《VRゲームでもはかしたくない。》第1章5幕 鳴き聲<ribbit >
エルマにひとしきり笑われたあと別れ、私はホームに≪テレポート≫で帰ってきました。
そろそろ部屋ができてる頃かな?
コンコンコンとラビの部屋をノックします。
「どうぞ!」
「おじゃまするね」
部屋を開けると壁が全面ピンクになっており、中心に天蓋付きの白いベッド、奧の窓際には白いテーブルが置かれています。
オレンジのソファーが部屋の一點で存在を主張しています。
「かわいい」
「ありがとうございます!」
「よくがんばったね」
「おもかったー!」
「フランもお疲れ様」
「たのしかった! あっそういえばお晝くらいに【高位調薬師】と【上級鍛冶職人】の方が面接に來るそうです」
「わかった」
「では部屋に戻って寢ますね! おやすみなさい!」
「おやすみ」
「私も疲れちゃったので寢ます。これからよろしくおねがいします」
「こちらこそ。おやすみ」
ラビの部屋から出て1階の商品スペースに下ります。
まだ眠気度は溜まっていませんし、あれだけいたにも関わらずキャラクターに疲労度がたまっていないのでもうしだけ活することにします。
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一通り商品の在庫を確認し、市場に出せるものは出しておきます。
フランが普段やっておいてくれるのですが、今日は面接やらプチリフォームやらでやる時間なかったでしょうししかたありません。
確認を終え、売上のチェックも行います。
店舗自での売り上げはさほど多くありませんが、市場ではそこそこ売り上げていたみたいですね。ユニーク裝備はお店でしか売っていないのであまりプラスにはなっていませんが。
よく売れるポーション系を作れる【高位調薬師】が來てくれるのはありがたいです。
ちゃんと起きれたら、面接には立ち會いますか。
自分で素材化するのが面倒なので、適當な商店にもっていき売卻します。
「これなら19萬金だね」
「わかりました」
代金をけ取り、素材を渡します。
やはり素材化して売ったほうが高くなりますね。
先ほど全部出してしまい、お腹がすいてきたのでさっと食べられるものでも探しましょうか。
うろうろと通りを歩き、串焼きを見つけたので頬張ります。
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うん。おいしい。
「チェリー!」
後ろから聲をかけられたので振り返ります。
「これはまりりすさんにレーナンさん。VRでは初めまして」
「あっはじめまして」
「はじめましてー」
「こんな時間にお散歩?」
「これからクエストに行くところ」
「クエストかー」
「うん。NPCの護衛クエストがあってこれから待ち合わせ場所にいくんだ」
「どこまで護衛するの?」
「『海上都市 ブラルタ』までだよ」
あっ嫌な記憶が……
「あそこにいる〔アンゴラ・キング・フィッシュ〕には気を付けて」
「えっどうして?」
どうして? ってそりゃ……
「マズイから」
「〔アンゴラ・フィッシュ〕っておいしいんじゃないっけ? キング、王様っていうくらいなんだから死ぬほどおいしいのかと思ってた」
「私もそう思ったよ。でも実際食べてみたらやばかった。吐いた」
「「えっ?」」
「一口食べてみる?」
「私は遠慮します」
「僕はちょっと興味あるかも……」
「じゃぁいこっか。『飯処 廁』にまだ殘ってると思う」
「私どうなってもしらないからね」
「さすがにそこまでじゃないでしょー?」
甘い。
「こんばんわー」
「チェリー……二度目の來店ありがとう……して、どうしたのかな?」
「こちらのレーナンさんが例のブツをしてるみたいですので」
「例のブツ?」
「例のブツです」
ニタァと笑うとそれで察したようで「すぐもってくるからまってて!」といって廚房の奧に消えていきました。
