《VRゲームでもかしたくない。》第1章13幕 護衛<escort>

夜まで麻雀を打ち、麻雀大會はエルマの全勝でお開きになりました。

3人は打ち上げに行くといって帰っていきました。

やはりずっと打っていると疲れますね。

エレベーターを使い売り場まできます。

ラビしかいないようですね。

「チェリー戻ったんだね!」

「うん。ただいま。他のみんなは?」

「案所にいったよ。募集を変えてくるって言って。もうすぐもどってくるはずだよ」

「そうだね。あとは【魔職人】、【素材職人】、【錬金師】の3人がそろえば『セーラムツー』が完だね」

「うん! たのしみー」

「みんなの勤務時間決めなきゃいけないから戻ってくるまでまってよっか」

「もうきまったよ!」

えっ早っ!

「フランちゃんが朝7時から16時まで、私が13時から22時まで、シドニーちゃんが15時から24時まで、ハンナちゃん、カンナちゃんが22時か翌日の7時までになった」

おお! がないじ!

「完璧だね。フランが考えたのかな?」

「ううん。私!」

「ラビか。さすがだね」

「えへ」

ラビと話しているとフラン達が帰ってきます。

「ただいま!」

「「「ただいまです」」」

「おかえり」

「おかえりなさーい」

「勤務時間もきまったって聞いたよ」

「うん! ラビが上手く決めてくれたの! お店お休みの日作っても大丈夫?」

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「大丈夫だよ。うーん……月曜日と水曜日がいいかな?」

経験上月曜日と水曜日はプレイヤーないと思うので。

「じゃぁとりあえずその日はお店、お休みするね!案所に行くついでにハンナちゃんとカンナちゃん、シドニーちゃんに軽く街を案してきたんだ」

「3人とも街はどうだった?」

「思ってたより人が多いですね」

「食べ屋さんがいっぱい」

「うちは『ディレミアン』よりここのほうが好き」

ハンナ、カンナ、シドニーの順で答えます。

「まだわからないこともいっぱいあるだろうからフランとかラビに聞くといいね」

「「はい」」

「はーい」

シドニー達三人は明日から數日お晝に研修するそうです。

「じゃぁそろそろ店じまいの時間だから閉店の作業するよー」

「「「「はーい」」」」

「まずお店の看板を閉店にひっくり返して像を片づけます……?あれ像がないよ!」

あっ。上に置きっぱなしだ。

「像なら上で見たよ」

「じゃぁ私が取ってくるよ」

そうラビが言い、階段を上っていきました。

「次は売れた品の確認と市場に出してた品の売れ行きをチェックするの」

すごい先輩っぽい。

「終わったら掃除道を持ってきて軽く掃除ね」

なるほど。掃除してたのか。

VRゲームの謎の力できれいになってるものだとばかり思っていました。

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「……とここまでが閉店の作業ね」

「わかりました」

「わかった」

「りょーかい」

1回で覚えられるんだもんね。すごいよね。

「なんかごめんね」

「どうしてチェリーがあやまるの?」

「なんか私何もできてない」

「……。さて閉店の作業は今後お休みの前だけになるけど一応覚えておいてね」

…………。

戦力外通告……。

みんながお風呂に行き、誰もいなくなった売り場で一人ポツンと立っています。

