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～2176年12月23日PM5:28 ダラス～

國際地下リニアの駅に、男が１人降り立った。

クリスマス休暇に突する直前のホームは利用者がなく、誰も異様な風の男に目を向けない。

真っ白なパーカーを目深に被った下からは、ペストマスクのツンと尖った真っ黒なクチバシのような郭が突き出て、下に穿いた黒いカーゴパンツから延びる長い腳に影を落としている。

「あの、T.T.S.の方ですか？」

おずおずと話しかけて來た軍人の言葉に頷くと、男は周辺に學迷彩(カメレオン)で潛伏する者たち全員に視線を投げ、両手首を結ぶ手錠を見せつけるように掲げた。

「大丈夫だから。どうか警戒を解いてくれ」

軍人の合図で、ホームを埋めつくすほどの兵が姿を現す中、男は彼に問いかける。

「彼はいつ來る？」

「もう間もなく、あちらを発つ予定です」

「そうか……楽しみだ」

周辺からズラリと向けられる銃口など見えていないのか、男は夢見心地に天を仰ぐ。

「とても楽しみだよ、源」