《【お試し版】ウルフマンの刀使い〜オレ流サムライ道〜》一章11

マサムネがアイテム袋から次々と素材を取り出して、一番最後に取り出した素材を目にしてガデスはつい聲を荒げてしまう。

それもそのはずそれは鍛治職人からして見ればから手が出るほどに待ちわびていた品だった。

『蛙の黃金珠』

レアドロップ素材の中で群を抜いて手困難であるため、この街でそれなりに名の知れたガデスであっても本・・はお目にかかった事がない代なのだ。

なにせ手方法が厄介極まりない。

パーティを組んで討伐すれば通常ドロップしか手にらない。この場合は水かきや皮など。

しかしエリア2から実裝されたソロ戦……1vs1で勝利した場合のみ、MVP報酬でこいつが加わる。

これを持っていると言うことはソロで戦って勝ったものの証だ。

それと同時にレア素材はその特殊ゆえ、同族からのヘイトを強烈にける。

つまりリンチにあうのだ。それもあの巨大生達から執拗にだ。

これがこのゲームの中でも最大のクソ要素と呼ばれる返り討ちシステムと呼ばれるもので、エリア移を行うまで執拗に迫ってくる。

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そして萬が一、レア素材所持者がキルされようものなら、確定でその場に落としてしまう。落としたアイテムは10秒以に拾わないと消えてしまうので市場に出回っている事すら稀。そういう意味でもレア素材というのは貴重だった。

「取りしてすまない。これは何処で?」

「済まないがオレはアイテムに関して疎い。それがなんなのかよくわからないんだ。みんなは持っていないのか?  ソロで討伐したウサギはとしてしか見ていなかったから、ボロボロの布以外は今回手にれたものだと思っていたが」

「殘念だがこいつはエリア2のものだ。最近行ってないか?」

「エリア2……そういえば」

その先に続く言葉を聞いて、ガデスは冷や汗を垂らした。

「蛙を倒したな。もっとも、それは相手の自だったが。その後はフルカラー特盛の蛙に狙われたんで全力で逃げてきた。もしかしたらその時かも?」

ガデスはリネアと顔を見合わせ、頷く。これはとんでもない拾いをした。そんな表を浮かべた。

「よかったらこいつをウチで引き取らせてくれないか?」

「別にいいが、これはあんたが目のを変える品なのか?」

マサムネは自分が何をし得たのかまだわかっていないようだった。先手を打ったガデスに対し、リネアがキツく睨んでいる。

ガデスはリネアをうるさそうに払うと、聲を小さくして呼びかけた。

「俺どころか、この事がこの通りのやつらの耳にったら戦爭が起きる。それぐらいにレアな素材だ」

「ふーん、オレでもレア素材を手するチャンスはあると……いや、いい事を聞いたよ、ふふ」

マサムネはしだけ嬉しそうに笑う。

そしてガデスにとって思いもよらない言葉を吐き出した。

「じゃあこれもあんたに預ける。オレが持ってても役に立たないからな。あんたならうまく扱いこなせるんだろ?」

ガデスは絶句した。そして最近燻っていたやる気に強烈に引火させる。

「ああ。だが良いのか?  売ればそれこそ數百萬はするぞ?  そいつを今日會ったばかりに預けるっていうのか?」

「預ける。男に二言はない。それにオレたちは死ぬたびに財を半減させる事に長けている。特にオレなんかは明日がどうなるかわからんからな。だけど鞘を打ち直してくれるあんたに預ければ、オレにも役得がある、そう考えた」

「ずるーい、あたしには!?」

「リネアには皮をやるよ。オレには無用の長だからな」

「わーい。嬉しいはずなのに涙が出るのがなんでだろー?」

「嬉し涙じゃないのか?」

「そう思っとくー」

ガデスはそんなやりとりをするマサムネとリネアを見つめ、いつになく楽しくなっていた。

駆け出し時代を乗り越えて、張り合っていくうちにいつのまにか親方なんて呼ばれて最近は納得いく一本を打ち込んでなかった。

リネアが助けてしいと行ってきたときはまた厄介ごとかと頭を悩ませたが、依頼容はまさかの鞘。本の刀は手付かずで良いと言われ、興味を持ったが……

面白い!

ガデスはマサムネになら自分の作品を使ってもらいたいと思った。

(まさか最初の作品が鞘だとは思わなかったが……確かにあの闘法に見合う鞘は俺にしか作れないだろう。くくく……楽しくなってきたなぁ……久しぶりにゲームらしく楽しむとしよう)

「あいわかった。引きけよう!」

「そうか、手持ちがないので助かる。足りない分はそいつを売り払って足してくれても構わない」

「足りないどころか素材は十分、それにこいつを表に出すと々と厄介ごとに巻き込まれる。それこそ出所はどこだ、ってな?」

「む……そうか。では後はあんたに任せるとしよう」

「連絡はどうする?  悪いが本気で打ち込むと二、三日じゃ終わらんぞ?」

「そうだな、それまでは草原で狩りでもしていよう。鞘がなくてもあそこでなら食うのに困らないからな」

「ガッハッハ、言うねぇ。俺としては専屬の用心棒として雇いたいが、お前さんは人の下につくようなタマじゃない……だろ?」

「そうだな。素材集めでは役立たず。連攜攻撃もできるとも思えん。それに、どうやらオレのスタイルは一般的観點から見ても相當特殊らしいからな」

そう言うなりマサムネはチラリとリネアの橫顔を見た。

どうやら嬢ちゃんから言われた言葉が今も突き刺さっているらしい。

思いっきりのいいやつかと思ったが、存外々しいやつだとガデスは笑う。

「連絡役はあたしがしようか?  こう見えてフレンドだし!」

見られたことをどう勘違いしたのかリネアが楽しげに手を上げる。

「そうだな。嬢ちゃんには鍛治コミュニティから連絡するわ」

「了解であります!  親方!」

「うむ、それで構わない。それではオレはお暇するよ。ここの環境は皮持ちのオレには厳しくてな」

「あたしも~」

「ぬかせ、嬢ちゃんは同業じゃねぇか」

「あたしの本業は裁だからね!  こういう暑苦しいところとは本來無縁なのさ!」

「そう言うことにしとくか。じゃあな、近いうちに連絡するわ」

マサムネは無言で禮をすると、リネアを引き連れて工房を出て行った。

ガデスは一人殘された工房で、どんな風にこしらえてやろうかと妄想を膨らませていた。

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