《T.T.S.》FileNo.4 『Sample 13』 Chapter 5-16

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源とギルバートはそこまで強く意識していなかったが、神資質Heilige持ち同士の戦いには間合いという概念がない。

そんなものは、意識する前に埋められるからだ。

い頃から拳をえていた2人は自然とそれを意識した立ち回りをしていたが、しっかりと戦として叩き込まれた訳ではなかった。

そもそも神資質Heilige持ち同士の戦いなど、彼ら2人が育てられた段階では想定されていなかったのだから、仕方がない。

だが、その2人を敵に回すことになったジョセフはしっかりと対策を組んでSample 13に対神資質Heilige持ちの格闘を仕込んでいた。

そうとは知らない源とギルバートにとって、これは致命的なハンデだ。実際、ここまで2人はいいようにあしらわれてきた。

だが、2人とて格闘技や武道の素養がないわけではない。いかに彼我の差が絶的であろうとも、挑み続けた果が確かに2人の中に堆積していた。

だから即応できる。

の指がピクリといただけで、源とギルバートは互いを突き飛ばし、あるいは蹴飛ばし合って、2人を直線的に狙ったSample 13の飛び蹴りを躱した。僅かなモーション確認後の急回避という神資質Heilige持ちだからこそ可能な戦法だが、2人は徐々に対応し始める。

腕を壁につけて減速し、足で著地した源を狙って即座に追撃に走るSample 13の橫っ腹をを、死角から迫ったギルバートが長い足で突き刺した。

間合いの生まれる靜止と、間合いの消える亜速戦闘の落差ギャップが産む、僅かな間隙。そこを突くという、一歩間違えれば源が即死する危険な罠を、2人は打ち合わせなしにしてみせた。

な真実を言えば、かつて2人が中心にあった頃のNeuemenschheitherstellungplanの真骨頂はここにある。

腕と腳、それぞれの特を活かしたスイッチ戦法は、上手くハマれば例え相手が上位互換のSample 13だとて、機能していた。

地下空間は奧まるほどにその積を増し、今や大型の育館ほどの広さが延々続く通路になっている。とは言え、速に近い速度で移する3人にとっては閉鎖空間そのものだ。

スーパーボールよりも読めない軌道で跳ね合い、衝突し合いながら、3つの亜質はトンネルを奧へ奧へと潛っていく。

ストップ&ダッシュを変則的に繰り返すコンビネーションのT.T.S.と、知をかなぐり捨てて対速の戦闘をぶん回すSample 13の激突は、莫大なエネルギーで大地を揺すった。

その影響は、未だに地上で機械部隊との戦を続けるホセ・セサール・チャベスたちにも波及する。

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