カンカン

木と木がぶつかり合う音が部屋中に響く。

うるせえ。

「・・・誰だよ。迷だな」

目を開けるとそこはさっきまでいた場所とは別の場所だった。

辺り一面鉄で覆われており、目の前には窓ガラスのようながある。

「どうなってんだ？」

周りは鉄で覆われているはずなのに、カンカンと木がぶつかり合う音は鳴り続いている。

そして一番謎なのが目の前にある窓ガラス。多分、この先から音はしてるのだろう。試しに一発毆って見る。

ガンッ

良い音はするがヒビがっておらず、ただこっちの拳が痛い。

さてどうやってここから出るか？周りは鉄で覆われてるし、目の前の窓ガラスは過ぎて割れない。どう考えても八方塞がりだ。

「あ、荷が無い！？」

ここで荷が無いことに気がつく。

「まあ別にいいか。取られるはれてないし。それに攜帯はポケットの中にある」

が、バックはし名殘り惜しいな。高かったのに。値段は千五百円。うん、そこまで高くないな。

そうこうしているうちに、何処からか赤月が出て來る。

「起きたか。見る限り大丈夫だな」

「あ、テメェ〜」

「ん、何だ？」

「俺の荷、何処にやった！？」

「・・・もう一度言ってくれ」

「いやだから、俺の荷。何処にやった」

赤月は呆れた顔をしながらため息をつくと、

「聞きたいのはそれだけか？」

「無いから俺の荷」

「はぁ〜今年の一年は大丈夫か？」

頭を抱え、タバコを一本取り出す。

「一年？俺以外にも誰かいるのか？」

「ああ、お前以外にもう一人な」

そう言ってタバコに火を點けると、フゥーと息を吐き出す。

「そいつはお前より一時間早く著いてな。今ガラスの向こうにいる。見るか？」

「頼む」

赤月はリモコンを取り出し亜紀斗に投げる。

「おっと。で、何処のボタンを押せば良いんだ？」

「どれでも良いぞ。ただし、変な所を押すと電流が流れるぞ」

「おい、しれっとヤバいもん渡してくんな」

そう言って赤月に投げ返す。よくあるビリビリボールペンみたいなやつか。

「まったくけない」

適當にボタンを押す。すると、さっきまで真っ黒だった窓ガラスが急に明るくなる。

「おい二人いるぞ。どう言うことだ？」

亜紀斗の目の前には背の高い男と背の低いが寫っていた。

「ああ、男の方はウチの生徒會副會長だ。で、の方がお前と同じ一年だ」

「名前はなんて言うんだ？」

「男の方が本山シン（もとやましん）。の方が月野蛍（つきのほたる）だ」

「へぇ〜」

軽く頷くと、亜紀斗は蛍のきに注目する。あの二人は木刀で打ち合いをしている。しかし、あの月野ってのきはどことなく癖がある。あの癖は・・・

「もしかして月野ってあの・・・」

「そうだ。月野流剣の伝承者、月野大佑（つきのだいすけ）の実の娘だ」

やはりな。く時にしだけ姿勢が貓背になる。きやすいように貓背になったり、攻撃する時も貓背になる。それが月野流の特徴だ。しかし、何故あんな大の娘がここにいるんだ？ダメ元で聞いてみるか。

「そんな大の娘が何故ここに學を？」

「・・・それはだ」

ダメ元で聞いてみたが、やっぱりダメか。が、あの月野大佑の娘なら一度ぐらいは剣をえてみたいだ。

そんな事を思っていると、

「あの二人の所へ行くか？」

まるで亜紀斗の心を見たような質問だった。

「良いんですか？」

「ああ。お前が行きたいんならな」

「行きたいです」

「そうかなら付いて來い。案してやる」

赤月はポケットからカードキーを取り出すと、近くにある壁に當たる。

「認証中・・・認証中・・・読み取り功。お気を付けてお乗りください」

機械の聲と同時に壁が開き、エレベーターになる。これには亜紀斗もビックリする。

「どうゆう仕組みだ？」

「知るか。自分で考えろ」

赤月はそう吐き捨てるように言うと、早く乗れと言う。

それに亜紀斗は無言で頷くとエレベーターの中に乗り込む。

乗ったのを確認すると、扉を閉め、一気に上がる。

上がる速度は多分、東京タワーのエレベーター並みの速さだと思う。

チーンと音が鳴り、扉が開く。