《【ダークネスソウル・オンライン】 ~追放された銀髪のために『極振り』で頑張ってたら、たったの3日で『魔王』にり上がっちゃいました。なので1週間で世界征服します~》8:躙の悪鬼

六つの首が宙を舞い、鮮の雨がに降りしきる。

ああ、まるで天からの祝福のようだ。俺はを鳴らしながら、聖騎士共のを全け止めた。

『取得経験値にビギナーズボーナス適用。ワンショットキルボーナス適用。クリティカルエンドボーナス適用。ジャイアントキリングボーナス適用』『レベルが上がりました』『レベルが上がりました』『レベルが上がりました』

そんな聲が幾度も幾度も、俺の脳に響き渡った。

どうやら奴ら、あれで中々に高レベルだったらしい。これは他のカス共も期待ができるというものだ。

そうして気分よく笑う俺に、一拍遅れてジャンヌダルクが反応を示した。

「アッ──アンタ、一何したのよッ!? 今ッ、え、いつの間に……!?」

「喚わめいてんじゃねぇよクソ、殺すぞ」

「なっ!?」

ジャンヌダルク……もといクソが狼狽しているようだが、別に大したことはしてないだろうがよ。

俺がやったことは至ってシンプルだった。

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ただ普通に立ち上がり──騎士の鞘から剣を奪って、ぐるっと一周薙ないだだけだ。奴らの元を狙ってな。

もはや恐怖なんてこれっぽっちもじてはいない。俺の心に今あるのは、こいつらに対する殺意だけだ。

(ああ……俺一人なら殺されてやってもよかったさ。一人でダンジョンに潛って一人で稼いだ経験値なら、お前たちにくれてやってもよかったよ。所詮はデータだ、時間をかければ取り戻せる)

だがな……今このアバターに貯まってんのは、健気で優しいの子との思い出の結晶なんだよ。

それを好き勝手に踏みにじられた上、嗤わらわれながら奪われるだと? アリスと俺は無様に殺され、お前たちのようなクズが生き殘るだと?

ふざけるな。

「……よぉお前ら、勝ち組気分は味わったかよ? 敗者を嬲って遊び殺して、もう十分に満足しただろう?」

──じゃあもういいだろう。殺してやるよ、一匹殘らず。

そう言い放つと、ようやく騎士の連中も意識が現実に追いついたのだろう。愉悅の表を一変させて、俺に向かって吠え掛かってきた。

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「てっ、てめぇやりやがったな!?」「初心者のくせに舐めやがってッ! 今すぐにぶっ殺して──」

あぁ──塵ごみのくせしてうるせぇよ。

俺は奪った剣を振り上げると、喚き立てている騎士の一人に向かって投擲した。

果たして剣先はヤツの口へと吸い込まれていき、その後頭部から鮮やかなをぶち撒けさせる。

「がっ、ごふぅうううッ!?」

「ひッ!?」

派手にを噴いてくれたおかげで、周囲の騎士たちが咄嗟に怯んだ。

瞬間、出來るは意識の間隙かんげき。仲間が死に絶える凄慘な景と、そして『獲』から思わぬ反撃をけたという衝撃が、ヤツらの心を麻痺させる。

ゆえに──さぁ、今こそ。

「『昏くらく沸き立つ地獄の炎よ、解放の時はやってきた』」

剎那に紡ぐは、逆襲を告げる死の詠唱アリア。それと同時に背に下げられた大剣を抜き放ち、増幅されたステータスのままにヤツらの元へと一気に薄。そのまま勢いよく振るい、新たに七つの首を薙ぎ飛ばした。

──だがまだだ。まだ飛ばすべき首はいくつもある……!

俺は大剣を握りなおすと、殘る騎士共を皆殺すべく疾走を開始する。

「『今こそ我が手に宿るがいい。我は破壊を司る者、死を撒き散らす悪鬼なり──!』」

刺して、貫き、斬り裂いた。レベルが上がったレベルが上がったレベルが上がった。それによってさらに俺は加速していく。

筋力と敏捷を倍加させる【反逆の意思】の効果と相まって、瞬間的に上昇していく俺の戦闘力に騎士たちはまったく対応できない。

ああ、それもそのはずだよなぁ!?

(ここしばらくは『初心者狩り』にかまけていたんだろう? 格下の相手を集団で襲って、一方的に嬲ってきたんだろう?

──そんな腑抜けた塵屑ごみくず共が、こんなイレギュラーに対応出來るわけがないよなぁ──ッ!?)

橫暴に振る舞ってきたがゆえの怠惰と劣化。それがこいつらの最大の欠陥であった。

ならばその弱點きずぐちを全力で抉り抜け。足を止めるな、きを止めるな、ただひたすらに殺し続けろ。

驕おごり高ぶる勝者共から、至高の勝利を奪い取れ──!

