《VRゲームでもかしたくない。》第1章6幕 正義<justice>

珍しく午前中に目が覚めました。

これなら新しい従業員の面接に間に合いそうですね。

軽く食事を取り、<Imperial Of Egg>にログインします。

ログインするとちょっと足がぬめっとしたので初お風呂にることにします。

裝備を全解除し、になります。

リアルと変わらないもわっとした熱気がを包み、すぐにでも汗が出てきそうになります。

日本のお風呂と変わらない作りにしてあるのでまずお湯を桶で掬い、頭からかぶります。

これは気持ちいいですね。

キャラクターに蓄積されているであろう疲労度がきれいさっぱり流されていくようです。

あとでフランやラビも使うので、念に足を洗い、お湯につかります。

「ふぅー。これは癖になりますね」

口から獨り言が零れてしまいます。

リアルから持ってきた疲れもしっかりとれます。

もうこれリアルでお風呂らなくてもいいんじゃないですかね。

掲示板を見たり、報サイトをみたりしながら10分ほどお湯につかり、上がります。

日本人の慣例として掛かり湯をし、浴場から出ます。

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ビショビショの狀態で裝備を著けたくないので備え付けてあったタオルでを拭きます。

魔法で乾燥とかできたらいいのに。

まだが火照っているので、涼しげな服を取り出し、著用します。

現実的に言えば、キャミソールですね。

ショーツ的なも一応穿きます。

ショーツにキャミソールというラフな格好で売り場にいるであろうフランとラビに挨拶をしに行きます。

「こんにちわ」

「「こんにちわー」」

「あっそうだ。これから挨拶は『おはようございます。』に統一しましょう」

「わかりましたー!」

「ラビ。研修はどう?」

「はい! フランちゃんがとても教えるのが上手ですぐ覚えられそうです!」

いつの間にかめっちゃ仲良くなってる。

「そういえば面接の方はまだかな?」

「まだきてないよ!」

「今日は面接に私も立ち合うね」

「えっ? じゃぁ服著てください!」

完全に忘れてた。

ファーナさんに頂いた、赤いメイド服でも著てただの従業員アピールでもしておきますか。

すぐにメイド服を著用し、ドヤっと二人を見ます。

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「「かわいい!」」

「ありがと。でもふたりのほうが可いよ」

そうして百合百合モードになっているとお店の扉が開きます。

「あのーすいません。今日面接できたんですが……」

來たようですね。

「フラン。ご案して」

「りょーかいです!」

「ラビは一人じゃまだ不安だろうけど大丈夫?」

「がんばります!」

「じゃぁお願いね」

新人候補はフランに連れられて、二階の応接室に上がっていきます。

私は面倒ですが紅茶でもれていきましょうか。

奧で『シエナ・レオナ』で購したティーセットを回収し、ポットに茶葉をれ、持っていきます。

応接室にると、機を挾んでフランと新人候補が座っています。

「お茶よかったらお飲みください」

「ありがとうございます」

そう言って一口飲んでくれました。

いい子の予

フランが座っているソファーの後ろにすっと立ち、様子を見守ります。

「では面接を始めさせていただきますね」

「はい。よろしくお願いします」

「ではお名前と希の業種を教えてもらってもいいですか?」

「僕はカラガマと言います。【上級鍛冶職人】なので、鍛冶をできればと思いまして」

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「ありがとうございます。カラガマさんですね。鍛冶擔當の方で面接一番乗りですよ!」

おお! すごい! 面接っぽい!

フランはいつの間にこんな長したんだろう。

もっとお店おっきくすることがあったらこの娘は人事擔當にしよう。

「仕事容はどんなじなのか聞いてもいいですか?」

「もちろんです。では業務容については店主から直接お話させていただきます」

えっ。

「お願いします。チェリーさん」

そこで私に振るのか。

「……店主のチェリーです。鍛冶職人の仕事容はそのまんまですが武や防、生活用品の制作をお願いしております。剣や刀などの一般的なものから鋏、ケーキ型など特殊なの制作もお願いするかもしれません。基本的には自分のお好きなものを作っていただいてかまいません。ここまでは大丈夫ですか」

「はい」

「では続けさせていただきます。こちらの本店で販売し、在庫がなくなったものを確認し制作の上、卸していただきます。素材は店舗のお金を利用して市場で購してください。今後【素材職人】や【錬金師】の方を雇用しますのでそちらから素材をけ取ってもかまいません」

「わかりました」

「ここまででご不明な點はございますか?」

そうフランが口を挾みます。

ほんとできる娘ですね。

「では労働時間や給與の説明に移らせていただきます」

「お願いします」

「週休2日制の一日8時間労働、1時間休憩の9時間拘束で働いていただきます。お給料は月給30萬金の月始め先払いです。自分で販売した分はそのまま報酬になります」

「おお!」

おお! そうだったのか!

