《VRゲームでもかしたくない。》間章10幕 片付け<clean up>

「チェリー……。チェリー!」

誰かが私を呼ぶ聲がします。あぁ。エルマの聲ですね。

「起きて! 朝だよ!」

ベッドからを起こし、エルマに返事を返します。

「おはよう」

「おはよ!」

「朝風呂いこ!」

「わかった」

ベッドにもうし包まれていたいのですが、エルマにわれては仕方ありませんね。

クローゼットから著替えを取り出し、所まで向かいます。

「メイドも執事も出てこなかったね」

「そりゃまだ5時だもん」

「えっ」

道理で眠いわけです。

「太が昇りたての天も絶景だよ!」

そう言われては仕方ありません。諦めて天風呂にりましょう。

所に著き、服をぎ、し冷える朝の空気を浴びながら天風呂にります。

「あぁー。気持ちいい」

「朝風呂最高!」

「エルマの言う通りこれは絶景」

背後のお城に橙が差し、寢起きの太に焼かれているようにも見えます。

そして窓から反したが、日本庭園を照らし、一層神的に見えます。

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「この景とお風呂とも今日でさようならかー」

し寂しい気持ちが湧いてきます。

「また機會があったらこようよ。<あいおえ>で特に事件が起きてなければ3日くらいログインしなくても大丈夫でしょ?」

そうエルマに言われ、確かに毎日<Imperial Of Egg>にログインしている必要はない、と思いました。

このゲームにはまってから、ほとんど毎日、呼吸をするようにやっていたので、今まで特に思いもしていませんでしたが。

ログインボーナスとかないですし。

私のデスペナルティーが開けるまであと3日程度なので、自宅に帰ってからもまだログインできませんし、サブキャラクターで遊ぶのもし面倒なので、畫サイトでも見て過ごそうかなと考えていると、エルマが帰ったあとのことについて聞いてきました。

