《VRゲームでもはかしたくない。》第0章最終幕
會場に到著しました。
參加も結構集まっています。
「張する……」
「私も久々なので張してます」
「僕も……」
レーナンとまりりすが立てた作戦は、開始直後まりりすの屬魔法≪フラッシュ・ライト≫で目くらましをして、レーナンが≪の一閃≫で一人倒し、反撃に來た相手を≪闇の一閃≫で始末するというものでした。
もう一人はまりりすが目くらまし中に≪サンダー・スピア≫で麻痺させるそうです。
レーナンのAGIは補正込みですでに200を超えていますので≪の一閃≫を発すれば、ほぼ必中です。
作戦を頭の中で反芻していますと、最後の組が到著したようで、組み合わせの選が開始されました。
『それではこれより決闘大會組み合わせ選を始めさせていただきます!』
到著した順番でパーティーに番號が割り振られており、1番のパーティーから順にトーナメント表に名前が表示されていきます。
私達の番號は22番で表示された場所は『A―4』でした。
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Aブロックの4番目ですね。
「一番じゃなくてよかった」
「ねー」
「ですね。一番目だと張で手がるところでした」
一試合目ではないことに安堵し、控室に向かいます。
<Imperial Of Egg>のPvPはそれほど時間がかからないので全32チームでトーナメントを行っても30試合、2時間くらいで終わります。
闘技場を半分に區切りAブロックとBブロックの勝者を決めるのでさらに短くなります。
『Aブロック、Bブロック第一試合スタート!』
と掛け聲がかかった瞬間會場がドッと湧きますが、そんなことに気を取られているひまはありません。
「すぐに私たちの順番になります。裝備の確認をして、場口で待機しますよ」
「はい」
「了解」
やはりBブロックに配置されたジュンヤパーティー戦のために、私は【暗殺者】の裝備にしてあります。
暗殺者系が2人いるアンバランスなパーティーと侮ってくれれば儲けです。
『Bブロック第一試合決著! 勝者ファンダンパーティー!』
ファンダンもでてるんかい。
『Aブロック第一試合決著! 勝者みーたんパーティー』
私たちが次に対戦する相手も決まったようですね。
「準備はいいですか?」
「はい!」
「大丈夫です!」
二人とも気合っていますね。
相手もパーティーも準備できているようですね。
相手にはVIT振りの盾系がいるみたいなのでまずあいつをつぶしますか。
「盾持ちがいますね。最初のタゲはあいつにしましょう」
「わかりました」
レーナンが同意してくれました。
『Aブロック、Bブロック第二試合開始!』
「≪フラッシュ・ライト≫」
おお。反神経バツグンですね。
発も早いですね。
「≪の一閃≫」
シュっと居なくなったレーナンが盾系の首を刃でなでるのが見えました。
首を切れば≪頸脈損傷≫の狀態異常を付けることができ治療しなければすぐにデスペナルティーです。
闘技場ではアイテムが使えないので司祭系がいなければそれで落とせます。
「≪サンダー・スピア≫」
後方に居た弓を構えたプレイヤーをまりりすの≪サンダー・スピア≫が貫きます。
流石ですね。ここ數日でめちゃめちゃ強くなっているみたいです。
もしかして私いらないんじゃ?
とか思っているとレーナンが殘りの一人にもう一度≪の一閃≫を発しています。
なるほど。相手は今の狀況がわからず、けなかったから≪闇の一閃≫で待つよりも≪の一閃≫で潰しに行ったわけですね。
本當に私いらないんじゃ?
『Aブロック第二試合決著!勝者レーナンパーティー』
危なげなく勝ちましたね。
一歩もいてないです。
數合わせのお荷ですね。
「お疲れ様です。お二人とも見違えるほどつよくなっていますね」
「おつかれさま! ありがとう!」
「ありがとうございます!」
「いえ。私何もしていないのでこの調子なら次も大丈夫ですね」
その言葉通りに私の出番無く、3回戦も勝ちあがることができました。
「次は準決勝ですね。勝ちましょう」
「「はい!」」
『Aブロック、Bブロック準決開始!』
「≪フラッシュ・ライト≫」
「≪の一閃≫」
先ほどと同じ一連の流れで數を減らしにかかります。
「ヌゥウウン!!」
レーナンの短剣がけ止められました。
「くっ……≪闇の一閃≫っ!!」
「フンッッ!!」
ガキンと音がなりまたも止められます。
あの人もAGI型みたいですね。
「では私が潰してきます」
そうまりりすに言って駆け出します。
「≪煌く軌跡≫≪アンチ・グラビティ≫≪フライト・レギュレトリー≫」
おなじみの3スキルを発し、発的に加速し、AGI型に急接近します。
「なにぃいい?」
こっちを向きました。今がチャンスですよ!