なかなか好みたいですね。

「ですが一點だけよろしいですか?」

「なんでしょうか?」

「店主が結構無茶ぶりしてくるのでキツイ仕事が混じると思いますが大丈夫でしょうか?」

えっなんで?

「それは大丈夫です。結構修行もして自信もあります!」

「ありがとうございます。ではとりあえず1ヶ月ほど働いていただいて、無理そうでしたらおっしゃってください」

「はい! がんばります!」

「ではこちらの書類にサインをお願いします」

スラスラとサインを書いています。

この世界のNPCすぐ仕事決めすぎじゃない?

「はい。ありがとうございました。あっすみません。一點伝え忘れてたことがございまして、住み込みでのお仕事となりますが大丈夫でしょうか?」

なるほど。後から付け足してハードルを下げる作戦ですね。何で勉強したんだろう。

「それは大丈夫です。師匠の下で6年間住み込みで修行していましたので! 家を借りる手間がなくなる分仕事に専念できます」

NPC真面目だなぁ。

とりあえずカラガマの雇用が決まったので職場まで案します。

「この辺りは人通りが多いので晝間は特に気を付けてくださいね」

「了解です」

「ではこちらがカラガマさんの職場となります。1階は食事処なので2階から6階までで好きな場所選んでいただいて構いませんよ」

「でしたら2階でお願いします」

「2階ですね。店主、よろしいですか?」

「あっはい。いいですよ。では【素材職人】と【錬金師】の方も2階で働いてもらうことにしましょう」

「わかりました。そのようにします」

「では自室のほうを案させていただきます。店主、ここからはもう私一人で大丈夫ですのでお店に殘してきたラビさんのことお願いします」

「あっはい」

よく厄介払いされ、お店に帰ってきました。

「ただいま」

「おかえりなさい!」

「フラン、人が変わったみたいでちょっとびくっりした」

「私もびっくりしました! 面接おわったら別人じゃないかって思いました!」

「厄介払いされちゃった」

テヘと舌をだしてみます。

「あ……そ、そういえばここがわからないんですけど!」

ん?

