」
「なんだ……ケイ……その目は」 
意外な組み合わせだと思ったけど、これでもまだクアイさんとは二度目だ。よくあるのかもしれない。
で、そのクアイさんは早速ケイ君で遊んでる。格好としては私と似た雰囲気のローブで、いつも被ってるフードの奧から不敵な笑みを浮かべてケイ君を見ている。
「ふふ……私に會いに來たんだろう……嬉しいぞ……」
「えぇ? まあ、會いに來たと問われれば……間違いではないですが」
「なら、私の為だけに……ここまで來たと……素直に言えば……良い……」
「え、えぇ? そんな言い方で? ……く、クアイさんのた、為……だけに、ここまで! えーっと……」
ケイ君困ってる困ってる……! クアイさんも好きだなぁ。
そして、こんなやりとりをしてるんだから決まって仲裁がる。
「ほらほら、やり過ぎだぞ、クアイ」
「そう……? ケイはまだ行けますよ」
「なんで勝手に……」
訴えるケイ君を置いてブラストさんは、そうじゃないと応える。
「後ろだ」
「後ろ? ……ああ」
ブラストさんの促しで皆振り返る。皆と言っても一人を除いているけど。
まあ、そこには納得の理由があったよ。
「…………」
「リンちゃん! 顔! 顔怖いよ!?」
「ふぇっ!? わ、私、今まで何を……!」
どうやらボーっとしてたらしい。何を以てボーっとし始めたのか、何を考えてたのかはこの際考えないことにする。
それにしてもかなり怖かった。不機嫌っぽい時ならいつも、『むぅ』ってじなのに、今回はそれすら無かった。
「そういうことだ。これ以上は止めておけ。この覚は…………アイツと居るとよくあることだからな。ケイ、気をつけろよ」
「え? あ、はい」
「納得した。この辺で……止めにする……」
アイツって誰を言っているのか、想像に難くない。多分皆同じ人を考えてる。
「さて……んじゃ、気を取り直して。今日はウチのギルドのエンブレムについて、だっけ」
「はい! 宜しくお願いします!」
「お、おう……」
私が意気込んで返事をすると、し困った様な顔になってしまった。
「団長……そこまで深く……考えてない……」
「おまっ、そんなこと言うもんじゃ……!」
「そうなんですか?」
「うぐっ」
リンちゃんからのトドメを刺されたブラストさんは一瞬唸り、押し黙った。
「……ああ、そうだ」
長い靜寂の後、それを破ったのはブラストさん本人となった。
「ふふふ……団長……期待背負って……このザマ……」
「煩いな。ま、アレだ。ウチも最初っからこんな大ギルドだった訳じゃないから、強く見えるようにそれっぽく、な」
「それであんな……背景を赤にキメラみたいなを描いたって訳ですか」
「クアイも含む十數人の初期メンバーの、絵の上手い奴が居てな。そいつに任せたらあんな國旗っぽくなったんだ」
「詳しくは……『騒ノ會の興亡』……って本があるから……それで……」
「あ? そんなのあったっけか。それから言っとくが、まだ亡びてないからな」
俺のギルドを過去のにするな、とブラストさんは言う。
「ふふ、冗談……騒ノ會は……永遠……」
「あ、本自はあるのね……」
そんなじで今回の訪問は終わった。
短かったけど、あっちは忙しいだろうしこれくらいが丁度良いでしょ。
「すまんな。シェーカもサラも、今は遠出しちまっててな」
「そういえばまた哨戒の人が警戒心剝き出しにしてましたけど、何かありました?」
「……いや、特に何も無い。いつもの小競り合いがちょっと大きくなっただけだ」
やっぱり踏み込んでしくないらしい。この前は結果として巻き込まれる形で協力出來たけど、あの時も巻き込みたくないって言ってたし、ギルド同士の関係として個人的なで踏み込むべきじゃないのかな。勝手に介して不利な方向に進まないとは限らないし。
とりあえずここは引いて、別れを告げる。
外まではクアイさんが見送りに來てくれた。
「ケイ達は……次……何処に行く?」
