《VRゲームでもかしたくない。》間章3幕 スケコマシ<philanderer>

首都高速都心環狀線をひた走る車から、移り行く景を眺めつつ、エルマの運転する車は首都高速5號池袋線へとっていきます。

「結構この辺はくるの?」

私はそうエルマに聞きます。

「んにゃ。ここへんはあまり自分じゃ運転しないかな? 今日も本當なら永谷に運転お願いしようと思ってたの」

「そうなんだ」

「お母様とお父様の旅行についていくみたいで、だめだったー。他の使用人は先にうちの別荘に行ってるよ」

「別荘!?」

「しまった! 一つばらしてしまった!」

思い當たる目的地があったので、聞いてみることにします。

「もしかしなくても、軽井沢に別荘もってるの?」

「ななななっ! ち、チガウヨー」

あっ。ビンゴ。

「軽井沢に別荘かー。憧れちゃうなー」

「そんないいものじゃないよー」

「…………」

私がジッとエルマの顔を眺めると吹けない口笛を吹くために口をすぼめ、フーフー息を吐いています。

しばらく進み、首都高護國寺で首都高速5號池袋線を出、山手通り、要町通り、目白通りと進み、練馬區5丁目から関越自車道へとります。

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「ところでチェリーさんやい」

「何かしらエルマさん?」

「お腹空かないかい?」

「いや。お腹はあんまり空いてないかな? でもちょっとは乾いたかもしれない」

「どっかよってく?」

「……。関越自車道る前に言ってほしかったかな。もうし進んだところに三芳パーキングエリアがあるんじゃなかった?」

「ナビにはそう出てる」

「じゃぁそこでいいじゃん。とんかつ専門店とかってた気がするよ」

まだ小さかったころ、両親と旅行行ったときに寄った記憶がありました。

「いいねー。とんかつ食うぞー」

「別荘ついてからご飯にするんじゃないの? 食材いっぱい買ったし」

「それはそれ、これはこれ。おねぇさんお腹ペコペコでお腹と背中がくっつ……くわけないかー」

「そんなんでくっつくならダイエットはいらないよね」

そう軽口をわします。

またしばらく車を走らせ、関越自車道を進み、三芳パーキングエリアに到著しました。

「ついたー!」

駐車スペースに車を止め、貴重品だけ持ち出し、ロックします。

「さっそくたべるぞーっとその前に……お手洗いに……」

「あっ。私もトイレいきたい」

「連れションだー」

「男子高生か!」

ペチっとエルマのおでこにデコピンをかまし、二人でトイレへと向かいます。

トイレの前にはし人だかりができていました。

「なんだろう」

そうひょこっと背びをし、エルマがのぞき込みます。

「あっ!」

「どうしたの?」

「スケコーマートのツーケーだ!」

「はい?」

「しらないの? スケコーマート」

「スケコマシ?」

「これだからニュースを見ない人は……スケコーマートっていうロックバンドだよ! そのグループのボーカルがこのサル山の長みたい!」

サル山って。

「ちょっちサイン貰ってくる!」

サル山の仲間りですよ。あとトイレはどうした。

エルマが群れに突していってしまったので私は一人でトイレに行くことにしました。

トイレの中でもスケコマシの話題でいっぱいでした。

妙に落ち著かない個室の空間で用を足し、手を洗って出てきます。

おお! 群れが広がってる!

