７

期のいかなはじめ源に、親はなかった。

存在しなかっただけでなく、概念がなかった。

飲み子の段階を生理食塩水の中で過ごし、電極を通して世を學んだ彼の児期に「親」という概念が差し挾まる余地がなかったのだ。

が年になり、頭骨の矢狀合が結ばれ、初めて地を踏んだ時からは、生死の狹間を往復するような長く厳しい戦闘訓練の日々が始まった。年長者のSample 4帷子ギルベルトに一方的にぶちのめされる日々。

だが、それも日一日としずつ間隔を狹めていき、無人ロボット同士の量合戦No one deadの最前線での実地訓練もこなすようになった頃、源の脳に更なるデータがインストールされ、彼にとっての大きなパラダイムシフトが起こった。

それは、諜報活のための基礎知識の取得。

すなわち、人間の社會制度の知識導。世間との邂逅だった。

初めて家族や親という存在にれた源だったが、當然ながら、その関心は自の親に向く。

お父様、ことパトリック・タニーに尋ねても孤児と告げられるのみだったが、折を見ては報を漁り、ギルバートの卵の出処までは追跡出來たものの、それ以上の果は得られなかった。

それほどまでに、パトリックの報統制は徹底されていたのだ。

だが、何にでも抜けはある。どれだけスタンドアローンを保とうとも、時間のまでは塞げないのだ。

ソレ・・は、ある日唐突に聞こえてきた。

いつものように戦闘訓練でSample 4ギルベルトにぶちのめされ、絶対に負けたくない相手に負けた悔しさに１人枕を濡らしていると、どこからともなくノック音が響いて來たのだ。

奇妙なリズムで斷続的に続くそれが、特定の周期で繰り返される原始的なモールス符號だと気づくのに、そう時間は必要なかった。

「Ｍ……Ｅ……Ｅ……Ｔ……誰にだ？」

誰が打っているのか？という疑問は當然あったが、古式ゆかしい暗號通信をわざわざアナログな手段で伝えて來る好きへの好奇心が勝った。トンとツーで編まれる言葉を辿って行くに、やがて源の前に聞き慣れない単語が並んだ。

「AMOROUNAG？アモ、ロ、ウナグか？何だこりゃ？」