《VRゲームでもかしたくない。》第1章20幕 聖典<sacred>

おはようございます。この挨拶も久々ですね。

なんとまだ朝の9時なのです。

この時間にゲームをしているのは寢ていない時なので本當にレアです。

寢ぼけた頭でそのような思考をし、<Imperial Of Egg>にログインします。

ログインし、売り場にでるとフランとラビが迎えてくれました。

「「おはようございます」」

「おはようございます」

「チェリー今日は早いね!」

「昨日早く寢ちゃったからね」

模擬戦とはいえあれだけ激しい戦闘をしたので仕方ないですね。

「そういえばさっき【魔職人】の方がきたよ! 案と説明は済ませた!」

あっやっと著いたんだ。

「結構気難しそうな人だったでしょ?」

「うん。でも職人ってみんなあんなじだと思ってたから」

うん。私もそう思ってた。

「カラガマとかポテトが例外なんだと思う」

「そうだねー!」

ところでとラビが話に加わります。

「チェリーは今日何か予定あるの?」

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「ん? 特に決めてないよ」

「えっと……お願いがあるんだけど……」

なんだろう。

「なに?」

「一度実家に戻りたいから一緒にきてくれない?」

ラビの実家は『騎士國家 ヨルデン』でしたね。

こちらも最近行っていなかったので気分転換がてら行ってみましょう。

もしかしたらフリーの【素材職人】がいるかもしれませんし。

「いいよ」

準備してくるね、と部屋に戻ったラビを見送ります。

「ラビちゃんのお母さんがちょっと調悪いらしくて」

「そうだったのかー」

【聖者】のスキルレベルで治療できる範囲だったらいいな。

「んー。一応治療用の武作ってから行こうかな。ラビに伝えておいて」

「りょーかい!」

そういうわけで『セーラムツー』までやってくると【黒服】が迎えてくれました。

「いらっしゃいませ。『喫茶セーラム』へようこそ。お食事ですか? 制作等のご依頼でしたら奧の階段からおあがりください……ってチェリーさんじゃないですか!」

「おはようございます。邪魔しちゃってごめんね」

「おはようございます。どうしたんですか?」

「ちょっと治療用の武を用意しておこうと思って。今日【魔職人】が到著したってきいたから」

「先ほどフランさんが連れてきましたね」

「お仕事がんばってね」

「はい頑張ります!」

奧の階段を上り2階の魔工房までやってきます。

いま気付いたんですけど、あの【魔職人】の名前ききそびってるんですよね。

聞くの怖いなー。

とりあえず扉を開け中にります。

「おはようございます」

「……。おはようございます」

「ここの調子はどうですか?」

「……。悪くない。隣が鍛冶場と錬金場なのがいい。遠出する必要がないからな」

「よかったです」

「……。お前が來たってことは制作だな?」

「そうですね」

「……。どんなのがしい?」

「治療系ですね。狀態異常を治せるスキルと回復が乗ってるのがいいです」

「……。上級聖屬でいいか? 単獨でもいいぞ」

「できれば上級がいいですね。汎用があるので」

「……。〔ミスリルの糸〕と魔力の強い魔の素材をよこせ」

魔力の強い……。あぁたぶん鬼蜘蛛の素材がありましたね。

「〔鬼蜘蛛〕の素材とかどうですか?」

「……。扱ったことはねぇな。よこせ」

一通り〔鬼蜘蛛〕の素材を渡します。

「……。あとは〔ミスリルの糸〕だ」

「では王路さんのところで〔ミスリル〕頂いてきます」

「早くしろ」

錬金場まできて王路に話しかけます。

「おはようございます」

「おはようございます」

泣きそうな顔でせっせと金屬をこねてる王路がこちらを向いて返事を返してくれました。

「こちらでの仕事、まだ日が淺いですが慣れましたか?」

「ええ。何とかってところです」

「本店の欠品補充ありがとうございました」

「いえいえ。お仕事ですから」

「ありがとうございます。ところで王路さん。〔ミスリル〕の錬はできますか?」

そう聞くとし考えた後に泣きそうな顔で答えてくれます。

「できます……けどいましMPが減っていてお時間いただくかもしれません……」

「ではMPは私が注ぎます。すぐできますか?」

「わかりました。準備しますね」

一度金屬が並べてある棚に行き〔ミスリル〕の素材となる金屬を複數持ってきます。

「武制作に使用されるのですか?」

「はい」

「えっと……。武に使う素材は何ですか?」

「〔鬼蜘蛛〕をメインにしようかと思いまして」

「〔鬼蜘蛛〕!? …………」

急に泣き出しそうになった……。

あっ最初からだった。

「どうしました?」

「いえ。蜘蛛が苦手なもので……」

「なるほど」

「と、とりあえず……〔鬼蜘蛛〕で作るのがわかっているのならそれをにして〔ミスリル〕を作りましょう」

「おねがいできますか?」

「はい」

王路が機の上に金屬を並べ、私がその上に〔鬼蜘蛛の心臓〕を乗せます。

「ひっ……」

「あぁ私がやりますよ」

そう言って作業臺を起し、MPを注いで金屬をらかくし、〔鬼蜘蛛の心臓〕とぐちゃぐちゃに混ぜていきます。

「うっ……」

