《VRゲームでもはかしたくない。》第1章19幕 鏡<mirror>
準備運として指をポキポキならしているとエルマがやってきます。
「おまたせー。おっ? ギャラリーもいるみたいだね」
「うちの従業員だよ」
「ほほーう。みんな可いね!」
「ありがとう」
「早速始める?」
そう言いながらエルマが雀卓を片づけます。
びすけっと雀卓置いていったのか……。
「もうし待って、一人買い出しお願いしてるから」
「わかったー! じゃぁ準備運でもしてようかな」
そういって指をポキポキならします。
よく見るとエルマの裝備がいくつか変わっていますね。
普段裝備している魔法剣はそのままですが防が一式変わっています。
腰に四角い箱みたいなのついてますし。
〔ユニークモンスター〕を何か倒してきたのかもしれませんね。
私の裝備は特に変わってないので作戦でも練ることにします。
エルマの戦闘スタイルは召喚獣による攪と魔法剣による近接攻撃がメインです。
中遠距離での魔法攻撃もありますが上級屬魔法止まりなのでそれほど脅威ではないでしょう。
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なので私が取る戦法はこうなります。
近づけさせない。
召喚させない。
まずはこの2點ですね。
召喚されたらこちらもゴリラか≪ネクロマンシー≫で対抗します。
近づかれてしまったら仕方ないのでアームズシェイプにした魔法で毆り合いになりますね。
ある程度の作戦を立て、脳シュミレーションをしているとシドニーが帰ってきます。
「おまたせなー」
「おかえり」
「ほほう。この娘も可いですな」
「うちのこと言ってるんです?」
あっちょっとあがってる。
「そんなことよりチェリー、買うてきたで」
「ごめんね。ありがとう」
「ええて、ええて。向こうのみんなも楽しそうに働いとったよー」
エルマを視界から外しそう言いました。
良かった。
「さてチェリー。わりと本気で行くけど準備はいいかい?」
「手加減して」
「修行にならないじゃん!」
「ぷー」
「可い顔してもダメ。今日は倒す!」
えっ? 結構ガチな目してる……。
「じゃぁ腕の一本くらいは取ってから負けることにするよ」
「取らせると思う?」
エルマがニヤリと笑い、その笑顔の側から豹のような殺気を出しています。
一応ブラフで私も笑っておきますか。
「ブッ! ひきつってるよ!」
「まじか」
引き攣っていたみたいですね。
「じゃぁ審判は……フランちゃんにまかせようかな?」
「いいよー」
「はい!」
フランが返事をし結界の外で手をあげます。
「それでは模擬戦を開始します。準備はいいですか?」
「いいよ」
「うん!」
「では……始め!」
開始早々エルマが召喚獣を仕掛けてきます。
「≪召喚〔サンダー・エレメント〕スコードロン≫」
やはり召喚獣を出されてしまうとこちらにとっては不利なので、対抗策として≪ネクロマンシー≫を用います。
でも……その前に……!
「≪【冥界神の施し】≫」
結界を瘴気が満たしていきます。
「視界が悪いね!とりあえず攻撃に行くよ!」
「≪ネクロマンシー≫」
すぐにインベントリから取り出しておいたドロップ品をばらまき≪ネクロマンシー≫を発させます。
私の呼び出したモンスターとエルマが呼び出した雷の霊がぶつかり合います。
「……!? 弱い」
そうですよね。いまこのフィールドは瘴気に満たされていますからね。
徐々にエルマの手勢が減っていきます。
その間エルマも私も魔法で攻撃しあっていますがお互い決定打にはなっていませんね。
「仕方ないね! 奧の手出しちゃうよ!」
奧の手? 新スキルかな?
とエルマのほうを見ると左手に拳銃のようなものを裝備します。
腰の橫についてた謎の四角いは拳銃だったみたいですね。
「≪シュート≫」
「≪マテリアル・シールド≫」
無屬魔法をシールド形態にして弾丸を防ぎます。
「いい反応だね! ≪マジック・ショット≫」
マジック? 魔法系なのかな?
「≪マジック・シールド≫」
こちらも何とか防ぐことができました。
「いいね! いいね! ≪ペネトレイト・ショット≫」
これはまずいですね。
多分シールドブレイクの類です。
いま手持ちで防ぐ方法がないので避けることにします。
「≪煌く軌跡≫≪アンチ・グラビティ≫≪フライト・レギュレトリー≫」
左斜め前に高速移して回避します。
「読んでたよ!」
エルマの聲が聞こえた直後脇腹に被弾します。
「くぅ……!」
痛覚オフに設定してても當たった場所結構痛いんですよ!
もう怒った!
