《T.T.S.》FileNo.4 『Sample 13』 Chapter 3-3

源は跳躍する。

ギルバートとは違い、彼の腳は常人のそれだ。跳躍力など、多寡が知れている。そのは音速からあっという間に取り殘され、地面に叩きつけられるのを待つだけだ。

「おい⁉」

エリカが悲鳴に近い聲でぶのを目に、足の裏を合わせたギルバートの蹴りで源のはロケットのように打ち上がった。

続けて跳躍したギルバートと空中で合流した源は、今度はギルバートの手を取り、ドローンの群れに投げつける。

の速度でく手足の連攜による速攻は、いかに優れたセンサーでも捉え切れない。仮に捉えられたとて、反応する時間などない。

瞬間で200機以上を撃墜し、そのの一臺を跳躍の足場にしたギルバートは源の元に戻った。

自由落下で頭から落ちながらも、腹筋をめて角度をつけて待つ源の足を、今度はギルバートが蹴る。

隊列を組んで行進するアンドロイドの群れに毆りかかった源は、兇運の摑み手ハードラックゲッターのい拳を地面に突き刺した。落下エネルギーにグローブが溜め込んでいたエネルギーが上乗せされ、カラクリはバラバラに砕け散る。

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ちょっとした隕石の衝突に相當する衝撃波は、辺り一帯のアンドロイドやドローンの出口を一掃した。

すぐに垂直抗力を吸収し、再び鈍い赤黒い輝きに満ちた兇運の摑み手ハードラックゲッターを地面から引き抜き、源は腕だけで跳躍する。

人外の力の暴れぶりに目を瞠り、衝撃波に荒れる路面をなんとかやり過ごしながら、エリカ・リグスビーは呟いた。

「……スゲェ……」

だが、彼の役目がなくなった訳ではない。

遙か彼方から増援にやって來るアンドロイドたちを、超長距離撃で一破壊していった。

「お見事ナイスショット。素晴らしい腕だ。エリカ」

いつの間にか隣を走っていたギルバートに肩を叩かれ、エリカは勢いづく。

「っしゃあ!ドンドン行くぜ!」

超遠距離を狙える45口徑電磁銃の浮遊砲臺ファンネルを、最大數の6機展開させて、アクセルを踏み抜いた。

エリカの腕は、神資質Heiligeを持つ2人でさえ、舌を巻くものだ。秒間12以上を確実に潰していく彼の存在は、源とギルバートのパフォーマンスすら尖らせていく。

だが、波は寄せれば帰すのが道理だ。

突如、源の乗っていたバイクが吹き飛んだ。

「な!」

地雷か?と考えたが、車両が先頭部から拉げるのを、エリカは見た。

地雷ならば、車両の下部の損傷が激しいはずだ。

つまり、地雷ではない。

では何だ?

進行方向に目を向けたエリカは、そこでを見た。ちょうど、源とギルバートが天を落とした時のようなだ。

「え?」

そう呟けたかすら、エリカには分からない。

気づけば彼は、空にいた。

上も下もじられない浮遊の中、自分の狀態さえ摑めないエリカがじるのは、唯一腹を締められるだけだ。

「見たか?ギル?」

「ああ、見た」

非人間たちの聲がサラウンドで展開される。

左右の音源を確認して、ようやくエリカは理解した。

が源に抱き抱えられ、2人を纏めて抱いたギルバートの跳躍によって難を逃れたことを。

「何だよアレ」

禮を述べる暇なんてなかった。

アレは、とんでもない速さでエリカを襲った。

音速ソニックを置き去りにし、電気信號インパルスを追い抜き、速ライトニングに到達しかねない速度だ。

「エリカ、ここで別れるぞ」

「何?」

「恐らくアレは僕たちの同胞だ。君に対処できる相手じゃない。裝備はあるかい?」

學迷彩カメレオンと突撃銃アサルトライフルと電磁拳銃レールハンドがあるが……同放ってことは、アレもお前らみたいなもんなんだな?」

「多分な」

「君を巻き込むわけにはいかない。僕たちと同じなら、アレは人間兵だ。壊すことと殺すことだけを専門にする機械だよ」

「機械ってお前ら」

自由落下が終わり、ギルバートが荒々しくランディングすると、2人の男は攻撃元を睨みながらエリカに告げる。

「間違いなくあの地下したが本拠地だ。見ての通り化が待ち構えてる。お前はここに殘って後発隊と合流して、本拠地突を食い止めろ。Pア.Tイ.Tツ.Sら.を近づけさせんじゃねぇぞ」

「トラ退治が終わったら知らせる」

「……わかった」

嫌な予と汗が、じっとりと彼の心を蝕んでいた。冷たい夜風が、赤茶けたホコリと共に、エリカのから水分を奪っていく。

「死ぬなよ?」

「あぃよ」

「任せてくれ」

彼らは知りもしない。

吹き飛んだバイクの瓦礫がどうなったのかを。

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