「チェリーのデスペナ明けまだ先でしょ?」

「うん。あと3日ないくらいかな?」

「ふーむ。東京帰ってからどっか遊びに行く? カラオケとか」

「いいね。カラオケとか高校生の時以來だよ」

「今日はすぐ家に送るようにお願いしてあるけど、明日とかならいけるしね」

「そうだね」

「まぁ明日になったら考えよ?」

「そうしよっか」

天風呂からサウナに行き、風呂を堪能した私達は、し早いですが、あがることにしました。

「朝ごはんまでまだし時間あるし、庭散歩でもする?」

「うーん。そうだね。そうしよっか」

を丁寧に拭き、服を著て、遊技場から飲みを拝借して庭に出てきました。

庭をぐるりと回りながらエルマに言います。

「なんかタイムスリップしたみたい」

しわかるかも。ここには音聲端末による制もないし、飲みだって手じゃないといけないし」

建てられたのが古いから仕方ないんだけどね、と付け足し笑っています。

「このままであってほしいな」

「どうして」

「何もかもが便利になっちゃったのは確かにうれしいよ。でもこういう便利に頼らない生活もたまには、ね?」

「まぁ使用人にすべて任せちゃってるからあんまり変わらないけどね」

「人がちょっといいこと言ってるのに酷い! 事実だけど」

「きゃははー」

推理ゲームをしていた時によく見る時間がなかった花壇や、畑、噴水を良く見ていると執事の一人がやって來て、私達に聲をかけてきます。

「瑠麻お嬢様、智恵理お嬢様、朝食の準備が整いました。よろしければ食堂までご案いたしますのでお聲かけください」

「だってさチェリー」

「どうする?」

「お腹空いたー」

「いこっか」

「かしこまりました。では食堂までご案いたします」

執事に案され食堂までやって來て、昨日と同じように朝食をとります。

ここで食べるご飯は最後になるので、おかわりもいっぱいして満足いくまで食べました。

「お嬢様、出発は11時を予定しておりますがよろしいでしょうか?」

「あたしは大丈夫だよ」

「私も大丈夫です」

「では予定通り11時に出発致します」

そうお辭儀をして和久井が去っていきました。

デザートに出てきたメロンシャーベットを溫まったの中にれ、食事の完了を胃に伝えます。

「さて帰り支度しないと」

「私特にないし、化粧するだけでいいかな」

「手荷すくなかったもんね」

「いきなりだったから」

「そうだったー」

「じゃぁあたしは部屋に戻るね」

「うん」

エルマは部屋に行きましたが、私は食後のコーヒーを貰っていたので、それを飲み切ったあとに部屋に戻ることにしました。

「智恵理お嬢様」

「はい」

有馬が聲をかけてきます。

「3日間ありがとうございました」

「いえ。それはこちらが言うことですので。こちらこそありがとうございました。瑠麻さんのただの友達なのに」

「だからでございます。昔から瑠麻お嬢様にはご友人と呼べるようなお方がおりませんでしたので。使用人は皆、親のような気持ちで見守らせていただきました」

「そうだったんですね」

エルマそんなこと一言も言っていなかった……。

「ですから智恵理お嬢様には謝しております。ゲームのご友人だったとはいえ、ここまで瑠麻お嬢様と仲良くしていただけて、私は……失禮します」

そう言って有馬は顔を背けてしまいました。

「これからもよろしくお願いいたします」

「いえ、こちらこそ、瑠麻さんにはたくさん迷をかけてしまっていますので」

「瑠麻お嬢様にとっては対等な立場である智恵理お嬢様の存在が心の支えになっているのでございます」

そこまで対等ってわけじゃないですけどね。ランク付けとか興味がなくて、誰にでも同じ接し方なだけで。

でもエルマはやっぱり私にとって、特別なじはありますね。理由は、わかりませんが。

食後のコーヒーを飲み終え、部屋へと戻ってきました。

片づけるものはあまりないので、先ほどいだばかりなのに、何故かクリーニングが完了した下著と、來るときに著けていた下著を紙袋にポイっと放り込み、帰り支度が完了してしまいました。

使用人が用意しておいてくれた洋服もなぜかクリーニングされた狀態でおいてありましたが、こちらは頂く理由もないので置きっぱなしにしておきましょう。

昨日學んだ化粧の手法を用いていつもよりスムーズに化粧を完了させます。

やはり、雑誌で見るよりも、一度プロの方にやっていただいて、そちらを見て盜むほうが百倍効果がありますね。百聞は一見に如かず、というわけですね。

そうして時計を見ると10時15分前後になっていて特にやることもなかったので、エルマの部屋に突撃することにしました。

エルマの部屋の扉をコンコンコンとノックします。

「どぞー」

るね」

ガチャと開けてエルマの部屋にると、一日でどうやってここまで汚すのかわからないほど服が散しており、私は混しました。

「えっ?」

「チェリーちょうどよかった。このバッグにりきらなくてねー。手伝ってちょ」

そうニッコリ笑っています。

はい? この量そのかばんにがるわけないじゃないですか。

とりあえず私は手直に転がっていた洋服を畳み、エルマからひったくったカバンに詰めていきます。

「おお。チェリーさすが!」

「お土産は別の袋にれて。あとメイドを誰か呼んで。終わらない」

11時というタイムリミットに間に合わせるため、使えるものは何でも使う姿勢で行きます。

ちょっとこういうミッション的なのを付けたほうが、楽しいんですよね。

「田辺さん呼んできた!」

「なるほど。かしこまりました」

そう言って田辺はお土産類を扉の周辺に詰み始めます。

流石、仕事ができますね。

そして別の執事がやって來て、お土産類を車まで運んでいくようです。

私はいそいそと服を畳んで詰めていたのですが、田辺が高速で服を畳み、私がしまうという構図が出來上がると速度がぐんと跳ね上がり、ものの數分で片付いてしまいました。

「ふぅ。エルマ終わったよ」

「なかなかの量でございました」

「おつかれさまー!」

「ではお車まで荷持って行っておきますね。失禮いたします」

そういって田辺は部屋を出ていきました。

「いやー。まさか間に合うとは思わなかったよー」

「間に合わせたんだよ!」

「そっか」

そうけらけらわらうエルマと一緒にし早いですが、玄関まで降りてきました。

「お待ちしておりました」

そういう和久井が後部座席のドアを開けてくれます。

「じゃぁかえろっか」

「そうだね。名殘惜しいけど」

「またくればいいよ」

「そうだね」

そう短い會話をエルマとし、私達は車に乗り込みました。

「では出発致します。3時間かからずに到著いたしますのでごっゆっくりお過ごしください」

「わかりました」

と返事をした私は、エルマの片付けに力を持っていかれたのか、車が発信してすぐにコクリコクリと首を振ってしまいます。

そのまま、心地よい車の揺れのせいか私は眠ってしまいました。

to be continued...

    人が読んでいる<VRゲームでも身體は動かしたくない。>
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