《VRゲームでもはかしたくない。》第1章22幕 狼<wolf>
クエストをけた私たちは徒歩で山道を目指して歩いています。
スライド移以外に楽に移する方法を見つけたほうがいいかもしれませんね。
『霊都市 エレスティアナ』には霊によってく車のようなものがあると聞きます。期を見て行ってみるのもありかもしれませんね。
あとは馬を捕まえるのもいいかもしれません。
リアルでも乗馬経験はないので捕獲してもまず乗るところからなんですけどね。
所々湧く低レベルモンスターはラビがシュババっと弓を撃ち撃退してくれるので楽できます。
「たのしー!」
現実での話ですが、昔の貴族はハンティングを遊びとしたといいます。もしかしたらラビもそんな気持ちなのかもしれませんね。
ゲームとはいえ4kmも歩くことはなかったので疲労困憊ですでに睡魔が肩らへんにしがみついてますね。
「んっ……くぁー」
しまったついにあくびが出てしまいました。
「チェリーには退屈だったかな?」
「そんなことないよ。久々に長距離あるいてるから疲れちゃっただけ」
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「でしたらここらで休憩にしますか? もうすぐ目的の山道ですので」
そうヨシダが言ってくれたのでお言葉に甘えて休憩させていただくことにします。
「ではお嬢様、チェリー様、紅茶をれますので々おまちください」
一瞬で裝備をしまい、執事服をに著け、紅茶の準備に取り掛かっています。
この人絶対どっかにスイッチついてるね。
「どうぞ、お召し上がりください」
どこから出したのかわからない機の上に紅茶が2客置かれます。
どこから出したのかわからない椅子に座ろうとした瞬間AGIが1000超えるんじゃないかと錯覚するほどの速度でヨシダに背後に回られ、引かれた椅子で膝カックンをくらい座らさせられました。
やりますね。私の後ろを取るとは……。
「では私は周囲を警戒しておりますので何かございましたらこちらでお呼びください」
そう言って押すとチーンとなるベルを置いていきました。
「ヨシダさんなかなかいいきだね」
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「城の使用人で確か一番強くて一番古株だったかな?」
ズズッとお茶を啜りながら、ラビとお話をします。
こうしてラビと話すのは久々な気がします。
辺り一面荒野ですけど。
「社會勉強のためってお母様が言ってたけどいつか辭めちゃうの?」
「やめる気はないよ! 國はお兄様が継ぐから私は関係ない!」
「そ、そっか」
お兄ちゃんいるんだー。
いいなぁ……。私もお兄ちゃんしかったです。
小學校の頃サンタさんにお兄ちゃんをくださいってお手紙を書いたことがあるのですが、お兄ちゃんの代わりにお手紙が來まして……いえ。今この話はいいですね。
「んーでもまぁ結婚ってなったらちょっとの間お店に顔は出せなくなっちゃうかなー」
まぁ一國の姫君ですからね。それは盛大にパーティーするはずです。
「それは仕方ないね。その時は私がしっかり臨時の従業員探すよ」
「チェリー。そこは私が頑張るよっていうところじゃないの?」
「そう?」
「うん! でもお見合いも全部斷ってるし、當分先だと思うよ!」
「そっかー」
「チェリーは結婚相手とかいないの?」
「エルマかなー? フランもいいなー。ラビもいい。ポテトも。みんなと結婚したいな」
「そ、それは無理じゃないかな?」
そうして他もない話を數分ほどして、紅茶を飲み切った瞬間、ベルを鳴らしていないのにヨシダが現れ、「片づけますのでもう々お待ちください」といいテキパキと片付けを始めました。
こいつずっと影から見てたろ?
