《BioGraphyOnline》第八十一章 BGO起初日

草の匂いが鼻の中に充満する

確か俺は・・・

「!?」

急ぎ空を見上げる

そこには無數の目・・・等全く存在しない青空が広がっている

「ここは・・・」

我に返った俺は人混みの中にログインしていた

何も変わらないBGOの世界・・・だが一つ違和じる・・・

「始まりの草原にこんなに人がいるなんて・・・」

周りにはボロボロの服を著た大量の人

周りの視線は俺に集中している

現在俺は現実世界で來ていたパーカーにジーパン姿である

急ぎアイテムストレージからローブと著ると目元まで隠す

ボロボロ服の中にローブ一人というのも目立つが先ほどより若干視線を浴びなくなった

「それにしても・・・ここは・・・過去・・・なのか?」

だとしたらここはどの時間軸なのだろうか?

呆然と歩き始めた俺は歩く人に肩をぶつける

「あ・・・ごめんなさい・・・」

「いや・・・僕のほうこそ・・・失禮しました」

ボロボロの裝備を纏う青年に誤りながら・・・

あれ?

「ランズロットさん?」

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「え?はい!そうです!」

そんな返事をするランズロットさんは何をしているのかその場で駆け足をしている

俺の視線を疑問に思ったランズロットは小首を傾げ・・・

「ああ!このゲームは最初の行でスキルが決まるらしいんですよ!」

「それで・・・?」

「ほら名前の通り僕はこの世界を走り回る・・・シーフをやってみたいんだ!」

・・・!?

円卓の騎士団というクラン名にわされていた

「ランズロットってそっちの意味かよ!?」

俺は思わずつっこみをいれる

「な!?うわぁぁぁぁぁ!?」

「あれ?」

俺のつっこみをけたランズロットが吹き飛んで人混みにダイブする

周りの冒険者達が何事かとざわざわこちらを見ている

そんな様子を眺めつつ事態についていけず混する

ランズロットさんはなくとも最強の防力を持っていて・・・

徐々に広がる周りのヒソヒソ聲と非難の目に頭の中で警報が鳴り響く

今はそんな事を考えている場合ではない!

初心者に肩がぶつかる→なんかいちゃもんをつける→毆って吹き飛ばす

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完全にチンピラじゃないか!?

「あ・・・いや・・・その・・・」

俺が弁明しようとあたふたとしていると一人の人影が俺達の間に割って

「そこの君!やめなさい!」

ボロボロの防を纏った緑の短髪に眼鏡をかけたイケメン

「私の名前はグレイ!正義の名の元に君の行は看過できない!」

「ぐれ・・・グレイ!?」

そこにはいつものだらけた顔等一切浮かべず、キリッとした顔のグレイが立っている

いや!?誰だお前ー!?

なくとも俺の知るグレイとは全く違うぞ!?

グレイは眼鏡をクイッとあげるとこちらを睨む

『いいぞ!緑の!やっちまえー!』

『キャー!カッコイイー!』

周りの冒険者達がグレイに聲援を送り

グレイが手で周りを制すとこちらに手を突き出す

ここでグレイを倒してしまっても構わんのだろう・・・?

だが完全にこちらが悪役・・・ここは・・・!

「・・・撤退!」

俺は人混みをかき分けながらその場を撤退する

撤退する俺の後方では

グレイがランズロットに手を貸している

「大丈夫かい?」

「ウホッ!良い男!は・・・はい・・・!何かお禮をさせてください!なんでもします!」

これから淡い語が・・・

そんな事は置いといて

俺は人混みから離れしばらくした所で小石に躓いて草原に頭からダイブする

痛みはない・・・そのままゴロンと上を向くと青空に向かって

「どうなってるっていうんだー!」

ここは過去の世界ではないのか!?

もしかしてパラレルワールド的なあれか!?

アイテムストレージから水を取り出し一気に飲み干すと混する頭を落ち著かせる

「落ち著け・・・COOLになれ・・・」

出會った二人を思い出す

二人は俺の知る格ではなかった・・・

そしてボロボロの服・・・初期裝備を著ていた

ステータスウィンドウを開き現在の時間を確認する

なるほど・・・

「ここは俺が初めてログインする前・・・それも急メンテナンスの前・・・」

俺が二時間のログイン競爭をしている時間だ

そういえば賢者もしばらくこっちの俺はログイン出來ないとかなんとか言ってたな

という事はグレイとランズロットさんもこれから何かあって格がガラッと変わったという事か・・・

もしこの仮説が正しかったら・・・

「これから急メンテナンス・・・」

あれ?急メンテナンスの時って俺どうなるんだ?

現実の世界に行くのか?それともこのままゲームにいるのか?