「うわーめっちゃおいしいそうな匂いがする」
「ちょっとおなかすいたかも」
「じゃぁ刺でも食べよっか。すいません、〔アンゴラ・フィッシュの刺〕を2皿ください」
「かしこまりましたー」
例の頬が到著するまで、先ほども食べた刺をつまんでまっています。
「おまたせー! これが例のブツだよ!」
そう言って機の上に悪魔の食いをおきました。
「ごゆっくりー」
とニヤニヤしながらカウンターに引っ込んでいきました。
こっそりこっち見てますね。
他のお客さんも見てますね。
仕方ないです、みんな気になるんですよ。
「ふつーにおいしそう。いただきます!」
そういってレーナンが箸を頬に突っ込みます。
「うん。匂いもいいしこれは期待しちゃうな」
パクッっと口にれてモグモグと食べています。
さぁそろそろ來る頃ですね。
心なしかびすけっとの目もらんらんとしています。
ごくっっと飲み込む音が聞こえて、レーナンが言いました。
「うわー! これめっちゃおいしい!」
「え?」
「は?」
「「「「えっ?」」」」
この空間にいるまりりす以外の全員から疑問の聲がれます。
いかにも悪役といった鎧を著た大男がレーナンに話しかけます。
あれ?こいつどっかで見たことあるような……まぁ思い出せないのからいいです。
「おい坊主ゥ……それがうまいわけねぇだろぉ?」
「いえ? 普通においしいですよこれ」
「そんなわけあるかよ!あっちょっとまてお前の食ってる部分があたりなんじゃねぇか?」
「あたりはずれもないと思いますけど」
「ツベコベ言ってんじゃねぇ!一口よこせや!」
「一口だけですよ……?」
「お、おうよ!」
大男はそう言って自分の席から箸と取り皿を持ってきて、箸をひっくり返し、取り皿に移します。
あれこいつもしかして普通にいいやつなんじゃ……?
「わりぃな。いただきます」
やっぱこいつ絶対いいやつだ!
一口食べ數秒後地面でのたうってます。
「うおおおおおおおおえええ!!」
「「「アニキィ!」」」
取り巻きズがアニキさんのもとへ集まっていますね。
「何度食っても死ぬほどまずうぅい!」
でしょうね。
「そうですかねー?」
と言いながらむしゃむしゃと食べてるレーナンはたぶん大なんだと思います。
あとたぶん味覚音癡。
結局レーナンが一人でペロっと平らげ満足そうにしていました。
余談ですが「ちょっとだけ……」食べたまりりすはいまログアウトして歯を磨きにいっています。
まりりすが戻ってきたのでお店を出ることにします。
「ごちそうさまでしたー! また荷したらおしえてください!」
「まいどー! またきてねー」
「何度もごめなさい、びすけっとさん。今度はちゃんと食べに來ます」
「まってるよー」
「何度歯を磨いても気持ち悪さがのこって……うえっ……」
これが普通の反応です。
「じゃぁ二人ともクエストがんばってね」
そう言って二人を送り出します。
クエストかぁ……。
最近自分でクエストうけてないんですよね。
久々に私も何かけましょうか。
しばらく歩き、案所に到著します。
あっあとついでに職場募集の張り紙でも見てこようかな。
職場募集の掲示板のところに來て【料理人】やらなんやら探しますがめぼしいのはありませんでした。
ついでに従業員募集の掲示板を見てみます。
みんなどんな書き方なんだろう……とチェックしていると一際目を引く募集がありました。
『急募』
『【鍛冶職人】、【魔職人】、【素材職人】、【錬金師】、【調薬師】、【料理人】、【菓子職人】、【給】、【黒服】』
『人の店主の下で働きませんか?』
『この度、従業員の大量雇用を検討しています。』
『優しい先輩と人な店主が一から教えます。』
『お給料は全額先払い!』
『【給】【黒服】は未経験でも大丈夫です!』
『興味のある方は『セーラム』従業員フランまでご連絡ください。』
あれ? これうちのか!
こんな文章だったっけ?