えずいてますね。見てなくてもいいのに……。

この人、わざわざ自分の苦手な素材とか使って錬金してそう。

しばらくこねていると、緑がかった粘土が徐々に変し、次第に曇りのない銀の金屬が出來上がります。

「完ですね」

「お見事でした。やはり錬金の経験がおありなのではないでしょうか?」

「VRでは初めてですね。いま王路さんがこねているのを見ていたので」

「? なるほど?」

「では金屬の分だけお代置いていきますね」

そう言って立ち上がり、鍛冶場に向かおうとします。

「あっ! ちょっとまってください!」

そう王路に呼び止められたので振り返ります。

「? どうしました?」

「えっと……そのミスリルをもう錬していきませんか?」

ミスリルをさらに錬?

「さらに錬できるんですか?」

「一応は、ですけど」

「やってみましょうか」

「祖母から父、そして私にけ継がれてきたノートがありますので持ってきます」

「こちらです」

ノートを拝見します。

簡単にまとめると『上位の〔ミスリル〕にある質を混ぜるとより上位の〔イシルディン〕になる』というものでした。

ミスリルの上位はヒヒイロカネだと思っていました。

「〔イシルディン〕……」

「私は何度も生したことがないので功するかわかりませんが、チェリーさんのMP量ならすぐにできると思います」

「なるほど。それでその質とは?」

「〔ナイトスワローテイルの鱗〕です」

えっ? 市場に1g1萬金くらいで売ってるやつじゃないですか。

「それを〔ミスリル〕を混ぜるだけみたいです」

「では市場に行って買ってきますね」

「あっいえ! おちついたら挑戦しようと買っておいたので!」

「ではそれもお借りします」

再び作業臺の上に〔ミスリル〕を置き、〔ナイトスワローテイルの鱗〕を振りかけます。

何分かねているとき通った白の金屬が生まれます。

『【稱號】【上位錬金師】を獲得しました。』

【稱號】が貰えましたね。これで完でしょう。

「完ですか?」

「はい……!」

これが〔イシルディン〕ですか。

「たしかにこれの生は骨が折れますね」

ざっと2萬近くMPを持っていかれました。

レベルがあがりにくいNPCには確かにキツイでしょう。

「さすがです!」

……。自分でやるのが面倒で雇ったのに、結局自分でやることになるんですね……。

余談ですが、【錬金師】と【上位錬金師】に全く差がありませんでした。運営からもひどい扱いをけているようです。

「ではお邪魔しました。お仕事がんばってください」

「はい。ありがとうございます。またいらしてください」

錬金場を出て次は鍛冶場へ向かいます。

「おはようございます」

「おはようございます」

「慣れましたか?」

「ええ。もう慣れたよ。いまは余剰生産分の武を市場で売ってますね」

「いいね」

「鍛冶ですかね? それとも注文?」

「あー……。この金屬を糸くらいまで細くしてほしいんだけど」

「〔イシルディン〕なるほど。すぐに取り掛かりますね」

カラガマはそういってすぐに機械の中へポイっと放りこみ、スイッチを押しました。

「久々に見たよ〔イシルディン〕。なかなか市場にでないからね」

ええ。あの面倒くささならほとんど出ませんでしょうね。プレイヤーでもし【錬金師】がいたらたくさん生してるかもしれませんが。

「話してる間に終わったよ」

おお! 早い!

「お仕事の邪魔しちゃってごめんね。ありがとう」

「いえいえ。じゃぁ鍛冶にもどるね」

「うん。またね」

そして魔工房まで戻ってきました。

「……。遅いぞ」

「すいません。作ってきました」

そう言って〔イシルディンの糸〕を渡します。

「……! あの【錬金師】〔イシルディン〕が作れる野郎だったのか」

野郎じゃないです。マゾっぽいですけど人のです。

「……。あとはこいつで綴じるだけで完だ」

そう言って太い針に〔イシルディンの糸〕を通し魔本をプスプス刺しています。

「……。完だ」

スッとブックレットを渡してきたので確認します。

【月のムーンライト聖典セイクリッドブック】

裝備効果

裝備中の狀態異常を無効化する。

聖屬魔法の回復數値にボーナス。

固有スキル

≪上級聖屬魔法≫

≪包み込むムーンライト・月燈りフィールド≫

いい武ですね。

≪包み込む月明かり≫は一定範囲に狀態異常無効化エリアを作るフィールド支配系の魔法みたいです。

「良い武です」

「……。そうか」

「また何かあったらきます」

「……。もし、もしまた【人工神】ができたら命を吹き込んでくれるか?」

「ん? もちろんですよ」

「……。そうか。また來い」

「はい」

そうして【月の聖典】を手した私は本店へ戻ります。

「お待たせー」

「「おかえり!」」

「じゃぁいこうか」

「うん! フランちゃんお店よろしくね!」

「いってらっしゃーい!」

「≪ワープ・ゲート≫」

【ゲート・ブック】を取り出し転移門を作り、ラビとともに潛り抜けます。

VRでは初の『騎士國家 ヨルデン』です。

中世のヨーロッパのようなあの街並みをVRでできるのはとても楽しみです。

to be continued...

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