《VRゲームでもかしたくない。》第2章11幕 貓姫<ÀiMāojī>

ギルド管理者のみが使える、急アラートを信し、脳が自然と覚醒します。

せっかく気持ちよく寢てたのに……。

半開きの目をり、ある程度ぼやけた視界が鮮明に見えるまで待ち、チャットを確認します。

貓姫発見。至急ギルドに集合』

そう書かれていました。

となりで寢ているエルマのサブキャラ風紅に書置きを殘し、私はホームをでました。

ふらふうらと歩きつつ、途中で焼き芋を買いもぐもぐと食べます。

食べ終わるころにはギルドホームに著き、みんながいる會議室のようなところにります。

「おまたせ」

「おせーぞチェリー」

「おそいっすよー」

「ごめん」

「あまりにもおせーから急アラートつかっちまったじゃねぇか」

「そうっすよー」

「だからごめんて。エルマと話してて夜更かししちゃってね」

10日間に延期されているデスペナルティーで殘りのメンバーは私達3人だけになってしまっています。

この3人でできることは多くありませんが、ジュンヤがいるのは心強いですね。

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「まぁないがそろったところで本題だ」

「うっす。昨日の夜、ちょうどジュンヤ達が冥界に潛ってたときっすね。諜報部隊が貓姫を捕捉したっす。場所は『アイセルティア』で間違いなかったっす」

「めちゃくちゃ土煙がひどくて息吸うのですら致命傷になりそうな場所になんで新しい拠點をつくろうとしてるんだろう」

「それはわからないっす。ただあの國はほぼゴースト化しているっすから簡単に乗っ取れちゃうんじゃないっすか?」

「そうかもね」

「そこでだ。俺たちもすぐに出ることになる。一時間後に再集合だ。ステイシーも呼んである」

「わかった。って言っても準備するものがないからここで座って待ってるだけになるけどね」

「それでもかまわん。……。ステイシー來るまで打つか?」

そう言ってジュンヤはテーブルをトントンと二回叩き、機を転換しました。

出ましたね……。雀卓が……。

「よーっし今日は勝つっすよー」

「俺も負ける気はねぇな」

「……。私も負けない」

「なに賭けるよ?」

「じゃぁ俺が勝ったら言うこと1つ聞いてほしいっす!」

「いいぜ」

「じゃあ私もそれで」

30分ほど打っているとステイシーがやってきました。

「おまたせー。おやー。麻雀だねー」

「おはようステイシー。もうちょいでハリリンが飛ぶから待ってね」

「飛ばないっすよ! ここから逆転の國士無雙いくっす!」

「それはない。カン。ふひっ。もう一個カン」

私は白を暗カンしました。ツモッてきた嶺上牌で九筒をさらに暗カンし、ハリリンの退路を斷ちます。

「あーもう終わったっすー」

諦めた表で一萬を切ったハリリンに対し、ジュンヤが「ロン」と聲をあげます。

「イッツー、ドラ2。飛びだな」

「またまけたっすううううううう」

「修行が足んねーぜ」

「足元にも及ばないゴミ蟲が」

「あっそれだけでもうご褒っすー」

「さてと……ステイシーも來たし、早速行くか」

立ち上がり、雀卓を會議用の機に戻し、ジュンヤが言います。

「今回はこの4人で1パーティーだ。他國の高レベルもほぼデスペナってる。俺らが殘存勢力で最強だ。負けはない。いいな?」

「うん」

「うっす」

「はーい」

「っしゃ行くぞ! っとすまん。いったんトイレ行ってくる。リアルで」

とログアウトしていきました。

「私もちょっとログアウトするね」

私もログアウトし、手洗いに行きます。

ついでに買いだめしてあったパンをムシャムシャと胃に収め、再びログインします。

「おまたせー」

「よしじゃぁ気を取り直していくぞー」

西通りのレディンを訪ね、送ってもらいます。

「では飛ばしますよー。 お代は『虎の子』の倉庫からでいいかな?」

「あぁ」

『揺レヨ 揺レヨ 空ノ道 割ケヨ 割ケヨ 隔タリヨ 我ガ財寶ヲ供トシ 未ダ見ヌ土地ヘ行カセ給フ』

『≪空間旅行≫』

土埃の舞う廃れた鉱山へ再びやってきました。

「結構エグイ砂煙だな。マスクなかったらたしかにやべーな」

「俺マスク忘れたっす」

「これ使って」

私のインベントリにあった、簡易的なマスクを渡します。

「おおお……おおお!チェリーこれ使ったことあるっすか?」

「えっ? こないだちょっとだけ使ったけど?」

「あああああ! ありがとうっす! 家寶にするっす!」

「はぁ?」

ハリリンが何を言ってるのかわからないですね。

いつ襲撃があってもいいように全を警戒しておきます。

「追跡部隊からの連絡が途絶えたっす」

急に真面目モードになったハリリンから報告をけます。

「撒かれたわけじゃないよな? 狩られたか?」

「たぶんそうだろうねー」

「ゆっくりもしてらんねーな! 行くぞ!」

ハリリンに先導され、連絡が途切れたというポイントまでやってきました。

鉱山の口からし行ったところですね。

「こりゃぁひでぇな」

辺り一帯の地面がえぐられ、壁や天井まで跡が殘っています。

「尾行に出ていた部隊はかなりの手練れっすから、それを短時間で屠るのは結構やばい相手かもしれないっす」

そのナンバーワンのジルファリとかいうのがやばいやつなのは重々承知です。

そいつの猛攻をしのぎ、貓姫を討てれば勝ち。こちらに有利な條件ですね。

「まだそんなに時間は立ってないな。全員警戒だ。ハリリン前だ。俺は最後尾で行く」