まぁいいや。
クエストカウンターまで行き面白そうなクエストをします。
『火山活の調査:10萬金』
『山岳調査隊の護衛:8萬金』
『『氷山都市 ダイエト』までの運搬:22萬金』
山しかねぇ。
通常クエストは山ばっかりだったので急クエストを探すことにしました。
『急:〔ユニークモンスター〕討伐』
『容:『海上都市 ブラルタ』までの易路に出現した〔スカウト・アンゲーロ〕の討伐』
『報酬:800萬金』
そういえばまりりすとレーナンが護衛けていましたね。
では私はこれをけて安全の確保でもしておきましょうか。
「このクエストお願いします」
「はい。かしこまりました」
「クエストの容を確認します。『海上都市 ブラルタ』までの易路に出現した〔スカウト・アンゲーロ〕の討伐でよろしいですか?」
「はい」
「でしたらこちらに署名をお願いします」
わーなんかリアルっぽい。
「ありがとうございます。ご武運を」
さて準備していきましょうか。
いつものスライド移で易路まで向かいます。
掲示板に妖怪スライドとかかいたやつは殺します。たぶんハリリンなので。
街をでて易路を延々と西へ進んでいきます。
途中湧いたの雑魚は【豬突猛進】の【稱號】を裝備して轢き殺しておきます。この使い方は便利。
ある程度の敵をなぎ倒し進むと、目の前に貿易馬車が走っているのが見えました。
橫を素通りしようとすると聲を掛けられます。
「チェリー! どうしたのー?」
おっとこの聲は!
減速して馬車と並走します。直立の姿勢で。
「まりりすさんとレーナンさんがけたクエストの通り道に〔ユニーク〕が出たらしいので狩りに」
「そうなんですかー?」
「し恨みがあるから即殺す。欠片も殘さず」
「えっどんなうらみ?」
「こいつがいなければちゃんと廁に魚が卸されて、キング食わなくてよかったから」
「八つ當たり……」
「違うよ。とりあえず先にいってるね」
「がんばってー!」
サムズアップし速度をあげます。
數十分ほど進むと大きなモンスターらしきがありました。
おそらくはあれが〔スカウト・アンゲーロ〕でしょう。
遠距離から一発魔法でもぶちかましてあげましょう。
あっそうだせっかくなので……
「≪召喚〔GGB〕≫」
『グルオオオオオォン』
「よしゴリラ。練習の果をみせて。≪フレイム・アロー≫」
20本ほど生し、ゴリラに持たせます。
「やっちゃって」
『グルオオオオォォオ』
ドスドスドスと何発も〔スカウト・アンゲーロ〕に當たっていますがびくともしません。
「≪シャドウ・サンダー・ヘリックス≫」
絶級魔法に存在するヘリックスというドリルのような形狀の魔法は貫通力が高く、殺傷力が高いので堅い敵には有効です。
〔スカウト・アンゲーロ〕のに直撃し、悲鳴が聞こえます。
『グエェグェェェエェグェ』
こちらに気付き向きを変えます。
ゴリラがぶんぶん矢を投げてるのに苛立ち、ピョンピョン跳ねて向かってきます。
1歩1歩地震のように揺れていますが、浮いてる私には関係ありません。
恐ろしく大きいカエルですね。
10階建てのビルはあります。
高威力かつ高貫通力の魔法をたくさん撃って倒すか、弱點屬を見つけて、一気に削るか悩むところですね。
カエルって焼いたら食べれましたよね?
ちょっと炙ってみますか。
「≪グランド・フレイム≫」
一定範囲をキャンプファイヤーにする魔法を試しに撃ってみました。
『グエェーグエッグエー』
ん?
こいつ喜んでない?
火の中で気持ちよさそうな聲をあげる巨大カエルに鳥が立ちます。
ドMなのか火が好きなのかは知りませんがとりあえず別の屬を使ってみます。
「≪アイス・ブロック≫」
指定した範囲を凍らせる魔法ですね。
左足の辺りを凍らせてみます。
いま裝備の関係で闇屬魔法以外、中級止まりなのでこの辺が限界なのです。
『グエェーグエッゲッゲーイ』
すぅ……。
こいつただのマゾだ。
「おい、ゴリラ。あのマゾの前でちょっと踴れ」
『グルッルオオオッォオン?』
「いいから」
ゴリラを餌に見立てて口を開かせます。
狙い通り〔スカウト・アンゲーロ〕が口を開きます。
「≪ダーク・バースト≫」
バースト形態は任意の時間で発する弾になります。
口にひょいっと弾を投げれしばらく待ちます。
『ゴキュゥツ』
あっ飲み込みましたね。
「≪エクスプロード≫」
ぼんっと〔スカウト・アンゲーロ〕のが膨れ上がります。
流石にで弾はやりすぎでしたかね?