「どれどれ……うんごめん。私もわからない」

「えっ?」

「そのあたりのことは全部フランにやってもらってたから……」

大噓ですけどね。VR前は自分で市場の登録とかもしてましたし。

「じゃ……じゃぁあとでフランちゃんにきくことにします!」

「そうして」

紅茶を二人ですすっているとフランが戻ってきました。

「もどりましたー!」

「「おかえり」!」

「経費としてカラガマさんに500萬金ほど渡しちゃったんだけどよかった?」

「平気だよ」

「重たいもの一人で設置できるか不安かも」

「あっそれならいい方法があるよ」

何だろう?というじで二人とも私を見てきます。

「≪召喚〔GGB〕≫」

あれっ? ゴリラでてきませんね。

「≪召喚〔GGB〕≫」

やはりでてきませんね。

「おかしい……ゴリラがでてこない……」

「ゴリラ? ゴリラってなんですか?」

「あっいやこっちの話」

仕方ないのでヘルプ畫面から『召喚獣』についてを開きます。

『召喚した召喚獣は≪帰還≫しないと次の召喚ができません。』

あっ。

置いてきたままだ。

思い出しました。

最初召喚したときエルマからちゃんと≪帰還≫について聞いていました。

一度やっているのに忘れるなんて不覚です。

「ちょっとまっててね」

そういって〔GGB〕を回収するため≪テレポート≫で『熱帯林 ジャンノーム』 に飛びます。

間違えた。

ここは生息地の方でした。

〔GGB〕の座標を確認し、そちらに≪テレポート≫しなおします。

『グルオオオオオオオン』

「おーおー寂しかったかい?」

『グルオオオオオオンオオオン』

何言ってるかわかりませんが、寂しかったみたいですね。

「≪帰還〔GGB〕≫」

これで大丈夫です。

「ただいま」

「おかえり!」

「おかえりなさーい」

再び≪テレポート≫でホームに帰りフランとラビにゴリラをお披目します。

「≪召喚〔GGB〕≫」

『グルオオォォォン』

「ぴゃっ!」

「きゃぅ!」

びっくりしたみたいですね。

その顔が見れて私は満足です。

頑張って捕まえたので。

「これがゴリラだよー」

「へ……へぇ……」

「大きい……」

ラビの目線の高さの「大きい」発言にちょっと犯罪臭をじつつも會話を続けます。

「重たいものはこいつに運ばせれば大丈夫」

「力ありそうだもんね」

「筋すごい……」

なかなか人気のようですね。

頑張って捕まえてよかった。

「じゃぁ私はカラガマさんのところにいくね。ついてこいゴリラ」

『グルオオオ』

ツカツカ扉に向かって歩くと後ろからフランの聲がします。

「いってらっしゃーい! じゃぁ私たちは研修の続きをするよ!」

「うん!」

フラン初めての後輩でテンションあがってますね。

『セーラムツー』と名前を付けた店舗までゴリラを引き連れてやってきました。

もう他人の目が気にならないですね。

私も長しました。

カランと音が鳴る扉を開けると上からどんどんと音がします。

2階の仕事部屋を改造中のようですね。

2階まで登り、扉をノックします。

「カラガマさん。いま大丈夫ですか?」

「あっはい! どうぞ」

扉を開けてると、溶鉱爐などの本格的な道雑においてあり、汗をダラダラ流しながらカラガマが引き摺っていました。

「一人では大変でしょうから、助っ人をつれてきました」

「あっありがとうございます! うあ!」

よしカラガマさんも驚いた。

『グルオォ』

「あの……そちらの方が助っ人ですか?」

「はい。そうです」

『グルオル』

あれこいつちょっと言葉うまくなってきてる。

「ゴリラ。カラガマさんの言う取りにちゃんとやること」

『グルォール』

「下僕のように扱って大丈夫です。では設置頑張ってください」

「あっ……ありがとうございます」

「あっボロ雑巾のように使い倒したら本店のほうまで連れてきていただけますか?」

「わかりました」

「では失禮します」

部屋を出て、本店まで戻ろうかとも思ったのですが、ラビの研修を邪魔してはいけないので適當に街を散策することにしました。

「きゃぁああああああああああ」

ぷらぷらと當てもなく歩いていると路地から大きな悲鳴が聞こえてきます。

ぬっ? っと思い路地のほうをのぞきます。

するといかにも悪者のような鎧を著た大男がか弱いの子を襲っているようでした。

あっあいつ廁で見たアニキだ。

見ていられないので聲を掛けます。

「ちょっと何してるんですか?」

「「「あぁん?」」」

うわーガラ悪。

「おめーには関係ねぇだろぉ?ゲロ?」

イラッ……

「そうね。私には関係ない。けど見過ごせない。その娘をどうするつもり?」

「どうしようと俺の勝手だろうがよぉ」

「エッチなことしようとしてるんですか?」

一瞬、間が開き、アニキが答えます。

「ンなわけねぇだろぅが!」

「そうだそうだ! アニキがんなことするわけねぇ!」

「取り巻きズは黙ってろ。あれ? 一人減った?」

「取り巻きズ言うな! あいつは保護者さんを探しにいってんだよ!」

「へっ?」

「だからよぉ。俺のパーティーメンバーがこの娘の親さん探しにいってるんだよゴルァ」

「あっ……」

やっぱいいやつだった。

「ごめんなさい。てっきり襲っているのかと思ってしまって」

「お、おう……なんかこっちもすまねぇ……紛らわしいことしまって……」

微妙な空気が流れます。

「アニキー! アニキー!」

ナイスタイミング!取り巻き三!

「すいやせんアニキぃ。逃げられました」

「ンだとぉ? てめぇ……あとでゴミ拾いのボランティアいってこいごるぁ……」

…………。

「はい! すいやせん! ついでに夜間のパトロールもしてきやす!」

「いいこころがけだぁ」

…………。

「と、ところでその子はどうしたんですか?」

「あぁん? 親さんとはぐれて迷子になっちまんだよぉ」

「先ほどの悲鳴は?」

「ネズミにびっくりしてんじまったんだよなぁ」

「う……うあああああんままぁあああどこおおおおお」

「おーおー大丈夫だぞぉ。お嬢ちゃんのままはちゃーんとみつけてきてあげるからねー」

…………。

「あの……」

長いトング的な何かとゴミ袋を用意しているボランティア準備中取り巻き三に話しかけます。

「あぁん?」

お前らそれが返事なのかよ。

もしかしたらルールとかあるかもしないですね。

「さっき逃げられたっていってましたよね」

「おぅ」

「どんな方でしたか?」

「白いスカートに白いシャツ、茶の靴を履いて長い黒髪を後ろで一本に纏めた綺麗なだぞこるぁ」

よく覚えてんなーこいつ。

「大聲であの嬢ちゃんの親さん呼んでたら出てきてくれたんだが俺をみて逃げちまったんだこるぁ」

「そうですか。どのへんで逃げられましたか?」

「てめぇんとこの店からちょっと南に行ったとこだこるぁ」

えっ何こいつ怖い。なんで店までしってんの?

