《【ダークネスソウル・オンライン】 ~追放された銀髪のために『極振り』で頑張ってたら、たったの3日で『魔王』にり上がっちゃいました。なので1週間で世界征服します~》12:ナイスカチコミ!

──らかそうな頬をぷくっと膨らませ、不意にアリスが呟いてきた。

「……アラタくんって、実は鬼畜なところがあるわよね」

「そ、そうかぁ? 俺としては常に紳士的な態度を心がけてるつもりなんだが。

ほら、アリスが転んだ後だってちゃんと抱き起したし、今だってアリスのを気遣って、こうして『お姫様だっこ』で運んでるし──」

「そーいうところが鬼畜なのよー! もうっ! 街の人たちがみんな見てくるんだけどぉ!?」

顔を赤くして俺の腕の中で騒ぐアリスだったが、何だかんだで俺の服をギュっと摑んでいるあたりは可らしさマックスである。

あれから俺たちは、アリスの知り合いがマスターを務めているという鍛冶屋ギルドに向かって足を進めていた。

當然だけどいつまでも初期裝備じゃあ駄目だからなぁ。騎士たちをぶっ殺しまくったおかげでお金も大量に手にったし、これからの戦いに向けて良い裝備を手にれたいところである。

そんなことを思いながら、ファンタジーっぽい石造りの街並みを進んでいくと……、

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「著いたわ。これが私の友達のギルド、【蓬萊ほうらいファミリア】の本拠地よ」

「……え、これが……えっ?」

……目の前に現れた建造に、俺は目を白黒とさせた。

だって如何いかにも中世臭い街並みの中に、デデドンと『武家屋敷』が建っていたのだから……!

なんというか、ファンタジー観ぶち壊しである。

(ま……まぁそんなこと言ったら俺も浪人ファッションだし、キャラメイクの時に選べる服裝の中には洋服から中華服まで々とあったからなぁ)

オンラインゲーム特有の和洋折衷というやつだろう。ならばツッコむのも野暮というものか。

そうして押し黙る俺に、アリスが得意げに言葉を続けた。

「私のお友達はすごいのよ! もうしだけお金が溜まったら、街の中心に死ぬほど巨大な日本のお城を建てるんだってっ!」

うんそれは流石にちょっと待とうか!

◆ ◇ ◆

──鍛冶屋ギルド【蓬萊ファミリア】。この世界でもトップクラスの有名どころだそうで、武の作製に関しては隨一の集団らしい。

また聖騎士と魔人種に対しては中立の立場を取っており、禮儀さえ弁わきまえているのならばどんな相手でもお客様として扱うことをモットーにしてるんだそうだ。

すごくストイックな人たちっていうアリスの説明に、ちょっとワクワクしてしまう。

(うーんまさに職人集団ってイメージだなぁ。きっと白い作務さむえを著込んで、命懸けで武を打ってるんだろうなぁ)

そんなわけで俺とアリスは、門番のNPCに取り次いでもらって屋敷の中へとれてもらったのだが……、

「「「お嬢、旦那ァ! いらっしゃいやせェッ!」」」

「……お、おう」

──俺たちを出迎えたのは、武を打ってるっていうより『白い』を売ってそうなサングラスの黒服集団だった。

……いや武も売ってそうっちゃ売ってそうなんだが、なんか刀っていうかドスを売ってそうな雰囲気である。

(ファ、ファミリアっていうか『組』じゃねーかよ! えっ、アリスの友達ってこんな奴らのトップなの……!?)

和をじさせる廊下の端にずらっと並んだ黒服集団。その景に頬をひくつかせる俺であったが、反対に黒服集団のほうは嬉々として俺に聲をかけてきた。

「アラタの旦那ぁ! 例の≪百人斬り≫、見せていただきやしたっ! ナイスカチコミッ!」

「ってカチコミじゃねーよッ!?」

「ナイスカチコミ!」「ナイスカチコミッ!」「よっ、反社會勢力の鑑かがみッ!」「お勤めご苦労様です!」

こ、コイツら……ッ!

……なんか一人で大勢に立ち向かってボッコボコにしてしまったあたりが、こいつらのヤクザ魂──もとい男心に大ヒットしてしまったらしい。

サインをねだられたり、自分の武を使ってほしいと押し付けられたり、次のカチコミ予定を聞かれたりとみくちゃ狀態である。だからカチコミじゃねえよ!

まぁチヤホヤされて悪い気はしないんだが、それにしてもちょっと懐なつき過ぎなんじゃないかと思っていると──

「……旦那ぁ。実はここだけの話、自分らが作った武が『初心者狩り』に使われてるかもしれないっていうのはあんまり良い気がしなかったんでさぁ」

「そうそうっ! 奴らもこれでしは大人しくなるでしょう!」

って、あーなるほどな……中立の立場として聖騎士たちにも武を提供してるのだから、『初心者狩り』の件については責任をじてしまうところもあるだろう。心不満たらたらだったに違いない。

それを含めてこの大絶賛というわけか……。

「あっ、ところで旦那っ! アリスのお嬢とはその、どういったじで知り合ったんで!?」

「ああ、実は(聖騎士と魔人種の)組織抗爭に巻き込まれちまってなぁ。そんでボロボロになってたところをアリスに拾ってもらったんだよ。

その時のことに恩義をじて、刃やいばを握ると決めたってわけだ」

「「「わぁぁぁい! 完全に昔のヤクザ映畫だー!」」」

「旦那旦那ァ! それでアリスのお嬢とは、どこまでの関係になったんですかい!?」

「そうだなぁ、まあ一緒に頑張っていこうって誓い合って──・の・場・所・に・・れ・さ・せ・て・も・ら・っ・た・くらいだよ」

「「「おおおおおおッ!? 流石は旦那ッ!!!」」」

「いやー(紫水晶が)テラテラと濡れってて本當に綺麗だったなぁ。──まぁ最後には、俺の大剣で滅茶苦茶にしちまったんだけどさ」

「「「ひええええええええ鬼畜ぅううううう!?」」」

ってなんだよお前らッ!? いちいち騒ぎすぎだろうがよ! ……あとアリスさんは何でモジモジしてんの?

──そんな合で黒服連中の妙な冷やかしも相まって、武家屋敷はまるでお祭り騒ぎだ。

々うるさすぎると思うが……大勢でバカ騒ぎするというのも悪くないな。俺とアリスもこんな雰囲気のギルドを作ってみたいところである。

そうしていよいよ黒服たちが、アルコール系の飲料アイテムまで持ち出してきたその時──不意に凜と、艶やかな聲が響き渡った。

「──ちょっとアンタたち。お客様を引き留めて、このウチを待たせるたぁ良い度だねぇ?」

訛なまりを含んだ言葉が響くや、顔を青くしてザッと道を開ける黒服たち。

果たして奧間のほうより現れたのは──その背中より薄い四枚羽をばした、花魁おいらん裝のであった。

剝き出しになった白い肩に大きく開いた元、そして悠々とキセルをくゆらせている姿は、まさに遊そのものである。

結い上げた濡れ羽の髪を揺らしながら、彼は俺に挨拶してきた。

「よく來たじゃないの、アリスを攫さらった黒鬼さん。──ウチはカグヤ。この蓬萊組を治めるギルドマスターさね」

あっ、今この人『組』って言ったッ!?

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