《クリフエッジシリーズ第四部:「激闘! ラスール軍港」》第十話
宇宙歴SE四五一九年十二月二十七日、標準時間二二〇〇。
アルビオン王國のエドワード王太子はこの危機的な狀況に憂慮する。
彼はデューク・オブ・エジンバラ5號(DOE5)の戦闘指揮所CICのオブザーバシートに座り、艦長であるクリフォード・コリングウッド中佐と対応を協議していた。
報士のクリスティーナ・オハラ大尉がスヴァローグ帝國の軽巡航艦とシャーリア軍との通信を傍し、解析を終えていたが、良い報はほとんどなく、絶的な狀況であることだけが告げられる。
「現狀で出できる可能はどの程度だと思う、艦長」
「強引に突破しようとすれば全滅は必至でしょう。敵の戦力は我が方の二倍以上ですし、シャーリア法國軍が敵に回らないという保証はありません」
「……絶的ということか。レオのいうことを聞いておけばよかったな」
そう言って侍従武のレオナルド・マクレーンに済まなそうな顔で小さく頭を下げる。
マクレーンは真剣な表を崩すことなく、反論する。
「私はまだ諦めておりません。殿下」
王太子はその言葉に「何か策でもあるのか」と喜を浮かべるが、
「私には策は思いつきません。ですが、コリングウッド中佐なら何か思い付くのではないかと考えています」
「確かにこの狀況は崖っぷちクリフエッジだが……」
二人の會話を何となく聞きながら、クリフォードは必死に策を考えていた。
(帝國は殿下を拉致しようと考えている。しかも、シャーリアの手を汚させ、自分たちはシャーリアから止む無くけ取ったように見せかけようと……シャーリアは上層部と現場が一枚巖とは言い難い。特に兵士たちは戒律に抵する今回の行為に反発している。ここに付ける隙はないか……)
彼は一つのアイデアを思いつくと、猛然と指揮用のコンソールを作し始めた。
(敵の駆逐艦はミサイルこそ強力だが、主砲はスループ艦と大して変わらない。だとすれば、敵の軽巡航艦の一隻でも無力化できれば、出は難しくないはずだ。通信記録を見る限り、敵の指揮は傲慢で自尊心が強い男のようだ。そこを上手く突ければ……)
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スヴァローグ帝國艦隊の戦思想は、基本的には大艦巨砲主義であり、同クラスの戦闘艦の容積、機関出力、主砲出力などはアルビオン軍に比べ二割ほど高い。逆に防スクリーン、加速能、超速航行能力は二割程度低かった。
また、攻撃力に偏重しているため、駆逐艦はアルビオンのスペクター級ミサイルに匹敵する大型ステルスミサイル、“影チェーニ”を裝備しているが、主砲の出力はスループ艦並の一テラワットと、アルビオン駆逐艦主砲の二・五テラワットに比べ極端に低かった。
軽巡航艦にも同様の傾向は見られ、主砲はアルビオンのタウン級を凌駕する六テラワット級、更に影チェーニミサイル発管を十本持つなど、重巡航艦に匹敵する攻撃力を持っている。
しかし、加速力が五kGと低く、航続距離も短い。また、格納スペースが狹く、ミサイルは二連分のみで、搭載艇も小型の雑用艇一艇とアルビオン軍のスループ艦に劣り、重巡航艦の劣化版といえる艦種だ。
このような裝備の偏重は、スヴァローグ帝國の戦の特徴が高出力の主砲と大型ミサイルによる遠距離攻撃を指向しているためだ。帝國では接近される前に叩くという戦思想が浸しており、その思想に合致する裝備となっている。
この戦思想が浸した理由だが、帝國の有人星系には小星帯がなく、機力を使った撹戦などを行う余地がなかったこと、また、軍事衛星などの固定拠點が多いためだ。
クリフォードは五分ほどで自分の計畫を作り上げた。そして、CICに副長であるサミュエル・ラングフォード佐を呼び出す。
サミュエルは戦闘配置についており、艦のダメージコントロールを行うため、急時対策所ERCで待機していた。
呼び出しをけた彼は艦隊運用規則違反になると思ったが、この危機的な狀況でクリフォードが何かを思いついたと考え、部下に指揮を任せると、二階層上にあるCICに全力で走っていく。五分ほどでCICに到著すると、息を整えながら用件を確認する。