「そこからさらに南のほうに走って行ったぞチキショーメェー」

「では私が連れてきますね」

そういうとアニキがふりむいて大聲を出します。

「お! いいのか!? あっ……あぁん? てめぇにできんのかよごるぁ」

「もちろんです」

「てめぇがどうしてもっていうならしかたねぇなぁ……」

「ではいってきますね」

「おい!」

「なんですか?」

「早く連れてきてくれぇ。この娘が可哀そうでならねぇ」

「もちろんですよ」

そういい私は裝備を転換し、おなじみの3スキルを発します。

スライド……スライディング……スラスター……ホバー……。

良い名前が思いつきませんね。

スライド(仮)でいきましょう。

短い謎の思考を経て、取り巻き三が逃げられた場所まできました。

!? しまった! の子の名前を聞き忘れた!

しかたないですね。特徴から探しましょう。

しばらく南に進むと大聲でんでいるがいました。

「みかーん!! みかーん!!」

必死ですね。そんなにお腹空いてるのでしょうか。

「みかーん! いたら返事してー! ままはここよー!」

あっ!

急いで近寄ります。

「すいません!」

「きゃっ!」

「おっと失禮しました。もしかして迷子をお探しですか?」

「はい……娘とはぐれてしまって……」

この人で間違いなさそうですね。

特徴も完璧に一致していますし。

すげぇな取り巻き三。

「心あたりがあるので一緒に來てもらってもいいですか?」

「はい……!」

流石にホバー(仮)で引っ張って行くのは危険でしょう。

ですが到著が早いに越したことはありません。

あっ空間転移魔法!

すぐに思いついたので発します。

「≪ワープ・ゲート≫」

「あっ……あのこれは……?」

「空間転移魔法の一種です。娘さんの近くに飛びます。ってください」

「はい……!」

おかあさんがゲートをくぐったあと私もすぐに続きます。

「大丈夫ですか?」

「……はい。大丈夫です……」

転移は初めてだったようですね。

これは申し訳ない。

「すぐそちらにいますので!」

「はい!」

タタタっと走り出していきました。

「こちらです」

と言ってアニキと取り巻きズのいるところまで案します。

「みかん!」

「まぁまああああああ!」

二人が再開できました。

ちなみにお母さんが來た時アニキは一瞬でみかんが走り出せるように道をあけていました。

「うああああああああああん」

「よかった……! よかった……!」

うん。よかった。

グスグス聞こえてくるのは誰かが鼻をすすっているからでしょうか。

やっぱこいつらいいやつだった。

「おう、ゲロ……」

「なんですか?」

「ありがとよ……おめぇ名前なんていうんだ……?」

「? チェリーです」

「そうかチェリー。本當にありがとうなぁ……」

號泣し始めてしまいましたので退散するとしますか。

立ち去る前に気になっていたので聞いてみます。

「そういえばアニキさんはどうして悪なロールをしてるんですか? めっちゃ優しいのに」

「……俺はよ。現実でナヨい見た目でよ……昔な、高校生くらいのの子がよ、不良に絡まれてたんだ……」

アニキの自分語り。興味ありますね。

「俺……喧嘩も弱いし、助けてあげられなそうだったんだ……でも勇気を出して「やめろ!」って言って……結局ぼこぼこにされてよ……強そうで悪そうな見た目してたらそんなこともう起きねぇはずだっておもってよ……それでだ……」

えっ思ってたよりいい話。

「MMOで悪人の練習しつつリアルは格闘技習ってよ……」

すげぇ。普通にすげぇアニキ。

「何年後かにまた絡まれてるの子をみつけてよ……今度は助けられたんだ……」

ちらっと取り巻きズをみるとみんなうぉんうぉん泣いています。

私もちょっと泣きそう。

「へへっ……それが今の嫁だ」

既婚者だったのか……。

「嫁さんに知られたくはないけどな。恥ずかしいし」

「アニキ。あんたかっこいいよ。もう悪人のふりなんてしなくていい。何も恥じることはない。奧さんはきっとあなたのことを誇りに思ってる」

「ありがとよ……チェリー。もう悪人演じなくていいかな……?」

「うん。ありのままの自分で生きて」

「ありがとよ……これからは素の自分で生きるわ」

「そうして。じゃぁ私は行くから」

「おう、またな。あそうだ自己紹介してなかったな。俺は諭吉だ」

…………。

アニキじゃなかったのか……。

to be continued...

    人が読んでいる<VRゲームでも身體は動かしたくない。>
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