こちらも鬼札を切ります。
「≪ホーリー・キューブ≫」
一歩もいていなかったエルマをキューブで捉えます。
「なに……これ?」
「鬼札だよ。≪ダーク・ボルテックス≫」
「≪シフト≫」
≪シフト≫を使って霊と座標を換して回避したようですね。
「≪ホーリー・キューブ≫」
大量にキューブを出し、殘ったほぼすべての霊をまず拘束します。
霊の始末は≪ネクロマンシー≫で召喚したゾンビ集団に任せることにして、私はエルマをキューブでとらえることにします。
しっかりエルマは反撃してくるのでこちらは結構ダメージをもらっています。
一見すると私が有利に見えますが、まだエルマに1ダメージも與えてないんですよね。
あと切り札になりうるのは【アンゲーロ・ボトムス】の≪フレイム・ヒーリング≫でしょうか。
エルマは火屬魔法を多用してきますから。
HPが回復しても狀況は変わらないんですけどねー。
數分均衡狀態が続き、エルマの霊が全滅すると、拳銃を持ったまま魔法剣を抜刀して私に薄してきます。
「ッ……!」
危なかった! あとコンマ2秒避けるのが遅かったらテケテケになるとこでした!
「≪ダーク・アームズ≫」
エルマと同じくらいの長さの剣を作り、応戦します。
「チェリーが……そこそこ刃渡りのある剣……使うのは初めて見たかも!」
「昔はよく使ってたよ」
右下からあがってくるエルマの剣を上からたたきつけるように抑えます。
そろそろ拳銃で攻撃してきそうですね。
「≪【見えざる手】≫」
4本召喚した手でいつでも防げるようにします。
「見えないのは厄介だね。≪フレイム・アーマー≫」
數歩後ろに飛ぶエルマのがボッと燃え上がり、全に火の鎧を纏います。
「そんな手もかくしてたの?」
「奧の手中の奧の手だよ」
「奧の奧の奧もあるのかな?」
「さーねー?」
きっとありますね、一発で私を葬る何かが。
「≪ダーク・アームズ≫」
再び4本の闇魔法で生した剣を見えない手に3本、左手に1本持ちます。
「本気かな……?」
「さぁね?」
タタッとエルマに向かって駆け出した直後、足を撃ち抜かれます。
気にせず走り距離を詰めるフ・リ・をします。
「!?」
そうでしょうね。エルマだったら私がここで後退すると思っていたはずです。
「≪ホーリー・キューブ≫」
「! しまっ……」
「≪ダーク・ボルテックス≫」
「にゃああああああああ!」
ふぅ……なんとか勝てました。
蘇生してきたエルマが聲をかけてきます。
「いやー負けたー! チェリーつよくなってるねー」
「今回は運が良かっただけ。お互いのことをもっと知らないときにやってたら確実にこっちが負けてた」
「そうかなー?」
「うん。ところで最後の切り札はどういうものなの?」
「さすがに隠し切れないかー」
「うん」
「うーんとね。これ! ≪召喚〔ミラーリング・スライム〕≫」
ブヨブヨとしたスライムを召喚しました。
「スライム?」
「のんのん! スライムだけどスライムじゃないよ!」
「どういうこと?」
「フォームチェンジ〔チェリー〕」
「ん?」
目の前に私がいます。
目の前に……私が立っています?
「この子は召喚者が指定した相手の全てをコピーできる〔ユニークモンスター〕だよ」
「えっ? エルマ〔ユニークモンスター〕をテイムしたの?」
「辛い戦いだった……」
「戦闘中は自分と戦ってたわけ?」
「うん。霊は召喚されたりしたけど、他のテイムした子たちは真似されなかったから時間はかかったけど倒せたよ」
「倒しちゃったの?」
「たおさなきゃテイムできなかったんだよ!」
「なるほど。それだったら私は勝てなかったね」
「うーん。そうかもね」
「いや間違いなく」
「そっか。はー……疲れたなー」
「じゃぁごはんにしよっか。みんなもお疲れ様、ごはんにしよ?」
結界の外から「はーい」と聞こえたので結界を解除し、真ん中に機を持ってきます。
「うちのマリアナさんが作った飯はうまいでー」
そう言ってシドニーが並べてくれます。
「おいしそう!」
エルマがじゅるりと涎を啜り、スプーンとフォークをカチャカチャやっています。
「じゃぁいただきます」
「「「「「「いただきます」」」」」」
ん? 一人多い?
あっ! 〔ミラーリング・スライム〕が普通に席についてますね。
フランが偽に、「やっぱり強いね!」とか聲かけてますね。
「まぁね」じゃねぇ! 勝手に返事すんな!
「エルマ、スライムちゃんしまって」
「おおっと。忘れていたよ!≪帰還〔ミラーリング・スライム〕≫」
「えぇっー! いまのスライムさんだったんですか!?」
「そうみたい」
「ぜんぜんわからんなー」
ワイワイと騒ぎ、シドニーが買ってきてくれた食事が無くなったので子會はお開きになりました。
従業員たちはお店にもどり、営業再開するそうです。
「じゃぁチェリーあたしはミライムちゃんを強化してくるからまたちょっくら行ってくるね!」
「うん。がんばって」
「またねー!」
「またねー」
エルマを見送り、私は部屋に戻って寢ることにします。
とても疲れました……。
この時間に寢れば、明日はかなり早くログインできるなーと考えているとすぐに夢がぽっかり口を開けて私を飲み込んでいきました。
to be continued...
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