《T.T.S.》FileNo.4 『Sample 13』 Chapter 5-1

~2168年9月9日AM7:14 アリススプリングス~ 

オーストラリア大陸中央部を橫斷するマクドネル山脈東部地域、かつてのゴールドラッシュによって栄えたアリススプリングスの街は、ほんのりと差し込む朝日に溫められて、った空気の換気を始めていた。

まだ冷たい春の朝にプワッと火気を吐き出して、源はARの地図データを呼び出す。が、旅の共の睡によって、それは開かれなかった。

仕方なく、源は相棒に語り掛ける。

「おぃ、ガキ。エアーズ・ロックどっちだ」

《ZZZ……》

「……んでAIが寢んだよ。おぃ、ガキ……紫姫音!起きろ!」

《ん……あ……おふぁよ》

「ちんたら欠してねぇでエアーズ・ロックの方向どっちだ。早く出せ」

《ん……エアーズ・ロック……は……ZZZ……》

「え?……おぃ……噓だろ?また寢た?……っざけんなよ。おぃ起きろ、おぃ、紫姫音!」

まさかの2度寢を決めたAIを起こし、グズる彼をなだめ伏せ、ようやくARでの南西に450kmほど、という表示に辿り著いた時には、源はグッタリと疲れ果てていた。

《なにでいくの?さっきみたいにデンシャつかうの?それともタクシーってやつにのるの?シキネ、タクシーのってみたい!》

「……どっちも使わねぇよ。また寢てていぃから、し靜かにしててくれ。後はどぉにかすっから」

《シキネもうネムくないよ!》

「あぁ……そぉ」

ある種の絶を滲ませた源に対し、それでもなお紫姫音はしつこく話しかけ続ける。

《アレなに⁉クレープ⁉たべてみたい!》

「……お前飯食う必要ねぇだろぉが」

突如発生した、好奇と関心の赴くままに騒ぐ子供のお守りに、源はすっかり振り回されていた。

だが一方で、世界最大の一枚巖の下で何が待ちけているのか、という不安と張が紛れていることに、源は薄々気づいてもいた。

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