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～2168年9月9日AM7:25 アリススプリングス～

この世界に真実というものは存在しない。存在するのは解釈だけである。

今一度、ニーチェの言葉を何度も何度も脳で繰り返す。自らに言い聞かせるように、自らを洗脳するように、源は再び髑髏を手に取る。

再び掌の上に現れた生首を苦々しく見詰めていると、パチリと開いた生首の相貌は源を捉えるより早く辺りを彷徨い出した。

「紫姫音はどこだ？」

「置いてきたんだよ。安全な所に」

「何故だ？」

「うるせぇ。ほっといたらテメェが一方的に勝手な事押しつけてくっからだろぉが」

髑髏にしだけ握力を加えつつ、源は生首をギロリと睨みつける。

「ちったぁこっちの事にも付き合ってもらうぞ。まずは俺への用だけ言え」

「……いいだろう」

そっと目を伏せてから決意の眼差しを源に向け、シオンは口を開く。

「ではまず、お前自について話そう」

カラカラの口の中から何とか生んだ固唾を呑み込んで、源は力強く頷いた。

「お前は間違いなく私の息子だ。私のを分けた私の半。お前のDNAの半分は、私のそれから出來ている。これは確実な事実だ」

一度は嘔吐えずいた食事を再びに詰め込まれたような苦しさが、を襲いを締め付ける。早くも吐き気を催しながらも、何とか源は頷いた。

生首を載せた左手にの震えが伝わらないように、グッと脇を締め直す。

そうして、己を喝破するように源はんだ。

「そんな事はどぉでもいぃ！さっさと本題にれ！」

奧歯を噛み締めてシオンの続く言葉を待つ。

ただそれだけなのに、萬力で締め付けられるような時間が延々と続くようだ。

それをジッと見つめるシオンの生首は、しだけ顔を翳らせた。

「……すまない。私だって出來ればお前にそんな顔をさせたくはなかった。こんな狀況に陥らせたのは私の責任だ。本當にすまなかった」

「……別にいぃ……今更……用件を早く話せ」

片やを竦めるように、片や憑き者が離れたように、互いの目線が點を失う。

その瞬間の２人の姿は、巨大な流に呑まれて引き裂かれた一組の親子そのものだった。

それでも、次の瞬間には２人の目に火が宿る。それぞれ事があれど、自らの前に立ち塞がる障害に立ち向かう意志を持つ者同士なのが、それだけでわかった。

「すまない。話を本筋に戻そう。キミの姉妹についてだ」

「……紫姫音だけじゃねぇのかよ……」

この世界のどこかにいる、まだ見ぬ姉妹の存在に、源はしだけ鼻白む。

その様子を見て、シオンはしだけ表と口調を緩めた。

「そうだ。紫姫音のオリジナルともう１人いる。だが、彼たちの元は、彼たち自のタイミングで明かすのを待っていてしい」

「……まぁ會うこともねぇだろぉけどよ」

「私もそう願うよ」

「で？」

閑話休題と、源は一拍挾み込む。

「本題のTLJ-4300SHについて、何か話ときたいことがあんだろ？」