「『付與呪文、発──≪業炎解放・煉獄羅剎≫──ッ!』」

──そして、怨嗟のびが現化を果たす。

詠唱が完了した瞬間、握りしめた大剣より『闇の焔』が噴出する。轟々と燃えるその業炎は、まさしく俺の殺意そのものだった。

「さぁ、灰燼と化して死に果てろ……!」

かくして次瞬──燃える刃が戦場を奔はしり、新たに八つの命を散らした。

灼熱の大剣は驚異的な切れ味を発揮して、騎士共のをバターか何かのように斬滅していく。

これが付與呪文の効力だ。それに加えて、激しく燃える闇の炎は奴らの恐慌狀態をさらに煽り、軍勢としての制を見事に崩壊させていった。

予想外の事態に騎士たちが相を変えて狂いぶ。

「なっ、なんだこいつ、なんだこいつッ!?」

「クソっ、誰でもいいからこの野郎を殺せよッ!」

「じゃあテメェがやれや!? さっきから邪魔なんだよ退けッ!」

ハハッ──隊列がれた部隊など、烏合の衆と変わらない。勝手に後ずさった前衛が後ろの者と衝突し、両者ともに無防備を曬して俺の刃で死滅を果たす。

それでも何度か剣の一撃が放たれてくるが、そんなものはリーチに勝る大剣によって屆く前に首を刎はね落とすだけのこと。

槍での一突きも、面でいえば所詮は一點だ。戦の中で狙いが定まらず、こちらのの中心線を捉えていないようであれば避けることは容易かった。

(さぁもっとだ、もっと覚を研ぎ澄ませ。こいつらをブチ殺すためだけに、全神経を滾たぎらさせろ……!)

もはや今の俺に、腰の引けた攻撃など無意味だ。俺は振り返ることもなく、背後から襲い掛かってきた數人の騎士を切り払った。

そうしていよいよ、俺が追加で九つの命を奪い取った時である。どうやら後方にまで撤退していた弓兵共が、ようやく覚悟を決めたらしい。

「ぜ、全員、弓を構えろッ! まだ多は前衛部隊が殘っているが、全滅するのはもう時間の問題だ!」

たとえ同士討ちとなってでも、あの『化け』を抹殺しろと騎士の一人が吠えんだ。

その言葉に、再び笑いがこみあげてくる。

(おいおい、化けはないだろう? 散々に殺を実行してきて、いよいよ味方殺しを覚悟して、それでよく人のことを悪く言えたものだ)

──人でなしはお互い様だろうがよ。

そう思っている間に、いよいよ放たれる弓矢の嵐。まさしく俺の死が決定した瞬間だった。こちらの敏捷度がいくら高かろうが、回避できるだけの隙間すらもないのだから。

ならば、

「オイそこのお前、ちょっとツラ貸せよ」

「えッ!?」

俺はできるだけ親しげな聲で、退避しようとしていた前衛騎士の一人を呼び止めると──その背中に、燃える大剣を全力で突き刺した。

「ぐげぎっ!?」

唐突に串刺しにされて、無様な悲鳴を上げる前衛騎士。だけど悪いなぁ、旅は道連れというだろう?

と、いうわけで──

「一緒に地獄に墮ちようぜぇッ! いくぞおおおおおお!」

そうして俺は、弓矢の嵐に真正面から突撃を仕掛けるのだった。──大剣に突き刺したままの前衛騎士を盾として。

「あっ、ひっ、ひぁああああああああああッ!?」

次の瞬間、哀れなる騎士のへと數百本の矢が突き刺さった。しぶきと絶を上げながら悶絶死していく姿のなんと凄慘なことだろうか。しかもそれが猛スピードで接近してくるとか、相手からしたらとんだホラーだろう。

──まっ、俺はコイツの背中しか見えていないからよく分からないがな。肩越しに覗く弓兵たちの顔が一瞬にして真っ青になっていったあたり、正面から見たらきっと凄まじくショッキングな景だったんだろうなぁ。

あぁ、ありがとう名もなき騎士よ。お前のおかげで攻撃の手がわずかに緩んだよ。

そんなわけで、こうして……ほら。

「──よぉ、弓兵共。同士討ちまで覚悟したのに、鬼退治は失敗に終わったみたいだなぁ?」

前衛騎士のが消滅した瞬間、目の前に広がったのは歯をガチガチと鳴らす騎士たちの阿呆面だった。

袋を盾に進み続け、ついに俺は奴らの眼前にまで辿り著くことに功したのである。

距離を詰めれば、こちらのものだ。

「んじゃあお前ら……後悔しながら滅びろや」

──それからの結末はもはや語るまでもないだろう。

俺が大剣を振るうと同時に、數多の悲鳴が響き渡った。

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