「あー、えっと……何でしたっけ」
「そういえば! あれだけ流があるのにギルドの名前知らないや」
「あの人がカナカって名前だってことも前回知ったんだもんね」
更に私達は、あの時フレンドになることもしなかったからそこから調べることも出來ない。そしてフレンドじゃないので連絡が出來ないことも今気づいた。一応カナカさんとラギさんについてクアイさんに聞いてみたけど、
「すまないな……私も……知らない……」
ってじでやはり頼りになるのは私達の記憶。
だいたい何処ら辺にギルドホームがあったか、それを引き出す。西の方って言うのは覚えてるけど森は広いから、谷の所の分かれ道から辿る必要があるだろう。なんかもう、ほぼ覚頼りになりそう。
さて、聞くことも聞いたし、立ち話続けるのも悪いからそろそろお暇しようかね。
「突然のお願いでしたが、今回はありがとうございました」
「構わない……どんどん聞きに來てくれた方が……団長も喜ぶから……」
「シェーカさんとサラさんにも宜しくとだけ」
「ん……わかった」
そうしてクアイさんにもさよならして、一旦お晝を食べにログアウトしてからカナカさんとラギさんの所屬するギルドのギルドホームへ直接向かうことにした。
【書籍化】【SSSランクダンジョンでナイフ一本手渡され追放された白魔導師】ユグドラシルの呪いにより弱點である魔力不足を克服し世界最強へと至る。
【注意】※完結済みではありますが、こちらは第一部のみの完結となっております。(第二部はスタートしております!) Aランク冒険者パーティー、「グンキノドンワ」に所屬する白魔導師のレイ(16)は、魔力の総量が少なく回復魔法を使うと動けなくなってしまう。 しかし、元奴隷であったレイは、まだ幼い頃に拾ってくれたグンキノドンワのパーティーリーダーのロキに恩を感じ、それに報いる為必死にパーティーのヒーラーをつとめた。 回復魔法を使わずに済むよう、敵の注意を引きパーティーメンバーが攻撃を受けないように立ち回り、様々な資料や學術書を読み、戦闘が早めに終わるよう敵のウィークポイントを調べ、観察眼を養った。 また、それだけではなく、パーティーでの家事をこなし、料理洗濯買い出し、雑用全てをこなしてきた。 朝は皆より早く起き、武具防具の手入れ、朝食の用意。 夜は皆が寢靜まった後も本を読み知識をつけ、戦闘に有用なモノを習得した。 現にレイの努力の甲斐もあり、死傷者が出て當然の冒険者パーティーで、生還率100%を実現していた。 しかし、その努力は彼らの目には映ってはいなかったようで、今僕はヒールの満足に出來ない、役立たずとしてパーティーから追放される事になる。 このSSSランクダンジョン、【ユグドラシルの迷宮】で。 ◆◇◆◇◆◇ ※成り上がり、主人公最強です。 ※ざまあ有ります。タイトルの橫に★があるのがざまあ回です。 ※1話 大體1000~3000文字くらいです。よければ、暇潰しにどうぞ! ☆誤字報告をして下さいました皆様、ありがとうございます、助かりますm(_ _)m 【とっても大切なお願い】 もしよければですが、本編の下の方にある☆☆☆☆☆から評価を入れていただけると嬉しいです。 これにより、ランキングを駆け上がる事が出來、より多くの方に作品を読んでいただく事が出來るので、作者の執筆意欲も更に増大します! 勿論、評価なので皆様の感じたままに、★1でも大丈夫なので、よろしくお願いします! 皆様の応援のお陰で、ハイファンタジーランキング日間、週間、月間1位を頂けました! 本當にありがとうございます! 1000萬PV達成!ありがとうございます! 【書籍化】皆様の応援の力により、書籍化するようです!ありがとうございます!ただいま進行中です!
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