そう思ってしまうほどのグッドタイミングでした。
片付けを終え、元騎士団副団長様に変したヨシダと弓の弦をピンピンとはじいてるラビとともに進行を再開します。
「そういえばヨシダは今でも騎士団の指導役だったよね?」
「そうです」
「最近の若い騎士達は外の人達の影響を強くけていますのでこの老いぼれでは些か力不足をじます」
いやー? たぶんこの人若い騎士達をギッタンギッタンにして「修行が足らぬ」とか言っちゃう人だぞ。
「今度チェリーにお城の警備の人の稽古お願いしたいなー」
「無理」
ラビが「えっダメなの……?」と目をウルウルさせていますがそれでもダメです。
「見えました。あそこが今回の目的地です」
「おー」
「ウルフさんいっぱい狩るよ!」
「姫君、1対1で戦ってください。複數のモンスターがいる場合は私の後ろに隠れてください」
「わかったー!」
ザッザと音を立て、ほどほどに広い山道を上っていきます。
4km歩いてさらに登山はちょっと聞いてないですね。
『ウオォオオォォォン』
〔バリケード・ウルフ〕の鳴き聲が木霊します。
〔バリケード・ウルフ〕はバリケードという名を冠しているのに違わず、危険が迫るとその辺の木の枝や石ころでバリケードを作る面白いモンスターです。
せっせとバリケードを制作している姿はなかなか可いものですよ。
「ヨシダ! どこ?」
「右手上方、數4でございます」
「≪ハイチェイン・アロー≫」
1本の矢で何もホーミングしてマルチキルする【狩人】の便利スキルですね。
ドスッという音が4度続き、狼らしい斷末魔が響いてきます。
「あは……あははは!」
やばいー。ラビがこわいー。
『ウォオオォォオォン』
『アゥウオオオオォオン』
ん? 他の〔バリケード・ウルフ〕とはし違う低めの鳴き聲が混じっていますね。
もしかするとヤバイ奴……〔ユニークモンスター〕がいるかもしれませんね。
「ラビ、ヨシダさん。もしかしたら〔ユニークモンスター〕が統率してる群れなのかもしれない」
「チェリー様、奇遇ですね。私もそう思っております」
「私でも倒せるかな?」
「そうですね……私が援護するので恐らくは倒せますね」
〔ユニークモンスター〕と言ってもそこまでの高レベルモンスターではないでしょう。
その間もヨシダが索敵、ラビが弓で始末するという流れを繰り返してはいるのですが、敵の波が延々と押し寄せてきます。
【眷屬生】等のスキル持ちの個かもしれませんね。
単獨で確認しに行ってもよいのですが、ばらけるのは得策ではないのでいまは自重します。
≪上級聖屬魔法≫でラビに≪アタック・ゲイン≫、ヨシダに≪ディフェンス・ゲイン≫を掛け、3人で地道に山道を登っていきます。
幾度かの敵の波を蹴散らし、山頂付近までやってくるとその個がこちらを見據えていました。
〔バリケード・キングス・ウルフ〕と名前が読み取れたのでやはり〔ユニークモンスター〕だったようです。
「ヨシダさん」
「心得ております。姫君、私の後ろへ」
「うん」
「ラビは後ろから≪ホーミング・アロー≫で敵を狙って。使える?」
「もちろん!」
「ヨシダさんは盾のスキルでラビに絶対ダメージがらないように」
「はっ」
「チェリーはどうするの?」
「ラビの支援と生された眷屬の始末を」
「了解!」
「では戦闘開始っ!」
もう一度二人に支援スキルを発し、生された眷屬に向かって魔法スキルを発します。
「≪サンダー≫」
≪初級雷屬魔法≫でも倒せるので苦労はせずに眷屬を一掃できました。
「≪ホーミング・アローレイン≫」
おっ! なかなかいいスキルですね。
『アオオオオオオオオオオォン』
割とクリーンヒットしているみたいでごっそりHPが減りますね。
この分なら何度か命中させれば倒せそうですね。
〔バリケード・キングス・ウルフ〕が走り出し、ラビに爪を突き立てようとしてヨシダの盾に阻まれます。
『アオオオォ!』
「ぬるいぞ! 犬っころ!」
あぁーやっぱりこういうタイプの人だったよ……。
〔バリケード・キングス・ウルフ〕が後ろに飛ぶ際、ヨシダが右手に握った片手剣で前足を斬りつけます。
「ッシ!」
「≪ホーミング・アローレイン≫」
この一連の流れでもうHPが半分を切りました。
『アォオオオオオオオオンオーン』
『ギャァオオオアオオアオアオ』
私の背後から聲がしました。
一匹増えましたね。
振り返り確認します。
〔バリケード・クイーンズ・ウルフ〕と表示されます。
この2匹が番で群れを率いてたんですね。
でも來るまでの間に遭遇しなかったのはなぜでしょうか。
餌でも取りに行ってたんですかね?