そんな事を考える俺の目の前には急メンテナンスのお知らせと表示される

「・・・何も起こらないな」

どうやらこのままゲームを続行するらしい

なんにせよ・・・

「疲れたー!!!!」

俺は草原に大の字に寢そべると杖を取り出し周りの風霊を束ねていく

急メンテナンス中、そんな事はないだろうが仮に休憩中に誰かに襲われないとも限らない

自分を中心に大きな竜巻を作りながら適當に風霊を遊ばせる

これで誰かに見られる事はないだろう

それに霊が大量にいるこの場所なら誰か近づいてきたらすぐにわかる

俺は空に手をかざし竜巻で遊んでいる霊を見ながら目を閉じる

「神復活までまだタイムリミットは沢山ある・・・」

しぐらい・・・休んでも良いだろう

々な事が沢山あったからか、次第に意識が遠のいていく

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空には無數の目がどこまでも広がっている

眼下の人々は恐怖し行く當てもなく逃げ

びとクラクションの音が鳴り響く中

一際大きな悲鳴があげた人が空を指さしている

上空の目が一斉に目を見開いたのだ

その瞬間左手に違和じる

「あ?え?」

熱したような熱さに自分の左手を確認する

気づけば俺の手が溶け始めている

その事を認知した瞬間尋常じゃない痛みが俺を襲う

「うわぁぁぁぁ!!!」

び聲と共に目が覚めた俺は杖を構えて周りを見渡す

空は晴天、太の日差しが目にり顔を顰める

覚醒するにつれて草花の匂いが鼻に充満していき、現在の狀況を思い出してくる

「夢か・・・」

夢の中で溶け始めていた手に力をれると何事も無かったように力が

隨分とリアルな夢だった

まるで・・・まるで本當に験したかのような・・・

俺は大きく溜息を一つするとアイテムストレージにれていた水を飲みほして、再度周りを見渡す

「それにしても・・・」

自分を中心に大量の霊が集まり大地が活発化

天高く竜巻がまいあがり、寢る前と後では地形が大きく変わってしまっている

自衛の為の処置だったが・・・

「まさかここまでなるとは!」

グラフ街の店通りを一人歩きながらこれからの方針を考える

最終目標としては賢者の言っていた冥府の神ハーデウスを仲間に引き込むといった所か?

「冥府の神っていうくらいだし・・・やっぱり冥界か?」

思い當たる場所があるとすればリッチーの住むネクロニアの扉の先だろう

リッチーはあの扉の先に生者は通れないと言っていたが果たして・・・?

ネクロニアに転移ポータルで行けるか確認する為マップを開く

「なんだこれ?」

マップはグラフ付近以外の場所は全て黒く塗り潰されている

これってまさか・・・

「まだ行った事がない場所になってやがる・・・」

な現実に溜息を吐きながら

アイテムストレージにリッチーの目玉ランタンとゴシックドレスがある事を確認する

「正直これを著るのは避けたいな」

前回の苦い思い出と共にゴシックドレスをアイテムストレージの奧に置くと

リッチーの目玉ランタンを取り出して腰にぶら下げる

さて・・・このまま出発と言いたい所だが・・・

グーという音と共にお腹をおさえる

ステータスウィンドウを見る限り俺の満腹度は一桁まできている

「まずら腹ごしらえだな!」

近くにあったサンドワームの焼きそば風と串焼きを買って歩きながら食べる

周りの新米冒険者が「うわぁ・・・」とか言いながらこっちを見ている

始めてここに來た時は俺も食べる気すらしなかったが

今ではこれがないと落ち著かない

「俺もこの世界に慣れてきたよなぁ・・・」

慨にふけりながら串焼きを頬張り店通りを過ぎると

城門前広場に辿り著く

ここでも始めたばかりの初心者で賑わっている

『おれ!いつかあの城に行くんだ!』

『いや!俺が先に騎士になってだな』

『え?俺もう城にったけど?』

『『『な・・・なんだってー!?』』』

そこには腹黒王子しかいませんよ?

そんな事を思いながら微笑ましいやりとりを眺めていると

広場の隅で壁に寄りかかっているライトブラウンの髪の男を見つける

「おーい、どうしたんだフーキ?」

話しかけられたフーキは一瞬誰の事かと周りを見て自分の事だと気づいたようだ

おっと!この姿でフーキと會うのは初めてになるんだっけ

フーキは急に話しかけられたからか怪訝な顔を浮かべている

「えーと、わいになんか用ですか?」

特段話す事も無かった俺はフーキのそんな反応を見ながら咄嗟に昔の俺を売る事にした

「フレンド登録してればフレンド欄から相手の場所特定できるぞ?」

フーキは顎に手を當てるとぎこちない作でステータスウィンドウをいじる

最初は不思議そうな顔だったが目的のものを見つけたのかどんどん顔が険しくなっていく

「アズめ・・・待ち合わせすっぽかしとるな・・・」

すまん昔の俺、恐らくこの後ジローとの出會いで散々からかわれる事になると思うが許してくれ

俺が目を閉じて心の中で黙とうをささげていると

フーキが俺の頭の上を見て頭を捻っている

「あーえーとNPCかなんかですかね?とりあえずありがとねアズちゃん」

そう言って俺の頭をでて立ち去るフーキの背中を見送ってツバを吐いておく

やはりやつはロリコンに間違いない俺の第六が告げている

「そういえば現実で馬鹿兄と一緒に東京スカイツリーにいたな・・・」

元の時間軸に戻ったらどういう事なのか二人を問いたださなくてはならないな

いや?そもそもいつからなんだ?

ぶつぶつ呟きながら歩いていると北門に到著する

近くの宿からは俺の旅路を応援するかのように冒険者の元気の良い聲が聞こえてくる

『どうしたんだよグレイさん!?』

『なんで宿から出てこないんだ!?』

『う!うるせー!俺はもう外の世界に出ないぞ!』

『ああ!グレイさん!こんな所にいたのですか!』

『その聲は!?來るな・・・!俺はもうお前の目指すような男じゃないんだー!!』

宿の窓からランズロットに自分の荷を投げつけるグレイ

ランズロットはグレイからぶつけられた眼鏡を手にはぁはぁ言いながら目に涙をためている

『そうか・・・!貴方は僕を試しているのですね!わかりました・・・!貴方の意思は僕・・・いや!私が引き継ぎます!!』

そう宣言するランズロットだがグレイはとっくに裏口から逃げ出している

・・・どうやらグレイはこの時期から駄目人間になってしまったらしい

逃げるグレイに白い目を向けて北門をくぐる

「・・・行きますか!」

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