「≪の一閃≫」
私の意図が読めたみたいですぐレーナンがスキルを発します。
この數戦でかなり戦い慣れてきたようです。
「クッソガアアアアアア!!」
レーナンの刃が首元を一閃し、敵のAGI型を潰せましたので、一度離します。
っとその前にこっちに向かって魔法発しようとしているのは斬っておきますか。
帰り際に、魔法系を斬りつけまりりすの橫に戻ります。
「なんとか勝てそうですね」
「はい。≪サンダー・ボルテッガー≫」
あっこれで決著ですね。
『Aブロック準決勝決著!勝者レーナンパーティー!続いて決勝戦を行います!』
もうBブロックのほうは終わってたみたいです。
『両チームとも準備はいいですか?』
『では決勝戦開始ぃ!』
開始と同時にジュンヤに攻撃を仕掛けます。
「≪煌く軌跡≫≪アンチ・グラビティ≫≪フライト・レギュレトリー≫」
「おっ?なかなかはえぇな。でもよ?」
ガッと短剣を摑まれます。
「足りねぇ……」
手に持った【聖槍 ロンギヌス】で脇腹を刺されます。
ここまでは予想通りです。
「≪【見えざる手】≫」
吹き飛ばされながら手を3本召喚します。
1本でジュンヤを摑み、もう1本で私を摑みます。
そして最後の1本には……。
「≪ダーク・アームズ≫」
アームズシェイプの闇魔法を握らせます。
「けねぇ……だがなっ!」
パキンと音がし、ジュンヤの槍がを放ちます。
拘束から抜け出したジュンヤはニヤリと笑います。
「俺に闇魔法は効かねぇ」
もちろん知っています。
これでいいのです。
「≪の一閃≫」
レーナンがジュンヤにスキルを発しました。
一人で勝てないなら仲間の力を借りるまでです。
ジュンヤのパーティメンバーの殘り二人はまりりす、レーナンとさほどレベルが変わらないと昨日ジュンヤが言っていました。
ならば負けるわけがないのです。
「うっそだろ……」
ジュンヤから驚いた聲が聞こえてきます。
「何を驚いているの?これは3on3。3対3です。仲間の力を借りるのは當然」
「お前……」
ジュンヤを背中から貫いた闇魔法の剣が崩れます。
「最初からここまで考えてたのか……」
「當然。格上相手に直接ぶつかって勝てないのは常識。ならば策を重ねるまで」
私がジュンヤの気を引きその間に他の相手を倒したまりりすかレーナンが援護してくると考えていました。
レーナンの攻撃を防ぐ様子が見えたので念のため用意しておいた魔法で刺しただけです。
恰好がつかないので作戦だったことにします。
「あー……負けちまったな……真っ先にチェリーを叩いて他の奴の援護に行こうと思ってたんだがな……」
「それも立派な作戦。でも今回はこちらの作戦が上だっただけ」
「ははっ……負けは負けだな。『降參リザイン』」
ジュンヤが『降參』したことで決著がつきました。
『優勝はレーナンパーティー!!』
會場が拍手に包まれます。
恰好つけておいてあれなんですが、今すごく恥ずかしいです。
『では優勝したパーティーに賞品の授與です!』
レーナンが照れながら賞品をけ取り、大會は終了しました。
案所で先著クエストの報告を終えたレーナンが話しかけてきます。
「ありがとうございました」
「こちらこそありがとうございました」
「これクエストの報酬です!け取ってください!」
そういって100萬金を差し出してきますがさすがにうけとれません。
「これはあなた達で使って。勝てたのはあなた達のおかげだから」
でも……とか言っていますが私はけ取る気がありませんので無視です。
「お二人ともこのあとの予定はありますか?」
「特にはないです」
「私もないです」
「では打ち上げにでも行きますか?」
「賛!」
「私も!」
しばらく歩き、店屋で食事をしつつ2時間くらい話し、お開きになりました。
「きっと次會うときはVRですね。楽しみです。また會いましょう」
「うん! またねチェリー!」
「またねー!」
この二人とはVRでも仲良くできそうです。
最後は敬語も消えましたし。
さてVR化までの殘り數日は思い出の旅にでも出ますか。
初めてエルマと出會った場所に行ったり、初めてデスペナルティーになった場所に行ったり、畫面越しに見る<Imperial Of Egg>を心に刻み込むように旅をしました。
<第0章完>
妹と兄、ぷらすあるふぁ
目の前には白と黒のしましま。空の方に頭をあげると赤い背景に“立ち止まっている”人が描かれた機械があります。 あたしは今お兄ちゃんと信號待ちです。 「ねぇ、あーにぃ」 ふと気になることがあってお兄ちゃんに尋ねます。お兄ちゃんは少し面倒臭そうに眠たそうな顔を此方に向け 「ん? どうした妹よ」 と、あたしに話しかけます。 「どうして車がきてないのに、赤信號だと止まらないといけないの?」 先ほどから車が通らないしましまを見ながらあたしは頭を捻ります。 「世間體の為だな」 お兄ちゃんは迷わずそう答えました。 「じゃああーにぃ、誰もみていなかったらわたっていいの?」 あたしはもう一度お兄ちゃんに問いかけます。お兄ちゃんは右手を顎の下にもって行って考えます。 「何故赤信號で止まらないといけないのか、ただ誰かのつくったルールに縛られているだけじゃないか、しっかり考えた上で渡っていいと思えばわたればいい」 ……お兄ちゃんは偶に難しい事を言います。そうしている間に信號が青に変わりました。歩き出そうとするお兄ちゃんを引き止めて尋ねます。 「青信號で止まったりはしないの?」 「しないな」 お兄ちゃんは直ぐに答えてくれました。 「どうして?」 「偉い人が青信號の時は渡っていいって言ってたからな」 「そっかー」 いつの間にか信號は赤に戻っていました。 こんな感じのショートストーリー集。 冬童話2013に出していたものをそのまま流用してます。 2016年3月14日 完結 自身Facebookにも投稿します。が、恐らく向こうは二年遅れとかになります。 ストリエさんでも投稿してみます。
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