あのまま立っててもよかったのですが特に楽しくもなかったので一度私もログアウトしてご飯を食べてくることにします。

リアルに戻り、自調理機から食事を取り出します。

畫サイトを見ながらモグモグと食べているとエルマから著信がきました。

「もしもしチェリー?」

「どうしたのエルマ?」

「中にいなかったからチャットが屆かなくて」

「うん。それで」

「ちょっとこれから護衛クエストがあるんだけど一緒にいかない?」

「護衛クエストかー。わかった。あと10分待ってごはん食べ終わったらいくよ」

「急にごめんねー。『セーラム』で待ってる」

「わかった」

電話を切りご飯を食べるスピードをあげます。

食べ終わり紅茶で一服した後再びログインします。

「おまたせ」

「おかえり」

「おかえりー」

あっステイシーもいる。

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「今日はこの3人で護衛クエスト?」

「うん。結構遠いところまで行かないとだからね!」

「めんどくさがりのチェリーの手も借りたいーってところかなー」

「めんどくさがりって……」

「事実でしょー?」

「否定できない」

「否定させない!」

「さーさーそんなことより早く合流場所にいこー」

「そうだね」

中央市街の東通りをずっと進み、外に出るための門までやってきました。

「ここでまっててーだってさー」

「一どんな護衛クエストなの?」

「あたしも詳しくは知らないけど、かなり重要クエストみたいだよ!」

「うーんとね。お姫様の護衛だよー」

「へっ?」

「だーかーらー。この國のお姫様だよー。その人を『巖塩都市 ファイサル』まで護衛するのー」

「『ファイサル』!? なんでそんな遠くまで!」

「詳しい事は僕も知らないよー」

「責任重大だね!」

「……。報酬は?」

「一人1000萬金だねー。道中に沸くかもしれない〔ユニークモンスター〕の討伐報酬もー」

「これ絶対ただの護衛じゃない……」

なくとも盜賊団とは一戦えることになりそうだねー」

「これ姫様を使って野蠻な連中おびき出して私たちに始末させるつもりなんじゃ?」

「かもねー。Lv.300超えてる人だけの募集だったー」

「帰っていい?」

「もうおそいよー。姫様がお見えだー」

「あわわわわわ」

「其方らがを護衛する冒険者の一黨か?」

「いかにもー」

「うむ。はツンドルト・デレモーラ・ヴァンヘイデンである」

「お初にお目にかかります、姫君。私、エルマと申します。以後お見知りおきを」

エルマが両手でスカートの裾を摑み、広げ、お嬢様のような挨拶をしています。

「僕はしがない魔師のステイシー。無事送り屆けるよー」

この人は誰にでも一緒なんだ……。

「初めましてお姫様、チェリーと申します」

「うむ。を無事に『ファイサル』に送り屆けよ」

「はい。かしこまりました」

「かしこまりました」

「了解ー」

「では參るぞ」

そう言って姫様が馬車に乗り込みます。

一人の屈強な騎士が下りてきます。

「俺は騎士団団長のダーロンだ。今回大勢の兵や騎士を員できず、このような編となっている。助力に謝を」

「いえいえー。全力でやらせてもらいますー」

「外の人達の中でも特に優秀な者と聞いている。心強い」

この人凄い筋ですね。

うちのゴリラに匹敵するレベルです。

「では乗ってくれ。すぐに出発する」