「あぁー! ずるいっす! 自分だけ安全なとこ行ってー!」

「ばーか。俺は道しらねぇんだ。それに最後尾は後ろからドンだからこえぇぞー? かわってやろうか?」

「あっお斷りするっす」

結局、ハリリン、私、ステイシー、ジュンヤの順で進みます。

しばらく進むとハリリンが止まれとジェスチャーを出します。

「敵影っす。人じゃないっすね」

私も目を凝らしてみてみます。

〔スカルナイト〕ですね。

「警報の代わりに設置していったじっすね。倒さずに無力化したほうがいいかもしれないっす」

「≪シャドウ・キューブ≫」

ハリリンの言葉を聞き、すぐさま魔法で隔離します。

「ナイスチェリー。これで追跡は來てないと思わせられるっす」

「そんな楽な相手じゃないと思うよ」

「それもそうっすね」

その後も複數のトラップが仕掛けてありましたが、ハリリンが高レベルの≪知≫と≪罠解除≫等の隠らしい技を贅沢に使い全て回避しました。

「逆に怪しまれないっすかねー?」

「大丈夫じゃね?」

後ろからジュンヤが返してきます。

「罠をこんだけ準備してるってことはそういうことだろうねー。逃げながらにしてはかなり手際がいいみたいだけど」

そうなんですよね。逃げながらトラップを張っているのであればもうそろそろ追いついてもおかしくない頃ですし。

「リスキーだが≪探知≫しとくか?」

「俺は賛っす」

「私も」

「りょーかいー。≪探知≫」

ステイシーが探知を使い、敵の居所を探ります。

「どうだ?」

「うーん……。隠蔽されてるねー。まずいことになったやー」

ステイシーの発言を聞き終えた後私達のを空気の塊のようなものが通過していきました。

ということは向こうがこちらに気付き、≪探知≫してきたというわけです。

「俺は映らないっすから敵は3人だと思ってくるっす。≪隠形≫」

そう言ってハリリンがすぐに姿を隠します。

「チェリー下がれ。俺が前衛だ」

ジュンヤが私の前に駆け出し、【聖槍】を構えます。

タッタッタとこちらにかけてくる足音が聞こえます。

足音の主が私達の前で止まらず、抜刀していた刀で斬りかかってきます。

「やるじゃねぇか!」

槍を盾にし全て防ぐジュンヤに対し、聲をかけてきます。

「〔槍最強〕か。君に俺は倒せない」

くぐもった聲でそう宣言します。

「へー。そうかい。やってみねーと……わからんぜ?」

刀を抑えていた槍を力いっぱい振り、後ろに飛ばします。

「ふっ」

『ハリリン。暗殺しろ。こいつが無理だったらすぐに貓姫のところにいけ』

ジュンヤが戦闘の合間にハリリンへ指示を出し、自分は攻撃せず防に徹しています。

「チェリー。僕らは貓姫を追おう。ここは二人に任せた方がいい」

「どうして?」

「狹いから」

「なーる。私が剣を投げるからそこに≪シフト≫で」

「了解。さきに僕が飛ぶ」

シュッと腰の剣を抜き、投げます。

「ふん?」

予想通り、け止めずに躱してくれました。

「≪シフト≫」

先ほど飛んで行った剣が私の橫に落ち、次の瞬間私はステイシーの橫に飛んでいました。

「何とれ替えたの?」

「んー? これ」

「そう言って発煙筒を見せてくれました。

「なるほどね!」

発煙筒の煙はパーティーメンバーに影響しないのでこういう時には便利ですね。一つ賢くなりました。

會話しつつも走り、ある程度の広さのある所に到著しました。

そこには場違いなテーブルと椅子があり、その椅子に腰かけた目を疑うほどのがこちらを見ずに問いかけてきます。

「倒し終わったの?」

そう鈴のような聲が聞こえます。

「どうしたの? ジル?」

しの間が開いてその聲の主に向かってステイシーが問いかけます。

「どちらさまー?」

「そちらこそどなた?」

「これはこれは失禮ー。僕はステイシー。こちらのはチェリーだよー」

「ご丁寧にどうも。貓姫よ」

こいつが……こいつが……!

暴発しそうなほどMPが全かられだします。それはステイシーも同じようで、青筋をピクピクさせています。

「相変わらずだね。マオ」

「マオはいつでも変わらないわ」

「僕達は君の首を取りに來た」

そうステイシーが目的を告げます。

「笑わせないで。マオが何したっていうの?」

「自分のに手を當てて、聞いてみろ」

周囲の溫度が數度下がてしまったのかと錯覚するほどの殺気がステイシーから放たれます。

「よく……わからないわ。狙われるようなことはあちらでも、こちらでもしていないと思うの」

「そっか。とりあえず君には10日向こうに帰ってもらうよ。≪ライトニング・スピア≫」

ステイシーの怒りがこもった一撃が貓姫に直撃します。

ステイシーの魔法を食らいダメージをけるか、もしくはデスペナルティーになっているはずの貓姫が無傷で椅子に座っていました。

「こわいわぁ。そんないきなりなんて。マオの言うこと聞けないの?」

あー。なんかこっちまで青筋ピキピキしてきた。

「ゲームよ? 楽しみましょう? ジルが帰って來るまで、お茶でもいかが?」

「お斷りします」

「お斷りだよ」

「……? お茶でもいかが?」

再び同じ質問をしてきます。

「いりません」

「いらない」

「ふーん……マオの言うこと聞けないのね。なら仕方ないわ」

そう言って元から笛を取り出し、ピィーと吹きます。

「もうすぐジルがもどってくるわ。楽しみね」

to be continued...

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