《VRゲームでもはかしたくない。》第2章5幕 戦闘狂<combat mania>
階段を上りつつ上階の戦闘音を聞きます。
「チェリー」
「やっぱり?」
戦闘音がほとんど聞こえてきません。でした。
「ジュンヤや纏花が負けるとは考えたくないんだけど」
そう言って私達はテンポアップし、三段飛ばしで登っていきます。
最上階に著くと、大きな扉が開け放たれており、何人かいるのがわかります。
「スキルが発できる狀態で突しようー」
「そうだね」
私は詠唱魔法を準備します。
『貫ケ 貫ケ 闇ノ力ヨ 疾ク 疾ク 駆ケ進メ 我ガ配下ヲ供トシ 理貫ク闇トセ』
発準備は完了ですね。
同様にステイシーも任意発型の詠唱魔法を唱えていました。
『翔ケヨ 翔ケヨ 雷ノ道ヨ 貫キ 貫キ 駆ケ進メ 我ガ配下ヲ供トシ 天翔ケル紫電トセ』
「おっけー。僕も準備萬端」
「じゃぁ突!」
詠唱中にも分かったのですが、ジュンヤと纏花以外に味方の姿はありません。
一方『貓姫王國』の戦力は3人ですね。
手練れ3人相手によく生き殘っていたものです。
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ジュンヤに襲い掛かろうとしている緑髪の高長イケメンに私が魔法を放ち、纏花に襲い掛かっていた金髪の年にステイシーの魔法が放たれます。
「≪理ヲ貫ク闇ノ道≫」
「≪紫電纏テ天翔ケヨ≫」
一直線に魔法が飛び、直撃しますが貫通力の高い魔法なのでそれほどのダメージにはなっていないようですね。
「チィ! 援軍か!」
「全く、アイザックは使えない子ですね」
私達の魔法の直撃をけてもひるむことすらなく、陣形を整え直してました。
「わるいな。助かる」
「ありがとうございます。流石に僕たちでも後5分は耐えきれなかったです」
その間にこちらもジュンヤ、纏花と合流し、立て直します。
「それにしても2対3でよく生き殘ってたね」
「それはちがうぞチェリー。9対50だった」
「犠牲も大きかったですけどね」
纏花もそう言って無くなった左手を見せてきます。
「うえー」
「もうしでハリリンが援軍を連れてくる。それまで耐えきるか倒しちまわないと」
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「そうだね。指示は纏花におねがいしよう」
「まかせてください。弓を握れないんでほぼ戦力外でした。助かります」
「話は終わったか?」
「そろそろ仕留めないとジルファリにドヤされちゃうからね」
そう話しかけてきます。
「何よりも心強い味方が來たんでな……よっと……へばってらんねーだろ?」
「その通りですね」
あっそうだ。もしかしてあのスキルで手を召喚したら纏花も戦力カウントできる?