全員が馬車に乗り込み、者が馬を走らせます。

この辺はまだ低レベルのモンスターが出るだけなので安心ですが、この先は盜賊団の隠れ家や高レベルモンスターが徘徊する地域になります。

盜賊団はかなり手ごわく、討伐の依頼をけたプレイヤーが相當數返り討ちにあっているとも聞きます。

高レベル3人とはいえ油斷はできませんね。

30分ほど進むと、大きな魔の巣が見えました。

「エルマ、ステイシー。このまま行ったらモンスターの索敵範囲だよ」

「うーん。【トール・マジェスト】裝備してるけどこのスキルを使うと僕はしばらくお荷だよー」

【再誕神 トール・マジェスト】……。

懐かしいですね。

この3人で冥界に行ったとき討伐した〔雷神 トール〕から得た【神】を10日かけて素材化して作り直したのは懐かしい思い出です。

「エルマは手はある?」

「全くない! ごめんよ!」

「私が詠唱魔法使う?」

「そうかー詠唱魔法かー。僕が使ってもいいねー」

「俺が単獨で行っても返り撃ちか?」

「ええ。〔鬼蜘蛛〕はLv.250を超える超高レベルモンスターです。その巣だと思うので発見される前に一帯ごと葬れないと恐らくは」

「そうか……」

「ステイシー、エルマ。私がMP全部使ってあの巣に詠唱魔法ぶつけるね」

「大丈夫?」

「チェリーにまかせるよー。雷の詠唱じゃこっちまで被害が出ちゃう」

者さん! ここで止まってください!」

私だけ降り、巣の方へ向かいます。

場違いな【アンゲーロ・ボトムス】のペチャペチャという音を立てながら索敵範囲のギリギリまで行きます。

すぅっと息を吸い、詠唱魔法を発します。

記載されている詠唱魔法の中で最も長く、最も強力であろうこのスキルを。

『喰ラエ 喰ラエ 黒渦ヨ 消エヨ 消エヨ 命ノ全テヨ 我が神ヲ供トシ 全テヲ無ニ還シ給フ 生マレヨ 生マレヨ 黒禍ヨ 育ム 育ム 闇禍ヨ 我がヲモ喰ライマセ 希ノ全テヲ虛無ニセヨ』

『≪全テヲ飲ミ込ム黒イ渦≫』

詠唱中にすべてのMPは消費され、HPも1だけ殘し消費されました。

〔鬼蜘蛛〕の巣の上方に黒い珠が生まれ、漆黒の嵐が吹き荒れます。

全てを飲み込むブラックホールを生する魔法の効果が切れたとき、そこにはかつて何があったのかも分からない程に変わり果てていました。

草木はなくなり、空間がぽっかりと消滅してしまったようなじです。

バタッと倒れた私をダーロンが抱え上げ馬車まで連れてきてくれたようです。

「チェリー」

よかったエルマ達は全員無事みたい。

ジュンヤみたいに一緒に消滅してたらどうしようかとおもった。

「みんな無事だった? 無事に抜けれたかな?」

「チェリー無茶しすぎ!」

「≪オーヴァー・ヒーリング≫つかってHPは回復しておいたー」

「でもこれが一番楽で早い方法でしょ?お姫様を危険にさらすわけにはいかないしね」

「恐ろしい魔法だった。チェリーといったか。中立の、それもモンスターの巣とその周辺だからよかったもののこれは一國を容易に消滅し得る魔法だ」

でしょうね。

MPだけでなくHPまで全部持っていかれるとは……。

まぁそれだけの威力がありましたけど。

「バカ! そんな詠唱魔法使うなんて」

「別にリアルに影響あるわけじゃないし」

「そうだけど……」

「疲れちゃったからしばらく護衛任せるね」

「それは大丈夫ー僕の魔法で盜賊団のはぐれ者は倒してるー」

盜賊団……?

もうそんなとこまでいってるの?