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「はぁはぁ……艦長、何か思いついたのですか。はぁはぁ……」
その様子にクリフォードは小さく頷く。彼の他に普段はCICにることがない宙兵隊のアルバート・パターソン大尉がおり、狹いCICが更に狹くじていた。
「では、私の考えた作戦を説明します。まず現狀ですが……」
クリフォードはそう言って作戦を説明していく。
彼の立てた作戦は出の目途が立たないことから、王太子の安全を條件に降伏するというもので、王太子の柄を引き渡すため、敵の旗艦をラスール第二軍港に呼び込み、その際に宙兵隊により占拠するというものだった。
一旦軍港に接舷すれば、DOE5にロセスベイの宙兵隊を隠すことは可能であり、完全武裝した宙兵隊員が軽巡航艦に突できれば、短時間で敵艦を確保し、司令を捕らえることができる。もし、それが無理でも敵艦に侵できれば重要設備を破壊し、無力化することが可能だ。
宙兵隊がいることは敵も気づいているが、実戦部隊ではなく式典用の飾りである儀仗兵にすぎないと考えている可能が高い。その油斷を突けば勝算は充分にあるとクリフォードは考えた。
更に軍港の管制や警備兵は帝國のやり方に反発しており、積極的な協力は難しいものの、軍港での戦闘に介してくる可能は低い。
その作戦の指揮をクリフォードが執り、DOE5の指揮を一時的にサミュエルが執ると説明した。
一通り説明が終わると、サミュエルが反対の意見を述べた。
「私は反対です。まず、敵旗艦が素直に軍港にるかが分かりません。殿下の柄のみを要求された場合、打つ手がありません。更に艦長が指揮を執ることにも反対です。艦長は本戦隊の司令であり、軽々しく前線に立つことは避けるべきです」
しっかりとした口調で反対すると、クリフォードも真剣な表で頷く。
「DOE5をある程度前進させ、その場で機関を停止して接舷させよう。それならば敵も油斷するはずだ。この件はこれでいいだろう。私が宙兵隊の指揮を執ることについてだが、これは譲れない。本作戦において重要なことは敵艦の無力化だが、その後に拿捕した軽巡航艦の指揮を執るものが必要になる。だから私が最適なのだ」
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「敵艦の奪取とおっしゃりますが、スヴァローグ帝國とは現在戦爭狀態にありません。帝國から明確な意思表示がない狀況で先に攻撃することは開戦の理由となりえます」
「その點は問題ない。現在帝國艦は國籍を明確にしていない。つまり、海賊船として処理することができる。仮に國籍を明示したのなら、王太子殿下の柄を要求することはそれこそ外問題にできる。それをもって不當な要求と突っぱねれば、時間は稼げるはずだ」
サミュエルはそれに頷くが、それでもクリフォードが指揮を執ることに反対する。
「敵艦への突の指揮は私に任せていただけないでしょうか。こういった任務は旗艦副長が指揮を執るべきです」
クリフォードはサミュエルが自分のを案じてくれていると気づいていたが、それでもきっぱりと拒絶した。
「宙兵隊中佐の階級を持つ私しかできないことなんだ。サム、君がいるから私はこの艦を離れることができる。分かってくれ」
彼はこのような危険な任務を立案し、自は安全な後方で指揮を執ることができなかった。それだけではなく、不測の事態に陥った時、臨機応変の対応が必要になると考えており、その際、最高位の指揮が現場にいれば、即座に計畫を変更でき、対応が容易になるとも考えていた。
クリフォードとサミュエルの會話を聞きながら、王太子は二人の絆の強さにしていた。
(相手を信頼しているからこそ、あれだけ言い合えるのだろう。彼らを失うことはあまりに惜しい。しかし、私の柄を引き渡したとしても、この戦隊が無事に帰還できるとは言えない。スライマーン佐の話を聞く限り、帝國の將がそれを許すとは思えないからな。私には若い彼らを信頼して任せるほかない……)