「いまのままで二人は〔キングス〕を私が〔クイーンズ〕を討ちます」
「心得ましたぞ!」
「りょうかい!≪スパイラル・アロー≫」
テクテクと〔クイーンズ〕との距離を詰めます。
『ギャオアオアオォン』
爪を出し、私のを貫こうとしてきます。
「≪ホーリー・ドーム≫」
円形のバリアで〔クイーンズ〕を捉えると危険を察知したのか壁をひっかき始めます。
まぁその程度で敗れるほどのヤワな障壁じゃありませんよ。と心の中で呟きます。
「≪ダーク・ボルテックス≫」
ドームの中を駆けまわる漆黒の雷が〔クイーンズ〕の全を貫きます。
さて、二人の援護に戻ろうかとおもい振り返るとそこには爪を出してラビの背中を引き裂こうとする〔クイーンズ〕の姿が見えました。
考えるよりも先に口がいていました。
「≪マテリアル・シールド≫」
ガキッという音とともに爪は食い止められますが、その音に振り向いたラビとヨシダに向かって〔キングス〕が突進してきます。
間に合え!!
「≪マテリアル・シールド≫」
込めたMPがない! すぐにかけ直さないと!
パリンと硝子が割れるような音が聞こえ障壁が破られます。
「≪マテリアル・シールド≫」
追加の障壁が間に合って何とかなりました。
辺りを見るとまた〔クイーンズ〕の姿がありません。
討伐のアナウンスも出てないので倒し切れていないのは明白です。どこにいるのか……。
地面にしゃがみ、石をつかみ取り、目を閉じ、意識を耳に集中し音を聞き分けます。
ヨシダが盾を構え直す音。
ラビが矢筒から矢を取り出す音。
獣が走る音。
…………。
何十秒にもじられる一瞬が過ぎ、木が軋む音が聞こえました。
「そこかあああああ!」
大リーガーもびっくりの豪速球でなげた石が〔クイーンズ〕の額に直撃しました。
『キャッキャン』
と一聲なき、木のに溶けるように消えていこうとします。
これは……【影渡り】ですね。
そう気づいたときには頭上に向かってスキルを発していました。
「≪フラッシュ・ライト≫」
眩い閃がこちらに背を向けていたラビとヨシダ以外の目を潰します。
〔クイーンズ〕の【影渡り】が発せず、閃にのけぞったタイミングを見逃すほど甘くはありませんよ。
「≪ダークネス・ピアス≫」
私の放った魔法が〔クイーンズ〕の眉間から後頭部を貫き、不自然なほどにピンクのを撒き散らして、木にまでも貫いて消滅しました。
『〔バリケード・クイーンズ・ウルフ〕の討伐を確認しました。ユニーク防【狼王の髪飾り】をインベントリに獲得しました。』
【狼王の髪飾り】
裝備効果
防寒+1
隠蔽+1
防固有スキル
≪影渡り≫
≪影渡り≫は太又は月下に置いて影と影を瞬間移できるスキルでした。
防についていることで短距離の転移を武変更なしで行えるのはメリットが大きいですね。裝備しましょう。
いままで裝備していた【マギステルグラス】を裝備から外さないといけなくなったので、予備に持ち歩いていた何の効果もない赤縁眼鏡を掛けます。裝備じゃないので急な運をしたりすると外れてしまうのが難點です。
こんど詳しいファーナに聞いてみましょう。
裝備を味している間に二人が〔バリケード・キングス・ウルフ〕を討伐したようですね。
「おつかれさま」
「おつかれさまー!」
「お疲れ様です」
「ユニーク裝備はラビが取ったのかな?」
「うん! 【狼王の筒】だって」
見せてもらった効果だと、矢などの消耗品をMP消費で無限に増できるタイプのスキルがついていました。これもなかなかいいスキルですね。
「レベルが16個あがったよ!」
16も! 経験値の良い〔ユニークモンスター〕とは言え上がりすぎな気がしますね。
