《BioGraphyOnline》第㊙の2の前話 ハロウィン

寒くなってきた今日この頃

こんにちは、アズです

現在俺は、グレイと二人で遅めの朝食をとっている所です

「・・・なんで俺の事待ってんの?何?俺の事大好きなの?」

「おい、その口を今すぐ閉じろ、さもないと貴様の朝食は無しだ」

俺がフォークをグレイに向けて構えると

グレイは朝食を守るようにで覆い、こちらを威嚇するように唸る

「前にも言ったが・・・ルール23、ご飯は皆で食べましょう」

溜息を吐きながら木れ日荘ルールを語る

ちなみにこのルールは俺の気まぐれで増える為、現在3桁になりつつある

隣で「橫暴だー!」とか言ってるやつもいるが仕方ない

「だったらアズは俺以外のやつと食えば良いだろう!」

「もちろん食べたさ・・・半分だけな」

殘りはグレイと食べる為に殘しといたんだよ

「なんだやっぱり俺の事「わかった表に出ろ」調子に乗りましたすみません!!」

グレイは包丁を取り出した俺を見て即座に土下座の勢に

まったく、わかれば良いのだわかれば

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俺が溜息を吐きながら包丁をしまっていると、木れ日荘のドアがノックされる

はて?食堂の営業時間には早いが?

訝しみながらもドアを開けると、目の前にカボチャを被った人間がメモを片手に立っている

・・・この子はさっき出かけたばかりの筈だが

目の前のカボチャお化けのメモをよく見る

[トリックオアトリート]

「ああ・・・ハロウィンか・・・」

俺の溜息と共にカボチャお化けが縦に振する

今お菓子無いんだけどなー・・・とりあえず殘飯でいいか

アイテムストレージからパンの耳をれた袋を取り出すと、袋ごと口の中に取り込まれる

カボチャマスクはしばらく直立不でモッチモッチ音をたてると、口から袋だけを返卻してくる

「満足したか・・・?」

カボチャマスク改め、ルピーは満足したのかカボチャマスクを外してこちらににじりよる

[アズさんも一緒にハロウィンしましょう]

「いや、俺は別に・・・」

俺が斷る前にルピーが次のメモを目の前に突き出す

[アズさんが一緒にいるとお菓子が二倍です]

「なるほど、確かに二倍だけど・・・俺の分も食べる気か?」

俺の納得した顔にルピーが明後日の方向を向く

まぁ別にあげる分には構わないのだが・・・なんとかやらない方向に持っていけないか?

「どちらにせよ俺は仮裝の準備なんかしてないから無理だぞ?」

ルピーが裝備していたカボチャが二つあるならまだしも

俺の疑問にルピーは心底不思議そうに首を傾ける

[リッチーさんのドレス]

「・・・それだけは勘弁してください」

ルピーのメモを見た俺は即座に土下座する

[準備萬端なのに?]

「ん?」

あれ?なんで俺はこんなゴシックドレスを裝備しているんだ?

疑問に思いながら裝備を元に戻そうとして・・・戻せない事に気が付く

「・・・著替えられない・・・だと・・・?」

聲に出して更に深まる疑問にテーブルの一角からクスクスと笑い聲があがる

そこにはパンを頬張るグレイと神妙な顔でジョッキを眺めるリッチーの姿

「・・・何してるんだ?」

「悪戯大功!」

こいつの仕業か!

即座に距離を詰めて拳を突き付けるが

俺の腹パンは虛しく空を突く

「ハハ!そんな怖い顔してちゃ折角おめかしした意味が無いゾ☆」

リッチーは天井にぶら下がりながらクスクスと笑っている

流石は死霊種の王・・・しかしそのスカートどうなってんの?

俺は重力に反旗を翻しているスカートの事を考えながらも今の狀況を整理する

俺が唐突にこんなを裝備している事

タイミング良く現れ、あまつさえ悪戯大功とのたうち回った事

そして裝備を外そうとすると畫面いっぱいにでるこの裝備は呪われているの文字・・・

「で?悪戯が功したんならこの裝備外させてくれないか?」

ジト目で睨む俺にリッチーは首を橫に振るう

「ハハ!殘念だけどその呪いはある特定の條件を達さないと外せない!」

なるほど、俺の要は通らないようだ!

リッチーの言葉に頭を抱えていると、いつの間にか俺の隣にいたルピーがメモを取り出している

[その條件は何なんですか?]

いや?何勝手に話進めようとしてるのこの子?

「よくゾ聞いてくれた人間種の子供ヨ!」

天井からテーブルの上に落下してきたリッチーがふんぞり返りながらこちらに指を向ける

「條件は簡単ダ!一つ、この街で100人の人間種に悪戯をする事!二つ、今丁度この街に來ている悪魔種に悪戯を功させる事!この二つのどちらかを功させた時、姫の呪いは解かれるダロウ!!!」

おい、誰が姫だこの野郎

リッチーを睨んでいると俺の頭上に100の數字が書かれたコウモリが飛び回り始める

「これはまさか・・・」

俺は面白い見世でも見るかのように、テーブルに肘をついて笑うグレイに向き直る

「ところでグレイ?そんなのんびりしてて良いのか?」

「何言ってんだ?それは俺のセリフだろ?」

尚もニタニタ笑うグレイにショートメールを送り付ける

グレイは胡散臭そうにショートメールを確認すると表を引き攣らせて即座に木れ日荘から飛び出していった

[何て書いてあったんですか?]

ルピーがグレイの奇行に首を傾ける

「ああ、ただランズロットさんにハロウィンのメッセージを送っただけだよ?」

そう、ただメッセージを送っただけだ、決してグレイに悪戯をする機會だとかそんな事は書いていない

外から聞こえてくるグレイの悲鳴を確認した俺は、上空を漂うコウモリの數字が99になっている事を確認する

「やっぱりこれは悪戯カウンターか・・・」

俺が溜息を吐くとリッチーが嬉しそうにこちらに寄って來る

「そうサそうサ!今日はハロウィンってやつなんだろウ?存分に楽しませてくれたまエ!」

なくともあんたが楽しむイベントではないぞ?

俺が溜息を吐きながら橫を見ると目をキラキラさせるルピーの姿

「つまり俺限定でハロウィンイベントが発生したわけか・・・」

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トボトボと街並みに消えていく青髪の子供の背中を見ながら、リッチーはテーブル席に戻る

「良かったのかい?おいらの我が儘を聞いてもらって?」

いつから隣に座っていたのか、

大量の魂魄を引きつれたカボチャ頭の優男がリッチーに話しかける

「もちろんサ!生まれた土は違ってモ!死霊種の悩みは死霊種の王であるボクの悩みサ!」

そう言いながらリッチーがコロコロと笑う

「すまないな、異界の死の王」

リッチーは頭を下げる謎のカボチャ頭を手で制する

「気にしないでしいナ!これはボクの目的の手段でもあるんだヨ!」

そう言うリッチーの目にはカボチャ頭の周りの魂魄すら霞むほどの炎が燃え滾っていたのだった

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