《VRゲームでもはかしたくない。》第1章9幕 昇降機<elevator>
「だから重しを一つ一つの階で止めるものが必要なんすよ。あと緩衝」
「すまん。緩衝ってなんだ」
「緩衝っていうのは衝突の時の衝撃を抑えるもんすよ。それがないとさっきの俺みたいにぺちゃんこっす」
さっぱりわからんので刺をずっとたべています。
あとはこの二人に任せます。
「どうしたの? やけに盛り上がってるね」
「うちにエレベーターを設置しようと思って呼んだ助っ人が熱く議論してるだけです」
びすけっとが話しかけてきます。
「そういえばびすけっとさん。仕事はもういいんですか?」
「うん。閉店時間だからね」
「あっごめんなさい。すぐに出ますね」
「いーよいーよ。まだ落ちるまで時間あるから」
「ありがとうございます」
「その代わり刺はいただくよ!」
「どうぞどうぞ。どうせあの二人食べずに話しているとおもうので」
ハリリンの前の皿をスッとびすけっとの前に移させます。
「さんくー。刺が一番おいしいね」
「わかります」
「チェリー。お酒飲む?」
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「飲むよ」
「持ってくるね」
「ありがとうございます」
二人分のお酒を持ってきたびすけっとにお酌してもらいます。
「おっとっと……ずずぅ。カァー! 可い子に注いでもらった酒はうまいねぇー」
「おっさんくさい……」
「まぁまぁびすけっとさんも飲みなさいな」
と並々注ぎます。
「おっとっと……ずずっ。カァー! 仕事終わりに人のねぇちゃんに注いでもらった酒はうまいねぇー」
「さすがにそれはおっさん臭すぎる」
「ひどっ! ノッただけなのに!」
「いや。いまのは完全に素でしたよ」
「そんなわけないやい!」
テーブルをはさんだ向こうはホモホモしく、テーブルのこっちは百合百合しい空気になります。
「びすけっと……」
「チェリー……」
「「口に醤油ついてる」」
びすけっとがログアウトするので、まだ議論中だったホモ二人を店から引きずり出し、ホームに帰ります。
「どう? 結論は出た?」
「とりあえずハリリンの言う通り緩衝ってのを用意してみることにしたんだがちょうどいい素材がなくてな」
「ゴムみたいに弾力があってほどほどにいものないっすかね?」
「うーん。おもいつかないなぁ」
「ぶっちゃけお前には期待してない」
「チェリーには期待してないっす」
「お前ら……」
ホームに著き、ファンダンは各階にストッパーを用意してくると言ってエレベーターの下側にっていきました。
私とハリリンはない頭をひねり緩衝のようなものを制作しようとしています。
「カエルの筋みたいなほどほどの弾力のものないっすかねー」
「カエルはないけど〔マッスルガーゴイル〕のならあるよ」
「ためしてみるっすか?」
「試してみようか。失敗してもどうせしぬのはハリリンだし」
「俺っすか」
〔マッスルガーゴイルの筋〕を取り出し地下一階のエレベーターの下に敷き詰めます。
「こんなじ?」
「いやいや。これじゃただの筋絨毯っすよ」
「じゃぁどーすんだよ!」
「ちょっと待つっす」
「ちょっとだけだよ」
ハリリンがカチャカチャと謎の箱のようなものに筋をしまっていきます。
「なにしてるの?」
「大きさの違う箱を用意したっす。この中に筋をれて、上から衝撃が來たら上にかぶせた箱が閉まって衝撃を吸収してくれるかなっておもったっす」
なるほど。こいつバカだけど頭いいな。バカだけど。
「こんなもんっすかね」
「おお。なんかそれっぽい」
「もっと褒めるっす」
「えらいぞー」
「ご褒におっぱいさわらせてほしいっす」
「死ぬかクソ蟲?」
「冗談っす」
「ファンダン! 緩衝のようなものの設置おわったっすー。そっちはどうっすかー?」
とクソ蟲が上に向かってびます。
「あぁ。あとこの階に設置すれば終わりだ」
「まってるっすー。なるはやでおねがいっすー」
「あぁ」
ストッパーのようなものを設置したファンダンがエレベーターをつるすワイヤーを伝って下りてきます。
そして筋製緩衝の上に下ります。
「うん。なかなかよく衝撃を吸収するな。何で作ったんだ?」
「〔マッスルガーゴイルの筋〕っす」
「おい。腐るぞ」
「そこまで考えてなかったっす」
「腐ったら取り替えればいいじゃん」
「そうだな」
「あとは壊れたカゴをもっかいつくらないとっすね」
「そうだな」
「壊れにくいように鉄製にしよっか」
「鉄製だと加工に時間かかるだろ」
「6枚用意すればそれ溶接するだけでいけるんじゃないっすか?」
「やってみるか。チェリー火魔法どのレベルまでだせる?」
「火なら上級かな」
「上出來だ。ハリリン市場で鉄板買ってこい」
「了解っすー」
ハリリンが鉄板を市場で購してきたので早速取り掛かります。
「じゃぁ火魔法つかうね」
「ちょっちょっとまって! 家がなくなる!」
あっそうか。
「じゃぁどこでやればいいの?」
「お前んとこ鍛冶場あるだろ」
「そうだった。ちょっといってくる」
『セーラムツー』まで≪テレポート≫し、2階の鍛冶場までいきます。
鉄板をすべて床に並べ、取り掛かります。
「≪【見えざる手】≫」
最大數の4本の手を召喚し、床に並べた鉄板を固定させます。
「≪バーナー≫」
これで溶接していきます。
何十分かの作業を終え、完した鉄製のカゴをインベントリに収納し『セーラム』へ帰ります。