駐車スペースまで浸食するのではないかという程に勢力を拡大し、関係者であろう人と警備員がなんとか押しとどめています。

めちゃめちゃ人気がありますね。

すこし興味が湧いたので攜帯端末で調べてみることにします。

スケコマシ バンドで検索しました。

良く調べてみるとバンド名はスケコーマートだったみたいです。そういえばエルマもスケコーマートって言っていましたね。

なるほど。

突如畫配信サイトに現れた、男裝の4人組ロックバンド、だそうです。

私が今つけているピアスにはワイアレスで攜帯端末の音聲を聞ける機能がありましたので、曲を再生してみます。

『~~♪』

3分ちょっとの曲でしたが、プロモーションビデオもしっかり作られており、4人の個を生かしたなかなかいいバンドのようです。

畫は軒並み100萬再生を超えており、この現象が起きている理由がわかりました。

調べ終わり興味が無くなってしまったので、お店にり、コーヒーを注文します。

「ホット一つください」

「かしこまりましたー」

黒いエプロンを著ている若い店員さんにコーヒーを注文し、持ち帰り用の容に注いでもらいました。

そのコーヒーを飲みつつ、エルマの帰りを待ちます。

スケコーマートの人には謝ですね。

日曜日のパーキングエリアが混む時間にいてくれると部はこんなに空くので。

「君はスケコーマートの所に行かなくていいのかい? お嬢さん」

コーヒーを啜っていると、フリルを上手く著こなすに突然聲を掛けられます。

「いえ。私はあまり興味がないので」

「そっか。まぁそういう人もいるよね」

「はい」

「突然聲かけてごめんね。私は人と會話するのが好きでね。もうしいいかい?」

そう言ってペットボトルのお茶を何処からともなく取り出していました。

「ええ。かまいませんよ。私の友人がスケコーマートのサイン貰ってくるといっていなくなってしまったので、戻って來るまで暇ですし」

「そうなんだ。私と似たようなものだね」

「そうなんですか」

「ところでこれからどこへ行くんだい?」

「友人が持っている軽井沢の別荘に行くそうです」

「そうです?」

「えっと、的に聞かされていないんですよ。サプライズとかなんだで」

「なるほどね。私もこれから軽井沢だよ」

「一緒ですね」

コーヒーを飲み、を潤します。

「旅行ってわけじゃぁ、ないんだけどね。まだ殘暑で寢苦しいし、避暑地は最高だよ」

「そうですね。エアコン代の節約になります」

「ははっ。そうだね」

そう言った見た目は可らしいの子、口調は男らしい彼もお茶でを潤します。

プルルプルルとコール音が鳴ります。

「ごめんね。私だ」

そう言って彼は席を立ち電話を取りました。

數秒の會話の後、電話を切り、こちらに再び話しかけてきます。

「ごめんね。もう行かなきゃ。あっそうだ」

何かを取り出し、サラサラと書き込んでいます。

「自己紹介がてら、これをあげるよ」

から手渡されたのはサインが書かれたCDでした。

「じゃぁ機會があったらまたどこかで會おうね、お嬢さん」

そう言って颯爽と去っていきました。

手渡されたCDを見ると、スケコーマートというバンドの名前と、曲のタイトルのスケコマシが書かれていました。

やっぱりスケコマシであってるじゃん。

エルマに現在位置をメッセージしておいたので、數分後に合流することができました。

「ごめんごめん。サイン貰えなかったー」

「そっかー。殘念だったね。スケコマシの人が外にいたおかげで空いてて助かったよ」

「スケコーマート!」

「同じ同じ。だってCDのタイトル、スケコマシだもん」

そういって先ほど頂いたCDをエルマに見せます。

「ええええええええええええ!」

「わっ!」

びっくりしてCDを落としてしました。

カシャンと機の上に落ちたCDが開き、中からチケットが出てきます。

「えっ? このチケットって……」

そう言ったエルマがチケットを握ります。

「どうしたの?」

「來月橫浜アリーナでやるライブのチケットだ!」

「そうなんだー」

「どこで手にれたの!?」

「ん? さっき一緒にお茶を飲んでた人に貰ったよ」

「……。まじか」

「うん」

「このサインみて」

「ん?」

どれどれ? とエルマの指が置いてある場所のサインを見ます。

カリアンと書かれていました。

「スケコーマートのギターコーラスのカリアンだよ!」

「ふーん」

「ボーカルのツーケーと人気を二分してる人気者だよ!」

「そうなんだー。そんな人気者のサインりCDをポンとくれちゃう人もいるんだね」

私がそう言うと、エルマは呆れたような顔をしつつこちらをみます。

「本人だって思わないの?」

「そんな有名人が私に話しかけてくるわけないじゃん」

「お、おう……」

し、しゅんとしているエルマがとんかつ専門店のカツ丼を注文し、ムシャムシャと食べている間に、エルマに渡す紅茶を買いに行きます。

「ロイヤルミルクティー、砂糖多めでお願いします」

「かしこまりましたー」

そしてけ取った砂糖多めのロイヤルミルクティーをエルマに渡し、ご機嫌取りをします。

「うっまー」

元気になったようですね。

腹ごしらえと別荘に著くまでの間に飲めるようにペットボトルのお茶を購し、車に戻ります。

「おねぇさんはショックだよ」

エンジンをかけ、車を発進させながらエルマがいいます。

「なにが?」

「チェリーがこんなにニブニブだと思わなかったから……」

「そう?」

「あー。もういい! 早く別荘行ってお酒のも!」

「いいね」

エルマとそう會話をし、別荘に向かって走る車で頂いたCDを聞いています。

to be continued...

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