《VRゲームでもはかしたくない。》第1章16幕 <root>
「おまたせっす」
ハリリン、ファンダン、ジュンヤが到著します。
「一通り調べてきたっす。まずはアンチスペルっすね」
そう言ってハリリンがつかんだ報を教えてくれます。
「アンチスペルはその地域の領主が持つ〔の誓い〕によるものっす」
「〔の誓い〕って?」
「簡単に言えば自分の領地で害されないってとこっす」
「それなら他の魔法だってキャンセルできるんじゃない?」
「そこが引っかかるっす。次は≪喚起≫についてっすね。≪喚起≫で呼び出したっていう機械化モンスターは最近『ディレミアン』でよく売られてるっす」
「『ディレミアン』……」
マリアナ達が苦しめられたボスという輩が一枚噛んでいそうですね。
「つまりこういうことか? 『ファイサル』と『ディレミアン』が裏で手を組んで悪さをしてると?」
「ファンダンの言う通りっすね。概ねそんなじっす」
「どちらにせよその悪漢には天誅を下すほかなし」
「雷をディスペルされちゃうなら僕はサポートにまわるよー」
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「できる限りの準備をしていくぜ。すぐでるか?」
ジュンヤの質問にエルマが答えます。
「國家ぐるみだとすると案所の職員も危ないから早くいきたいかな」
「じゃぁすぐに出るぞ。編はどうする?」
「遅れてすみません。それなら僕が考えてもいいですか?」
「いいぜ」
遅れて來た纏花にジュンヤが返します。
「1つ目のパーティーはジュンヤさん、ハリリンさん、エルマさん、ステイシーさんの4人です。あと殘りの方でもう1パーティーですね」
「バランスがいいな。よしそれで行こう」
「あと一ついいっすか?」
「どうしたハリリン?」
「あの巖塩鉱山なんすけど、特定の人間しか知らない裏の口があるみたいっす」
「場所はわかるか?」
「もちろんっす」
「よしじゃぁ俺たちのパーティーはそっちから行くぜ。ファンダンのほうは正規ルートで頼む」
「了解だ」
「じゃぁいっちょ懲らしめにいくか!」
チームAと別れ、私達チームBは巖塩鉱山の口から階段を下りています。
「ところでチェリーさん」
「なに?」
「どうして【最速】がいるんですか?」
「案所で私達の話聞いて參加してくれたの」
「心強いですね。改めてよろしくお願いします。ござる丸さん」
「拙者の名を?」
「ええ。まぁ見えますので」
「そうか」
ござる丸……。
いえ。何も思ってませんよ?
「ござる丸……」
おい、笑うなファンダン!
「名などどうでもよい」
はい。おっしゃる通りです。
狹い通路までたどり著きました。
ファンダン、ござる丸、纏花、私の順で通り抜けます。
「ここがその輩とやりあったとこか?」
「うん。でも何もいないね」
「じる」
「えっ?」
「ええ。いますね。それもかなり強敵ですよ」
ほらと纏花が指をさしたたのでそちらを見ます。
〔機械巨人兵〕……?
いやいやいやいや! おかしいでしょこの大きさ!!
ビル8階分くらいありますよ!!
私の脳みそが認識を拒絶します。
しばらくするとブゥウンという音とともに上空に赤いが二つ燈ります。
ギギッっと音を立てて巨がき出しました。
「ファンダンさんはいつも通りタゲ取りお願いします。ござる丸さんがメインで攻撃してください」
「おう」
「心得た」
「僕は中距離、チェリーさんは遠距離から攻撃です」
「わかった」
ファンダンが大きな盾を取り出し、機械兵の振り下ろした腕をけ止めます。
「くっ!? 重い!」
「≪分≫」
「「≪無明斬り≫」」
続いてござる丸が分と合わせて2度斬りつけます。
しかしあまりダメージはとおっていませんね。
「≪アロー・レイン≫」
纏花も攻撃をはじめました。
「≪シャドウ・ボール≫」
私も必死に魔法を叩きこみます。
魔法が當たると目に見えてHPが減りますね。
「こいつ魔法は通る!」
「そんな気はしてました。≪フレイム・アロー≫」
中衛、後衛の纏花と私が削るしかないみたいですね。
「一撃直撃したらほぼアウトだ!」
「「煉獄斬り」」
盾で攻撃をけつつファンダンが答え、その隙にござる丸が火屬魔法を纏った刀を振るいます。
攻撃力と防力は確かに高いのですが、このパーティーならば時間をかければ倒せる相手のようですね。
「纏花」
「ええ。時間稼ぎでしょうね。Aチームが心配です」
「なるべく早く倒そう」
「それができれば苦労はしないですね」
「そうだね」
そう話しながら武をれ替えファンダンに回復魔法をかけます。
「≪ヒール≫、≪マルチプル・ヒーリング≫」
ついでに継続回復魔法を発し、裝備を元に戻します。
「助かる。こままじゃ時間がかかりすぎる。俺も攻撃に出るぞ」
「「承知」」
前衛の二人が上手く引きつけ、お互いフォローしあいながら戦ってくれているので私も余裕を持って魔法が使えます。
「≪シャドウ・アロー≫」
生した闇屬の矢を纏花に渡し、別の魔法を放ちます。
「≪シャドウ・スピア≫」
魔法が巨の肩を穿ち、バランスを崩します。
「≪疾駆≫、≪水龍斬り≫」
「≪疾駆≫、≪炎竜斬り≫」
二人のござる丸が一気に仕掛け、HPを削りきります。
ボフッと分を消し、「征くぞ」といって奧に向かって走り出しました。
私達3人も後に続きます。
しばらく走り、またし広めの空間にでます。
そこで2人が戦っています。
「くそっ……強ぇな」
ジュンヤが一人で戦っているようです。
「ジュンヤ!」
「お前ら!」
『お仲間ですか? いいでしょう。いいでしょう。どれだけ増えても一緒ですよ』
「ダンジョン扱いで即時復活ができない! やられた奴らもすぐに戻ってくるが時間がかかる。持ちこたえるぞ!」
「加勢する。≪分≫」
「いくぞおお!」
ござる丸とファンダンが飛び出していき、こちら側にジュンヤが駆けてきます。
「纏花、チェリーよく聞け。ここはスキルが一切使えない」
よくみたらござる丸も分ができていませんね。
「ハリリンが言うにはより上位の何かで書き換えられればいいそうだ」
ポーションをガブ飲みしながらジュンヤがそう言いました。
より上位の?