クリフォードは書のテオドール・パレンバーグに意見を求めたが、パレンバーグは首を橫に振り、
「私は軍事の専門家ではない。外的なことを言えば、艦長の主張は正しいだろう。ただ、私には非常に分の悪い冒険に思えるのだが、渉でどうにかなる狀況ではない」
苦悩するパレンバーグに頷くと、侍従武のレオナルド・マクレーンにも確認する。
「私は艦長の策を支持する。但し、一點だけ修正してほしい」
「どのようなことでしょうか?」
「殿下にはロセスベイに移っていただき、護衛の一人を影武者にして、私が同行する。そうすれば殿下を危険に曬さなくてもすむ」
クリフォードが頷こうとした時、王太子が「それは駄目だ」と反対する。
「私がこの艦にいなければ敵に看破される可能がある。どこにいても危険は変わらないのだ。私は君たちを信頼し、この艦に殘らせてもらう」
クリフォードたちが翻意を促すが、王太子は「これは作戦を功させるために必要なことなのだ。それに時間が惜しい。これ以上議論は無用と思うが」と言って強引に議論を打ち切った。
クリフォードは指揮として王太子の安全を最優先するか迷ったが、王太子の言葉に従うことにした。
「殿下は必ずお守りいたします。ですが、いつでも出できるようワッグテイルに待機していただきます」
彼はこの決定で後に自が批判されると思ったが、今は作戦の功率を上げることに頭を切り替えていた。
クリフォードは軍港の係留場に接舷するよう各艦に命じた。更に暗號通信で降伏するという偽の報を流す。その通信はいずれも副長であるサミュエルの名で送られていた。
そして、各艦からは降伏を取り止めるようにという返信が送られていく。
この時に使った暗號はセキュリティレベルが低い簡易のもので、これは帝國側にあえて解読させるためだった。
帝國の指揮セルゲイ・アルダーノフ將はアルビオン艦のきに疑問を持つ。
(係留場に接舷するつもりか 軍港は反軍が掌握しているとはいえ、いつシャーリア軍に拘束されるか分からないわけでもあるまい。私なら隙を見て出しようと試みるだろうが、何を考えている……)
彼は報參謀にアルビオンのきと通信を解析させていた。
報參謀は暗號通信を解析した。その結果、完全ではないが、通信容の一部が分析できたと報告する。
「敵の指揮は我々に降伏するつもりのようです。しかし、護衛艦の艦長らはそれに反対しているようで、港後に指揮を集めて會議を行う模様です……」
この時、彼はごく短時間で解析できたことに疑問を持ったが、報の容から敵が混しているため簡易の暗號を使用したのだと判斷し、そのことを報告しなかった。
アルダーノフは「他に報は」と質問しながら、アルビオンの行を読もうとしていた。
(このタイミングで我らに降伏……罠ではないのか? 行に整合がない。シャーリアの反軍を味方に付け、我々を攻撃させ、その隙に出する策が最も功率が高いはずだ。軍港でその渉でもするつもりか?)
考えている間に報參謀が追加報を報告する。
「各艦の艦長への命令は旗艦の副長から出されています。司令名ではありません。副長が臨時の指揮として命令を出しています」
その報でアルダーノフは更に混する。
(このタイミングで旗艦の副長が臨時の指揮だと。どういうことだ? 指揮に何があった……)
アルダーノフは更に報を分析するように命じた時、アルビオン側から通信がった。
「こちらはアルビオン王國軍キャメロット第一艦隊第一特務戦隊指揮代行サミュエル・ラングフォード佐である。銀河帝國の責任者と話がしたい。我々はエドワード王太子殿下の安全が確保されるならば、降伏する用意がある。繰り返す。我々はエドワード王太子殿下の安全が確保されるなら、降伏する用意がある。その條件について、話し合いを持ちたいと考えている……」
アルダーノフはその通信に応答しようか悩んだが、敵の指揮が不在な理由と本當に降伏する気があるのか確認するため、マイクを取った。
しかし、彼は外問題に発展することを考慮し、國籍を明確しなかった。
「貴戦隊の降伏についてだが無條件しか認めない。また、貴は指揮代行とのことだが、司令はどうしたのか。正統な指揮権が無い者との渉はできない」