「何時間くらい気を失ってた?」

「2時間くらい」

「えっ」

そんなに寢てたのか。道理でちょっと頭がすっきりしてるわけだ。

「これはそう簡単につかっちゃいけない系のやつだったかー」

「うん。反省して」

「試したかったんだよ。あとまだ使ってない詠唱魔法が3個くらいあるからそれも試してみたい」

「…………」

し敵がへったねー」

「そろそろ盜賊団のアジトが近いってことだね」

「私も寢てる間にしMP回復してるし、ちゃっちゃとアジトつぶそっか」

「そうだねー」

馬車を止め、私達3人はアジトに向かっています。

姫様の護衛としてダーロンには盾として馬車に殘ってもらっています。

「ここからが正念場だよ! ある意味で〔鬼蜘蛛〕もよりも厄介だからね」

「わかってる」

「りょーかいー」

盜賊は私たちが使うのと同様のスキルを使ってくるのでそこらのモンスターよりよほど厄介なのです。

〔鬼蜘蛛〕の巣を消滅させて4レベルほど上昇していたのでそれをすべてMNDに振っておきます。

高レベルモンスターは経験値もおいしいですね。

「≪ライトニング≫」

ステイシーが魔法を発させ見張りの盜賊を排除します。

「さーいこっかー」

「あっちょっとまって」

「ん?」

エルマが立ち止まります。

「面白いもの見せてあげる!」

『顕現セヨ 我ガ腕カイナニ』

『≪切斷ノチャイルド申シ子アンピュテーション≫』

「詠唱魔法?」

「ううん。詠唱魔法じゃないよ! これは詠唱召喚!」

初めて知りました。そんなのがあるんですね。

「この子は風屬霊。その中でも強力な原始霊子だから詠唱がないと出せないんだ」

「へー」

「おもしろいねー」

「さぁ準備できたよ」

「じゃぁいっちょカチコミいきますか!」

「おー!」

「おー」

門を抜け、奧へ奧へと進みます。

ちょくちょく出てくる盜賊団をエルマの霊が瞬く間に倒していきます。

祭壇のようなところに著きました。

中にると、口が自然と閉じてしまいました。

「うーん。囲まれてるねー」

「みたいだねー」

「多人數はこの子じゃキツイ!」

「なら僕もいっちょ大きいの使おうかなー?」

「≪【雷神の怒り】≫」

一定時間クールタイムを0にするバフ系スキルだったはずです。

デメリットが大きいからあんまり使わないって言ってたのに。

「僕の近くに來てー、あと僕にれておいてー」

言われる通りにステイシーの髪をギュっと握ります。

「イテテー。なんで髪を摑むかなー?」

「あっごめん。高さ的にちょうどよくて」

「まーいいけどー」

「≪【雷神の憤怒】≫」

黒い雲が天井付近にでき、雷を落とし始めます。

「へーこれが≪神話級雷屬魔法≫?」

「うんー。使うまでの制約が大きいけどねー」

部屋中出鱈目に雷を落とすえげつない魔法を発し、一掃してしまいました。

「≪神話級屬魔法≫よりも≪絶級屬魔法≫の詠唱魔法のほうが強いのはなんでだろうねー?」

ゲーム制作者に聞いてくれ……。

見渡すと奧に部屋のようなものがあったので突します。

恐らくは盜賊団のボスの部屋でしょう。

「おじゃまします」

誰もいないようですね。

「ボスはお逃げかな?」

「見つけ出して始末しないとだね!」

「じゃぁ私は金品強奪してくる」

「……。【探知】……いた。隠し通路から外に逃げてる」

「先行ってていいよ」

「……。わかった。行くよステイシー!」

「あいさー」

元気だなあの二人。

結構儲けていたみたいですね。

ざっと見ても3000萬金は落ちてそうですね。

片っ端からインベントリにしまっていきます。

これは正當な報酬ですよ?

「いたぞ! だ! 殺せ!!」

「うるせぇよ≪シャドウ・フレイム≫。死ぬまで焼かれてろ」

んー。

お金自は結構落ちてるけど売って高値になるものはあんまりなさそうですね。

「あいつだ! 殺れ!」

「うるせぇよ≪ダーク・スパーク≫」

ちょくちょく殘黨に邪魔されましたがボスの部屋のネコババが済んだのでエルマ達を追いかけます。

ぺちゃぺちゃ音を立てて歩いていくとステイシーの姿がありました。

「ステイシー」

「おっとチェリー。ネコババは終わったのかなー?」

「ネコババ? 何のこと? 殘黨狩りだよ」

「そうー?」

「うん」

「エルマはボスを追いかけて行ったよー」

「ステイシーはどうして立ち止まってるの?」

「えーっとね。敵のスキルで足がかなくなっちゃったー手持ちに〔高位霊薬〕がなくてね」

「なるほど。ちょっとまってね」

とりだした〔高位霊薬〕をステイシーの足に振りかけます。

「ありがとー。これで追えるねー」

「いこう」

エルマを追いかけて數分走っていると、エルマと盜賊団のボスらしき人が戦っていました。

「くっ……強い」

エルマの剣と霊の風の刃を余裕にわし、的確にエルマのを斬っています。

「あっははっは! 弱いね!」

ん? 聲がすごく高い?

か!