試してみよう。
「≪【見えざる手】≫」
ジュンヤのに隠れて小聲で発します。
2本召喚し片方の手でもう片方を持ち、纏花の左手にくっつけます。
「<キュアネス・リード>」
何をしたいのか察したステイシーがすぐに手を接続しました。
「なるほど。こういう使い方もあるんですね」
ぶっつけ本番でしたけどね。
「自分の手とまでは言わないですが、弓を持つくらいならいけますね。ジュンヤは前衛、チェリーが中衛、僕とステイシーが後衛」
「わかった」
「ういーっす」
すぐに戦闘が再開され、まず私は正面にいる二人ではない、もう一人に向かって魔法を放ちました。
「≪ホーリー・キューブ≫、≪シャドウ・ボルテックス≫」
閉じ込められたもう一人は余裕そうな笑みを浮かべ、自の周辺に障壁を張っていました。
「チ! 相が悪い!」
その景を見ていたのかすぐ纏花が正面の二人から目標を移しました。
この辺は経験でしょうね。
言葉なくとも伝わるものがあるんですよ。
ジュンヤが大剣を振り回す相手の猛攻をなんとかしのいでいます。
もう一人はステイシーの魔法に牽制されて近づけていないようですね。
だれがだれなのかわからないですね。
「だれがだれだかわからないので、自己紹介してもらっていいですか?」
戦闘中にあるまじき私語を挾んでみます。
ジュンヤに攻撃を仕掛けていた男が手を止めずに答えます。
「俺は『貓姫王國』ナンバーフォー、バングだ」
なるほど。大剣使いがバングと。
「僕はナンバースリー、ルーダ」
なるほど。よくわからない長剣使いがルーダね。
「俺は、奏寅そういん。姫様の側近といったところかな」
魔導士っぽいのが奏寅か。
「うんうん。自己紹介ありがとう」
ある程度の時間稼ぎほどの自己紹介を聞き、この間に詠唱魔法をセッティングしていた、ステイシーが解き放ちます。
『≪深層ニ眠ル猛キ雷帝ヨ此処ニ姿ヲ現サン≫』
上空には天井しかなかったはずの部屋に黒雲が立ち込め、落ちた雷が複數の人型を形していきます。
いくつも落ちる雷が一部ステイシーに纏わりつき、雷人形と変わらない見た目になります。
ステイシーのHPが10分の1ほどになり、ひやひやします。1撃貰ったらお陀仏ですね。
「チェリー。この狀態になったら解けるまで3分間僕は無敵になれる。でもデメリットでデスペナが近いと思う。解除タイミングで≪オーヴァー・ヒーリング≫よろしく」
「わかった」
私が返事を返すとステイシーは雷人形にじり、雷で剣を作り、槍を作り、一斉に攻撃していきます。
「はやっ!」
バングが重たそうな大剣を用に回し、的確にさばいていきます。
その背後から槍を持った雷人形が刺し、目に見えて大きい一撃をれます。
「ぐっ……」
しゃがみこんだバングに止めと數の雷人形が攻撃をれますが、それはルーダによって切り裂かれ、霧消しました。
「雷人形、面白いですね」
そうつぶやいたルーダのにいくつもの矢が刺さります。
「は……?」
狀況が飲めなくて困した聲をあげるルーダに≪聖槍解放≫を発したジュンヤの一撃がり、言葉を殘すことなく消滅しました。
強者オーラ出てましたけどうちの強者廃人たちにかかればこんなものですよ。
バングは仲間の死に一瞬揺はしますがすぐに持ち直し、再び雷人形とのダンスを始めます。
そこで私は気付きました。
奏寅と名乗る男の姿が見えないことに。
やっぱりこいつもストーカーだったみたいですね。側近ですし。
見えない相手を探すよりは見えてる相手を倒すほうが楽なので、私も雷人形に加勢します。
「≪ライトニング・ピアス≫」
ステイシーの詠唱魔法のおかげで、雷魔法が発しやすくなり、とてもないMPで高威力のものが発できます。
といっても【神】のおかげであんまり消耗しないんですけどね。【神】便利。
私の魔法を避けず、大剣を構えて防いだバングの正面にジュンヤが駆けます。
「落ちろおおおおおおお! ≪【聖槍技】聖刺突≫」
ジュンヤの持つ聖槍から、ビームのようなものが発され大剣を焼き盡くします。
ちょっとダサい。
心笑いを浮かべていると背中に何かが當たったような気がしたので振り向くと、弓系のスキル≪ドロー・アロー≫を私に使った纏花が見え、次の瞬間私は纏花を通り越し、壁際まで下がらさせられます。
えっ? という疑問の聲をあげる前に、前まで私が居た場所に大が開いていました。
「今のは危なかったですね」
「ありがとう。助かったよ」
「やはりあいつの相手は僕だけですかね」
そう言った纏花が弓をしまい、刀のようなものを取り出します。
「チェリーさん。TPPOTはいくつほど持っていますか?」
「えっと……9個だね」
「後でお支払いしますので頂いても?」
「もちろん」
「謝します」
そう言って私が取り出したTPポーションをけ取り、1本飲みます。
「なかなかの回復量ですね。では」
シュっと姿が消え、斷続的に金屬と金屬がぶつかりあうような音が響きます。
纏花……。刀もあのレベルで使えるのか……。
奏寅もさっきまでは魔法使いだと思ってた……。
あちらは纏花に任せていて大丈夫とリンチにあっているバングのほうを見やります。
すでに大剣は溶かされ、転換で取り出した武も溶けそうになっています。
遠距離、そして斜めから見ていた私は気付きました。
剣ので獰猛な笑みを浮かべ、メニュー畫面を作している姿を。
「ジュンヤ下がって!」
咄嗟のことだったので大聲で指示します。
召喚しっぱなしだった手でジュンヤを毆り飛ばそうとしても間に合うかわかりません。
お願い……。間に合って……!