『グエェグエグググェ』
ケロっとしてますね。カエルだけに。
手詰まりですね。
結構高威力のをお見舞いしたはずなんですが……。
流石に詠唱魔法を使うのはまずいので手の打ちようがありません。
威力でだめなら屬で勝負したいのですが、中級までとなると期待できませんね。
うーん……とりあえず殘りの屬も使ってみますか。
「≪ウィンド・ショット≫」
『グエェエエエ』
「≪アース・ボール≫」
『グッグエ』
「≪ホーリー・スピア≫」
『グエェグエェエエグ』
「≪ウォーター・シャワー≫」
『ピギャアアアアアアアアァ』
ん?
「≪ウォーター・シャワー≫」
『ピギャアァァアアアアア』
こいつ……カエルの癖に水が苦手みたいですね。
「≪ウォーター・ストーム≫」
『ピギャッギャッギャアア』
あっ……。
『〔スカウト・アンゲーロ〕の討伐を確認しました。ユニーク防【アンゲーロ・ボトムス】をインベントリに獲得しました。』
【アンゲーロ・ボトムス】
裝備効果:屬魔法の被ダメージ50%減
水屬魔法の被ダメージ300%増加
防固有スキル:≪フレイム・ヒーリング≫
水屬魔法の被ダメージ4倍になるそうですが魔法ダメージ軽減は強力なので裝備することにします。
≪フレイム・ヒーリング≫は火屬魔法でけるダメージを0にし、その數値分を回復するみたいですね。
早速裝備するとヌルッっとしますが慣れれば大丈夫そうです。
歩くとペチャペチャ音がします。
「チェリー! 倒せたのー?」
まりりす達が追い付いてきたようですね。
「倒せたよ」
「おめでとうございます」
「たぶん誰でも倒せたんじゃないのかな?」
「そうなの?」
「うん。実は……」
馬車に一緒に乗せてもらい、〔スカウト・アンゲーロ〕の話をしながら『海上都市 ブラルタ』まで一緒に行くことにしました。
モンスターでもプレイヤーでも変態は許してはいけないと思います。
『海上都市 ブラルタ』に到著し、まりりす達は完了の報告に行き、し観してから帰るそうです。
私は一足先にホームのある『花の都 ヴァンヘイデン』に帰り、謎の疲れをリアルの睡眠でごまかしたいと思います。
あっあとお風呂って足洗いたい。
「≪テレポート≫」
to be continued...
【書籍化】落ちこぼれだった兄が実は最強〜史上最強の勇者は転生し、學園で無自覚に無雙する〜
※書籍化します! 10/1にKラノベブックス様で発売! コミカライズも決定してます! 史上最強の勇者である俺・ユージーン。 魔王を討伐した後、気づけば俺は貴族の息子・ユリウスとして転生していた。 どうやらこの世界の俺は、魔力ゼロの忌み子として、家から見捨てられていたらしい。 優秀な雙子の弟と比べられ、わがまま王女な婚約者を寢取られ、學校や屋敷の人たちからは無能とさげすまれる。散々な日々を送っていたみたいだ。 しかし別人に転生した俺は、それらを全く気にせず、2度目の人生を気ままに過ごすことを決意する。 このときの俺は知らなかった。 ここが勇者のいた時代から2000年後の未來であること。 平和な世界では、魔法も剣術も、すさまじくレベルが低下していたことに。 勇者としての最高の剣術、魔法、回復術、體術を引き継いだ狀態で転生した俺は、衰退した未來の世界で、自覚なく最強の力を振る。 周囲の悪評と常識をことごとく覆し、戀人や家族、そして俺を馬鹿にしていた弟からは嫉妬される。 けれどそんなこと全く気にせず、俺は今日も自由をただ謳歌するのだった。 ※書籍化に合わせてタイトル変更しました 舊「落ちこぼれの兄の方が実は最強〜史上最強の勇者、未來の世界へ転生する。優秀な弟に婚約者を寢取られ、家や學校からも無能と蔑まれてたが、前世の力を引き継ぎ気ままに生きてたらいつの間にか目立ってた」
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