《VRゲームでもかしたくない。》<Boy Meets Boy >

「あれはエレベーターの點検のバイト辭めた後っす」

そう言って俺はチェリーに自分の過去を語る。

「仕事探すために求人サイトを覗いてたっす」

「だろうね」

「そこにでてきた広告に<Imperial Of Egg>があったっす」

「それではじめたの?」

「いや違うっす。なんだこれってみてたっすけどバイトしないと死しちゃうっすから後回しにしたっす」

「お、おう」

「深夜のコンビニのバイトを始めてすぐやめて、次はキャバクラのボーイもやったっす」

「お、おう」

「いろいろあっても心もボロボロになっていっそのことこのまま消えちゃいたいって何度も思ったっす」

「……飲めよ」

そう言ってチェリーがお茶を出してくれた。ありがたく頂戴する。

「ありがとっす。そんでゲーム好きだったんで気になってた<Imperial Of Egg>をやってみることにしたっす」

「そこでその師匠とであったってじ?」

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「概ねそんなじっす」

これが<Imperial Of Egg>か。 

過去様々なゲームをやってきたが、グラフィックも綺麗でやりごたえがありそうだ。

チュートリアルを終え、一式裝備をそろえた後、街を出ようとする。

「パンツを見せてくれ!」

そう言ってしゃがんでるプレイヤーがいた。

わざわざ宣言しないでカメラを作して下から見ればいい。

個人チャットを送ってみる。

『そんなことしないでもカメラを回して下から見れば?』

『お前馬鹿か? 許可とらないで見たら犯罪だろ?』

『NPCだからいいじゃん』

『良くないね。人かNPCかなんて関係ない。俺が見たいと言った。見てもいいよと返してくれる神のパンツが見たいんだ』

まるで意味が分からない。

だが、この人は面白い。

『俺はハリリンだ』

『ムンバだ。お前も俺にパンツを見せれるか?』

『いいだろう。初期裝備だがじっくり見ろ』

そう言ってズボンをぐ。

『いいパンツだ』

握手を求めてくるムンバに答え、握手をする。

『ハリリンこれから仲よくしよう』

『おう』

この時から俺のキャラクターは崩壊を始めていた。

お互い始めたばかりだったこともあり、一緒に遊んでいる時間は長かった。

「ハリリン。お前のしゃべり方が俺とかぶる。変えろ」

「無茶いうな。素で話してるからこうなる」

「よし、お前今から俺のこと師匠とよべ」

「なんで?」

「いいから。あとは語尾にっすをつけろ」

「こうっすか師匠?」

「完璧だ。これでお前も爽やかに変態行為ができるな」

「どういうことだかちょっとわからないっすけど」

は試しだ。おい。あそこを歩いてるプレイヤーにお願いしてこい」

そう言われしぶしぶプレイヤーの元へ向かう。

「あのーすいませんっすー」

「なんですか?」

茶髪で低長だが巨の結構いいキャラメイクしてるだった。

「パンツ見せてほしいっす」

いつもはここで逃げられる。

「カメラまわしてかってにみれば?」

この時俺の魂が震えた。

「ありがとうっす!」

そう言ってムンバと一緒に數分覗いた。

「俺の言った通りだろ? お前はその口調ならすべてのパンツを覗ける」

「お、俺もうちょっと聲かけてくるっす!」

完全にネジが飛んでしまった瞬間だった。

その後も師匠とパンツ狩りをしたり、モンスターを狩ったりしていた。

リアルでの鬱憤を晴らすようにゲームで変態行為をしまくっていた。

師匠とさらに仲良くなり、通話ツールで話をしながらやるほどにもなった。

そんな生活が2か月続いたある日ムンバからこんな話があった。

「俺、今度支店長になることになったんだ」

「えっ? まじっすか?」

「まじだ。 まだ仕事決まってないのなら働くか?」

「いいんすか?」

「こうして何か月も遊んでいるからわかる。お前はこの仕事が向いている」

「ところで師匠なんのバイトっすか?」

「ピザ屋だ」

「ピザ屋っすか」

「お前のその聲、口調、客の警戒心を解くのに最高に向いている」

「そうっすか?」

「あぁ。試しにいま俺が働いているところにこい」

「わ、わかったっす」

なし崩し的にだがピザ屋で働くことになった。

「今日からお世話になるっす! 幕張まくはり凜太郎りんたろうっす! よろしくおねがいしまっす!」

「よろしく。副店長の馬場ばんば努つとむです」

彼がムンバだろう。

他のスタッフの紹介等が行われ、俺のこの職場での最初の仕事が言い渡された。

「幕張君、この紙の手順通りにピザ作ってもらえるかな? 俺橫で見てるから」

「了解っす! こうっすね?」

手順通りの作業は得意だった。

初めて見る人でも簡単にできるようにマニュアル化されており、俺じゃなくてもできるだろう。

「副店長! 幕張君いいですね!」

「あぁ。俺が面接して採用したんでな。あまりこき使いすぎるなよ? 俺が店長になる店に連れていくために雇ったんだからな」

「有な子がいなくなるのはつらいです」

「店長が復帰したら補充をお願いすればいい」

「それもそうですね」

彼らが話している間にマニュアルを見ながらではあるが、注文がっているピザを速やかに作っておく。

勝手なことをするなとたくさんの職場で言われてきた。だが、できることをして怒られる道理はない。

「16時30分に宅配予定の河合様のピザできてますか?」

「俺がやっといたっす。これで大丈夫っすかね?」

「ありがとうございます。では宅配行ってきます」

「いってらっしゃいっす」

「よう。ハリリン。いい仕事っぷりだ」

「ありがとうございます師匠」

「解せんな。これだけしっかりできるのになぜ今までの仕事はクビになった?」

「勝手なことをするなっていつも言われてたっす」

「なるほどな。わかった。好都合なことにこの店はみんな楽がしたいタイプの人間があつまっている。お前が過剰に仕事する分には誰も注意しないさ」

もちろんミスは許さんが、と付け足していた。

その日は何事もなく仕事を終えた。

マニュアルもほぼ記憶し、効率も上がった。

それからは毎日が楽しかった。

宅配も覚え、発注などの仕事が任されるようになった。

もちろん毎日<Imperial Of Egg>でムンバと遊んでいた。

ムンバの支店がオープンし、新人がり仕事を教えるようにもなった。

これは俺の天職だと思った。

本當の意味でムンバは俺の師匠だった。

「とまぁこんなじっす」

「そんなことがあったのか」

「他にもあるっすけどね」

「もうし聞きたいな」

チェリーが言った。

「保証人になったんすけどそいつ蒸発しちゃって高額の借金背負ったりもしたっすね」

「そうだったのか」

「そうなんす」

「お前も大変だったんだな。食えよ」

チェリーがそう言って〔マッスルガーゴイルの筋〕を差し出してくる。

俺に結構冷たい態度だが、は優しいやつだと知っている。

師匠には言っていないが、俺はチェリーとエルマのパンツを覗くのがVRでの達すべき目標となっている。

もちろん二人にも緒だが。

「えっ生じゃないっすか」

VRのおかげで今日も眼福だ。

<Boy Meets Boy完>

    人が読んでいる<VRゲームでも身體は動かしたくない。>
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