そういえば私も2レベル上がってましたね。これで316レべルです。もちろんポイントはすべてMNDに振りました。あと20レベルあがってそれをすべてMNDに振ってもAGIを超えないことに気付きげんなりします。
クエストのクリア條件は完全に満たしたので案所に戻り報告しに行きます。
帰り道はヨシダさんが馬車を取り出し乗せてくれました。
もってるなら最初から出してほしかったです。
「はい。クエスト達を確認しました。こちら報酬の564萬金です」
「わーい!」
し震えた口調でしたが付のおねぇさんの顔も戻っているようで安心しました。
もどってきたラビが私に300萬金渡したので遠慮せずけ取ります。
ヨシダにも100萬金渡していました。
「今日は楽しかったー!」
「怪我しなくてよかったよー」
「チェリー様のおかげで命拾いしました」
「どうするチェリー? このあとちょっとご飯でも食べていく?」
「お食事でしたらご用意がございますので今日の冒険譚とともに奧様にお話しするのはいかがでしょうか」
また味のじられないご飯か……。
城に帰り、喜々として今日の冒険を國王の奧様に聞かせるラビを橫目に見ながら張で味のじられない料理をひたすらに胃に詰め込みました。
リアルで空腹等の警告が出ていたのでしログアウトしリアルでも食事をとってきました。
戻って來て早々に案された寢室は『セーラムツー』のワンフロアほどの広さがあり、度肝を抜かれますが、疲労のせいかすぐにフカフカのベッドに吸い込まれ、夢の世界に吸い込まれていきました。
to be continued...
[完結しました!] 僕は、お父さんだから(書籍名:遺伝子コンプレックス)
遺伝子最適化が合法化され、日本人は美しく優秀であることが一般的になった。そんなご時世に、最適化されていない『未調整』の布津野忠人は、三十歳にして解雇され無職になってしまう。ハローワークからの帰り道、布津野は公園で完璧なまでに美しい二人の子どもに出會った。 「申し訳ありませんが、僕たちを助けてくれませんか?」 彼は何となく二人と一緒に逃げ回ることになり、次第に最適化された子どもの人身売買の現場へと巻き込まれていく……。 <本作の読みどころ> 現代日本でのおっさん主人公最強モノ。遺伝子操作された周りの仲間は優秀だけど、主人公はごく普通の人。だけど、とても善人だから、みんなが彼についてきて世界まで救ってしまう系のノリ。アクション要素あり。主人公が必死に頑張ってきた合気道で爽快に大活躍。そうやって心を開いていく子どもたちを養子にしちゃう話です。 ※プライムノベルス様より『遺伝子コンプレックス』として出版させて頂きました。
8 144久遠
§第1章クライマックスの35話から40話はnote(ノート)というサイトにて掲載しています。 あちらでの作者名は『カンジ』ですのでお間違いなく。表紙イラストが目印です。 ぜひぜひ読んでください。 また第2章は9月1日から更新します。第2章の1話からはまたこちらのサイトに掲載しますので、皆様よろしくお願いいたします。失禮しました~§ 「君を守れるなら世界が滅んだって構いやしない」 この直來(なおらい)町には人ならざるものが潛んでる。 人の生き血を糧とする、人類の天敵吸血鬼。 そしてそれを狩る者も存在した。人知れず刀を振るって鬼を葬る『滅鬼師』 高校生の直江有伍は吸血鬼特捜隊に所屬する滅鬼師見習い。 日夜仲間と共に吸血鬼を追っている。 しかし彼にはもうひとつの顔があった。 吸血鬼の仲間として暗躍する裏切り者としての顔が………
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