「ただいま」
「おかえりっす」
「おかえり。できたか?」
「できたよ」
インベントリからズドンとカゴを置きます。
「いい出來だな」
「でしょ?」
「さすがチェリー! 俺のお嫁さんっす」
「殺すぞクソ蟲」
出來上がったカゴをファンダンが死ぬ気で持ち上げ設置します。
あとはワイヤーでつるすだけですね。
「ガイドレールも設置しておいたから揺れもなると思うぞ」
「ありがとう」
「おっけーっす。ワイヤー通しおわったっす」
「えらいぞ。蟲」
「じゃぁ早速試すぞ。4階まで上げるぞ」
レバーを作し上まで上げます。
スルスルと登っていき。4階まで上がりました。
「ここまでは順調だな。ハリリン乗れ」
「うーっす」
ハリリンが乗り込んだのを確認しファンダンがレバーを下ろします。
スッーっとカゴが降りていき、ピタっと地下一階で止まります。
「やったぁー! 死ななかったっす!」
「「チッ」」
「舌打ちひどいっす!」
死んだら面白かったのに。
あっでも死んだらまた作り直しで面倒です。
「よし。カゴの部からでも作できるように手を加える」
「任せた」
「俺もう帰っていいっすか?」
「ハリリンありがとう。ご褒あげるから外いこ?」
「うれしいっす!なにくれるっすか?」
「ここではできないこと」
「たのしみっすー!」
ハリリンを連れ出しご褒をあげます。
「わくわく」
「死をプレゼントするね≪シャドウ・フレア≫」
「へぅ?」
≪シャドウ・フレア≫を発し、ハリリンにぶつけます。
「ぎゃあああああああああ」
ハリリンの斷末魔のびが夜の街に吸い込まれ、かつて人であったと判別のできないほどバラバラになった仮想のが辺り一面に飛び散りました。
「ただいま」
「おう、おかえり」
「ハリリンは帰ったのか?」
「ご褒に一回殺して解放してあげた」
「そうか。こいつを見ろ。ボタンをつけてみた」
「おお。本格的」
「自信作だ」
「ありがとう」
「気にするな。試してみるか?」
「うん」
ドキドキしながらカゴに乗り込みます。
「あとは扉を閉めて、ボタンを押せばうごく」
「わかった」
扉を閉め、適當に2階のボタンを押します。
ぐわんと足元が揺れカゴがきます。
おお!
チーンという音が鳴り2階で止まりました。
「やった! ファンダン大功だよ!」
「よかった。何か不合があったらハリリンに言え。たぶん直せるだろ」
「わかった。ありがとう。何かしいものとかある? 私が用意できる範囲でお禮するよ」
「そうだな……ってわけじゃないんだがいいか?」
「いいよ。なに?」
「あの像をつくった職人を紹介してくれ」
「像?」
「お前の像が店にあっただろ?それだ」
「あぁ……いいよ」
「すまんな」
「すぐいく?」
「すぐいく」
「じゃぁって。≪ワープ・ゲート≫」
「助かる」
『鉱山都市 アイセルティア』まで飛び、職人の家まで案します。
「ごめんください」
「お前か。どうした」
「この人があなたを紹介してくれって言っていたので」
「はじめまして。俺はファンダンだ」
「おう。俺はムンバだ」
ムンバっていうんだ。
「頼みがあってきた」
「言ってみろ」
「こいつの像を作ったはずだ」
「あぁ」
「頼む! 同じものを作ってくれ!!」
「はぁ?」
「かまわんぞ。高いぞ?」
「金はいくらでも出す。頼む!」
「4.5時間かかるがいいか?」
「大丈夫だ! 謝する!」
「何お前ら二人で解決してんだよ。勝手に私の像つくってうるんじゃねぇ。お前も買おうとすんじゃねぇ」
「黙れチェリー! お前……あの像のすごさがわからんのか!」
「微塵も」
「リアルでもあれほどのフィギュアを作れる造型師はいねぇ! 俺の……俺の魂に火をつけられる!! あれほどの作品を!!」
「要するにお前も変態の一味ってわけかおい?」
「なんとでも呼べ。それでも俺はあの像を舐めまわしたい」
「舐めるな。像が痛む」
「勝手にしろ。ファンダン今回はエレベーターに免じて目をつむってやる。だが次私かエルマの前で変態発言したら殺す。いいな」
「かまわん! そうだ……エルマだ……先生! こいつの像も作ってくれ!」
懐からスクリーンショットを取り出したファンダンを一発毆りつけ私はホームに帰ることにします。
帰り道なんてしらん。
野垂れ死ね変態。
エレベーターで4階まであがります。
うん。とても楽。
々あって疲れたので今日はもうログアウトして寢るとします。
あっその前にこっちでお風呂っておこう。
to be continued...
【書籍化】萬能スキルの劣等聖女 〜器用すぎるので貧乏にはなりませんでした
※第3回集英社WEB小説大賞にて、銀賞を獲得しました。書籍化します。 剣も魔法も一流だけど飛び抜けて優秀な面がない聖女ソアラは、「器用貧乏」だと罵られ、「才能なしの劣等聖女」だと勇者のパーティーを追い出される。 その後、ソアラはフリーの冒険者業に転身し、パーティーの助っ人として大活躍。 そう、ソアラは厳しい修行の結果、複數スキルを同時に使うという技術《アンサンブル》を人間で唯一マスターしており、その強さは超有能スキル持ちを遙かに凌駕していたのだ。 一方、勇者のパーティーはソアラを失って何度も壊滅寸前に追い込まれていく。 ※アルファポリス様にも投稿しています
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