あっ!
「行けるかもしれない。ちょっと前の部屋に戻って魔法を使ってくる」
「本當か!?頼む」
そう言い殘し、前の部屋まで戻ってきました。
【神 エレシュキガル】のスキルにこの狀況を打開できるものがあったはず。
〔冥界神 エレシュキガル〕はフィールド全を瘴気で覆いつくすほどの魔法を使っていました。それをしでもけ継いでいるのなら、きっと書き換え?ができるはずです。
「≪【冥界神のフィールディング施しマヤズム】≫」
前回纏花との模擬戦で使用したときもはるかに多くのMPを消費し発しました。
私を中心に瘴気が広がっていき、その瘴気がこの部屋と奧の通路を満たしていきます。
これで向こうの効果を打ち消せたかどうかわかりませんがとりあえず戻ってみます。
「ただいま」
「おかえりなさい」
ジュンヤも戦闘に戻ったので、纏花が迎えてくれました。
弓をシュバシュバ打ちながらですけど。
「……。≪サンダー・アロー≫」
そう呟き、雷屬の矢を生します。
「いけますね」
あっよかった! 功だ!
MPの消費減やENの消費減があってもかなり燃費が悪いスキルのようで私は他に魔法を使ってる余裕はないですね。
……。いえ。ほんとにないですよ?
『なにぃ?』
雷の矢が突き刺さるのを見たジュンヤとござる丸がすぐにスキルを発します。
「≪分≫」
「≪聖槍解放≫」
『どんな手品を使ったのだ?』
「さぁてね。答える義理は……ねぇな!」
ジュンヤがそういいながら【聖槍 ロンギヌス】を一突きし、ござる丸とその分が斬りつけます。
『ふっ。≪テレポート≫』
「くそっ逃がしたか!? ナッ!?」
『はっはっは』
その笑い聲が聞こえた瞬間ジュンヤは消えてしまいました。
『弱い。弱すぎる』
『もっと力を付けてから來い。だかお前らの無駄な努力に免じてこの都市からは手を引こう』
『お前らが俺を倒せるようになるまでそどのくらいの都市が犠牲になるか……。くっくっく……さらばだ』
えー。みんなやられ損じゃん……。
「一旦もどりましょう。これは僕たちだけではどうしようもできないです」
「そう…だね」
「不覚……切腹いたす」
そういったござる丸は切腹してました。
ノリでファンダンが介錯してるのがまた何とも言えずシュールでした。
ジュンヤ達に連絡を取り、一度酒場にあつまることになりました。
「纏花の言う通り、いまの俺達の力じゃ全然足りないな」
「然り、拙者も修行不足であった」
「スキル完全使用不可エリアの攻略はできたんだよねー?」
「そこはチェリーさんが何とかできたみたいです」
「【神】級のユニークスキルでフィールド系であればいける……と思います」
「この都市からは手を引くっていったんだよな?」
「はい。そう言っていました」
「他の都市はどうなるかわかんねぇってことか」
「どちらにせよ、力不足にはかわんねらんな」
「とりあえずは様子見だね」
報換と今後の対策を決め、私とエルマ、ステイシーが案所の職員に報告に來ました。
「ということです」
「そうですか……。わかりました。こちらも上司に気取られないようにほかの案所と連攜して対策をとってみます」
「はい。お願いします」
「現時點でどこまでを下ろしてるかわからないから気を付けてねー」
「さてーまだ帰りの護衛じゃないし、僕はし遠出してくるよー」
「わかった」
「チェリーあたしもし落ちてくる。いろいろあって疲れちゃった」
「そうだね、私も休もうかな」
ステイシーは≪テレポート≫でどこかへ行き、私とエルマは宿に戻り、休息をとります。
to be continued...
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