「戦隊司令であるデューク・オブ・エジンバラ5號艦長コリングウッド中佐は本艦の指揮権を小に移譲することに同意し、戦闘指揮所CICから退出していただいた。これは小に與えられた正統な権限により行われ、航宙日誌ログにも記録されている。よって、現在の本艦の指揮は小である」
アルダーノフは敵艦の艦長が強行突破を主張し、慎重な副長によって解任されたと理解した。
(あり得る話だが、本當にそうなのだろうか? この副長は若い。若すぎるほどだ。王太子専用艦の艦長であるなら、ベテランが任じられているはず。それをこの若い副長が解任できるとは思えぬ……)
彼の疑問が伝わったのか、王太子がスクリーンに現れた。
「私はアルビオン王國第一王位継承権所有者エドワードである。ラングフォード佐は私個人・・・が最も信頼する士の一人・・である。彼の言う通り、コリングウッド艦長は危険を顧みない決斷をした。そのため、私はラングフォード佐への一時的・・・な指揮権の譲渡を容認した。指揮殿に頼みがある。我が柄をもって、將兵たちの安全を約束してほしい」
王太子は慎重な言い回しで、戦隊全の指揮権がサミュエルに移ったように説明する。
アルダーノフはそれを聞き流しながら、報參謀に小聲で指示を出す。
「王太子が本か確認せよ。更にコリングウッド中佐に関する報があれば、直ちに報告せよ」
報參謀はすぐに了解し、コンソールを作していく。
「人工知能AIによる解析ではエドワード王太子であることは間違いありません。また、コリングウッド艦長がクリフォード・カスバート・コリングウッド中佐であるなら、面白い報が見つかりました……」
そう言ってクリフォードの経歴を説明していく。
アルダーノフはその説明を聞き、徐々に笑みを浮かべていった。
(なるほど、若き英雄か。そう言えば聞いたことがある。二十歳そこそこの中尉が指揮を執り、倍する敵を倒したと。この狀況でも自分ならできると思い込んで無謀な作戦を立てたのだろうな……言葉を選んでいたのはその英雄の名譽を守るためか……特殊な通信をしたと聞いたな。念のため確認しておくか……)
対宙レーザーを使った通信方法については、公表されていなかったが、スパイからの報で特殊な通信方法が使われたことは突きとめられていた。更にそれが対宙レーザーをつかったものらしいということまで分かっている。
アルダーノフは他の通信方法が用いられていないか確認させたが、その形跡は確認できなかった。
彼はそこで確信した。
(無謀な策を立てて副長に反対された。王太子は“個人として最も信頼する士”と言い切った。つまり、あの若い副長は王室の関係者なのだろう。だから、王太子を守るために指揮権奪った。あり得る話だ……)
彼は報參謀に王太子およびサミュエルが噓を吐いていないか、確認するよう命じた。
報參謀はすぐに解析を行い、結果を報告する。
「人工知能AIと解析擔當の分析によれば、王太子および敵艦副長が噓を吐いている可能は限りなく低いとのことです」
アルダーノフはそれに頷くと、この狀況が自分に有利であると考え始めた。
(シャーリアに王太子を捕らえさせるつもりだったが、自らこちらに來たいと言ってきたのだ。これは捕縛ではなく、亡命だ。王位継承権を持つ王太子を人質に持っておけば、アルビオンは我が國に手を出せない。シャーリアのきが鈍いのなら、我らがいたほうが確実だ……)
彼はそう考え、アルビオン側に返信を行った。
「王太子殿下の亡命の申し出をけれる用意がある。我々が本星系を離するまで軍港に留まることを約束するのであれば攻撃は行わない。銀河帝國軍將セルゲイ・アルダーノフの名譽にかけて誓おう」
その通信に対し、サミュエルが謝を伝える。
「寛大なる処置に謝する。本戦隊は主機関を停止し、貴の指示を待つ。願わくば王太子殿下に相応しい待遇をお願いしたい」
アルダーノフはそれに鷹揚に頷くが、參謀の一人が耳打ちする。
「罠の可能があります。スループ艦を派遣してはいかがでしょうか」
アルダーノフがそれに頷き、「小は貴らを全面的に信用できない。スループ艦を派遣するので、王太子殿下にはそれに乗って頂きたい」
