《T.T.S.》FileNo.4 『Sample 13』 Chapter 2-4

タクティクスボードに浮かび上がる3Dホログラムでは、シミュレーションの再検討が100倍速で行われていた。

神経質そうに鼻の頭を掻きながら、ホセ・セサール・チャペスはそれを睨む。

2萬を超えた試行は、どれも失敗エラーばかりだが、どれだけ失敗エラーを積み重ねようとも、出來ればTヤ.Tツ.Sら.なんかに頼みたくない。

そんな気持ちは、誰も理解しないだろう。

かつて打倒を目指した存在に恭順し、貢獻しなければならない屈託。そしてその援護を、自らを捕らえた者に要請しなければならない屈辱。

を割く複雑な思いは、誰にも理解出來ないだろう。

ましてや――

「この期に及んでまぁだ足掻いてんのか。いつ終わんだ?そのシミュレーションは」

「……くそったれ」

この男い源に分かるわけがない。

「さっさと狀況説明しろ。來たくもねぇのに來てやってんだからよ」

こちらに目も向けず、心底ダルそうに吐き捨てる源を、ホセは正面から睨みつけた。

「覚悟しとけよお前、いつか絶対に殺してやるからな」

「キミ如きじゃ源は殺せないよ」

嘲るような笑い聲と共に、ペストマスクが口を挾む。

だが、ホセとて伊達にP.T.T.S.の小隊を率いているわけではない。

「……新顔か。聞いてるぞ。お前も源コイツに捕まった口だろう。俺ヒトにとやかく言える立場か?」

「そうとも。彼は僕の期待をいい意味で裏切ってくれた。だから僕はここにいれるんだ。こんなに幸せなことはないよ」

なぜかウットリとした口調で嘆息するペストマスクに薄ら寒いものをじて、ホセは源を問い質した。

「……おい、コイツ大丈夫なのか?」

「……テメェに言われるまでもねぇよ。いぃからさっさと始めろ」

場に流れた変な雰囲気から逃れるように、ホセはシミュレーションを切ってストラテジィモードに移した。

急事態を前にすれば、敵も味方もなくなる。

その事実に、ホセは改めて気づかされた。

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