「ん? はっはーん。お仲間さんの登場ってわけ? いいよ纏めてかかってきなよ!」

「≪ダーク・スピア≫」

「遅いよ! お嬢ちゃん! ≪の一閃≫」

「っ……!」

「甘いね」

やっぱり【暗殺者系】か。

「ステイシー。こっちはいま前衛がエルマしかできない。AGIの差で手も足も出てない」

「そうだねー」

「【暗殺者】裝備に変える。サポートよろしく」

「まかせてー」

念のため裝備セットにのこしておいてよかった。

すぐに裝備を転換し、いつものスキルを発します。

「≪煌く軌跡≫≪アンチ・グラビティ≫≪フライト・レギュレトリー≫」

盜賊へ一気に詰め寄り、切りかかります。

「なんだいアンタ! こっち側じゃないか!」

「エルマ。サポートよろしく」

「ゴメンねチェリー! まかせて!」

はぁはぁと息が上がりつつも盜賊の短剣の間合いと起を読み、自分の短剣を軌道に置きます。

お互い一歩も譲らない斬り合いです。

しかしこっちにはサポートが得意なエルマとステイシーがいるので有利でしょう。

「≪召喚〔ハコンドル〕≫」

「≪フラッシュ・バインド≫」

「ッチィ!」

しめた! 距離を開けた!

【斬罪神】のアクティブスキルが使える相手なので首筋に刃を當てさえすれば勝てる!

その間はエルマとステイシーが作ってくれました。

ここで外せば、私もTPとMPが切れ、待つのはデスペナです。

外せない。この一撃だけは外せない。

にスキル名の宣言が要らないスキル≪斬罪神の慈悲≫。

「おっと」

近寄る私を見て盜賊がさらに後ろまで飛びました。

でもエルマが召喚した〔ハコンドル〕は目くらましじゃなく……。

「≪シフト≫」

ステイシーの空間転移魔法≪シフト≫は自分を含むパーティーメンバー及びその所有と自分を含むパーティーメンバー及びその所有との座標をれ替える転移魔法です。

〔ハコンドル〕と座標をシフトした私の刃は盜賊の首筋にれました。

≪斬罪神の慈悲≫。

「甘いね」

パタッと倒れる盜賊を見下ろし私は呟きました。

「いやー。久々にチェリーの【暗殺者】モード見たよー」

「VRになってほとんどやってなかったけど意外とできるもんだね」

中ジンジンする……」

「≪ホーリー・ヒール≫。これでHPは大丈夫」

「この盜賊半端じゃなく強かった」

「ぶっちゃけチェリーが【暗殺者】できなかったら全滅してたー」

「たしかに!」

「【暗殺者】VRでやってわかったんだけど、やっぱ疲れるから私は魔法系でいいや」

「土壇場になったらどうせまた使うくせに」

「デスペナになるくらいだったら使うよ!」

「まぁ死んじゃうよりはましだよねー」

そう會話しながら、馬車まで戻りました。

「盜賊はどうしたのだ? みな倒したのか?」

「安心して姫さまー。全部倒したよー」

「う……うむ。流石である。褒は父上から貰うとよい」

「そうするー」

その後は何事もなく進み、時折でるモンスターはステイシーが雷屬魔法でことごとく潰し、お晝前には無事に『巖塩都市 ファイサル』まで送り屆けることができました。

「護衛ご苦労であった。帰りも頼むぞ」

「えっ?」

「ん? なんだ? 申してみよ」

「あっいえ……帰りも護衛するんだって思いまして」

「當たり前であろう! ダーロンだけでは心もとないのだ!」

「面目次第もございません」

「ということだ! 帰りも頼むぞ!」

「ステイシー」

「んー?」

「知ってた?」

「知らなかったー」

「あたしもしらなかった!」

「これは報酬どっさり出るわけだね」

「報酬で思い出したよー今日の宿代とこっちでのご飯代とかは全部チェリーがもつんだよねー?」

「えっ?」

「ネコババして稼いだんだからいいでしょー?」

「……」

「チェリー? ネコババしたの?」

「シテナイヨ」

「よーし! チェリーのおごりでどっさり呑もっか!」

「さんせいー」

「ふえ……」

そうして丸半日ヤケクソのように騒ぎVRゲームにも関わらず3人で≪泥酔≫になりました。

to be continued...

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