その言葉にサミュエルが激高する。
「殿下をお迎えするのにスループ艦だと! 帝國は外儀禮も弁えんのか! 小はこのような侮辱を許すことはできない!」
スループ艦は小型の偵察艦であり、佐レフテナントコマンダーが艦長である。國家元首またはそれに準じる者に対応する場合、通常は大佐キャプテン以上が當たるというのが、外上の儀禮である。
帝國側で該當するのは將であるアルダーノフと旗艦艦長のドゥルノヴォの二人だけであり、旗艦が出迎えに行かないということは外上の儀禮を無視した行為になる。
アルダーノフは若い王族である副長が暴発する危険があるとじていた。
(あまり強気に出ると折角の機會が失われる。多は譲歩してやり、後で痛めつけてやればよい……)
そして、謝罪の言葉を口にした後、
「貴らを全面的に信用できないという點についてはこちらも譲れない。しかしながら、我が國も王族に対する禮儀は弁わきまえている。そこで妥協案を提案したい。軍港では罠の危険を排除できない。そちらの旗艦に軍港出口まで出てもらい、その場で主機関停止と防スクリーンの解除を行い、我が方の軽巡航艦に乗り移ってもらうというのではどうだろうか。さすがに旗艦を危険に曬すことはできんのでね。もちろん王族に相応しい出迎えはする」
サミュエルは怒りを抑え、冷靜さを取り戻したかのように演技をする。
「先ほどは失禮しました。貴のご懸念は理解できます。殿下の名譽について配慮いただけるのであれば指示に従います」
アルダーノフは大きく頷き、笑顔を見せる。
「隨行員は十名以下でお願いしたい。こちらの収容人數に余裕がないのでね」
こうしてアルビオンと帝國間の渉は終わった。
サミュエルは通信を切った後、大きく溜め息を吐く。
「よくやってくれた、サム」という王太子の言葉にも「ありがとうございます、殿下」と答えることしかできなかった。
(クリフの臺本に従っただけだが、俺に芝居は無理だ。相手は本當に信じたのだろうか? もし、俺の演技を見破って逆に罠をかけてきたら……)
彼はそのことをCICにいるオハラ大尉に確認する。
「相手の表の変化、口調から考えますと、副長の言葉を信じたと思います。大丈夫ですよ。しかし、艦長の想定通りでしたね」
クリフォードは王太子に噓にならない程度の言い回しで
「ああ、俺のことを王室関係者と思い込んでいたようだしな。いずれにせよ、こんなことは二度とごめんだよ。そろそろ準備が終わっているかな。艦長に確認しなければ……」
そう言ってクリフォードに通信をれた。
銀河戦國記ノヴァルナ 第2章:運命の星、摑む者
『銀河戦國記ノヴァルナ』シリーズ第2章。 星大名ナグヤ=ウォーダ家の新たな當主となったノヴァルナ・ダン=ウォーダは、オ・ワーリ宙域の統一に動き出す。一族同士の、血縁者同士の爭いに身を投じるノヴァルナ。そしてさらに迫りくる強大な敵…運命の星が今、輝きを放ち始める。※この作品は、E-エブリスタ様に掲載させていただいております同作品の本編部分です。[現在、毎週水曜日・金曜日・日曜日18時に自動更新中]
8 190「気が觸れている」と王家から追い出された俺は、自説通りに超古代銀河帝國の植民船を発見し大陸最大國家を建國する。 ~今さら帰って來てくれと言っても、もう遅い! 超テクノロジーを駆使した俺の建國史~
ロンバルド王國の第三王子アスルは、自身の研究結果をもとに超古代文明の遺物が『死の大地』にあると主張する……。 しかし、父王たちはそれを「気が觸れている」と一蹴し、そんなに欲しいならばと手切れ金代わりにかの大地を領地として與え、彼を追放してしまう。 だが……アスルは諦めなかった! それから五年……執念で遺物を発見し、そのマスターとなったのである! かつて銀河系を支配していた文明のテクノロジーを駆使し、彼は『死の大地』を緑豊かな土地として蘇らせ、さらには隣國の被差別種族たる獣人たちも受け入れていく……。 後に大陸最大の版図を持つことになる國家が、ここに産聲を上げた!
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