そう祈りを捧げながら手をばしました。
2本目の剣の後ろから現れた、紫で全く沢のない謎の剣の威圧に私は震いしていました。
【神】……。
そう頭によぎった瞬間、その剣でジュンヤのを切り裂きました。
「くぅ!」
しまったと思ったときにはすでに遅く、止めきれなかった第3の手がジュンヤの橫顔を毆打しました。
「ばぁああああ?」
そうびながら壁際に飛んでいきました。
…………。
ごめんよ……。
「仲間割れか? 俺がこいつを抜いてい」「生きていた奴はいないっていうんでしょうね」
「おい! かっこいいキメ臺詞とんなよ!」
「いえ。あまりかっこよくないので止めたんです」
もうじきステイシーの詠唱魔法の効果が切れるころですね。
雷人形の一に目くばせをすると私の近くまで全てやって來て、ステイシーがスキルを解きました。
「≪オーヴァー・ヒーリング≫」
転換しておいた裝備ですぐさま回復魔法をかけます。
「たすかるーこれでも上限が半分に制限されちゃうから1撃即死だねー」
先ほどの猛攻が噓のように、間延びしたいつもの口調に戻っています。
「ステイシーはジュンヤの回復に行ってあげて、たぶん≪裂傷≫のスリップダメージでやばいと思う」
「じゃぁあいつはチェリーに任せるよー」
「援護はわすれないでね」
「わかったー」
ジュンヤに向かって駆けていくステイシーを見送り、私も気合をれます。
「いい目だ。こいよ」
挑発に乗らず、スライド移を起し高速で移します。
余談ですが【魔法制作】の【稱號】でなぜか登録ができてしまったので≪スライド移≫と名をつけ保存しておきました。
高速で移しつつ、ホーミングの優れた魔法を撃ちますがどれも決定打にはなっていません。
早くもピンチですね。
【斬罪神】のスキルは今でも裝備中なのでアームズシェイプの魔法か何かで首にれさえすれば勝てるのですが……。
あっ。
「それは【神】ですね?」
移速度を緩め、近づきつつ、聞きます。
「見ただけでわかるとは結構狩ってんな?」
「ええ、まぁ≪ダーク・アームズ≫」
小聲で魔法を発して2本の剣を生し、右手に片方を持ちます。
もう片方は……。
さっきジュンヤを毆った腕にこっそり持たせ、會話をしている隙に、後ろからザックリやる戦法です。
「魔法で剣を作るとは面白いスタイルだ。さっきみたいに溶かされる心配がねぇな」
そう言って大技の構えを取っています。
「これで決著だ」
「ええ」
ドサリと倒れる音がし、デスペナルティー特有の演出がりバングは消えていきました。
きっと彼は何が起きたのか全く分からなかったでしょうね。
見えない手が見えにくい剣を持ってこっそり後ろから刃をピトっとれさせたなんて。
「てめぇ! チェリー! 毆ることはねぇだろ!」
「ごめん止まらなくて」
「まぁ回復したからいいけどよ。ところで……」
ジュンヤが目を凝らし、狀況を把握しようとしています。
「まだ1人……奏寅だっけ? のこってるんだよな?」
戦闘音は聞こえるんだが……とつけたしています。
「まだ戦闘中。速度が速すぎて、追えない」
「なるほどな」
ハリリンが援軍を連れ、資を持って合流した後も延々と金屬のぶつかる音だけが響いていました。
to be continued...
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