《T.T.S.》FileNo.4 『Sample 13』 Chapter 5-2

源が紫姫音と出會い、豪州の地へ降り立った頃。

朝鮮半島の地下の一室でSample 13は目を開いた。

そこは、かつて彼の地に存在した北朝鮮朝鮮民主主義人民共和國と呼ばれる國が、隣國の生化學技の盜用しようとした研究施設のれの果て。かつて使用されていたのであろう數多の古い機材と、彼の“お父様”が持ち込んだ機材がり混じった歪な風景が広がっていた。

長い年月の中で渇き、んだボロボロのリノリウムの床に素足で立ったSample 13は、汚れた壁に殘されたハングル文字での案表記を確認して、流暢な北朝鮮由來の朝鮮語で“お父様”に主命を乞う。

「排除対象は?」

「私の後方1.5kmだ。大方シオンの雇った傭兵どもだろうが、肩慣らしにはちょうどよかろう」

「承知しました」

ドイツ語で返された主命に笑顔で応じ、歩き出そうとしたを、お父様は呼び止めた。

「重畳だが、服ぐらい著ろSample 13」

「……失禮しました」

あらゆる言語、武、道の使用法をインストールされていても、倫理観や道徳観念といった時々刻々と変化するものは、適宜アップデートしていかなければならない。

だから、手早く著替えを済ませたSample 13が次いで口にした質問に、お父様は驚いた。

「殺害した場合、死棄することになりますが、後々騒ぎになる懸念があります。どうされますか?」

「……ふむ、では……相手の損耗を最小限・・・・・・・・・に撃退しろ」

「かしこまりました」

意味不明な指示に笑顔で応えながら、Sample 13は生を確かめ、楽しむように歩き出す。

足の裏から伝わる神経刺激の新鮮さに目を輝かせ、迸るようなパルスの刺激と遊ぶように、その歩調は徐々にステップのように弾む。

かくして、完全武裝の兵士達の撃退に服1枚の1人を差し向けるという、不安と絶しかない指令が臆面もなく下され、の鼻歌に彩られながら実行に移された。

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